Claude Consensusコネクタで文献レビューの検索式と抜け確認を作る
ConsensusコネクタをClaudeにつなぎ、PICOに沿ったブール検索式の作成、書誌リストの整理、研究ギャップの洗い出しを進める手順と、検索枠や再現性の注意点をまとめます。
Consensusコネクタは文献レビューのどこを担うか
Consensusコネクタは、Claudeの会話の中から2億2,000万本超の査読論文とプレプリントを検索させるためのコネクタです。Claudeのコネクタ一覧では、Consensus社が提供する「Anthropic verified」の項目として載っています。カテゴリは「Data & analytics」と「Health & life sciences」で、利用にはサインインが必要です。
ディレクトリのページは、できることとして次の4つを挙げています。
- 文献レビューの実行
- ブール検索戦略の構築
- 書誌リストの生成
- 研究ギャップの特定と、引用付きの文章の下書き
検索対象はPubMed、Semantic Scholar、ArXivに基づく論文です。公開されているツールはsearchの1つだけなので、コネクタそのものは「検索して結果を返す」役割に絞られています。検索式の設計、重複の整理、ギャップの洗い出しは、Claudeが検索結果を受け取ったあとに行う作業です。
コネクタの基本情報
収録論文
220M+
査読論文とプレプリント
公開ツール
1つ
search
サインイン
必須
Consensusのアカウント
追加時期
2026年2月
ディレクトリ掲載
PubMedコネクタはAnthropic提供で、サインイン不要です。生物医学の文献に限った検索ならPubMedコネクタ、分野をまたいで検索式の設計から頼みたいならConsensusコネクタ、という分け方が目安になります。PubMedコネクタを使った読書計画の流れは、Claudeで文献レビューの計画を立てるにまとめています。
接続してから最初に決めること
接続の操作はほかのコネクタと変わりません。ディレクトリのConsensusのページで「Add to Claude」を押し、Consensusのアカウントで認証します。会話ごとのオンオフやツール権限の画面は、計画づくりの記事で手順を追っています。
ディレクトリのページには、「信頼できる開発元のコネクタだけを使う」という注意書きがあります。Anthropicは開発元が提供するツールを管理しておらず、想定どおりに動くことや、後から変わらないことは確認できないという趣旨です。研究テーマが未発表の内容を含むときは、検索語がConsensus側に送られる点を踏まえて使います。
検索式を作る流れ
Consensus社のMCPのページには、「Literature review helper」という文献レビュー用のワークフローが公開されています。ChatGPT向けの案内に載っているプロンプトですが、中身はコネクタ経由の検索指示なので、Claudeの会話に貼って試せます。流れは4段階です。
Literature review helperの流れ
- 1
RECON
広い検索を1回かけて、分野の用語、主要なテーマ、方法論の違いを掴みます。引用数の多い論文もここで控えます。
- 2
PLAN
枠組みを選び、テーマを4〜5個のサブ領域に分けます。確認が入るので、検索に進む前に分け方を直せます。
- 3
SEARCH
サブ領域ごとに検索を順番に実行します。件数は5回の「クイックスキャン」か10回の「標準」から選びます。
- 4
SYNTHESIZE
概要、読む順番、年表、サブ領域ごとの案内、研究グループ、未解決の問い、書誌リストを一度に出力します。
PLANの段階で選ぶ枠組みは、既定がPICO(対象・介入・比較・結果)です。健康、行動、教育、社会科学の問いに向きます。介入がはっきりしない当事者の経験を扱う質的研究にはSPIDER、技術系のテーマには「仕組み・応用・限界・比較」への分解が指定されています。
プロンプトは「何を検索するか」の前に「枠組みを見せて、確認を取る」ことを求めています。検索回数に枠があるため、ここで方針を固めておくと、検索を無駄にしにくくなります。
ブール検索式はどの形で返ってくるか
SYNTHESIZEの出力では、サブ領域ごとに検索語を6〜10個と、そのまま貼れるブール検索式を2〜3本ずつ出すよう求めています。検索語には同義語、MeSH、歴史的な用語も含める指定です。
たとえば、運動療法と高齢者のうつ症状を問いにしたときのPICOの分け方は、次のような形になります。以下は説明用の例で、Consensusが返す実際の出力ではありません。
P(対象): older adults OR elderly OR aged 65+
I(介入): exercise OR physical activity OR resistance training
C(比較): usual care OR no exercise OR waitlist
O(結果): depress* OR depressive symptoms OR mood(older adults OR elderly) AND (exercise OR "resistance training")
AND (depress* OR "depressive symptoms")返ってきた式は、そのまま他のデータベースに持ち込む前に、対象のデータベースの構文で読み替えます。フィールド指定やMeSHの書き方はデータベースごとに違い、同じ文字列が同じ範囲を引く保証はありません。
抜け確認の組み立て方
検索式を作ったあと、見落としがないかを確かめる材料が、標準の10回検索の配分にあります。ワークフローの配分は次のとおりです。
| 検索 | 回数 | 狙い |
|---|---|---|
| サブ領域ごとの検索 | 回数5 | 狙い各領域の主要論文を拾う |
| 系統的レビュー・メタ分析の検索 | 回数2 | 狙い既存のレビューが何を扱っているか見る |
| 年代を区切った検索 | 回数2 | 狙い2015年まで(year_max)と2021年以降(year_min)で新旧を比べる |
| 追いかけ検索 | 回数1 | 狙い最も引用された論文の周辺をたどる |
検索フィルタで絞る範囲
ワークフローは10回の検索について、「フィルタを戦略的に使う」よう指示しています。挙げられているのは次の4種類です。
| フィルタ | 絞る対象 |
|---|---|
| year_min / year_max | 絞る対象公刊年の下限・上限 |
| human | 絞る対象ヒトを対象にした研究 |
| sample_size_min | 絞る対象標本サイズの下限 |
| sjr_max | 絞る対象掲載誌のSJR順位。プロンプトではsjr_max: 1を「上位誌」向けとしている |
human、sample_size_min、sjr_maxの意味は、プロンプトにはフィルタ名と、sjr_maxの例しか書かれていません。表の「絞る対象」はフィルタ名から読み取れる範囲です。実際に効く範囲は、検索結果の件数と内容を見て確かめます。
フィルタは重ねるほど結果が減ります。質の高い研究に寄せられる一方、標本が小さい研究や下位の掲載誌に載った研究は最初から除かれます。抜け確認の目的で使うなら、まずフィルタなしで1回引き、そのあとに絞った検索で結果がどう変わるかを比べると、何が落ちたかを追えます。
年代を区切る検索は、用語が変わった分野で効きます。ワークフローには「腸内フローラ」から「腸内マイクロバイオーム」のような用語の移り変わりに触れる指示があり、古い用語で書かれた論文を取りこぼさないための仕掛けです。
結果を読むときは、次の3点を追うよう指定されています。
- 3回以上のサブ領域検索に出てきた論文は、基盤となる論文の可能性が高い
- 繰り返し現れる著者は、その分野の中心的な研究グループ
- 公刊からの年数あたりの引用数で、重要な初期の論文を見分ける
研究ギャップの出し方
ギャップは「方法論」「対象・文脈」「概念・理論」の3つに分けて出す指定です。それぞれに「なぜ重要か」の1行を付けさせます。
| 種類 | 見る内容 |
|---|---|
| 方法論のギャップ | 見る内容弱い研究デザイン、検出力の足りない標本、揃っていない測定 |
| 対象・文脈のギャップ | 見る内容まだ調べられていない集団や状況 |
| 概念・理論のギャップ | 見る内容噛み合わない結果、検証されていない機序、つながっていない隣接分野 |
ここで注意したいのは、ギャップの根拠が「今回の検索で見つかった論文」に限られる点です。検索回数が5〜10回で、結果の数にも上限があるため、「見つからなかった」は「存在しない」と同じではありません。ギャップとして挙がった項目は、別の検索語や別のデータベースで当たり直して初めて、レビューの「研究の空白」として書けます。
結果の数が少ないときの読み方
Consensus社の公開ワークフローには、検索の制約がいくつか書かれています。
- 検索は1秒に1回までのレート制限があり、順番に実行する
- 返る件数の上限の目安は、未認証で約3件、無料アカウントで約10件、有料アカウントで約20件
- 応答に「showing top N of M」のような表示があれば、それを報告する
件数の目安はワークフローのプロンプトに書かれた記述で、ディレクトリのページには載っていません。契約の変更もあり得るため、自分のアカウントでの実際の件数は、検索結果の表示で確かめます。
少ない件数の背景には、プランの上限がある可能性があります。プロンプトにも「結果が少ないのは文献の空白ではなく、プランの制限かもしれない」と注意があります。ギャップを書く前に、上限で切られた結果かどうかを必ず確認します。
書誌リストを作るときの決まり事
ワークフローのRULESは、書誌リストの信頼性を守る内容になっています。Claudeに依頼するときも、同じ条件を書き添えておくと再現しやすくなります。
- Consensusが返した論文だけを引用する
- 一般知識で補う場合は「[not from Consensus]」と明記し、件数に数えない
- 結果が少ないときは、そのことを書く(架空の論文で埋めない)
- ConsensusのURLは省略せず、全文を載せる
- 要約はタイトル・抄録・メタデータに書かれた内容だけに基づく書誌リストには、論文ごとのConsensus URLが付く指定です。引用文献として確定する前に、URLを開いて著者名、掲載誌、公刊年を原典と照らします。Claudeが整えたリストは「候補一覧」と位置づけ、引用管理ソフトに入れる前に1本ずつ確認する運用が安全です。
読み進めたあとの論文どうしの関係整理は、Claudeで文献レビュー中に論文の議論構造を可視化するに手順があります。研究者の解析や図表づくりまで含めた実例は、Claude Scienceの文献レビュー実例で扱っています。
使い始める前の確認点
導入前に押さえておくと迷いにくい点を挙げます。
- Consensusのアカウントが必要で、プランによって返る件数が変わる
- 公開ツールは
searchのみで、全文取得のツールは載っていない - 要約はタイトル、抄録、メタデータに基づく指定なので、全文の精読は別途必要になる
- 検索式の最終版は、レビューの方法節に記録する式として自分で確定する
- 未発表のテーマを扱うときは、検索語の送信先と提供元の条件を先に読む
コネクタに任せられるのは、候補の洗い出しと整理までです。何を採用し何を除くかという基準の設定と、結論の判断は、レビューを書く人の仕事として残ります。