ClaudeにElicitコネクタをつなぎ、論文の抽出表を作る手順
ElicitコネクタをClaudeに接続し、研究質問から論文を検索して項目ごとの抽出表にする流れと、表の値を原典で確かめる手順、プランと上限の注意点をまとめます。
Elicitコネクタで、Claudeに何を任せられるか
Elicitコネクタは、Claudeの会話からElicit社の論文データベースを検索し、複数の論文から項目を抜き出した報告書を作らせるためのコネクタです。コネクタ一覧では「Anthropic verified」の項目で、カテゴリは「Health & life sciences」、提供元はElicit, inc.、追加は2026年6月と表示されています。利用にはサインインが必要です。
一覧の説明文は、1億2,500万件を超える学術論文のコーパスを自然文で検索し、論文をまたいでデータを抽出・統合する構造化レポートを作り、その結果を取り出せる、という内容です。ライフサイエンスのR&Dを想定した作りだと書かれています。
公開されているツールは5つです。
| ツール | 役割(一覧の表記は名前のみ) |
|---|---|
search_papers | 役割(一覧の表記は名前のみ)論文の検索 |
search_trials | 役割(一覧の表記は名前のみ)臨床試験の検索 |
create_report | 役割(一覧の表記は名前のみ)レポートの作成 |
list_reports | 役割(一覧の表記は名前のみ)レポートの一覧 |
get_report | 役割(一覧の表記は名前のみ)レポート結果の取得 |
右の列は、ツール名と一覧の説明文から読める範囲の要約です。ツールごとの引数や戻り値は、一覧のページには載っていません。
同じ「論文を調べる」用途のコネクタは他にもあります。検索式づくりに寄せるならConsensusコネクタ、生物医学の文献と全文を引くならPubMedコネクタ、査読前の知見ならbioRxiv・medRxivです。Elicitの特徴は、検索だけでなく「項目ごとに抜き出した表」までを一続きで作る点にあります。
接続して会話で有効にする
一覧から追加する流れは、他のディレクトリ掲載コネクタと同じです。
Elicitコネクタを接続する流れ
- 1
一覧でElicitを選ぶ
チャット欄の「+」から「Connectors」を開き、一覧でElicitを選びます。ページの「Add to Claude」から始めても同じです。
- 2
Elicitのアカウントでサインインする
サインインが必要な項目なので、Elicitのアカウントで認証します。アカウントがなければ先に作成します。
- 3
会話でオンにする
チャット欄の「+」から「Connectors」を開き、Elicitをオンにします。最初の依頼に「Elicitコネクタで」と書くと、ウェブ検索との取り違えを避けられます。
コネクタ全般の接続と管理はClaudeのコネクタ一覧と使い方にまとめています。
Elicit側のドキュメントには、一覧を経由しない接続方法も載っています。接続先URLはhttps://elicit.com/api/mcpで、認証はOAuth 2.0です。Claude CodeではMCPサーバーとして追加します。
claude mcp add --transport http elicit https://elicit.com/api/mcp追加したら/mcpでelicitサーバーを選び、「Authenticate」でブラウザのログインに進みます。Claude Desktopでは「Settings > Connectors > Add custom connector」から、名前にElicit、URLに上記を入れる手順です。
プランの条件を先に見ておく
コネクタ一覧のページに、必要なプランの記載はありません。条件はElicit側のドキュメントにあり、次のとおりです。
- REST APIの利用はProプラン以上で、BasicとPlusはAPIアクセスがない
- MCP経由のResearch Agent(対話型の調査セッション)も、同じくPro以上のアカウントが前提
- 論文検索1回で返せる件数の上限はプランで決まり、Proが300件、Scaleが500件、Enterpriseが10,000件
- 上限を超える件数を指定すると、黙って切り詰められずに
400 invalid_requestが返る
これらはAPIとResearch Agentについての記述です。一覧に載っている5つのツールが、無料や下位プランでどこまで動くかは、ドキュメントに明記がありません。使えるかどうかは、接続後に実際に検索を1回依頼して確かめるのが確実です。
研究質問から抽出表までの流れ
レポート作成の仕組みは、Elicitのドキュメントで次のように説明されています。研究質問を渡すと、Elicitが関連論文の検索、関連性による絞り込み、構造化データの抽出を順に行い、報告書にまとめます。所要時間は通常5〜15分で、完了までは進行状況を問い合わせて待つ非同期の処理です。
REST APIの仕様では、次の2つの上限を指定できます。
レポート作成の既定値(REST APIの仕様)
検索で集める論文
50件
maxSearchPapers の既定値
抽出表に入れる論文
10件
maxExtractPapers の既定値
検索で集めた50件を関連性で絞り、残った最大10件が抽出表の行になります。多く集めるほど網羅的になりますが、遅くなると書かれています。
注意点が1つあります。ここで挙げた引数は、REST APIのレポート作成の仕様です。コネクタ一覧のcreate_reportが同じ引数を受け取るかは、ドキュメントのMCPの節に説明がありません。Claudeには引数の名前ではなく、条件を自然文で伝え、実行されたツール呼び出しの内容を会話で確認してもらう進め方になります。
依頼文の形
研究質問に、対象・比較・指標を入れ、抽出してほしい列を先に決めて渡します。次は依頼文の一例です。
Elicitコネクタで、次の研究質問に関するレポートを作成してください。
研究質問: 成人の2型糖尿病で、GLP-1受容体作動薬は
心血管イベントをどの程度減らすか(無作為化比較試験に限る)
抽出表に入れたい列:
研究デザイン / 対象者数 / 介入と比較対象 / 追跡期間 /
主要評価項目 / 結果の数値 / 資金源
完了したらレポート一覧から取得し、各行に論文のDOIを付けてください。列の定義は、Elicitのシステマティックレビュー機能にも対応する仕様があります。抽出列は「列見出しとなる質問」で指定し、選択肢の固定リストを付ければ、その値のどれかに答えが制約されます。自由記述にするか選択式にするかで、後工程の集計しやすさが変わります。列数の上限はプランごとに決まり、Proで20列、Scaleで30列、Enterpriseで40列です。
検索だけを使うとき
レポートを作らず検索だけで足りる場合は、search_papersに絞って頼みます。API仕様では、検索には次の絞り込みがあります。
- 出版年の範囲(
minYear/maxYear) - 研究デザインのタグ(Review、Meta-Analysis、Systematic Review、RCT、Longitudinal)
- 含める語・除く語
- 全文PDFがあるものだけに絞る指定
- 撤回論文の扱い(既定は除外)
撤回論文が既定で除かれる点は、見落としやすい仕様です。撤回された論文の経緯そのものを調べたいときは、「撤回論文を含める」または「撤回論文だけ」を依頼で明示する必要があります。
また、検索モードを「キーワード」にすると、自然文の意味検索ではなく、Lucene形式のブール式やPubMed構文で検索できます。この場合は絞り込みの指定と併用できず、フィルタ条件は検索式の中に書きます。
抽出表の値を原典で確かめる
抽出表は、人が全文を読んで拾った値と同じ信頼度ではありません。表をそのまま論文の引用に使わず、確認のルールを先に決めます。
Claude側で確認しやすくする頼み方
表を受け取ったあとに、確認の手がかりを足させます。
上の抽出表に、次の列を追加して再出力してください。
- DOI
- 全文リンクの有無(分からなければ「不明」)
- 値の根拠が抄録のみか全文かの区別(分からなければ「不明」)
値が論文から読み取れなかったセルは、推測で埋めず「記載なし」と
してください。Elicitの検索結果には、DOIと全文リンクの項目があります。全文リンクは「分かっている最良のリンク」で、なければ空(null)で返ります。DOIがあれば原典に必ずたどり着けるので、全行にDOIを付ける指示は有効です。全文リンクが空の行は、抄録だけを根拠にした抽出である可能性を疑って読みます。
確認の優先順位
全セルを読み直す必要はありません。確認の厚みは、結論に効く列から決めます。
- 結果の数値と、その単位・比較の向き(減少か増加か)
- 対象者数と追跡期間(後から比較に使うため)
- 研究デザイン(無作為化かどうか)
- 資金源などの補足列
数値の列は、Claudeが表に整えた時点で四捨五入や単位の読み替えが入ることがあります。抜き取りでよいので、数行の数値を原典の表と突き合わせます。違いが見つかったら、その列の全行を読み直す合図です。
手順の記録を残す
Elicitは、Research Agentのセッションで「Methods」を返す仕様を持っています。実行した検索クエリ、検索先のコーパス(Elicitの論文コーパス、PubMed、臨床試験など)、判断のポイント、根拠となった文献の概要が含まれます。レポートの出典として、どの検索で何件に絞ったかを後から説明したいときの記録になります。ただし、この説明はResearch Agentのイベントについてのもので、create_reportの結果に同じ項目が付くかはドキュメントに記載がありません。
実行後に結果を取り出す
完了したレポートは、REST APIの仕様ではPDFとDOCXで取得できます。引用文献リストは、APA形式のテキスト、BibTeX、RISの3形式です。ダウンロードURLの有効期間は7日間で、期限が切れたら再取得して新しいURLを得ます。
引用文献リストのURLは、レポート完了の直後には揃っていないことがあります。ドキュメントには、少なくとも60秒待って再取得し、それでも無ければ「利用不可」として扱うよう書かれています。「URLが無い」を「出力できない」と判断しないための記述です。
Claude Codeにつなぐ場合は、取得したファイルを手元に保存してから作業を続けられます。次は、保存したCSVの空セルを数える指示の例です。
saved/extraction.csv を読み、列ごとの空セルと「記載なし」の件数を
表にしてください。件数が多い列は、その理由を先に説明してください。空や「記載なし」が多い列は、論文側に情報がない場合と、抽出がうまくいっていない場合があります。後者は、列の定義を具体的にして再実行します。
使い始める前の確認点
- Elicitのアカウントが必要で、API・Research AgentにはPro以上が前提になる
- 一覧に載るツールは5つで、引数と戻り値の詳細は一覧にはない
- コーパスの規模は、一覧の説明文が1億2,500万件超、API仕様の説明が1億3,800万件超と、一次ソースごとに数字が違う
- 抽出表は人の精読の代わりにならない。数値の列は原典で抜き取り確認をする
- 未発表のテーマや機密性のある研究質問は、送信先と提供元の条件を先に読む
一覧のページは、開発者を信頼できるコネクタだけを使うよう注意しています。Anthropicは、開発者が提供するツールを管理しておらず、意図どおり動くことや将来変わらないことを確認できない、という趣旨の記述です。
よくある質問
臨床試験の情報も同じ会話で引けますか
search_trialsが一覧に載っています。Elicitのドキュメントでは、試験の記録はClinicalTrials.govに由来し、フェーズ、募集状況、結果の有無で絞れます。試験の登録情報だけが目的なら、サインイン不要の専用コネクタという選択肢もあります。
日本語で研究質問を書いても検索されますか
一覧とドキュメントには、対応言語の記載がありません。日本語で試したうえで、検索結果の論文が想定どおりか確かめてください。結果が合わないときは、研究質問の言語を変えて同じ依頼を試し、返る論文を比べます。