Claude Media
ClaudeのClinicalTrials.govコネクタで競合の治験登録を調べる方法

ClaudeのClinicalTrials.govコネクタで競合の治験登録を調べる方法

Clinical Trialsコネクタで適応症・フェーズ・実施状況から登録試験を絞り、競合パイプラインの比較表にする手順と、登録情報の更新遅れを見抜く確認点です。

ClaudeのClinical Trialsコネクタは、米国の国立衛生研究所(NIH)にある国立医学図書館が運営する治験登録簿ClinicalTrials.govをClaudeから検索できるようにする接続です。競合企業の開発状況を調べるなら、適応症とフェーズと実施状況で試験を絞り、スポンサー別の比較表にまとめるところまでを会話で進められます。

ただし登録簿の記載は、試験を登録した側が更新した時点の内容です。表にした数字をそのまま「競合の今」と読むと外します。この記事では、コネクタで比較表を作る流れと、更新遅れを見分ける確認点を順に説明します。

Clinical Trialsコネクタで使えるツールと前提条件

コネクタの掲載ページには、提供元がAnthropic、サインイン不要、追加時期が2026年1月、カテゴリがHealth & life sciencesと書かれています。接続先のURLは https://hcls.mcp.claude.com/clinical_trials/mcp です。

公開されているツールは次の6つです。

ツール名名前から読める守備範囲
search_trials名前から読める守備範囲試験の検索
get_trial_details名前から読める守備範囲個別試験の詳細
search_by_sponsor名前から読める守備範囲スポンサー(試験の実施主体)での検索
search_by_eligibility名前から読める守備範囲組み入れ基準での検索
analyze_endpoints名前から読める守備範囲評価項目の分析
search_investigators名前から読める守備範囲試験責任医師などの検索

掲載ページはツール名を並べているだけで、入力パラメータや返す項目の説明はありません。上の右列は名前からの読みです。実際に何が返るかは、最初に1回呼んで確かめてください。

競合調査で中心になるのは search_trials と search_by_sponsor です。get_trial_details は、表の1行に決めた試験を深掘りするときに使います。

適応症・フェーズ・実施状況で絞って比較表にする

比較表は、先に列を決めてから検索させると崩れません。列が決まっていないと、Claudeは試験ごとに違う項目を拾ってきます。

手順

競合パイプライン表を作る流れ

  1. 1

    調べる範囲を1文で決める

    適応症、見たいフェーズ、対象にする実施状況、競合企業名のどれを固定するかを先に書きます。

  2. 2

    列を指定して検索させる

    試験ID、スポンサー、フェーズ、実施状況、主要評価項目、主要完了予定日、最終更新日の7列を指定します。

  3. 3

    空欄と推定値を残させる

    値が無い列は空欄のまま残し、予定日は「予定」か「実績」かを併記させます。

  4. 4

    登録簿で数件を確認する

    表の上位数件をClinicalTrials.govの個別ページと突き合わせます。

プロンプトの例を示します。適応症や企業名は自分の調査対象に置き換えてください。

ClinicalTrials.govのコネクタで、肥満症を対象にした第3相試験のうち、
実施状況が「募集中」の試験を検索してください。
スポンサーごとに分けて、次の7列の表にしてください。
- 試験ID / スポンサー / フェーズ / 実施状況
- 主要評価項目 / 主要完了予定日(予定か実績かも併記)/ 最終更新日
登録簿に値がない列は空欄のままにし、推測で埋めないでください。

最後の1行が要点です。空欄を推測で埋めさせない指示を入れないと、読み取れなかった項目が自然な文章で補われます。

結果を絞る軸は3つ

適応症は病名の表記ゆれで件数が変わります。同じ病態でも登録上の呼び名が複数ある場合は、別名を並べて検索させると取りこぼしを減らせます。フェーズは第2相と第3相をまとめた区分もあるため、表には登録簿の区分をそのまま写させます。実施状況は「募集中」だけを見ると、すでに組み入れを終えて追跡中の試験が表から消えます。競合の開発速度を知りたいときは、募集中と組み入れ完了後の両方を並べて見るほうが実態に近づきます。

登録情報が古いかを見分ける3つの項目

登録簿の各試験には、更新の新しさを判断できる日付が載っています。ClinicalTrials.govの公開API(v2)で実在の試験を1件引くと、次の形で返ります。

{
  "statusModule": {
    "statusVerifiedDate": "2026-03",
    "overallStatus": "RECRUITING",
    "primaryCompletionDateStruct": {
      "date": "2026-12-30",
      "type": "ESTIMATED"
    },
    "lastUpdateSubmitDate": "2026-03-16",
    "lastUpdatePostDateStruct": { "date": "2026-03-17" }
  }
}

この例は、2026年10月上旬にAPIで取得した募集中の試験です。登録簿の実施状況が確認された月は2026年3月で、約7か月前になります。それでも状態は「募集中」のままで、主要完了日は推定値(ESTIMATED)です。

読み方は次のとおりです。

確認点

更新遅れを疑う3項目

  • 状況の確認月(statusVerifiedDate)

    登録した側が実施状況を最後に確認した月です。古い試験の「募集中」は、現在も募集中とは限りません。

  • 最終更新日(lastUpdatePostDate)

    登録簿に最後に反映された日です。比較表の「最終更新日」列はこれを指定します。

  • 日付の種別(type)

    主要完了日が ESTIMATED なら予定値です。実績値に切り替わっているかで、進み具合が読めます。

表に最終更新日の列を入れておくと、更新が止まっている試験を目で拾えます。Claudeに「最終更新日が半年以上前の試験に印を付けて」と頼むだけでも、確認の優先順位が付きます。半年という線引きは筆者の目安で、規制上の基準ではありません。

登録簿に出ない動きがある

登録簿に載るのは、登録された試験だけです。登録前の開発段階や、登録内容を更新していない試験の進捗は、コネクタを何度叩いても出てきません。競合のプレスリリースや決算資料で「開始した」と発表された試験が登録簿に無いときは、未登録なのか、検索語が合っていないのかを分けて確認します。表の外にある情報で補う前提で使うのが安全です。

登録簿のAPIで数件を突き合わせる

コネクタの出力を信じる前に、登録簿そのものと照合する習慣を付けておくと、誤りに早く気づけます。ClinicalTrials.govのAPIは認証なしで呼べます。

curl -s "https://clinicaltrials.gov/api/v2/studies?\
query.cond=obesity&\
filter.overallStatus=RECRUITING&\
filter.advanced=AREA%5BPhase%5DPHASE3&\
pageSize=1&countTotal=true&fields=NCTId"

この条件の検索では、totalCount に該当件数が入って返ります。Claudeが表にした件数と大きく食い違うときは、絞り込み条件の解釈がずれています。個別の試験は /api/v2/studies/<試験ID> で引けるので、fields に StatusVerifiedDate と LastUpdatePostDate を指定すると上の日付だけを確認できます。

APIの応答には dataTimestamp を返すバージョン確認用の窓口もあります。https://clinicaltrials.gov/api/v2/version を引くと、登録簿データの取り込み時刻が分かります。表を共有するときは、この時刻を注記に添えておくと、いつの登録内容かが後から追えます。

スポンサー別に深掘りする2段階の聞き方

最初から全社の全試験を表にすると、行数が増えて確認が追いつきません。次の2段階に分けると、読む量が絞れます。

1段目は、適応症とフェーズで広く検索して、スポンサー別の試験数だけを出させます。競合候補の顔ぶれと、試験数の多い順が分かります。2段目は、気になるスポンサーを1〜2社に絞って search_by_sponsor で全試験を引き、7列の表にします。

1段目の例です。

肥満症の第3相試験を募集中・組み入れ完了後の両方で検索し、
スポンサー別の試験数だけを多い順に10社出してください。
試験の詳細はまだ不要です。

1段目の件数は、先ほどのAPIで引いた totalCount と照合できます。件数が合わなければ、2段目に進む前に絞り込み条件を直します。

組み入れ基準で競合の狙う患者像を比べる

search_by_eligibility は名前からすると、組み入れ基準を軸に検索するツールです。使い方を想定するなら、年齢層、併存疾患、前治療歴といった条件で試験を引き、競合どうしで狙う患者像が重なっているかを見る用途です。ただし掲載ページに入力の仕様がないため、実際に基準でどこまで絞れるかは、小さな質問で試してから表づくりに使います。

同じ条件を定期的に再実行して差分を見る

登録簿は日々更新されるので、1回きりの表は作った日から古くなります。競合のウォッチとして使うなら、同じ条件で定期的に再実行し、前回との差分だけを読むほうが効率的です。

差分で見るのは、次の変化です。

  • 新しく登録された試験(行が増えた)
  • 実施状況が変わった試験(募集中から組み入れ完了、中止など)
  • 主要完了予定日が動いた試験(前倒しか延期か)
  • 主要評価項目の記載が変わった試験

特に完了予定日の延期と中止は、競合の開発が想定どおり進んでいないことを示す手がかりになります。ただし理由は登録簿に書かれないことが多く、延期の背景は決算説明資料や学会発表で補う必要があります。

前回の表をチャットに貼ったうえで「前回の表との差分を、追加・状態変更・日付変更に分けて出して」と頼むと、変化のある行だけが返ります。前回の取り込み時刻も一緒に貼っておくと、どの時点の登録内容との差かを取り違えません。

文献・化合物のコネクタと組み合わせる

掲載ページの関連コネクタには、PubMed、bioRxiv、ChEMBL、Consensus、Wiley Scholar Gatewayが並びます。PubMedは生物医学文献の検索、bioRxivはbioRxivとmedRxivのプレプリント、ChEMBLはChEMBLデータベースへの接続と説明されています。

治験登録だけでは、競合の試験が「何を狙っているか」までは分かりません。登録された試験の主要評価項目が、論文や学会発表の内容と合っているかを見るときは、文献系のコネクタを足します。たとえば表の上位3社について、関連する査読論文とプレプリントを一覧にさせる使い方です。

使えるコネクタの種類と追加方法はClaude Connectorsとはにまとめています。科学・財務・特許を横断する調査の組み立てはClaudeでデューデリジェンスを科学から財務まで行う方法が扱っています。分類軸を先に決めてから比べる進め方は、Claudeで競合の広告クリエイティブを分析する手順とも共通です。

比較表を共有する前の確認

共有する前に、次の点を確かめます。

  • 表の各行に試験IDが入っていて、個別ページに戻れる
  • 「予定」と「実績」の日付が混ざっていない
  • 最終更新日が古い行に印が付いている
  • 数件はAPIか登録簿の画面で原本と照合した
  • 取り込み時刻(dataTimestamp)を注記した

競合の開発状況は投資判断や事業計画に使われがちです。表は検索の入口にとどめ、結論を出す前に原本の記載と、スポンサー自身の公表資料を確かめる運用が向いています。

この記事を共有:XはてブLinkedIn