退院前カンファレンスの記録をClaudeで整える手順 — 決定事項と宿題を分ける
多職種の発言メモを、決定事項・宿題(担当と期限)・未決の3つに分けて表にする手順です。患者情報を外してから渡す方法と、Projectsへの指示の固定、返ってきた表の点検まで示します。
退院前カンファレンスの記録は、発言の順に書くと「結局、何が決まって誰が何をするのか」が読み取れなくなります。Claudeに任せるなら、発言メモを三つの箱に振り分けさせるのが近道です。決まったこと、宿題(担当者と期限つき)、まだ決まっていないこと。この三つに分け、箱に入らない発言は「発言の記録」として別に残します。
この記事では、患者の情報を外してからメモを渡す方法、振り分けの指示文、返ってきた表の点検、Projectsへの固定までを順に示します。
退院前カンファレンスの記録に残すものは何か
退院前カンファレンスは、病棟の職種に加えて、退院後の在宅や施設で関わる職種が同席する場です。厚生労働省の令和6年度の診療報酬改定の概要には、退院後の在宅での療養上必要な説明や指導を共同で行う職種として、保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士が並んでいます。同じ資料では、退院後に介護保険のリハビリテーションを使う予定の場合、その事業所の医師や理学療法士などの参加を求めることが望ましいとも書かれています。
つまり1回の場に、見ている面の違う職種が集まります。発言を時系列で書き起こすと、同じ話題が職種ごとに散らばり、決まったことが埋もれます。記録は欄を先に決めておくと整います。
| 欄 | 入れるもの |
|---|---|
| 参加者 | 入れるもの職種のラベル(「病棟看護師」「在宅医」など)。氏名は入れない |
| 退院の見通し | 入れるもの退院先と時期、条件がある場合はその条件 |
| 決定事項 | 入れるもの会議の場で合意したこと |
| 宿題 | 入れるもの誰が、何を、いつまでに |
| 未決・確認待ち | 入れるもの結論が出なかったこと、誰かの確認を待つこと |
「退院困難な要因」を記録の冒頭に置く病院もあります。入退院支援加算の対象を定める要因は、先の資料に悪性腫瘍・認知症・緊急入院・要介護認定が未申請の疑い・退院後の医療処置の必要など、細かく列挙されています。院内の様式に要因の欄があれば、その欄の名前をそのまま指示文に写してください。
Claudeが整えるのは、決定と宿題の書き分けまでです。算定の可否は、院内で算定を担う部署が判断します。
発言メモを渡す前に外す情報
退院前カンファレンスのメモは、病名、家族関係、生活状況、経済面と、要配慮個人情報にあたる内容が集中します。入力してよいかどうかの考え方は要配慮個人情報をClaudeに入力してよいかにまとめられています。院内のルールで入力自体が認められていないなら、ここから先に進まず、ルールの確認を先にします。
入力が認められている前提で、メモから次のものを外します。
- 患者・家族の氏名は「患者A」「長女」のような続柄に置き換える
- 日付は「入院3日目」「退院予定の前日」のような相対表記にする
- 病院名・施設名・住所・病棟名・担当医の氏名は、「当院」「受け入れ先」「在宅医」にする
- 発言者の氏名は、職種のラベルにする
置き換えの対応表は、自分の手元に残し、Claudeには渡しません。返ってきた表を院内の記録に戻すときに使います。同じ手順の詳しい置き換え方は、看護サマリーの下書きと介護記録の申し送りの記事にあります。
ファイルで渡すときの条件
メモをファイルで渡す場合、読める形式はPDF、DOCX、CSV、TXT、HTML、ODT、RTF、EPUB、JSON、XLSXです。XLSXはコード実行とファイル作成を有効にしたアカウントでだけ使えます。画像はJPEG、PNG、GIF、WebPです。
ここに注意が一つあります。PDF以外の書類では、Claudeが読むのは文字だけです。DOCXに貼り込んだホワイトボードの写真は、中身を読んでもらえません。ホワイトボードに書いた内容を使いたいなら、写真を画像として別に添付するか、文字に起こして本文に入れます。
1回のチャットに添付できるのは20ファイルまで、1ファイル500MBまでです。カンファレンスのメモでこの上限に当たることはまずありません。
振り分けの指示文を書く
指示文では、三つの箱の定義と、迷ったときの倒し方を決めます。次の指示文は、そのまま貼って使える形にしてあります。
あなたは退院前カンファレンスの記録を整える補助です。
渡すのは、匿名化した発言メモです。次の4つに振り分けてください。
【決定事項】会議の場で合意されたこと。「〜とする」「〜で進める」と
明言されたものに限る。
【宿題】誰が、何を、いつまでにの3点が揃っているもの。
3点のうち書かれていないものは「記載なし」と書き、補わない。
【未決・確認待ち】結論が出ていない、または誰かの確認を待つもの。
【発言の記録】上の3つに入らない発言。職種のラベルと要旨だけを書く。
規則:
- 意見や提案は、合意の発言がない限り【決定事項】に入れない。
- 期限が「なるべく早く」のように曖昧なら、そのまま写し、日付に直さない。
- 出力の各行の末尾に、根拠にしたメモの行番号を[L12]の形で付ける。
- メモにない内容を足さない。行番号を付けさせるのが、点検の要になります。メモに行番号を振ってから渡すと、表の各行がメモのどこに由来するかを見に行けます。
条件つきの決定は、条件を切り離さない
退院前カンファレンスの結論は、「リハビリの評価が出れば、来週に退院」のように条件がつくことが多くあります。これを【決定事項】に「来週に退院」とだけ入れると、条件が落ちた記録になります。
指示文に一行足します。「条件つきの合意は、条件を同じ行に書き、条件の確認を【宿題】か【未決・確認待ち】に別の行で立てる」。こうすると、退院の見通しの欄に「来週(条件:リハビリの評価)」と残り、評価を出す担当の宿題が表に並びます。条件の行と宿題の行は、根拠の行番号が同じになるので、突き合わせも簡単です。
返ってくる表の形
指示文に沿うと、宿題は次のような表で返ってきます(以下は形を示す例で、数値と内容は架空です)。
| 担当 | 宿題 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 病棟看護師 | 宿題退院後の服薬管理を家族へ説明する | 期限退院予定の前日 | 根拠[L14] |
| 在宅医 | 宿題初回の訪問日を決めて病棟へ連絡する | 期限記載なし | 根拠[L21] |
| ケアマネジャー | 宿題福祉用具の手配を確認する | 期限なるべく早く | 根拠[L27] |
「記載なし」が出たことを、欠陥と受け取らないでください。期限を誰も口にしていないという事実が、そのまま見えている状態です。会議のあとにメモの書き手が補えるものは補い、補えないものは次の連絡の議題にします。
返ってきた表を点検する
Claudeの整理は文章としては整って見えるため、読み返しを省きやすくなります。点検は、次の順に行います。
- 【決定事項】の各行について、根拠の行番号のメモを開き、合意の発言があるか見る
- 【宿題】の担当を、メモの発言者と照らす。担当が違う職種にすり替わっていないか
- メモの中から「お願いします」「確認します」を探し、【宿題】か【未決・確認待ち】に入っているか数える
- 行番号のない行、または存在しない行番号の行があれば、その行を削る
3番が抜けを拾う作業です。依頼の言葉は、発言の流れの中に紛れて、要約で最も落ちやすい箇所だからです。
Projectsに指示を固定する
毎回この指示文を貼るのは面倒です。ClaudeのProjectsには、プロジェクト内のすべてのチャットで使う「プロジェクトの指示」を置けます。指示文はここに保存し、メモはチャットごとに添付します。
固定するときに押さえる点が二つあります。
- プロジェクトのチャットをまたいだ文脈の共有は起きません。前回のカンファレンスの内容をプロジェクトの知識に入れない限り、次のチャットはまっさらから始まります。患者ごとの記録を混ぜないために、この性質は都合がよく働きます
- プロジェクトを見られるのは、自分と自分が招待したメンバーだけです。Team・Enterpriseプランでは組織内への共有もできるため、共有範囲を広げる前に、指示文と知識に患者の手がかりが入っていないかを見直します
プロジェクトの知識として入れてよいのは、振り分けの規則と院内の様式の欄名までです。過去のカンファレンスの記録そのものは入れません。
つまずきやすい点
- 意見が決定事項に混ざる。「在宅は難しいかもしれない」という見立てが、【決定事項】に「在宅は難しい」と入ることがあります。指示文の「合意の発言がない限り入れない」を省かないでください
- 同じ宿題が複数の職種に割れる。「家族への説明は看護師と薬剤師で」のような発言は、担当が2職種になります。1行にまとめず、職種ごとに行を分けるよう指示文に足します
- 【発言の記録】が長くなる。ここが長いと、箱に入れる判断を避けた結果かもしれません。【発言の記録】の行を読み、宿題や未決に移せるものがないかを見ます
- 行番号がずれる。メモを貼り替えたあとに、前のチャットの表を使うと、行番号が別の発言を指します。表とメモは同じチャットの中で対にしておきます
会議のあとに宿題を追う
宿題の表は、会議が終わってからが本番です。次の連絡のときに、完了した宿題と残っている宿題を分けたい場面が出てきます。
このときは、前回の【宿題】の表だけを新しいチャットに貼り、続報のメモと一緒に渡します。指示は短くて足ります。
下の表は前回のカンファレンスの【宿題】です。
続報のメモを読み、各行を「完了」「未完了」「メモに記載なし」に分けてください。
完了と判断した行には、根拠のメモの行番号を付けてください。「メモに記載なし」を残すのが、この指示のねらいです。続報に出てこない宿題は、完了したのではなく、話題に上っていないだけかもしれません。完了にしてよいかは、担当の職種が確認します。
使えない場面
次の場面では、Claudeに渡さないほうが安全です。
- 発言者が誰か分からない録音の書き起こし。担当の振り分けが成り立ちません
- 虐待の疑いなど、情報の扱いに別の取り決めがある事例
- 院内で入力が認められていない種類の情報を含むメモ
医療機関でClaudeを使うときの契約面の整理は、医療情報システム安全管理ガイドラインと生成AIの入力に書かれています。
ほかの記事との使い分け
在宅側のサービス担当者会議の議事録は、サービス担当者会議の議事録をClaudeでケアマネ向けに整える手順の領分です。院内のカンファレンスは様式が病院ごとに違うため、第4表のような決まった欄がありません。そのぶん、欄を自分で決める作業がこの記事の中心になります。
まとめ
退院前カンファレンスの記録は、発言を決定事項・宿題・未決に振り分けてから読ませると、会議のあとに動く人が決まります。宿題の3点が揃わないときは、補わずに「記載なし」と返させること。表の各行に行番号を付けさせて、点検できる状態にすること。この二つが、Claudeに任せるときの守りになります。