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Claude Team/Enterpriseの送信データの削除とバックエンド保持の境界

Claude Team/Enterpriseの送信データの削除とバックエンド保持の境界

Team/Enterpriseでチャットを削除すると、履歴からは即時に、バックエンドからは30日以内に消えます。例外で残るデータと、保持設定・ZDRが効く範囲を切り分けます。

Team/Enterpriseでチャットを削除すると、履歴からはすぐに消え、Anthropicのバックエンドからも30日以内に削除されます。ただし例外があります。使用ポリシー違反として自動検知されたチャットは最大2年、法令上の要請があるデータも残りえます。「削除した」と報告する前に、どの層の話なのかを切り分けておく必要があります。

削除したチャットは、いつバックエンドから消えるのか

公式ヘルプの「Team/Enterpriseで送ったデータは削除できるか」というページは、チャットを削除すると表示履歴から消える、バックエンドには別途保持している、と書くだけです。保持の中身は、リンク先の商用データ保持ページ(How long do you store my organization's data?)にあります。そちらには期間が書かれています。

あゆみ

Team/Enterpriseでチャットを削除したあとの流れ

  1. 削除の直後チャット履歴から消える

    自分の履歴から即時に見えなくなります。個別の削除のほか、サイドバーの「Recents」から「View all」を開いて複数にチェックを入れ、「Delete Selected」で一括削除もできます。画面によっては「Chats and tasks」の「Select」から「Delete」と表示される場合があります。

  2. 30日以内バックエンドの保存領域から削除される

    削除された会話は、バックエンドのシステムから30日以内に削除されると書かれています。

  3. 例外フラグが立ったデータは長く残る

    フラグが立ったチャットや法令上必要なデータは、30日を過ぎても残りえます。内訳は次の節にあります。

シークレットモード(Incognito)のチャットは、削除しなくても30日以内に自動削除されます。ただし、こちらもポリシー違反としてフラグが立った場合は例外です。

例外として長く残るデータ

削除した時点では見えなくても、次の4種類は「30日以内に消える」の外側にあります。どれが自組織に関係するかは、使い方で変わります。

例外

30日で消えない可能性があるデータ

  • フラグの立ったチャット

    自動の安全性システムが使用ポリシー違反と判定したもの。入出力は最大2年、分類スコアは最大7年です。

  • フィードバック投稿

    自分から送ったフィードバックに紐づくデータは5年保持されます。

  • セッション記録(Compliance API)

    CoworkやClaude Codeのローカルセッション記録は、既定で6年保持されます。組織が有限のカスタム保持期間を設定している場合は、その期間に従います。クラウド上のCoworkのセッション記録も6年で、ユーザーが先に削除すればそこで消えます。

  • 監査ログ(Activity Feed)

    操作の記録で、会話の中身ではありません。Compliance APIで取得できるActivity Feedは6年保持されます。

契約で認められている場合、組織のデータは研究や統計のために匿名化され、より長く保持されることがあります。

Covered Modelsの30日保持は、これらの例外とは性質が違います。ZDR(ゼロデータ保持)のWorkspaceで使うとき、ZDRのままでは使えないという規定です。30日を超えて残る話ではなく、Team/Enterpriseのチャット画面は元々標準の保持なので、削除の挙動は変わりません。詳しくはZDRの節で扱います。

管理者が保持期間そのものを変えたいとき

削除を各メンバーの操作に任せると、消し忘れたデータは残ります。Enterpriseでは、カスタム保持設定を入れない限り、データは無期限に保持されます。ユーザーが削除しない限り残る、というのが既定の状態です。

Enterprise組織のOwnerまたはPrimary Ownerは、Organization settingsのData and privacyで、チャットとプロジェクトの保持期間を設定できます。最短は30日で、1か月は30日として数えます。公式が挙げる特徴は次のとおりです。

  • 起算点は最後の活動です。チャットは最後のメッセージ、プロジェクトは最後の更新(チャットの作成やナレッジの変更を含む)から数えます
  • プロジェクト内のチャットは、プロジェクトの保持期間に従います。プロジェクトの期間を未設定なら既定は無期限なので、チャット側の期間を短くしても、プロジェクト内のチャットは消えません
  • 削除は、期限日の午前0時(UTC)に走ります
  • 期間を短くして保存すると、新しい期間の外側にあるデータは保存の時点で完全削除の予定になります。日次のバックグラウンド処理で消えますが、データが多いと数日かかります。この遅れを、設定の取り消しに使えるとは考えないでください
  • Claude Design、Claude Tag、Claude Managed Agents、Claude Code on the webを土台にする機能は、この設定の対象外です

Claude Designだけは、アップロードした資産の保持がClaude Designのデータ保持とセキュリティで別に扱われています。設定手順の詳細はClaude Enterpriseのデータ保持期間を管理者がカスタム設定する手順にあります。保持設定を含むEnterprise全体の管理機能はClaude Enterpriseガイドにまとめました。

保持設定の変更や、期限切れによるデータ削除の記録は、監査ログに残ります。期限を過ぎたデータは完全に削除され、復元できません。カスタム保持で消えたデータがバックエンドの保存領域からいつ消えるのかは、公式ヘルプに記載がありません。フラグが立ったチャットは、この設定ではなく上の保持期間に従います。

「即時に消してほしい」ときに効く仕組みはどれか

使える手段は、Claudeへのデータの送り方で変わります。

送り方個別の削除保持を短くする手段
Team/Enterpriseのチャット画面個別の削除履歴から即時。バックエンドは30日以内保持を短くする手段Enterpriseのカスタム保持設定(最短30日)
Claude API個別の削除有料のAPI顧客には、その場での個別削除の仕組みがない保持を短くする手段標準で30日以内に自動削除(Files APIなど、利用者の管理下で長く保持するサービスは例外)。ZDRを申請すれば、レスポンス返却後は保存しない
Claude Code(商用)個別の削除保持の標準は30日保持を短くする手段ZDR(APIキーで使う場合と、EnterpriseでZDRを有効化した場合)

Claude Codeの保持に関するデータ利用のページは、商用ユーザー(Team・Enterprise・API)の標準保持期間を30日と書いています。Claude Codeのローカル側のキャッシュは別で、セッションのトランスクリプトを既定で30日間、端末に平文で保存します。期間は cleanupPeriodDays で調整できます。

ZDRの申請は営業チーム経由で、組織ごとに有効化されます。同じ契約の別組織には自動で広がりません。

Claude Fable 5.1、Claude Mythos 5.1、Claude Fable 5、Claude Mythos 5は、30日の保持が必要なCovered Modelsです。明示的に許可されない限り、ZDRの下では使えません。ZDRの組織がClaude APIでClaude Fable 5を使うと、保持設定が要件を満たさないとして 400 invalid_request_error が返ります。エラーメッセージは、組織かWorkspaceでデータ保持を有効にする必要がある、という内容です。

HIPAA readinessは、削除の仕組みではありません。暗号化・アクセス制御・監査ログでPHI(保護対象の医療情報)を守る枠組みです。PHIを扱う組織はHIPAA readinessを使えばよく、ZDRを別に申請する必要はないとされています。

監査ログは会話の中身を含まない

「削除できるか」の隣には、「操作の記録は残るのか」という問いが並びます。この2つは別のデータです。Enterprise組織のOwner・Primary Ownerは、Organization settingsのExport logsで、直近180日分の監査ログを取得できます。チャットやプロジェクトのタイトルと本文は監査ログに含まれず、一意な識別子だけが出ます。

顧客管理暗号鍵(CMEK)を有効化した組織は、Export logsのボタンを使えません。その場合はCompliance APIから監査イベントを取ります。Compliance APIは、上のカードのとおりCoworkやClaude Codeのセッション記録も返すため、会話の中身を含まないと言えるのはExport logsの監査ログです。会話の本文を取る経路は、Primary Ownerによる組織データエクスポートです。手順と、削除後に始めたエクスポートに含まれないデータの扱いはClaude組織データエクスポートの手順にあります。

削除の窓口はなぜ組織側にあるのか

Team/Enterpriseの利用は、Anthropicと組織の間の合意で規律されます。公式ヘルプによれば、Anthropicの消費者向け利用規約とプライバシーポリシーは、Workプランでデータ処理者として振る舞う場面には適用されません。Anthropicは、データコントローラーとして振る舞う場面もあると併記しています。

この構造は、削除の実務に次の形で出ます。

  • 自分のチャットの削除は、メンバー本人ができます。この操作は個人向けプランと同じです
  • Anthropicに会話のデータを求めるデータエクスポートは、Primary Ownerが依頼します。メンバーのアクセスを外せるのもPrimary Ownerです
  • データプライバシーの質問は、公式ヘルプが自組織のアカウントオーナーに相談するよう案内しています
  • どのClaudeの機能を使えるかは組織が決めます。組織は使える機能を制限できます

契約上の権限やデータの帰属はClaude組織のデータ所有権は誰にあるかで、退職時の扱いも含めて説明しています。個人プランでのアカウント削除はClaudeアカウント削除の手順、チャットの保存はチャット保存・エクスポートの手順が窓口です。個人プランでは、削除もエクスポートも本人の判断で完結します。Team/Enterpriseでは、エクスポートと退職時のアクセス制御が組織側に集まります。

監査や契約で「削除した」と書く前の切り分け

報告書や契約の文面で「削除」を使うときは、次の順で確認できます。

切り分け

「削除した」と書く前の確認

  1. 1

    どの経路のデータかを確定する

    製品のチャット画面か、API直接利用か、Claude Codeか。経路で、上の表のどの行に当たるかが決まります。

  2. 2

    消したい範囲を決める

    自分の履歴だけなのか、バックエンドからの削除まで含むのか。前者は削除操作の直後、後者は30日以内と書けます。

  3. 3

    例外に当たらないか確かめる

    フラグ・法令・フィードバック・セッション記録に当たる場合は、30日を超えて残りうると明記します。ZDRを前提にしている組織では、Covered Modelsの利用で30日保持になる点も添えます。

  4. 4

    組織の保持設定が要件を満たすか見る

    Enterpriseなら、カスタム保持設定が未設定の間は無期限です。期間を決めてから、監査ログで設定の変更履歴を残します。

まとめ

Team/Enterpriseの「削除」は、履歴からは即時、バックエンドからは30日以内という2段階です。契約や監査で「即時にどこにも残らない」ことを求められるなら、ZDRはチャット画面には効かないため、まず自組織のデータがどの経路を通るかを確定するのが先になります。

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