Google Drive MCPサーバーの使い方 — Claude内蔵Connectorとの違い
GoogleがDeveloper Previewとして公開するGoogle Drive MCPサーバーの設定手順と、Claude内蔵のGoogle Driveコネクタとの違いをまとめます。
Claude Google Drive連携には、実は2つの経路があります。1つはclaude.aiの「Connectors」からワンクリックで有効化するビルトインのGoogle Driveコネクタ。もう1つは、Google自身がDeveloper Previewとして公開しているGoogle Drive MCPサーバーで、https://drivemcp.googleapis.com/mcp/v1というエンドポイントにGoogle CloudのOAuthクライアントで接続します。
後者はOAuthクライアントを自分で作る手間がかかる代わりに、要求するスコープを自分で決められます。この記事は、そちらの設定手順と、つながった後に起きやすい「見えるはずのファイルが見えない」問題を扱います。
どちらの経路を選ぶか
Drive連携の2つの経路
ビルトインConnector
claude.aiの「Connectors」から有効化するだけで、Google Cloudの設定は要りません。認証の中身を意識せずに使い始めたい人向けの経路です。
Google Drive MCPサーバー
Google Cloudでプロジェクトを用意し、OAuthクライアントを自作します。Claude以外のMCPクライアント(Antigravityなど)にも同じDriveアクセスを使い回せる点が違いです。
Google Drive MCPサーバーはDeveloper Previewで、利用にはGoogle Workspace Developer Preview Programへの参加が前提です。対応クライアントとしてGoogleが挙げているのはAntigravityとClaudeで、Googleの手順はClaudeについてEnterprise・Pro・Max・Teamのいずれかのプランを条件に挙げています。Claude側のヘルプでは、カスタムコネクタ自体はFreeプランでも1つまで追加できるとされています。
Google側にはGmail・Docs・Sheets・Slides・Calendar・Chat・Peopleにもそれぞれ専用のMCPサーバーがあり、Driveはそのうちの1つです。どれも認証はOAuth 2.0で、ユーザー本人が持つ権限とデータガバナンスをそのまま引き継ぎます。
接続の前にGoogle Cloud側で済ませておくこと
つながらない原因の多くはClaude側でなく、Google Cloud側の下準備にあります。手順の最初は、次の2つのAPIをプロジェクトで有効にすることです。
gcloud services enable drive.googleapis.com --project=PROJECT_ID
gcloud services enable drivemcp.googleapis.com --project=PROJECT_IDdrive.googleapis.comはDrive API本体、drivemcp.googleapis.comがMCP用のサービスです。前者だけ有効にして後者を忘れると、MCPサーバーのURLへ接続できる状態になりません。PROJECT_IDはGoogle CloudのプロジェクトIDに置き換えます。
続いてOAuth同意画面(Google Auth Platformの「Branding」「Audience」「Data Access」)を設定します。設定のポイントは次のとおりです。
- アプリ名の例は
Drive MCP Server。ユーザーサポート用のメールアドレスも必要 - Audienceは「Internal」を選び、選べないときだけ「External」にする
- 「External」にした場合は、自分と利用者をテストユーザーとして登録する
- Data Accessの「Manually add scopes」に
drive.readonlyとdrive.fileのURLを貼り、「Add to Table」→「Update」→「Save」の順に確定する
Claudeに接続するまでの手順
OAuthクライアントの作成からClaudeへの追加まで
- 1
OAuthクライアントIDを作る
Google Auth Platformの「Clients」→「Create Client」でアプリケーションの種類に「Web application」を選びます。承認済みリダイレクトURIに
https://claude.ai/api/mcp/auth_callbackを追加して作成し、クライアントIDとシークレットを控えます。 - 2
カスタムコネクタを追加する
claude.aiまたはClaude Desktopの「Customize」→「Connectors」で「+」→「Add custom connector」を選び、Remote MCP server URLに
https://drivemcp.googleapis.com/mcp/v1を入力します。Googleの手順では、Server nameはGoogle Driveとします。Team・Enterpriseでは、オーナーが「Organization settings」→「Connectors」→「Add」→「Custom」→「Web」で組織に追加し、メンバーは「Customize」→「Connectors」の一覧から「Connect」で認証します。 - 3
認証情報を入れて追加する
「Advanced settings」にOAuthクライアントIDとシークレットを入力し、「Add」で登録します。そのあと「Connect」からGoogleアカウントでサインインし、権限を許可すれば接続完了です。
リダイレクトURIは接続するクライアントで変わります。Antigravityから使う場合、指定されているURIはhttps://antigravity.google/oauth-callbackです。Claudeと併用するなら、両方を承認済みリストに入れておきます。
Antigravityでは~/.gemini/config/mcp_config.jsonのmcpServersにサーバーURLとOAuthの設定を書く方式で、Claudeとは接続の作法が違います。ClaudeやAntigravity以外のクライアントでは、サーバー名drive、URLは同じ、トランスポートはStreamable HTTP、認証はOAuth 2.0という4点を入力します。
claude.aiで追加したコネクタは、Claude Codeにclaude.aiアカウントでログインしていれば自動で使えます。APIキー認証やBedrockなどの経由では読み込まれません。/mcpで一覧に出るか確認できます。
8つのツールと、それぞれに必要なスコープ
公式のツール一覧はsearch_files・list_recent_files・get_file_metadata・get_file_permissions・read_file_content・download_file_content・create_file・copy_fileの8つです。検索と閲覧が6つ、作成とコピーが2つで、既存ファイルの整理系の操作は一覧に含まれていません。ビルトインConnectorで共有や移動ができるかどうかは、Google Driveコネクタの記事で確認できます。
ツールごとの要求スコープは、リファレンスに次のように書かれています。
| ツール | 受け付けるスコープ(リファレンスから抜粋) |
|---|---|
create_file / copy_file | 受け付けるスコープ(リファレンスから抜粋)drive・drive.appdata・drive.fileのいずれか |
read_file_content | 受け付けるスコープ(リファレンスから抜粋)上記に加えdrive.readonly・drive.metadata・drive.metadata.readonlyなど |
create_fileとcopy_fileは、読み取り専用のdrive.readonlyでは通りません。作成系を使うならdrive.file(またはdrive)が要ります。一方read_file_contentはdrive.fileでも通る一覧に入っているので、drive.fileだけを付与した場合、読めるのはそのスコープの対象になるファイルに限られます。
drive.fileの意味は、アプリが作成した、またはユーザーが開いたファイルに限る、というものです。既存ファイルを幅広く検索して読ませたいならdrive.readonlyも必要になり、Googleが2つとも登録させる理由は書かれていませんが、この使い分けが背景にあると読めます。
read_file_contentにはコメントを含める指定(includeComments)があり、返り値のtextFormattingNotSupportedがtrueのファイルでは本文(fileContent)が空で返ります。テキスト書式を扱えない形式のファイルで、中身が空に見えるときはこのフラグを疑えます。
動作確認 — 検索から読み取りまで
公式が示す動作確認のプロンプトは、Summarize the file Marketing Plan.(「Marketing Planというファイルを要約して」)です。クライアントがsearch_filesでファイルを探し、read_file_contentで中身を取得して要約する、という流れが想定されています。日本語なら次のように頼めます。
「企画書」という名前のファイルをDriveから探して、要点を3行でまとめて新規作成はcreate_fileが呼ばれる操作です。
このミーティングの議事録を新しいドキュメントとして作って、Driveに置いて既存ファイルを複製してから編集を始めたい場合はcopy_fileを使います。コピーで新しく作られたファイルは、このアプリ自身が作ったファイルの扱いになると考えられますが、ドキュメントに明記が見当たりません。書き込み前に、スコープの範囲内で動くかを小さなファイルで試すのが確実です。
見えるはずのファイルが検索に出ない — 対象外になる条件
Driveの画面では見える、編集もできるのに、Claudeからは見つからない。このズレは不具合ではなく、「ファイルの適格性」ルールで起きます。
MCPサーバーが扱えなくなるファイル
情報権限管理(IRM)で制限されたもの
ダウンロード・コピー・印刷が禁止されているファイルは、管理者が設定したDLPポリシー由来の制限も含めてAIエージェントから扱えません。DLPポリシーのうち、IRMの制御を伴うものだけが適格性に影響します。
コンテキストアウェアアクセス(CAA)で弾かれるもの
ファイルの
canDownloadケイパビリティで評価されます。クライアントの状況がCAAの条件を満たさないと対象外になり、オフラインやバックグラウンド動作で状況データが無い場合も同じ扱いです。クライアント側暗号化(CSE)されたもの
CSEで暗号化された内容はAIエージェントが解析できず、対象外です。
スパム・マルウェア・ゴミ箱の中
スパムやマルウェアと判定されたファイル、ゴミ箱に入っているファイルは対象外です。
このほか、ユーザー本人に少なくとも閲覧者権限が必要で、組織のAdminコンソールでDriveサービスが有効になっていることも条件です。フォルダやショートカットのメタデータは対象ですが、フォルダ内のファイルやショートカットの参照先は、それぞれ別に条件を満たす必要があります。
症状は操作の種類で変わります。ファイルを指定した操作(読み取り・ダウンロード・権限取得など)は、次のような趣旨のエラーで失敗します。
Item metadata cannot be retrieved for item <item id> because it is ineligible to be used in generative AI contexts.一方、検索や最近のファイル一覧は、対象外のものを結果から黙って除外します。エラーが出ないため、「そのファイルは存在しない」と誤解しやすいのがこちらです。切り分けは次の順で考えられます。
- スコープが足りなければ、ツール呼び出しが認可エラーで失敗する(必要なスコープはツールごとに違う)
- ID指定の操作で上のエラーが出るなら、適格性ルールで対象外になっている
- 検索でだけ出ないなら、対象外として除外されているか、そもそも権限が無い
ただし最後の2つは画面上で区別できないため、Driveの画面でそのファイルのIRM制限やCSEの有無を管理者に確認するのが早道です。
つまずいたときの確認先
- リダイレクトURIの不一致でサインインに失敗する: Claude用の
https://claude.ai/api/mcp/auth_callbackが、OAuthクライアントの承認済みURIに入っているか見る - MCPサーバーに接続できない:
drivemcp.googleapis.comが有効になっているかを確認する。接続の問題では管理者にOAuthログのイベントを調べてもらうよう案内している - 自分以外がサインインできない: 同意画面のAudienceを「External」にしていて、テストユーザーに登録していないのが典型的な原因になる
- 既存ファイルが読めない:
drive.fileだけの付与では、アプリが作成・オープンしたファイルにしか及ばない。drive.readonlyも追加する - ビルトインConnectorと混同する: claude.aiの「Connectors」一覧に元々あるGoogle Driveと、追加したカスタムコネクタは別物で、両方有効にすると同じDriveへ2つの経路が生まれる
- 仕様が変わる: Developer Previewのため、ツール名やスコープが変わる可能性がある。公式ページは適格性の解説が2026年9月3日、設定手順が9月18日に更新されている
まとめ
Google Drive MCPサーバーで最初につまずくのは、Claudeの操作でなくGoogle Cloud側の下準備(Preview Program参加、2つのAPI有効化、同意画面)です。つながった後の「検索に出ない」は、権限でなく適格性ルールを疑うと切り分けが進みます。手軽さならビルトインConnector、スコープの自己管理や他クライアントとの共用ならこちら、という選び分けです。