Claude営業連携ガイド — Salesforce・HubSpot・monday.com
Salesforce・HubSpot・kintone・monday.comをClaudeにつなぐ方法をまとめて比較。接続経路とプラン条件の違い、権限を絞る単位を扱います。
営業部門でClaudeにつなげるSaaSは、接続経路がツールごとにばらばらです。SalesforceはOrganization settingsのConnectorsにあるSalesforce (Beta)で、OwnerがOAuthクライアント情報を登録します。HubSpotとmonday.comはディレクトリから有効化するConnector、kintoneは手元やサーバーで動かすローカルMCPサーバーです。kintoneはリモートMCPではないため、claude.aiのカスタムコネクタでは使えません。目的は同じ「営業のSaaSをつなぐ」でも、必要な手順と契約条件が違います。
Coworkで提案書や見積もりの下書きをどこまで任せるかはCowork営業で提案書と見積もりの下書きをどこまで任せるかが扱っています。本稿はSaaS側の接続条件の比較が中心です。
4つのSaaSは何がどう違うか
| ツール | 接続経路 | 書き込み | 契約・プラン面の条件 |
|---|---|---|---|
| Salesforce | 接続経路ConnectorsのSalesforce (Beta)(リモートMCP) | 書き込みSObject Reads〜Allで選ぶ | 契約・プラン面の条件Claude側は有料プラン向けで、Salesforceが承認した組織だけのベータ(Sales Cloud enterprise edition)。Hosted MCP ServersはFlex Creditsが前提 |
| HubSpot | 接続経路ディレクトリ(リモートMCP) | 書き込み連絡先・商談などの更新まで可 | 契約・プラン面の条件コネクタのページにプラン条件の記載なし |
| kintone | 接続経路ローカルMCPサーバー | 書き込みアプリの権限次第 | 契約・プラン面の条件リモートMCPではないため、claude.aiのカスタムコネクタでは使えない |
| monday.com | 接続経路ディレクトリ(リモートMCP) | 書き込みアイテム作成・更新・コメント投稿まで可 | 契約・プラン面の条件monday.comのブログはPro以上と記載、Claudeのヘルプはウェブコネクタを全ユーザー向けとしており食い違い |
ツール数もそろっていません。HubSpotのコネクタページには36個、monday.comには33個、kintoneのREADMEには26個のツールが載っています。HubSpotのツールにはキャンペーンやセグメントの管理、monday.comのツールにはワークフローやダッシュボードの作成が含まれ、どちらも閲覧だけにとどまりません。
Connectorsの3分類(プリビルド統合・ディレクトリ・カスタムMCP)はClaude Connectorsとはにまとめています。この4つは、組織設定のSalesforce (Beta)・ディレクトリ型・ローカル型の3経路にまたがる組み合わせです。
クラウドから届くか、手元で動くか
接続経路を分ける最大の線は、MCPサーバーがどこで動くかです。
リモート型とローカル型
リモート型
Anthropicのクラウドから相手のMCPサーバーへつなぎます。接続はClaudeのアカウントに紐づきます。
ローカル型
手元のPCやサーバーでプロセスとして動き、認証情報はその環境の設定に置きます。設定は利用する環境ごとに必要です。カスタムコネクタはAnthropicのクラウドからMCPサーバーへつなぐ仕組みなので、手元で動くこのサーバーは対象になりません。Claude Desktopでは拡張機能として入れます。
Salesforce — SObjectサーバーの粒度で権限を絞る
Salesforceの「Hosted MCP Servers」は、Salesforce側が認証と認可を持つ形でClaudeを含むMCPクライアントをつなぎます。ユーザーごとのOAuth 2.0(PKCE)で動くため、エージェントの操作はそのユーザーが元々持つ権限の範囲に収まり、項目レベルセキュリティと共有ルールが各ツール呼び出しに適用されます。
Salesforceをつなぐ流れ
- 1
組織側でMCPサーバーを有効にする
標準のMCPサーバーは既定で無効です。管理者が必要なサーバーだけ有効にします。
- 2
Claudeをクライアントとして接続する
SalesforceのAdminがAgentExchangeでSalesforce in Claudeプラグインへのアクセスを申請し、承認メールの手順で設定を進めます。そのうえで、Claude側のPrimary OwnerかOwnerがOrganization settings > Connectorsで「Salesforce (Beta)」を選び、OAuthクライアントIDとシークレットを登録します。各ユーザーはOAuthで自分のSalesforceアカウントを認可します。
- 3
接続を試してから運用に入れる
読み取りサーバーだけで動作を確かめてから、書き込み系を足す順にすると安全です。
Claude側のSalesforce in Claudeプラグインは、Salesforce製の37のスキルに、SalesforceとSlackのコネクタを同梱しています。配布の設定はOrganization settings > PluginsのSalesforce Marketplaceで行い、「Installed by default」「Available to install」「Required」から選びます。変更は既定で承認制で、利用できるのはチャットとCoworkです。
権限はSObject系の4種類で分けます。全操作のAll、読み取りと検索だけのReads、作成と更新はできるが削除はできないMutations、削除専用のDeletesです。分析目的ならReadsで足り、商談ステータスの更新まで任せたいときだけMutationsを足せます。標準サーバーはツールの構成を変更できない固定仕様なので、粒度を細かくしたいなら別のサーバーを組み合わせることになります。
SObject以外にも、ApexやFlowsを公開するカスタムツール、Data 360のクエリ、Tableau Nextの分析を呼ぶサーバーがあります。標準オブジェクトのCRUDを超えた業務ロジックまで届く反面、検討に入る前に契約面を見ておく必要があります。Hosted MCP ServersはFlex Creditsのある顧客向けと案内されており、サーバーの利用に課金される場合があります。
HubSpot — CRMデータの読み取りと更新を会話に持ち込む
HubSpotはHubSpot自身が公開するディレクトリ掲載のConnectorで、コネクタURLは https://mcp.hubspot.com/anthropic です。連絡先・会社・商談・チケット・キャンペーンの検索と更新、キャンペーン成果やメール分析の取得、商談ステージの更新までClaudeから頼めます。ツール名にも get_crm_objects(取得)と manage_crm_objects(管理)が並び、読むだけでなく書くコネクタとして作られています。
接続はHubSpotへのサインインで認可します。Team・Enterpriseプランでは、組織のOwnerが先にコネクタを有効にしていないと、メンバーはそのコネクタを使えません。有効化してもアクセス権は自動では渡らず、各ユーザーが自分で認証します。
Claude Codeからはユーザースコープで追加できます。
claude mcp add --transport http hubspot --scope user https://mcp.hubspot.com/anthropickintone — 案件管理アプリをそのまま読み書きする
kintoneはサイボウズが公式に配布するローカルMCPサーバーです。固定のCRM機能ではなく、汎用のノーコードアプリ基盤なので、営業チームが自作した案件管理アプリや見積もり進捗アプリを、そのままClaudeから読み書きできます。ツールは26種類で、レコードの取得・追加・更新・削除、ステータス更新、レコードへのコメント、フィールドやフォームレイアウトの変更、アプリの運用環境への反映、スペースの作成・削除まであります。
導入経路は3つです。Claude Desktopの拡張機能として入れるMCPBファイル、Dockerコンテナイメージ、npmパッケージです。Claude Codeなら .mcp.json に次の形で書きます。
{
"mcpServers": {
"kintone": {
"type": "stdio",
"command": "docker",
"args": ["run", "-i", "--rm",
"-e", "KINTONE_BASE_URL", "-e", "KINTONE_USERNAME", "-e", "KINTONE_PASSWORD",
"ghcr.io/kintone/mcp-server:latest"],
"env": {
"KINTONE_BASE_URL": "https://example.cybozu.com",
"KINTONE_USERNAME": "username",
"KINTONE_PASSWORD": "password"
}
}
}
}Claude DesktopのMCP設定の書き方はClaude Desktop MCP設定ガイドにまとめています。
認証はユーザー名とパスワード、APIトークン(カンマ区切りで最大9個)、クライアント証明書から選べます。パスワードとAPIトークンを同時に指定するとパスワード認証が優先され、コマンドライン引数と環境変数を両方指定した場合は引数が優先です。営業案件のように担当者ごとに見せる範囲が違うなら、パスワード認証だと本人の権限そのもので動き、APIトークンならトークンに付けた権限(閲覧・追加・編集・削除)の範囲で動きます。
実運用で当たる制限も決まっています。レコードの登録・更新ツールは添付ファイルフィールドを指定できず、ゲストスペース内のアプリにはアクセスできません。添付ファイルを保存する kintone-download-file は、保存先ディレクトリを --attachments-dir か KINTONE_ATTACHMENTS_DIR で指定しないとツール実行時にエラーになります。見積書のPDFを案件レコードから取り出す使い方は、この設定が前提です。権限エラーが出たときは、使っているユーザーやAPIトークンが対象アプリへのアクセス権を持つかを見ます。アプリ管理権限やレコード閲覧権限が必要な場合があります。クライアント証明書を使うときは、ドメインが .s.cybozu.com 系になる点にも注意が要ります。サポート面では、このローカルMCPサーバーはkintoneのAPIサポート窓口の対象外で、不具合はGitHubのIssuesに登録する扱いです。
monday.com — ボードの更新とCRMをまとめて頼む
monday.comのConnectorはコネクタURLが https://mcp.monday.com/mcp で、ボードの検索、アイテムと列の作成・更新、担当者の割り当て、アップデートの投稿までを自然文で頼めます。monday.comのCRM(リード・連絡先・商談の管理)にも使え、会議内容からのタスク作成やキャンペーン概要の作成、遅れている作業の洗い出しも想定された用途です。
管理者はAdministration > AI governance > AI permissionsで、外部AIエージェントのアクセスを許可します。monday.comのブログでは、アカウントのオーナーと管理者がmonday marketplaceでコネクタのインストールを承認するとされています。そのうえでClaude側でもOAuthの認可を通す必要があり、片方だけでは動きません。monday.comのコネクタ自体は全顧客が使えます。Claude側のプランは、資料間で食い違っています。monday.comのブログはPro・Max・Team・Enterpriseを条件に挙げ、Claudeのヘルプはウェブコネクタを全ユーザーに提供するとしています。
権限はどの階層で絞るか
営業データをつなぐときは、権限を絞る場所が複数あります。どれか1つに頼ると、想定外の書き込みを許しやすくなります。
権限を絞る3つの階層
Claudeの組織設定
Team・Enterpriseでは、Ownerが接続したサービスの動作を組織全体で制限できます。たとえば読み取りは許可し、書き込みは止められます。HubSpotのように更新までできるコネクタを、まず読み取り専用で全社展開する使い方になります。
SaaS側のユーザー権限
Salesforceはユーザーごとの認可で、項目レベルセキュリティと共有ルールが効きます。monday.comはOAuthで本人の権限を引き継ぎます。kintoneはユーザーの権限かAPIトークンに付けた権限が上限です。
サーバーやツールの選び方
Salesforceは4種類のSObjectサーバーのうち、必要な1つだけを有効にします。kintoneはローカルで起動するため、接続先のアプリとトークンの範囲が実質の境界です。
3階層のうち、Claude側とSaaS側は組織の管理者が握っていて、個人の判断では変えられません。営業チーム全体に展開するときは、導入計画の最初の段階で管理者を巻き込むと手戻りが減ります。接続のたびに事前作業が違います。Salesforceは組織側での有効化と契約確認、monday.comは管理者によるAI permissionsの許可とClaude側の認可、HubSpotはOwnerによる有効化が必要です。
こうしたCRMから読み取った競合情報や商談データを、営業チームで使い回せるバトルカードとして蓄積する手順はClaudeで営業バトルカードライブラリを構築する方法にまとめています。
よくある質問
Freeプランで試せるのはどれですか
カスタムコネクタはFreeを含む全プランで使えますが、Freeは1つまでです。Salesforce in Claudeは有料プラン向けのベータで、Freeでは使えません。monday.comのブログはPro以上を条件に挙げますが、Claudeのヘルプはウェブコネクタを全ユーザー向けとしており、資料間で食い違っています。HubSpotはコネクタのページにプラン条件の記載がないため、画面上で追加できるかを実際に確かめるのが確実です。kintoneはclaude.ai側のプランの話ではなく、手元の環境で動かせるかが条件です。
kintoneは営業のパイプライン管理にも使えますか
使えます。案件の進捗ステータスや金額をフィールドとして持つアプリを作れば、レコードの取得・更新ツールでパイプラインを読み書きでき、ステータス更新のツール(kintone-update-statuses)もあります。SalesforceやHubSpotのようにオブジェクトの型が決まっていないので、自社の商談フローに合わせてアプリを設計してから接続します。
まとめ
最初に確かめるのは契約と入口です。Salesforceは承認制ベータのため申請が先になり、HubSpotとmonday.comはOwnerの有効化、kintoneは手元の環境が前提になります。そのうえで読み取りだけから始める形があります。