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Claude Enterpriseにセキュリティセンターが登場 — IP許可リストも自分で管理

Claude Enterpriseにセキュリティセンターが登場 — IP許可リストも自分で管理

Claude Enterpriseにセキュリティセンター、統括組織の管理コンソール、メンバーのサインアウト操作が加わりました。同日のPersonal Finance(米国のPro・Max・Ultra向けベータ)も扱います。

2026年11月5日のClaudeアプリのリリースノートに、2つの項目が載りました。1つはClaude Enterpriseのセキュリティ・管理機能の追加、もう1つは銀行口座などをつないでお金の質問ができるPersonal Financeです。

影響が大きいのはEnterpriseの側です。組織のClaude設定を推奨構成と並べて見られるセキュリティセンターが新設され、メンバーのサインアウトとIP許可リストの管理も管理者の手元でできるようになりました。Personal Financeは個人向けで、米国限定のベータとして後半で扱います。

要点

発表

11月5日の発表で押さえる4点

  • セキュリティセンターが新設

    Organization settingsの新しいページで、チャット・Cowork・Claude Codeの設定を推奨構成と比べられます。ベータです。

  • Inference hooksは一般提供

    プロンプトとツール呼び出しを、組織のDLPなどのセキュリティツールで検査する仕組みです。プロンプトフックとツール呼び出し前フックの2種類があります。

  • 統括組織の管理コンソール

    admin.claude.comで、複数の組織にまたがるSSOやSCIMなどを1か所で管理します。ベータです。

  • Personal Financeがベータ開始

    銀行・カード・ローン・投資口座をつなぎ、残高や支出をClaudeに質問できます。Pro・Max・Ultraの米国ユーザーが対象です。

セキュリティチームが知りたいのは、Claudeがどう設定され、社内端末で何をし、データがどう扱われるかです。今回のEnterprise向けの追加は、その3点を管理者が自分で確かめ、手を打てる方向に揃っています。

セキュリティセンターを軸にEnterpriseの管理はどう変わるか

セキュリティセンターで設定を一覧する

セキュリティセンターはOrganization settingsに加わった新しいページです。チャット、Cowork、Claude Codeの設定を1ページで見渡せます。

各コントロールには、現在の値、推奨値(ある場合)、変更できる設定画面へのリンクが並びます。新しく加わった設定や、最近変わった設定も分かります。ページを開くたびに構成を確認するため、自動チェックの対象になっている項目は今の設定を映します。Compliance APIを使う組織は、同じ結果をAPIでも読めます。

運用面で目を引くのは次の2つです。

  • Attestations: 管理者が共同で使う作業領域です。各コントロールの現状を記録し、リスクを受け入れ、問題に印を付けるレビューを1か所で進められます
  • レポート出力: ページをレポートとしてダウンロードし、監査人や関係者に渡せます。自動でチェックした項目と、Ownerが確認した項目は区別して記されます

ただし、セキュリティセンターは法令や規格への準拠を証明する認証でも保証でもありません。Anthropicの推奨構成に基づく指針、という位置づけです。レポートを監査に出すときも、この前提は変わりません。

Inference hooksは一般提供に

Inference hooksは、組織がすでに使っているデータセキュリティツールとClaudeをつなぐ仕組みです。DLPなどのポリシーを、人が作業している最中のプロンプトやツール呼び出しに当てられます。

フックは2種類で、どちらも一般提供です。プロンプトフックは、対応するClaude製品から送られるプロンプトを検査します。ツール呼び出し前フックは、対応する製品でツールが実行される前の呼び出しを検査します。

セキュリティベンダーと連携する形で、すでに書いてあるポリシーをそのままClaudeに適用できます。仕組みの全体像はInference hooksとはに、検査だけ走らせて遮断はしない段階導入はShadow modeの設定手順にあります。管理はOrganization settingsから行います。

統括組織の管理コンソール

Claude EnterpriseとClaude Platformの複数の組織を持つ会社には、それらを束ねる統括組織(parent organization)という単位があります。今回、この統括組織に専用の管理コンソール(admin.claude.com)が付きました。

ここで、シングルサインオン、ディレクトリ同期(SCIM)、ドメイン検証、グループ、Compliance APIキーを、配下の組織に対して一度で管理できます。個々の組織の設定画面を回る必要がなくなります。コンソールには配下の全組織が並び、役割が2つ増えます。

  • 統括組織のOwner: 統括レベルのすべてを管理でき、OwnerとAdminの役割を誰に与えるかも決められます
  • 統括組織のAdmin: 上記の役割の割り当て以外をすべて管理できます

複数のIDプロバイダーをつなぐこともできます。それぞれが独自のSSOとSCIM設定を持つので、買収した会社は既存のプロバイダーを使い続けても、ドメイン単位で順に新しいプロバイダーへ移してもかまいません。

一方、メンバー、ロール、IP許可リスト、テナント制限、セッション期間などの組織レベルの統制は、各組織が持ち続けます。統括組織の役割は、既定では組織の内側へのアクセスを与えません。例外はCompliance APIキーで、統括レベルで作ったものは組織をまたいでデータを読めます。

管理者の手元に来た操作

アクセス制御では、次の3つが動き出します。いずれもベータです。

アクセス制御

管理者が自分で行えるようになった3つの操作

  • メンバーのサインアウト

    Admin APIを1回呼ぶだけで、組織から外さずにメンバーをサインアウトさせられます。全ブラウザー・全デバイスのサインインセッションが終わり、Claude Codeなどのアプリは再サインインが必要になります。APIキー、すでに動いているクラウドセッション、スケジュール済みのルーチンは止まりません。メンバーはその後また入れます。

  • IP許可リストの自己管理

    Enterpriseの管理者が、Anthropicを介さずに許可リストを設定・管理できます。許可リストは、組織が認めたIPアドレスからだけ大半のClaude製品にアクセスできるようにする仕組みです。

  • Claude Desktopの統制

    利用頻度の高いDesktop設定を、端末管理の配布なしに設定できます。管理対象のコンピューターでは、個人アカウントなど組織外のClaudeアカウントのサインインを止め、シャドーITを防げます。ワークスペースで使えるフォルダーをOwnerが絞ることもできます。

CoworkのVMにEDRを入れる

最近発表されたEDR(エンドポイント検知・対応)との統合も、この発表の中で案内されています。CoworkとEnterpriseの統合Claudeがローカルで動くとき、コマンドやコードは端末上の分離された仮想マシン(VM)で実行されます。管理者は、そのVMの中で組織のEDRセンサーを動かせます。

センサーの報告は、セキュリティチームがすでに見ているコンソールに届きます。範囲は端末上のVMで、クラウド上のCoworkセッションは対象外です。設定はmacOSとWindowsの端末管理から行い、VMが起動するたびに、Claudeがセンサーパッケージの署名をEDRベンダーのものと照合してから入れます。センサーは検知モードで動き、活動を報告しますが、遮断はしません。

EDRとの相性問題はCoworkとEDRツールの相性で扱っています。

どこまでが一般提供で、どこからがベータか

発表の「Getting started」節にあるステータスを、機能別に並べます。ベータ中の例外はヘルプセンターに載っています。

機能状態対象プラン
Inference hooks(プロンプトフック・ツール呼び出し前フック)状態一般提供対象プランClaude Enterprise
セキュリティセンター状態ベータ対象プランClaude Enterprise
統括組織の管理コンソール状態ベータ対象プランClaude Enterprise
Admin APIでのサインアウト状態ベータ対象プランClaude Enterprise
IP許可リストの自己管理状態ベータ対象プランClaude Enterprise
Claude Desktopの設定をOrganization settingsで管理状態ベータ対象プランClaude Enterprise
CoworkのEDR(macOS・Windows)状態ベータ対象プランTeam・Enterpriseほか(下記)

CoworkのEDRは、Claude TeamとEnterprise、そしてAmazon Bedrock・Google Cloud Vertex AI・Microsoft Foundry上のClaudeデスクトップアプリ(MDM経由、対応ベンダーのみ)が対象です。それ以外の機能は、Claude Enterprise向けです。

設定前に決めておくこと

統括組織の管理コンソールは、設定の開始方法に注意点があります。始める前に、統括組織の管理者を誰にするかを決めておく必要があります。

手順

統括組織の管理者を設定する流れ

  1. 1

    提案する

    いずれかの配下組織の管理者が、admin.claude.comで統括組織の管理者を提案します。

  2. 2

    承認する

    ほかの組織の管理者が内容を確認して承認します。

  3. 3

    最後の承認で完了する

    最後の承認で設定が完了します。この設定は元に戻せません。

もう一つの発表:Personal Finance in Claude

同じ日のリリースノートには、個人向けのPersonal Financeも載りました。銀行、クレジットカード、ローン、投資の口座をClaudeにつなぎ、残高と支出を1ページで見て、自分のお金についてClaudeに質問できるベータです。Pro、Max、Ultraプランで、米国のみで提供されます。

何ができるか

発表の例では、月末に「今月のお金はどこへ行ったか」と尋ねると、つないだ口座の支出が合算されてカテゴリ別に整理されます。そこから「いつもより多いか」「給料日までにいくら残るか」と掘り下げられます。二重に引き落とされた請求、予期しない手数料、1年かけて上がった請求も、複数の口座をまたいで探せます。APRのような用語を説明させたうえで、1年間に払った利息を合計させることもできます。週ごとの支出グラフ、支払い予定のカレンダー、自分で選んだ数字のダッシュボードを作らせて、調整を重ねることもできます。

アクセス範囲とプライバシー

  • アクセスは読み取り専用で、お金を動かしたり、運用したり、投資したりはできません
  • 口座はPlaid(アプリと銀行をつなぐサービス)経由で、本人が銀行にサインインして初めてつながります。Claudeは銀行のパスワードを求められず、見てもいません
  • 選んだ口座に限り、銀行名、口座名・種類・下4桁、残高と与信枠、最大2年分の取引をClaudeが見ます
  • Personal Financeのハブでの会話は、モデルの学習に使われません。ハブの外で共有した内容には、通常のプライバシー設定が適用されます
  • 口座の連携はいつでも解除でき、解除するとClaudeはそのデータを見られなくなります
  • 広告やスポンサー付きの推奨はなく、クレジットカードやローン、預金口座をAnthropic自身が提供することもありません

投資助言を想定した設計ではなく、Claudeの回答に誤りが出ることもあります。数字の根拠になった取引を尋ね、大事な金額は銀行で確かめる前提の機能です。始めるには、サイドバーにPersonal Financeが出たら開き、口座を1つつないで質問を1つします。

データ・端末・設定の3面で統制がそろった

Claude Enterpriseは、この数週間で管理面の発表が続いています。10月23日にはチャットとCoworkが1つになる統合Claudeが一般提供になり、費用の制御や対象外の構成が整理されました。経緯は統合ClaudeのGAにあります。今回は、その統合Claudeを安全に使うための可視化と統制の発表と並べて読めます。

セキュリティセンターの狙いは、設定を1つずつ開いて確かめる作業を、1ページの比較に置き換えることです。Attestationsとレポート出力が付いているので、確認の記録を監査対応に回せます。Inference hooksが「何が送られるか」を、EDRが「端末の中で何が起きるか」を、セキュリティセンターが「設定はどうなっているか」を担います。守る対象が、データ、端末、設定に分かれたと整理できます。

ただし、セキュリティセンターは推奨構成との差を示すもので、実際の運用の安全を保証しません。Attestationsで「リスクを受け入れる」と記録できる点は、差を放置するのではなく、理由を残して受け入れるための仕組みです。この記録の質は、管理者の運用に左右されます。

まとめ

今回の中心は、IP許可リストの管理がAnthropicを介さず管理者の手元に移り、サインアウトもAdmin APIで行えるようになったことです。ベータの機能を使う前に、統括組織の人選とヘルプセンターの例外の確認を先に済ませておくと、元に戻せない設定で迷わずに済みます。Personal Financeは米国のPro・Max・Ultra向けで、日本を含む米国外はこの発表の範囲に入っていません。

IP許可リストやサインアウトの管理画面の細かな項目は、発表では示されていません。実際の画面は、ヘルプセンターとOrganization settingsで確かめられます。監査の記録が必要な組織は、変更の履歴を監査ログの見方で押さえておくと、設定変更の追跡に使えます。

参照した一次ソース

この記事の記述は、次の一次ソースと照合しています。更新時に参照先が変わった場合は一覧も更新します。

  1. support.claude.com/en/articles/12138966-release-notes
  2. claude.com/resources/articles/claude-enterprise-security-updates
  3. claude.com/resources/articles/introducing-personal-finance-in-claude
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