Claudeでビル清掃の年間作業計画を作る — 仕様書の頻度を月別に割り付ける
清掃仕様書のPDFをClaudeのProjectsに置き、作業項目と頻度を台帳に起こして、月別の定期清掃カレンダーにする手順です。「年2回」を何月に置くかの決め方と、回数の検算まで扱います。
ビル清掃の仕様書には、作業項目と頻度が並んでいます。「床ワックス剥離洗浄 年2回」「窓ガラス外面 年4回」「トイレ床洗浄 月1回」といった具合です。頻度は書いてあっても、何月にやるかは書いてありません。
その月を決めて1枚の年間カレンダーにする作業が、現場責任者の毎年の手間になります。仕様書のPDFをClaudeのProjectsに置けば、項目の抜き出しと月への割り付けは下書きまで任せられます。
任せどころは2つです。仕様書から作業項目を漏れなく台帳に起こすことと、頻度を月に振る規則を言葉にして渡すことです。この記事では、この2つを軸に、台帳から月別表、回数の検算までを順に組みます。
年間作業計画で詰まるのは「何月に置くか」
仕様書の頻度は、月が決まっていない回数で書かれています。年2回なら、4月と10月でも、6月と12月でも仕様上は同じです。月を決める材料は、仕様書の外にあります。
- 建物の使い方: 休館日、繁忙期、テナントの入替時期
- 作業の都合: 窓の外面は雨天順延があり、床の剥離洗浄は乾燥のために夜間や休館日が要る
- 作業の干渉: 同じ日に床のワックスとカーペット洗浄を重ねない
- 人の平準化: 特定の月だけ作業員の人日が膨らまない
この4種類を最初に書き出して、Claudeに規則として渡します。規則がないまま「年間計画にして」と頼むと、頻度だけを機械的に等間隔で割った表が返り、休館日や雨天の事情が抜け落ちます。
Projectsに置くもの — 仕様書、建物の条件、出力の約束
Projectsは、独自のチャット履歴とナレッジベースを持つ作業スペースです。文書をアップロードして文脈を与えられ、プロジェクトごとに指示(instructions)も設定できます。仕様書と建物の条件は毎年同じ顔ぶれで使い回すので、チャットに毎回貼るより、Projectに置くほうが向いています。
Projectに置くものと順番
- 1
仕様書のPDFをProject knowledgeに追加
作業項目と頻度が載っている本文と別紙を入れます。別紙が図面や画像の表のときは、次の節の制限を先に確かめます。
- 2
建物の条件を1枚のテキストにして追加
休館日、繁忙期、テナントの営業時間、夜間作業の可否、前年の実施月を書きます。仕様書にない情報は、ここに集めます。
- 3
割り付けの規則をProject instructionsに書く
次の節の文面をそのまま使えます。毎回のチャットで繰り返さずに済みます。
- 4
チャットで台帳づくりから始める
いきなりカレンダーを頼まず、先に項目台帳を出させて人が見ます。
Projectは無料アカウントでも使え、無料の上限は5つまでです。有料プランでは、ナレッジベースの量が上限に近づくと、RAGモードが自動で有効になり、容量が最大で10倍まで広がります。RAGの仕組みはClaudeのProjectsでRAG検索が効く条件にまとめています。仕様書が長い場合は、検索で拾った断片から台帳を作ることになるため、次の節の確認が要ります。
仕様書が長いときの注意 — 別紙の表が読まれないことがある
仕様書の本体は数十ページでも、別紙に面積表や作業一覧が付くと、100ページを超えることがあります。ここで、ファイルの種類と枚数の制限が効いてきます。
| 場面 | 上限・扱い |
|---|---|
| チャットに直接アップロード | 上限・扱い1ファイル500MB、1チャット20ファイルまで |
| PDFのページ数 | 上限・扱い1000ページまで。それ以上はアップロード不可 |
| 画像や図表の解析 | 上限・扱い100ページ以下のPDFは、文字と図表の両方を解析する |
| 101〜1000ページ | 上限・扱い文字だけを処理し、図や画像は解析しない |
| Projectのファイル | 上限・扱い1ファイル30MB。内容の合計がコンテキストウィンドウに収まる必要がある |
Projectのファイルは、テキストの抽出が基本です(マルチモーダルに処理されるPDFは例外とされています)。表がスキャン画像のまま貼られている別紙は、文字として読み取れていない可能性があります。
台帳を作る前に、Claudeへ「別紙1の表の最初の3行と最後の3行を、そのまま書き出して」と頼んでください。原本と見比べて一致すれば、その別紙は読めています。一致しない、または空なら、表を手で打ち直すか、Excelなどのテキストで持てる形にしてから入れます。
PDFのページを指して質問するときは、紙面に印字されたページ番号でなく、PDFビューアーが示すページ番号を使います。台帳に出典ページを残させるときも、この数え方に揃えます。
手順1: 仕様書から項目台帳を作る
最初に、仕様書の作業項目を表に起こさせます。カレンダーより先にこの表を人が見ることが、全体の精度を決めます。台帳の列は、次の6つです。
| 列 | 内容 |
|---|---|
| 作業 | 内容床ワックス剥離洗浄、窓ガラス外面など |
| 対象 | 内容共用廊下、事務室、外壁など |
| 頻度 | 内容仕様書の原文のまま(「年2回」「適宜」) |
| 年間回数 | 内容数に直した値。直せないときは空欄 |
| 制約 | 内容夜間のみ、雨天順延、休館日など |
| 出典 | 内容PDFのページ番号 |
頻度は原文をそのまま写させ、数への変換は別の列で行います。「適宜」「必要に応じて」「年2回程度」のような曖昧な語は、年間回数を空欄にして人に返させます。ここでClaudeに回数を決めさせると、仕様の読み替えが混ざります。
次の文面は、Project instructionsに入れる例です。
あなたはビル清掃の作業計画の補助者です。
Project knowledgeの清掃仕様書を根拠に、次の規則で回答します。
1. 作業項目は仕様書の記載に限る。仕様書にない作業を足さない。
2. 頻度は原文のまま写し、年間回数は別の列に数で書く。
「適宜」「必要に応じて」など数にできない頻度は、
年間回数を空欄にして「要確認」と書く。
3. 各行に、根拠のPDFページ番号を付ける。見つからない項目は
「仕様書に記載なし」と書く。
4. 建物条件のファイルにある休館日・繁忙期・夜間作業の可否を、
割り付けの制約として使う。
5. 表で出力し、表の後に、判断に迷った点を箇条書きで添える。台帳が出たら、仕様書の目次と見比べます。確認する点は3つです。仕様書の作業項目の数と台帳の行数が合っているか、頻度の原文が写し違えられていないか、「要確認」の行が実際に曖昧な表現か。ここを通れば、後続の月別表は台帳を土台に作れます。
手順2: 割り付けの規則を渡して月別表にする
台帳が固まったら、月への割り付けを頼みます。ここで効くのは、最初の節で挙げた4種類の事情を、規則の文として書くことです。
台帳の「年間回数」が入っている行を、4月始まりの12か月に割り付けてください。
規則:
- 同じ作業の実施月は、できるだけ等間隔にする(年2回なら6か月あける)
- 外壁・窓の外面は、梅雨と台風の時期を避ける
- 床の剥離洗浄とカーペット洗浄は、同じ月に置かない
- 繁忙期(建物条件のファイルを参照)に、夜間作業を増やさない
- 前年の実施月から大きくずらさない
出力は、次の2つです。
1. 作業ごとの配置月と、その月にした理由を1行で書いた表
2. 月ごとの作業の件数を数えた表2つ目の出力を求める理由は、後で述べる検算のためです。次のような形で返ってきます(以下は説明用に作った架空の仕様書での例で、形を示すためのものです)。
| 作業 | 年間回数 | 配置月 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 床剥離洗浄(共用廊下) | 年間回数2 | 配置月5月・11月 | 理由6か月あけ、梅雨と年末の繁忙期を避けた |
| カーペット洗浄(事務室) | 年間回数2 | 配置月6月・12月 | 理由床の剥離洗浄と別の月に置いた |
| 窓ガラス外面 | 年間回数4 | 配置月4月・7月・10月・1月 | 理由3か月間隔。梅雨明けの7月を選んだ |
| 換気口清掃 | 年間回数1 | 配置月9月 | 理由繁忙期と重ならない月 |
| 照明器具清掃 | 年間回数1 | 配置月8月 | 理由夏季休館の週に実施できる |
| トイレ床洗浄 | 年間回数12 | 配置月毎月 | 理由月1回の定例 |
「理由」の列を残させるのがコツです。割り付けの理由が一行でもあれば、担当者が納得して直せます。理由のない表は、どこを動かしてよいのかが読み取れません。
表は気に入らない箇所を指して差し替えさせます。「窓ガラス外面を5月・8月・11月・2月にして、それでカーペット洗浄と干渉しないか見て」のように、動かす行と確かめる条件を一緒に言うと、全体を作り直さずに済みます。
手順3: 回数を検算してExcelにする
月別表は、必ず検算します。Claudeは表を整えるのが得意ですが、行が1つ落ちたり、年2回の作業が1か月にしか載らなかったりすることがあります。見るのは、次の2点です。
- 作業ごとの配置月の数が、台帳の年間回数と一致するか
- 月ごとの件数の合計が、年間回数の合計と一致するか
先ほどの6行なら、年間回数の合計は2+2+4+1+1+12で22です。月別の件数の表を足し合わせて22にならなければ、どこかの行が欠けています。検算は、チャットで次のように頼めます。
月別表の件数を足し合わせて、台帳の年間回数の合計と一致するか確かめてください。
一致しない場合は、作業ごとに台帳の回数と配置月の数を並べて、ずれた行を示してください。合ったら、Excelにします。コード実行とファイル作成の機能が有効なら、Claudeは.xlsxファイルを作り、そのままダウンロードできます。有料プラン(Pro・Max)と無料プランは、設定のCapabilitiesで「Code execution and file creation」をオンにします。TeamとEnterpriseは、組織の既定で有効です(ネットワークの扱いは組織の設定で別に決まります)。ファイルの上限は、アップロードもダウンロードも1ファイル30MBです。
依頼は、シートの構成まで書きます。
次の2シートのExcelを作ってください。
シート1「年間カレンダー」: 行=作業、列=4月〜3月。実施する月のセルに「○」。
シート2「台帳」: 手順1の台帳(出典ページ付き)。
「要確認」の行は黄色に塗ってください。作ったファイルは、開いて最初に月別の件数の合計を目で確かめます。Excelの形は整っていても、中身の割り付けはClaudeの判断だからです。
仕様書の更新と、前年からの引き継ぎ
年間計画は、毎年作り直すものです。契約更新で仕様書が変わったとき、全項目を最初から読み直すのは大変です。Projectに新旧の仕様書を並べて置き、差分だけを出させます。
旧仕様書(2025年度)と新仕様書(2026年度)を比べて、作業項目と頻度が変わった行だけを表にしてください。
列は、作業・旧頻度・新頻度・出典ページです。追加された項目と、削除された項目も含めます。差分が見えれば、前年の月別表のうち動かす行は限られます。前年の実施月は、先に建物条件のファイルへ書き足しておくと、「前年から大きくずらさない」の規則がそのまま効きます。
台帳と月別表のExcelも、Projectのファイルへ追加します。翌年のチャットで、前年の実施実績を土台にできます。実施の遅れや雨天順延の実績が残っていれば、割り付けの理由として使えます。
TeamとEnterpriseのプランでは、Projectを組織内で共有できます。「Can view」の権限だと、メンバーはプロジェクトの内容と指示を見て、その中でチャットできますが、編集はできません。「Can edit」は、指示とナレッジの変更、メンバーの追加・削除までできます。現場責任者が編集、現場スタッフが閲覧という分け方にすれば、割り付けの規則を勝手に書き換えられる心配はありません。
落とし穴
仕様書にない作業を、Claudeが「あるはずの作業」として足すことがある
仕様書にない「側溝清掃 年1回」のような一般的な作業が、台帳に混ざる可能性があります。台帳の規則1と3(仕様書に限る、出典ページを付ける)で防ぎます。出典ページが空欄の行は、仕様書にないものとして削ります。
人が決める範囲 — 計画表は下書きとして使う
Claudeが出した割り付けは、あくまで下書きです。契約書としての効力は、仕様書の原本にあります。人が決める点は、4つに分けられます。
Claudeに任せず、人が決める4点
曖昧な頻度の回数
「適宜」「必要に応じて」の頻度は、発注者との協議で決まります。台帳の「要確認」の行は、発注者に問い合わせて回数を確定させます。
契約上の実施時期
仕様書に「年度内」「上半期」など時期の指定がある作業は、割り付けがその範囲に収まっているかを見ます。台帳の制約の列に入れていても、読み違いがありえます。
休館日・工事・行事の最新の予定
建物条件のファイルが古いと、割り付けも古い前提で組まれます。テナントの入替や改修工事の予定が動いたら、ファイルを先に更新します。
作業員の確保
月ごとの作業件数は、人日そのものではありません。作業の規模や必要人数は、現場の実績から人が足します。
客室清掃の仕上がり確認のように、日々の点検にClaudeを使う場合は、Claudeで客室清掃の仕上がり写真を点検表に照らす手順があります。日常の点検と年間の計画は、同じProjectに入れず、別のProjectに分けると、指示が混ざりません。
年間の予定を月に割る型は、清掃以外にも使えます。広報の発表を年間で組む例はClaudeで広報の年間計画を組む手順に、募集要項の日程をカレンダーにする例はClaudeで志望校の出願日程カレンダーを作る手順にあります。いずれも、台帳に起こして規則を渡し、検算するという同じ流れです。
よくあるつまずき
- 台帳の行数が仕様書より少ない: 仕様書が長いと、一部の節の項目が台帳から落ちる可能性があります。仕様書の節ごとに「この節の作業項目だけ台帳に起こして」と分けて頼み、後で結合します。
- 月別表が毎回変わる: 同じ依頼でも割り付けが変わるのは、規則が足りないからです。固定したい配置月は、規則に「窓ガラス外面は4月・7月・10月・1月で固定」のように書きます。
- XLSXをアップロードできない: XLSXのアップロードには、コード実行とファイル作成の有効化が必要です。前年の月別表をExcelで入れたいときは、設定のCapabilitiesを先に確かめます。
- 使用量が早く減る: Projectsの利用は、ほかのClaudeの使い方と同じく、プランの使用量から引かれます。長い仕様書を何度も読ませる使い方は、使用量の面でも重くなります。台帳ができたら、台帳と建物条件だけで割り付けを回す運用もあります。