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Claudeで点検するCEマーキングの技術文書と適合宣言書の抜け

Claudeで点検するCEマーキングの技術文書と適合宣言書の抜け

CEマーキングを付ける前の技術文書とEU適合宣言書を、欧州委員会の手順に沿ってClaudeで点検する流れです。抜けを洗い出す範囲と、人と認証機関に残す判断を分けて示します。

CEマーキングの書類で抜けが出やすいのはどこか

CEマーキングは、製品がEU域内で売れる条件を満たしていると製造者自身が宣言する表示です。EU域内向けに製品を出す製造者は、適合性評価、技術文書の作成、EU適合宣言書の発行、CEマーキングの貼付までを自分で受け持ちます。EUが認めた証明書をもらって貼るものではありません。

欧州委員会の説明では、CEマーキングを付ける権限を与える中央の機関はありません。貼る前に製造者が揃える物は4つです。

  • 適用されるEUの要求事項の特定
  • 自己評価でよいか、認証機関(notified body)が要るかの判断
  • 適合を示す証拠としての技術文書
  • 署名つきのEU適合宣言書

書類の抜けはこの4つの間で起きます。技術文書は適用法令を取り違えると的外れになり、適合宣言書は技術文書と食い違うと意味を失います。Claudeに任せられるのは、この食い違いと記載漏れの洗い出しです。どの指令・規則が適用されるか、認証機関が必要か、製品が要求事項を満たすかの判断は、人と認証機関の仕事として残ります。

製造物責任法の側から説明書を点検する手順は、製造物責任法の取扱説明書の点検にあります。ここではEU向けの書類に絞ります。

点検の前に人が決めておく3つの前提

Claudeに書類を渡す前に、次の3つが決まっていないと点検結果が使えません。

どの指令・規則が適用されるか

欧州委員会の製造者向けページは、手順の最初に「適用される指令・規則と整合規格の特定」を置いています。CEマーキングを規定する法令は、決定768/2008/ECの参照規定に沿ったものとして一覧化されています。

同じページは、1つの製品に複数の指令や規則が同時に適用されることがあると明記しています。化学物質や環境に関する横断的な法令が重なる場合もあります。したがって、適用法令のリストは人が作り、Claudeには「このリストに対して書類が答えているか」だけを見させます。

認証機関が必要か

リスクの高い製品では、製造者だけで安全性を確かめられず、各国当局が指名した認証機関の評価が要ります。CEマーキングを付けられるのは、その評価を終えた後です。認証機関はNANDOというデータベースで、法令別・国別に探せます。

認証機関が関わる場合、CEマーキングの横にその識別番号を表示する必要があります。点検の対象書類にも、証明書と識別番号が入ってきます。

自社の立場が製造者か

欧州委員会のYour Europeは、自社で製品を作るか、他社に作らせて自社名・自社ブランドで売る場合を製造者としています。この場合は、他社が供給した部品やシステムを含む製品全体の適合に責任を負います。製造者でなければ、輸入者や授権代理人といった別の役割に固有の責任があります。

立場によって点検する書類が変わります。輸入者や販売者は、製品がEUの規則に適合し、CEマーキングが付いていることを確かめる側です。輸入者・販売店との契約で書類の提出義務を定めるときの論点は、代理店契約・販売店契約の独占禁止法の点検で扱っています。

Claudeに渡す資料をそろえる

資料は次の4種類に分けて渡すと、点検の観点がぶれません。

資料役割渡し方
適用法令のリスト役割点検の物差し渡し方人が作ったものを貼る
技術文書の目次と本体役割点検の対象渡し方PDFをアップロード
EU適合宣言書の案役割点検の対象渡し方PDFまたは本文を貼る
試験報告書・認証機関の証明書役割裏付けの突き合わせ渡し方PDFをアップロード

Claudeのチャットには、1つの会話に最大20ファイルまでアップロードできます。PDFは1,000ページまでで、1ファイルは500MBまでです。プロジェクトに置くファイルは1つ30MBまでです。技術文書が数百ページに及ぶ製品では、章ごとに分けて渡すほうが指摘の精度も追いやすさも上がります。

PDFをページ番号で指して使う場合は、PDFビューアに表示されるページ番号を使うよう指定します。文書内に印字されたページ番号とずれていると、指摘箇所を探せなくなります。

同じ製品について何度も点検するなら、プロジェクトを作り、適用法令のリストと点検用の指示をプロジェクトの指示に入れておくと、会話ごとに貼り直す手間がなくなります。顧客資料や図面を外部のAIに渡してよいかは別問題で、契約と設定の確認順は顧客資料を渡す前のNDA点検表にまとめています。

技術文書を点検する

技術文書の要件は、欧州委員会の製造者向けページの記述が出発点です。技術文書は、製品が法令の要求事項に適合していることを評価できるものでなければなりません。作成の時期は、認証機関へ申請する前、遅くとも当該型式の最初の製品を市場に出すときです。

この要件から、Claudeに見させる観点は次のように作れます。

  • 適用法令の各要求事項に、対応する根拠(試験報告書、設計資料、リスク評価)の記載があるか
  • 根拠として挙げた規格や報告書の名称・版が、文書内で一貫しているか
  • 製品の型式や構成が、適合宣言書の記載と同じか
  • 認証機関が関わる場合、証明書の参照が入っているか

観点をそのままプロンプトにします。

添付の技術文書(PDF)を、貼り付けた適用法令リストの要求事項ごとに点検してください。
1. 要求事項ごとに、根拠となる記載のあるページ(PDFビューアのページ番号)を示す
2. 根拠が見つからない要求事項は「記載なし」と書く。推測で埋めない
3. 規格・報告書の名称と版が文書内で食い違っている箇所を列挙する
4. 適合かどうかの判断はしない。確認した事実だけを表にする

4つ目の指示が大事です。Claudeに「適合している」と言わせると、読み手がそれを結論と受け取ってしまいます。出力は「記載あり(ページ)」「記載なし」「食い違い」の3区分に限り、結論は人が出します。

保管期間は適用法令の条文で確かめる

欧州委員会の2つのページでは、技術文書の保管期間の書き方が異なります。製造者向けページは「適用される規則または指令が定める期間」保管するとしています。Your Europeのページは、適合宣言書と技術文書を製品を市場に出してから少なくとも10年は保管し、最新に保つとしています。

製品によって法令が定める期間が異なる可能性があるため、社内の保管規程に10年と書き写して終わりにはできません。点検の指示に「適用法令の条文に定めた保管期間と、社内規程の期間が一致しているか」を含めておくと、規程側の抜けも拾えます。条文は人が貼ります。

EU適合宣言書を点検する

EU適合宣言書は、製造者が適合について単独で責任を負うと宣言する文書です。欧州委員会のページによれば、少なくとも次の内容を含みます。

記載事項点検で見ること
製造者の名称・住所点検で見ること技術文書、ラベル、取扱説明書と同一か
製品の本質的な特性点検で見ること型式・形番が技術文書の対象製品と一致するか
認証機関の識別番号(該当する場合)点検で見ることCEマーキング横の番号と同じか
組織を代表する法的拘束力のある署名点検で見ること署名者と日付の欄が空でないか

Claudeには、技術文書と適合宣言書を同じ会話に置いて、この表の行ごとに食い違いを探させます。「宣言書の型式名が技術文書では別の表記になっている」「認証機関の番号が宣言書にあるのに、技術文書に証明書の参照がない」といった食い違いは、人が目で追うと見落としやすい種類の抜けです。

署名の有効性や、署名者に代表権があるかどうかは、Claudeが書類から判定できる範囲を超えます。署名欄に記載があるかどうかの確認までに留めます。

適用法令が複数あるときの注意

製品に複数のCEマーキング関連法令が適用される場合、同封する書類は、その製品が他の法令にも適合していると示す必要があります。適用法令のリストが複数行になる製品では、適合宣言書がそれぞれの法令に触れているかを、点検の観点に加えます。

CEマーキングの表示と周辺書類を見る

書類の点検と合わせて、表示の要件も同じ会話で確認できます。欧州委員会の説明は次のとおりです。

  • CEマーキングは製品に見やすく読みやすく付ける。製品の性質上できない場合は、梱包と添付書類に付ける
  • 「CE」の文字は同じ縦寸法で、5mm未満にしない。拡大・縮小するときは図の比率を守る
  • 認証機関が関わった場合は、その識別番号も表示する

表示の寸法そのものは、書類のPDFからは測れません。ラベル図面に寸法の指定があるか、梱包・添付書類への表示位置が図面に描かれているかの確認までがClaudeの守備範囲です。実物の確認は、現物か試作品で人が行います。

もう1つ押さえておきたいのは、CEマーキングの意味です。付いていても、EUや当局が製品を安全と承認した印ではなく、製品の原産地を示す印でもありません。また、CEマーキングは適用法令がある製品にだけ付けるもので、対象外の製品に付けることは禁じられています。販売資料やパンフレットに「EU承認取得」のような表現が混ざっていないかは、Claudeに文言を拾わせて、人が可否を決めます。

変更があったときの更新も点検に入れる

CEマーキングが示すのは、製品を市場に出した時点で適合していたことです。一方で、適合宣言書と技術文書は最新に保つ必要があります。適用法令、製品そのもの、製造者や授権代理人の連絡先が変わったときは、宣言書を見直して更新します。

そのため点検は1回で終わりません。設計変更や法令改正のたびに、次の差分を見ます。

  • 変更前後の技術文書を並べ、変更箇所に対応する根拠が更新されているか
  • 宣言書の型式名、住所、法令の参照が、変更後の内容に合っているか
  • 認証機関の評価が再度必要な変更に当たるか(判断は人と認証機関)

変更前後の2つの版を同じ会話に置き、「変わった箇所と、それに対応して更新されていない箇所」だけを表にさせると、改訂の漏れを短時間で絞れます。

点検結果を使うときの限界

Claudeの出力は書類の整合の確認であり、適合性の評価ではありません。欧州委員会の手順にある「製品を試験し、適合を確認する」の部分は、試験機関や認証機関の仕事です。Claudeが書類上の抜けをなくしても、製品が要求事項を満たすことは保証されません。

特に次の4つは、Claudeの結論を採用しません。

  1. どの指令・規則が適用されるかの特定
  2. 認証機関による評価が必要かどうか
  3. 製品が整合規格に適合しているかどうか
  4. 適合宣言書への署名と発行

大量のPDFを読ませる場合、細かい表や図面の中の数値は読み違えることがあります。Claudeが「記載なし」と出した箇所は、該当章を人が開いて確かめます。逆に「記載あり」とされたページも、根拠として足りるかは担当者が読んで判断します。

まとめ

CEマーキングの書類で最初に決めるのは、点検の物差しになる適用法令のリストです。それを人が作り、Claudeには技術文書の根拠の有無、適合宣言書との食い違い、表示要件の記載漏れだけを3区分で出させます。保管期間は適用法令の条文で確かめ、設計や法令が変わるたびに差分を点検します。適合かどうかの判断と署名は、製造者と認証機関に残します。

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