Claude Code Desktop Dispatchでスマホからセッションを起動する
CoworkのDispatchはスマホからのメッセージを開発タスクと判断すると、Desktopアプリ側にCodeセッションを自動で立ち上げます。仕組みと制約が分かります。
外出先でスマホから「ログイン画面のバグを直して」と送ると、パソコンのDesktopアプリでCodeタブのセッションが自動で立ち上がります。これがDispatchです。開発タスクかどうかの判定もClaudeが自動で行い、Codeタブへのルーティングだけ人が指定することもできます。
Dispatchとは何か
DesktopアプリにはChat(会話)・Cowork(Dispatchと長時間の自律作業)・Code(ソフトウェア開発)の3つのタブがあります。DispatchはこのうちCoworkタブに常駐する会話です。スマホとデスクトップをまたいで1つの文脈を保ち続け、モバイルから投げたタスクをデスクトップ側のファイル・コネクタ・アプリケーションを使って実行します。バグ修正やテスト実行のような開発作業は自動でCodeタブのセッションに変換され、調査・文書編集・スプレッドシート操作はCoworkタブに留まります。
タスクの振り分けは2通りです。「Claude Codeセッションを開いてログインのバグを直して」のように明示的にCodeタブを指定するか、Dispatchが内容から開発作業だと判断して自らセッションを起動するかのどちらかです。どちらの経路でもCodeタブのサイドバーにDispatchバッジ付きのセッションが現れ、完了時や承認が必要なタイミングでスマホにプッシュ通知が届きます。
タブが分かれていても、裏側のセッション管理は共通です。Dispatchが起動したCodeセッションは、手元で「+ New session」から始めた通常のセッションと同じ扱いで、サイドバーの一覧・並列実行・アーカイブといった仕組みがそのまま適用されます。違うのはきっかけがスマホからのメッセージだった、という一点だけです。
セットアップの手順
Dispatchを使うには、パソコン側とスマホ側の両方で準備が必要です。
1. Desktopアプリ(macOS / Windows x64 / Linux)を起動したまま、スリープさせない
2. Claudeモバイルアプリ(iOS / Android)を最新版にする
3. Pro または Maxプランでサインインする
4. 両方の端末をインターネットに接続する準備が整ったら、パソコン側のCoworkタブから設定を進めます。
- Coworkタブを開き、左パネルで「Dispatch」を選ぶ
- 「Get started」をクリックする
- ファイルアクセスと「パソコンをスリープさせない」の権限をトグルで許可する
- 「Finish setup」で完了する
設定が終われば、スマホのClaudeアプリからDispatchにメッセージを送るだけでタスクが動き出します。パソコンがスリープしている、またはDesktopアプリが終了していると、送ったタスクはパソコンが復帰するまで待機します。
ステップ3で許可する2つのトグルは意味が異なります。ファイルアクセスはプロジェクトフォルダーへの読み書き権限そのもので、これを許可しないとCodeセッションが始まりません。パソコンをスリープさせないは、スマホから送ったタスクがOSのスリープで止まらないようにするための設定で、常時Dispatchを受け付けたいなら必須です。バッテリー駆動のノートパソコンでは、この設定によって電源接続時よりも早くバッテリーが減る点は織り込んでおきます。
対応OSにも幅があります。Dispatch対応として公式に挙げられているのはmacOS・Windows x64・Linuxで、Windows ARM64は含まれていません。ARM版Windowsを使っている場合は、Dispatch自体よりも先にDesktopアプリのインストール要件を確認してください。
どんな作業を任せられるか
Dispatchが受け付けるのは、開発作業に限りません。スプレッドシートのデータ抽出、メールやSlackの検索、資料の生成、ファイル整理、そしてmacOS・Windowsではコンピューター操作(computer use)を使ったデスクトップアプリの操作まで一つの窓口から投げられます。開発寄りのタスクだけがCodeタブのセッションに変換され、それ以外はCoworkタブの会話として処理される点が設計の要です。
バグ修正・依存関係の更新・テスト実行・プルリクエストの作成は典型的にCodeタブへ回ります。逆に、調査やドキュメント編集、表計算の作業はCoworkタブに留まったまま進みます。
Dispatch経由のセッションで変わること
Dispatch発のCodeセッションは、通常のセッションと1点だけ挙動が違います。コンピューター操作を有効にしている場合、アプリの操作許可は30分で失効し再度確認を求められます。手元でDesktopアプリを直接操作しているときは許可がセッション全体で持続するのに対し、Dispatch経由ではこの時間制限が入ります。離れた場所から長時間タスクを任せる運用では、この失効タイミングでスマホに承認待ちの通知が来ることを想定しておくと戸惑いません。
それ以外の挙動——Git分離されたワークツリーでの並列実行、diffレビュー、PRステータスの監視——は通常のローカルセッションと同じです。
他のセッションから見えるか
Dispatchが起動したセッションも、Codeタブが管理する通常のローカルセッションの1つです。そのため、パソコンの前で別のセッションを開いているときに「Dispatchのセッションは何をしている?」と聞けば、Claudeが状況を読んで答えます。この横断確認はDesktopアプリが自分で動かしているローカル・SSH・WSLセッションに限られ、クラウドセッションや、ターミナルCLI・VS Code拡張機能から始めたセッションは対象外です。既定では直近アクティブな20件までを見て、アーカイブ済みのセッションは指定しない限りスキップします。いま質問しているDispatchのセッション自身は一覧に含まれないので、9つのターミナルワークツリーと2つのデスクトップセッションが開いている状況でも、Claudeが答えるのは「もう1つのデスクトップセッション」だけです。
セッション間でメッセージを送り合う機能自体は、Dispatchが起動したセッションに限らず使えます。ただしセッションをアーカイブする操作だけは、どの権限モードでも必ず承認カードでの確認が挟まる仕組みです。
使える場面と向かない場面
| 場面 | Dispatchの向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 外出先で見つけたバグの一次対応 | Dispatchの向き不向き◎ | 理由スマホから一言送るだけでDesktop側が着手する |
| 長時間の大規模リファクタ | Dispatchの向き不向き△ | 理由クラウドセッションの方が閉じたパソコンでも継続する |
| チーム / Enterpriseプランでの利用 | Dispatchの向き不向き✕ | 理由Dispatchはベータ期間中、Pro・Maxプラン限定 |
| コンピューター操作を伴う自動化 | Dispatchの向き不向き○ | 理由使えるが承認が30分ごとに切れる前提で設計する |
長時間の作業を任せたいだけなら、Desktopのセッション開始時に環境としてCloudを選ぶ方法もあります。クラウドセッションはAnthropic管理のインフラで動き、パソコンを閉じても継続する点がDispatchとは異なる強みです。Dispatchの価値は「今すぐパソコンの前にいない自分の代わりに、手元のパソコンを動かす」ことに絞られています。スマホからClaude Codeを使う経路は他にもあり、Claude Codeをスマホから使う4つの経路の選び方で全体を比較できます。
プラン要件を確認する
DispatchはベータでPro・Maxプラン限定の機能です。TeamプランとEnterpriseプランでは使えません。組織でDispatchを使いたい場合は、管理者がメンバー個別のPro・Maxサブスクリプションを別途用意する必要があります。法人プランでの契約形態に迷う場合は、Claude法人プランの契約ガイドでTeamとEnterpriseの違いを整理しています。
よくある質問
Desktopアプリを閉じているとDispatchのタスクはどうなるか
パソコンがスリープしているか、Desktopアプリが終了していると、スマホから送ったタスクは実行されずに待機します。Dispatchを日常的に使うなら、パソコン側でアプリを起動したままスリープさせない設定にしておく必要があります。
Dispatchで開いたセッションを通常のCodeタブから続けられるか
続けられます。DispatchバッジがついているだけでCodeタブの他のセッションと同じ扱いなので、パソコンの前に戻ったらそのままセッションを開いて作業を引き継げます。
スマホ単体でコードの内容を確認できるか
Claudeモバイルアプリの通知やメッセージ内で進捗と要約は確認できますが、diffの詳細レビューやファイル編集はDesktopアプリのCodeタブが前提です。細かいレビューはパソコンに戻ってから行う運用になります。
Dispatchのタスクをクラウドセッションとして実行できるか
Dispatchが自動で起動するのはローカルセッションで、パソコンのファイル・コネクタ・アプリケーションを直接使う前提です。パソコンを閉じても続けたい長時間タスクは、Dispatchではなく手動でCodeタブの環境をCloudに切り替えて始める必要があります。
まとめ
Dispatchはスマホからのメッセージを開発タスクと判断すると、Desktopアプリ側にCodeタブのセッションを自動で立ち上げます。設定はDesktopアプリとモバイルアプリの両方が最新版であること、Pro・Maxプランでのサインイン、そしてCoworkタブでの権限許可の3点だけです。コンピューター操作を使う場合は承認が30分で切れる制約を踏まえて運用します。TeamやEnterpriseで組織導入を検討している場合は、Dispatch自体が対象外である点を先に確認してください。パソコンを起動したままスリープさせない運用が前提になるので、まずは短いタスクから試して挙動を確かめると失敗が少なくなります。