Claude Code Desktop WSLセッションの始め方とCLI版との違い
Claude Code DesktopのCodeタブから、WSL2ディストリビューション内でセッションを直接起動する方法です。始め方の3ステップと、CLIをWSLターミナルから起動する既存の手順との使い分けをまとめます。
Claude Code Desktop WSLセッションとは
Claude Code DesktopのCodeタブは、Windows上でセッションをWSL2ディストリビューション内で動かせます。Claude Codeのプロセス自体、ツール群、gitまで、すべてがディストリビューションの内部で実行され、プロジェクトが実際に動くLinux環境のネイティブなパスをそのまま使います。
使いどころははっきりしています。リポジトリがディストリビューションのファイルシステム上にあるなら、Windows側からそのファイルを触るとネットワークファイルシステム経由になり、動作が遅くファイル監視も壊れます。セッションをディストリビューション側で起動すれば、この2つの問題を両方避けられます。
これはDesktopアプリのCodeタブが持つ機能で、WSLターミナルからCLIを直接起動する方法とは別物です。両者の使い分けは後述します。
環境の選択肢としても独立した扱いです。Codeタブの環境ドロップダウンにはLocal・Cloud・SSHと並んで、Windowsでは4つ目としてWSLが表示されます。Localの一部ではなく、それぞれ別の実行先を持つ選択肢の1つです。
使うための前提条件
以下がそろっていることが条件です。
- Windows 10または11、かつWSL 2(WSL 1は非対応)
- ディストリビューションが最低1つインストール済み(Ubuntuなど)
- ディストリビューション内に
gitがインストール済み
WindowsでClaude Code自体をネイティブ版とWSL版のどちらで動かすか、Desktopアプリの導入前に迷うこともあります。判断材料はClaude Code Windowsインストールで整理しています。
セッションを始める3ステップ
- ディストリビューションを選ぶ。Codeタブで新規セッションを開始し、環境選択ドロップダウンを開くと、インストール済みのWSL 2ディストリビューションが「WSL」セクションに並びます。使うものを選びます。
- フォルダーを選ぶ。セッションはディストリビューションのホームディレクトリから始まります。フォルダーピッカーでプロジェクトフォルダーを選ぶと、
/home/you/projectのようなLinuxパスでディストリビューション内部を辿れます。 - フォルダーを信頼する。あるフォルダーで最初のセッションを開くと、ワークスペース信頼ダイアログが出ます。信頼はディストリビューションとフォルダーの組み合わせごとに与えます。あるディストリビューションで信頼したフォルダーは、別のディストリビューションでも、Windows側の同じパスでも信頼されません。
ディストリビューション内で最初に開くセッションは、Claude側のセットアップが走るぶん起動がやや遅くなります。通常のフォルダーピッカーから\\wsl.localhost\...形式のフォルダーを開いても、対応するディストリビューション内で開き直されます。最近使ったフォルダーはディストリビューションごとにピッカーへ表示されるので、同じプロジェクトへの再接続はワンクリックです。
セッション開始時に選ぶのは環境だけではない
Codeタブで新規セッションを送信する前には、環境以外にも次の3項目を選びます。
- プロジェクトフォルダー: 前述の手順でディストリビューション内のフォルダーを指定
- モデル: 送信ボタン脇のドロップダウンから選び、セッション中に変更もできる
- 権限モード: Claudeにどこまで自律的に進めさせるかを決めるモードセレクター
この3項目はLocal環境のセッションと同じ挙動で、WSLだからといって選べる範囲が狭くなることはありません。
権限モードは、ファイル編集を確認なしで進める「Accept edits」から、コマンド実行も含めて確認を省く「Bypass permissions」まで揃っています。これらはWSLディストリビューション内のツールチェーンにもそのまま適用されます。新規セッションの既定モードを固定したい場合は、settings.jsonのpermissions.defaultModeで設定します。モードセレクターで選んだモードはフォルダー単位で記憶され、次に同じフォルダーでセッションを開いたときも引き継がれます(Planモードだけはそのセッション限りの適用です)。
Bypass permissionsをモードセレクターに出すには、有効化の操作が別途必要です。ProまたはMaxプランではSettingsのClaude Code設定で「Allow bypass permissions mode」のトグルをオンにします。TeamまたはEnterpriseプランではこのトグル自体が存在せず、組織のポリシーで制御されます。WSLセッションだからといって有効化の経路が変わることはなく、Local環境のセッションと同じ手順です。サンドボックス化されていない環境での常用は避け、隔離されたコンテナやVM内での利用にとどめます。
WSLセッションで使える機能・使えない機能
並列セッション、サイドチャット、ビジュアルな差分レビュー、ブランチとプルリクエストの状態、worktreeは、いずれもディストリビューション内のgitとツールチェーンに支えられてそのまま動きます。「エディタで開く」を選ぶと、Remote - WSL拡張機能経由でVS Codeがそのディストリビューションに接続した状態で開きます。VS Code拡張機能そのものの使い方はClaude Code VS Code拡張機能の使い方にまとめています。
一方、統合ターミナル、コネクタとプラグイン、セッションのフォーク、ファイルブラウザーペイン、プロンプト入力時の@によるファイル候補は、WSLセッションではまだ使えません。これらが必要な作業には、WSLターミナルから直接CLIを起動する方法のほうが向いています。
CLIを直接起動する方法との使い分け
同じWSL上での作業でも、起動元によって得られるものが変わります。
| 観点 | Desktop WSLセッション | WSLターミナルからCLIを直接起動 |
|---|---|---|
| 起動元 | Desktop WSLセッションDesktopアプリの環境選択ドロップダウン | WSLターミナルからCLIを直接起動WSLターミナル(bash/zsh) |
| 差分レビュー・PR状態 | Desktop WSLセッションビジュアルペインで確認できる | WSLターミナルからCLIを直接起動ターミナル上のみ |
| 統合ターミナル・コネクタ・プラグイン | Desktop WSLセッション未対応 | WSLターミナルからCLIを直接起動対応 |
| 向いている作業 | Desktop WSLセッション複数セッションの並行管理、ビジュアルな差分レビュー | WSLターミナルからCLIを直接起動プラグイン活用、統合ターミナルでの作業 |
複数のプロジェクトを並行して進めたい、差分を画面で確認しながら進めたいならDesktopのWSLセッションが向きます。統合ターミナルやコネクタ、プラグインを使いたいなら、Claude Code WSL2セットアップの手順でWSLターミナルからCLIを直接起動します。
組織管理デバイスでの制限
組織が管理するデバイスでは、WSLセッションが使えないことがあります。管理者が制御している設定で、セッション開始時に「デバイスが管理されている」という趣旨のメッセージが出て失敗する場合は、この制限に該当します。Local環境自体が無効化されている場合はWSLの項目もグレーアウトします。ただしWSLの可否はLocalとは別の設定で管理されているため、Localが使えるのにWSLだけグレーアウトしているケースもあります。管理者に確認するか、SSHやクラウド環境に切り替えます。
よくあるつまずき
信頼したはずのフォルダーで、また信頼ダイアログが出ることがあります。信頼はディストリビューションとフォルダーパスの組み合わせ単位です。同じプロジェクトでもディストリビューションを切り替えたり、Windows側の同じパスから開いたりすると、別物として扱われ再度信頼が必要になります。
WSLセクションに何も出てこない、または選んだディストリビューションで起動できないこともあります。WSL 1のディストリビューションは対象外です。WSL 2へアップグレードされているかを確認します。組織管理デバイスの制限に該当していないかも合わせて確認します。
統合ターミナルやプラグインを使おうとしてできなかった、というつまずきもよくあります。これらはDesktopのWSLセッションではまだ提供されていません。仕様であり不具合ではないので、必要ならWSLターミナルからCLIを直接起動する方法に切り替えます。
初回のセッション起動が遅いのも仕様どおりです。ディストリビューション内での初回セットアップが走っているためで、2回目以降のセッションは速くなります。
まとめ
Claude Code DesktopのWSLセッションは、Windows上でリポジトリをディストリビューション内に置いたまま作業する機能です。Claude Codeのプロセスとツールをすべてディストリビューション側で動かします。ディストリビューションを選び、フォルダーを選び、信頼する、という3ステップで始まります。並列セッションやビジュアルな差分レビューが揃う一方、統合ターミナル・コネクタ・プラグイン・セッションのフォーク・ファイルブラウザーペインはまだ対応していません。これらが必要な作業なら、WSLターミナルからCLIを直接起動する方法に切り替えます。DesktopアプリとCLI・Web版全体の使い分けはClaude Code Desktopとはにまとめています。
よくある質問
クラウドセッションからWSLディストリビューション内のプロジェクトを開けますか
開けません。WSLはWindows上のローカルマシンで動くディストリビューションに接続する環境で、Anthropicが管理するインフラで動くクラウドセッションとは別の選択肢です。クラウド上のプロジェクトを扱いたい場合は環境ドロップダウンでCloudを選びます。
gitはWindows側とディストリビューション側、どちらに必要ですか
ディストリビューション側です。Windows側にgitが入っていても、ディストリビューション内になければWSLセッションは動きません。
続けていたWSLセッションが突然開けなくなりました。何が起きていますか
組織側でLocal環境が無効化されると、既存セッションを開こうとしたときに「このデバイスではローカルセッションが使えない」という趣旨のメッセージが表示されます。disableDesktopLocalSessionsが設定されると、WindowsではWSLの項目も同じようにグレーアウトします。管理者に確認するか、SSHやクラウド環境の利用に切り替えます。