iOS Simulatorペインとは — Claude Code Desktopが自動で開くテスト画面
Claude Code DesktopでiOSアプリをビルド・実行すると、iOS Simulatorペインが自動で開きます。事前チェックの手順、ペインが開かないときの切り分け、Computer Useとの使い分けをまとめます。
iOS Simulatorペインとは何か
Claude Code DesktopのCodeタブには、iOS Simulatorペインという機能があります。Claudeがアプリをビルド・インストール・起動・確認のいずれかでシミュレーターに載せた瞬間に自動で開き、会話の隣にApple純正のiOS Simulatorの画面が表示されます。デバイスの映像はライブでストリーミングされます。
見るだけの画面ではありません。Claudeが作業している最中でも、合間に自分でタップして進められます。
対象はmacOS版のDesktopアプリで、公開ベータとして提供中です。プランはPro・Max・Team・Enterpriseで使えます。ただしHIPAA構成を有効にしたEnterprise組織では使えません。webアプリの検証に使うBrowserペインでのプレビューと役割は似ていますが、対象はiOSアプリのシミュレーターに限られます。
このペインはシミュレーターを直接操作する仕組みで、画面操作全般を担うComputer Useを必要としません。他のウィンドウを隠したり画面を乗っ取ったりしないので、Claudeの作業中もあなたは他の作業を続けられます。CLIにはこの専用ペインが無く、Computer Use経由でシミュレーターを操作します。
使い始める前の事前チェック
シミュレーター用のツール群はApple製で、Desktopアプリには同梱されていません。条件は次のとおりです。
- Claude Desktop v1.24012.0以降
- macOS(Apple純正のiOS SimulatorはmacOS専用のため、Windows・Linuxでは使えません)
- iOSプラットフォームを導入済みのXcode。Xcode 26.xと27のどちらでも動きます
- ローカルセッション(クラウドセッションやSSHセッションでは、Claudeが動くマシンからあなたのMac上のシミュレーターへ届かないため使えません)
Xcodeとシミュレーターランタイムが入っているかは、ターミナルで事前に確かめられます。次はXcode 26.6を入れたMacで実行した例です。
xcode-select -p
xcodebuild -version
xcrun simctl list runtimes出力は次のようになります。
/Applications/Xcode.app/Contents/Developer
Xcode 26.6
Build version 17F113
== Runtimes ==
iOS 18.2 (18.2 - 22C150) - com.apple.CoreSimulator.SimRuntime.iOS-18-2
iOS 26.5 (26.5 - 23F77) - com.apple.CoreSimulator.SimRuntime.iOS-26-5
watchOS 26.5 (26.5 - 23T570) - com.apple.CoreSimulator.SimRuntime.watchOS-26-51行目がペインの使うXcodeの場所、3行目までがバージョン、== Runtimes ==以下がインストール済みのランタイムです。iOSで始まる行が1つも無ければ、ペインにシミュレーターデバイスが並ばない状態にあたります。
アプリをシミュレーターで実行する手順
コマンドや設定を新たに用意する必要はありません。Claudeがアプリをシミュレーターで動かすタイミングで、ペインは自動的に開きます。
シミュレーターで動かすまでの3手順
- 1
プロジェクトを開く
Codeタブでセッションを開始し、iOSアプリのプロジェクトフォルダーを指定します。iOS Simulator向けにビルドできるプロジェクトなら対象です。
- 2
実行や確認を軸に依頼する
たとえば「アプリをビルドして、オンボーディング画面をシミュレーターで確認して」のように、見る・確かめることを明示します。
- 3
ペインを見る
アプリが起動すると、会話の隣にペインが開きます。デバイスを初めて使うときは、アクセスを許可するかを聞かれます。許可後は、Claudeがアプリをインストールし、画面を操作しながら自分の変更を確認します。
見た目の確認そのものが目的の依頼(「新しい画面の見た目は合っているか」など)なら、Claudeは作業前にシミュレーターを起動します。バグ修正や画面変更の後に確認を頼むと、閉じていてもアプリの再起動でペインが再び開きます。特定のデバイスで試したいときは「iPhone SEシミュレーターで動かして」のように名指しすれば、そのデバイスを対象にビルド・起動します。
Claudeが起動したデバイスは、Apple純正のSimulatorアプリ(Xcode 27ではDevice Hub)にも表示されます。すでに起動済みのデバイスがあれば、そこへインストールすることもできます。
自分でペインを開くこともできます。セッションにシミュレーターが紐づいた後、またはSwiftファイルを編集した後は、セッションツールバーの「Views」メニューに「iOS Simulator」の項目が現れます。デバイスがまだ表示されていなければ「Attach simulator」をクリックするか、隣のデバイスメニューから選びます。シャットダウン中のデバイスを選ぶと起動します。XcodeやSimulatorが見当たらない場合は、ペインがセットアップ手順を表示し、完了ごとにチェックが付きます。
自分でシミュレーターを操作する
ペインは、Claudeの作業中でも作業の合間でも自分で操作できます。
- 画面のクリック&ドラッグでタップとスワイプ
- Apple純正のSimulatorアプリと同じショートカットでハードウェアボタン操作(Home = Cmd+Shift+H、ロック = Cmd+L、音量 = Cmd+↑/↓)
- 回転ボタンまたはCmd+→で時計回りに90度回転
- デバイスメニューからペインの表示先を切り替え(OSバージョンと起動状態を確認できる)
- Cmd+Sでスクリーンショット、Cmd+Rで画面録画(いずれもデスクトップに保存)
- 「Detach simulator」でシャットダウンせずにストリーミングだけ止める
デバイス名の下にある行では、フレームレート・解像度・エンコーディング(H.264またはJPEG)を調整でき、受信中のフレームレートをFPS表示で確認できます。Macに負荷がかかるときはフレームレートか解像度を下げます。これらはペインの見え方を変える設定で、アプリ自体の動作は変わりません。
あなたとClaudeは同じデバイスを操作するため、あなたのタップもClaudeが見るアプリの状態に影響します。特定の画面を確認させたいなら、自分でその画面までタップして進めてから依頼する手があります。Claudeが操作している間は「Claude is using this device」というバッジが出ます。結果がアプリ本来の状態を反映するよう、バッジが消えるまでタップは控えます。
セッションごとにデバイスが分かれる
デバイスは起動したセッションに紐づきます。並列セッションでも1台のデバイスを共有することはなく、あるセッションのペインに映るのはそのセッションの作業だけです。サイドバーでセッションを切り替えるとシミュレーターの表示も切り替わり、戻れば同じデバイスの続きから再開します。1セッションでClaudeが複数台を扱う場合は、デバイスごとに別のペインが開き、上限は1セッションあたり4台です。
Desktopアプリが起動したシミュレーターは、Desktopアプリを終了したとき、セッションをアーカイブしたとき、またはデバイスをペインから切り離してから10分後に自動でシャットダウンされます。Desktopの外で起動したデバイス(SimulatorアプリやDevice Hubから起動したもの)は自動シャットダウンの対象外です。今すぐ止めたいときは、ペイン内のシャットダウンボタンを使います。
デバイスへのアクセス許可
初めてClaudeがあるシミュレーターを使うとき、Desktopアプリはそのデバイスを許可するかを尋ねます。同意はデバイスの操作とスクリーンショット撮影の両方をカバーし、セッションごとではなくデバイスごとに1回与えます。
Claudeが撮ったスクリーンショットはAnthropicへ送信され、通常の会話保持設定のもとで保管されます。Claudeが操作するデバイスに、実アカウントでサインインしないようにします。同意後は、タップ・入力・アプリの起動・スクリーンショットといった操作が確認なしで進み、ペイン内であなた自身がクリックするのと同じ扱いになります。
シミュレーターだけに触れる仕組みなので、Computer Useが必要とするAccessibilityやScreen Recordingの権限は不要です。許可を拒否してもデバイス自体は起動し、ペインは自分でタップする用途として使えます。後からペイン内の「Let Claude use it」を押せば、Claudeのアクセスを許可に切り替えられます。
操作によって、確認の出どころが2つに分かれます。
確認が出るかどうかの分かれ目
一度の同意でカバー
タップ・入力・アプリの起動・スクリーンショット。許可した後は確認なしで進みます。
権限モードに従う
デバイス上でURLを開く操作と、アプリのビルド。URLは外部へデータが出ていく可能性があるため、ビルドはxcodebuildがあなたのMac上でプロジェクトのビルドスクリプトを実行するためです。進行中のビルドの状態を確認するだけなら確認は求められません。
Claudeのシミュレーター利用は、Desktopアプリの設定から自分でオフにできます。組織はシミュレーター機能を止める手段を2つ持ちます。
disableMobileSimulatorToolsという管理設定は、Claudeのシミュレーターツールだけをブロックします。ペイン自体は自分でタップする用途として残り、アプリ内の設定からは上書きできません。requireCoworkFullVmSandboxというポリシーは、Claudeのツールを隔離された仮想マシン内で動かす設定です。有効な間はペインもシミュレーターツールも完全に無効になります。
どちらが適用されているかは、Claudeが案内します。
Computer Useとの違いと、Claudeの選び方
同じDesktopアプリの機能でも、前提と操作の重さが異なります。
| 観点 | iOS Simulatorペイン | Desktop Computer Use |
|---|---|---|
| 対象プラン | iOS SimulatorペインPro・Max・Team・Enterprise(HIPAA構成を除く) | Desktop Computer UsePro・Maxのみ(Team・Enterpriseは対象外) |
| OS | iOS SimulatorペインmacOS | Desktop Computer UsemacOSとWindows |
| macOSのシステム権限 | iOS Simulatorペイン不要 | Desktop Computer UseAccessibility・Screen Recordingの両方が必要 |
| 他のウィンドウ | iOS Simulatorペイン隠さない | Desktop Computer Useバックグラウンド実行でなければ、作業中は他のウィンドウが隠れる |
| 操作対象 | iOS Simulatorペインシミュレーターのみ | Desktop Computer Use画面全体・承認した任意のアプリ |
| CLIでの相当機能 | iOS Simulatorペイン専用ペインは無く、Computer Use経由の画面操作になる | Desktop Computer Use/mcpでcomputer-useを有効化(macOSのみ) |
どの手段を使うかはClaudeが選びます。公式の記述では、コネクタ、Bash、Claude in Chromeによるブラウザ作業、iOSアプリの実行・テスト(このペイン)の順に、より的確な手段を優先します。どれも当てはまらないときに初めてComputer Useを使います。iOSアプリのテストでは専用ペインが優先されるため、Computer Useをオフにしたままでも支障はありません。
Computer Useの有効化手順はDesktop Computer Useの有効化にあります。DesktopとCLI・Web版全体で、この種の違いがどう分かれるかはClaude Code Desktopとはで整理しています。
ペインが開かない・デバイスが出ないときの切り分け
症状ごとに、確認する順番を並べます。
アプリを実行したのにペインが開かない
原因は、Claudeが「実行したい」という意図を汲めていないか、シミュレーターのツールが欠けているかのどちらかです。次の順に確認します。
- 「シミュレーターでアプリを実行して、サインアップの流れを確認して」のように、目的を明示して頼み直す
- XcodeとiOSシミュレーターが入っているか、推奨のXcodeを使っているかを事前チェックで確かめる
- 組織がClaude Codeを管理している場合は、ポリシーでシミュレーターツールが無効になっていないかを確認する
- HIPAA構成を有効にしたEnterprise組織に属していないかを確認する(属していればペインは使えない)
- Claude Desktopがv1.24012.0以降かを、メニューの「Claude → Check for Updates」で確かめ、更新後にアプリを再起動する
「no simulators were found」と出る
Xcodeは入っているのに、一覧に出せるiOSシミュレーターが無い状態です。ペインがセットアップ手順を表示するので、完了ごとにチェックが付くのを確かめながら進めます。足りないものを手で入れるなら、Xcodeの設定からiOSシミュレーターランタイムをダウンロードするか、次のコマンドを使います。
xcodebuild -downloadPlatform iOS複数のXcodeを入れていて、別のXcodeが使われる
ペインはxcode-selectが指しているXcodeを使います。Xcode 26.xと27を並べて入れているときは、使いたい側を手動で選びます。次は/Applications/Xcode-26.4.appに入っている場合の例です。
sudo xcode-select -s /Applications/Xcode-26.4.app
xcode-select -p1行目で選択を切り替え、2行目で選択中のDeveloperフォルダーを確認します。切り替えたあとは、Claude Desktopを一度終了して開き直すと、ペインが新しいXcodeを使います。
実機のiPhoneで試したい
Claudeが操作できるのはシミュレートされたデバイスだけで、物理的なiPhone・iPadは扱えません。実機での確認はXcodeから自分で実行し、見えている内容を説明するかスクリーンショットを会話に添付します。
まとめ
Computer Useが対象外のTeamやEnterpriseのプランでも、iOSアプリの動作確認をClaudeに任せられるのがこのペインの強みです。入口で引っかかったら、まず事前チェックの3コマンドで、Xcodeの指す先とランタイムの有無を見ます。