Claude Media
Claude CodeとKiroを比較 — IDE・CLIの違いと仕様駆動開発の使い分け

Claude CodeとKiroを比較 — IDE・CLIの違いと仕様駆動開発の使い分け

Claude CodeとKiroの違いを、Kiro IDEとCLIの役割、仕様駆動開発、CLAUDE.mdとAGENTS.md、料金、権限モデルで比較します。specをPlanモードで再現する手順も扱います。

Claude CodeとKiroの基本を比較する

Claude CodeはAnthropicが開発するAIコーディングエージェント、KiroはAWSが開発するAIコーディングエージェントで、別の製品です。KiroはモデルとしてClaudeを選べますが、Anthropicの製品ではありません。どちらもターミナルやエディタから自然言語でコードを書かせるツールですが、実装の入口が違います。Claude Codeは対話しながら逐次タスクをこなす設計で、大きな変更の前に「Planモード」で計画と実行を分ける仕組みを持ちます。Kiroは「仕様駆動開発(spec-driven development)」を中核に据え、プロンプトを要件・設計・タスクの3種類のドキュメントに変換してから実装に入ります。

項目Claude CodeKiro
開発元Claude CodeAnthropicKiroAWS
主な入口Claude CodeCLI(拡張・デスクトップ・Webもあり)KiroIDE(CLI・Web・モバイル・Crewもあり)
中核の思想Claude Code対話 + Planモードによる計画分離Kiro仕様駆動開発(spec-driven development)
ベースモデルClaude CodeClaude(Anthropic製モデル)KiroClaude / OpenAI GPT / オープンウェイトモデル / Auto
IDEの土台Claude CodeVS Code / JetBrains拡張として動作KiroCode OSSベースの独自IDE

提供形態の違い — CLI・IDE・Web

両者とも複数の形態を持ちますが、組み合わせ方が異なります。Claude CodeはCLIを中心に、VS Code・JetBrains拡張、デスクトップアプリ、そしてクラウドインフラ上で動く「クラウドセッション」(claude.ai/code、通称Claude Code on the web)を展開します。クラウドセッションは、ブラウザ・モバイル・デスクトップアプリの「Cloud」選択、またはclaude --cloudから起動できます。ラップトップを閉じても実行は継続します。Pro・Max・Teamプランと、EnterpriseのプレミアムシートまたはChat + Claude Codeシートで使えます。

Kiroも似た構成を持ちます。Kiro IDEはCode OSSをベースにしており、VS Codeの設定・テーマ・Open VSX互換拡張をインポートできます。Kiro CLIはbash・zsh・fishなど500以上のCLIと連携します。Kiro Webは、ブラウザから隔離されたクラウドサンドボックスにセッションを委任する形態で、GitHubとGitLabのリポジトリをまたいで作業を続けられます。IDEとCLIの違いは次の節で扱います。Kiro Crewはこれらとは別に、セッションをまたいで動き続ける常駐ワークスペースです。GitHubから無料でインストールできるオープンソース製品です。ブラウザ上で作って公開まで進めるタイプとの違いは、Claude CodeとReplit Agentの違いにあります。モデルを選べる別のAI IDEとの違いは、Claude CodeとTraeの違いで扱っています。

形態Claude CodeKiro
ターミナルCLIClaude CodeありKiroあり(Kiro CLI)
エディタ拡張Claude CodeVS Code / JetBrainsKiroKiro IDE(Code OSSベース、VS Code設定インポート可)
ブラウザでのクラウド実行Claude Codeclaude.ai/codeKiroKiro Web(クラウドサンドボックス、有料プラン限定)
モバイルClaude CodeClaudeアプリの「Code」タブKiroモバイルアプリ(プレビュー、specは非対応)
常駐ワークスペースClaude Codeルーティン(スケジュール実行)KiroKiro Crew(OSS、無料)

Kiro IDEとKiro CLIの違い

Kiroの公式FAQでは、IDEは手元で作業しながらエージェントと同時に進める開発向け、CLIはターミナルでの作業・カスタムエージェント・デプロイのパイプライン向けと説明されています。specやsteeringなど中核の機能は共通で、差が出る箇所は少数です。

機能Kiro IDEKiro CLI
Feature spec・Bugfix spec・Quick SpecKiro IDE使えるKiro CLI使える
要件の矛盾を調べるAnalyze RequirementsKiro IDE使えるKiro CLI使える
プロパティベーステスト(Correctness)Kiro IDE使えるKiro CLI使えない
グローバルsteering(~/.kiro/steering/)Kiro IDE使えるKiro CLI使える

CLIの導入コマンドはcurl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bashで、起動はkiro-cliです。カスタムエージェントを使うときは、steeringが自動では読み込まれません。エージェントのresourcesに明示して読ませます。

Kiroの仕様駆動開発とは何か

Kiroの公式FAQは、仕様駆動開発を「vibe codingの楽しさを保ちながら、その限界を補う」アプローチと説明しています。複雑なタスクや大規模なコードベースでは、vibe codingだけでは指示が足りなくなったり文脈を取り違えたりしがちです。コードを書く前に要件・設計・実装タスクを文書にして、判断の理由と実装方針を残します。

1回の依頼で生成されるのは、次の3ファイルです。

まとめ

specが生成する3つの文書

  • requirements.md

    ユーザーストーリーと受け入れ条件。バグ修正specでは現状・期待・変えない挙動を書くbugfix.mdに置き換わります。

  • design.md

    技術アーキテクチャ、シーケンス図、エラー処理とテスト方針。

  • tasks.md

    追跡できる実装タスクの一覧。個別にも一括でも実行でき、進行状況がリアルタイムで更新されます。

新機能のspecには、要件から始めるRequirements-Firstと、設計から始めるDesign-Firstの2つの進め方があります。分かりきった機能なら、承認の関門なしで3文書をまとめて作るQuick Specも選べます。「すべて実行」を選ぶと、タスクの依存関係から実行順を組み、依存のないタスクを並列に走らせます。最初の波は依存なしのタスク、次の波は最初の波が終わって条件が整ったタスクという順です。

実装後の検証にも工夫があります。Kiroは「すべてのテストが通った」ことをコードが意図どおりである証拠とはみなさず、コードを書く前に自動推論(automated reasoning)で要件の矛盾や欠落をチェックします。実装後は、あらゆる入力に対して成り立つべきルールを確かめるプロパティベーステストで挙動を確認します。ただしspecのドキュメントの対応表では、プロパティベーステスト(Correctness)の対応面はIDEだけです。CLIやWebから使うspecでは、ここが同じ形では動きません。

Claude CodeのPlanモードでspecを再現する方法

Claude Codeには、要件・設計・タスクを3つの文書に分けて自動生成する専用機能はありません。代わりにPlanモードで調査と計画を先に済ませ、承認してから実装に入ります。v2.1.287のclaude --helpでは、起動オプションの選択肢は次のとおりです。

claude --version
2.1.287 (Claude Code)
 
claude --help | grep -A4 -e '--permission-mode'
  --permission-mode <mode>              Permission mode to use for the session
                                        (choices: "acceptEdits", "auto",
                                        "bypassPermissions", "manual",
                                        "dontAsk", "plan")

planが選択肢にあるので、claude --permission-mode planで最初からPlanモードの状態で起動できます。セッション中はShift+Tabで切り替え、1回の依頼だけなら先頭に/planを付けます。

手順

Planモードで仕様書きを再現する4段階

  1. 1

    Planモードで調査と計画立案だけを行う

    /plan 認証機能を追加する前に、要件・設計・タスクを整理してのように依頼します。Claudeはソースを編集せず、ファイルの読み込みとシェルコマンドでの調査だけを行います。

  2. 2

    計画の保存先を決める

    計画はPlanモードがファイルに書き出します。保存先の既定は~/.claude/plansで、plansDirectoryを設定するとプロジェクト直下に置けます。3文書に分けたいなら「requirements・design・tasksの3つのMarkdownにして」のように依頼文で指定します。

  3. 3

    計画を承認して実装へ進む

    計画が出ると、進め方を選ぶ画面になります。「いいえ、計画を続ける」を選べば修正を指示でき、Ctrl+Gで計画をエディタに開いて直接直すこともできます。承認すると、選んだ進め方に対応するパーミッションモードで実装が始まります。

  4. 4

    完了後の検証をHooksに任せる

    編集のたびにテストや整形を走らせたい場合は、PostToolUseイベントにコマンドを紐づけます。

計画の置き場所を変える設定は、.claude/settings.jsonに次のように書きます。

{
  "plansDirectory": "./plans"
}

KiroにもPlan modeがあり、実行前にコードベースを調べて要件を集め、実装計画を作れます。Kiroでは3文書が製品の標準の成果物ですが、Claude Codeでは依頼文と保存先の設定で作り込みます。Kiroの流れをそのまま使いたいかどうかが、選ぶ基準になります。プロジェクト共通のルールはCLAUDE.mdに書いておくと、セッション開始時に読み込まれます。

自動化の仕組みを比較する

どちらも「特定のタイミングで処理を自動実行する」仕組みを持ちます。違いは設定ファイルの形に出ます。Kiroのhookは、.kiro/hooks/に置く1ファイル1設定のJSONです。エージェントがTypeScriptファイルを保存・編集するたびにESLintを走らせる例が、公式ドキュメントに載っています。

{
  "version": "v1",
  "hooks": [{
    "name": "Lint on save",
    "trigger": "PostFileSave",
    "matcher": "\\.(ts|tsx)$",
    "action": { "type": "command", "command": "npx eslint --fix" }
  }]
}

Claude Codeでは、同じ発想をsettings.jsonのhooksに書きます。Hooksのガイドには、Edit・Writeツールの実行後にPrettierを走らせる例があります。

{
  "hooks": {
    "PostToolUse": [
      {
        "matcher": "Edit|Write",
        "hooks": [
          {
            "type": "command",
            "command": "jq -r '.tool_input.file_path' | xargs npx prettier --write"
          }
        ]
      }
    ]
  }
}
くらべる

hookの粒度の違い

ファイル単位

Kiro

トリガーはPostFileSaveのようなファイルイベントと、PreToolUse・PostToolUseのツールイベントです。matcherはファイルイベントならファイルパス、ツールイベントならツール名に当たる正規表現です。動作は、シェルコマンドの実行とエージェントへのプロンプト注入の2種類で、コマンドのタイムアウトは既定で60秒です。

セッションのイベント単位

Claude Code

ツール使用前後・プロンプト送信時・セッション開始と終了などのイベントで発火します。動作は、シェルコマンド・HTTPエンドポイント・MCPツール呼び出し・LLMプロンプト・サブエージェントから選べます。

ルールを書くだけでは守られない点も押さえておきます。Claude CodeのCLAUDE.mdは、実行を強制する設定ではなくコンテキストとして扱われます。実行を確実に止めたい操作は、PreToolUseのhookで塞ぎます。

CI/CDへの組み込み方にも共通点があります。Kiroのホームページは「ヘッドレスのCLIをCI/CDで実行し、エディタを開かずにPRのレビューやバグ修正ができる」と紹介しています。Claude Codeも-pフラグを付けた非対話モードで使えます。たとえばclaude -p "Find and fix the bug in auth.py" --allowedTools "Read,Edit,Bash"のように、プロンプトと許可ツールを指定してパイプラインから呼べます。

プロジェクト知識の置き場とモデルの選択肢

プロジェクトの規約を毎回説明しなくて済むようにする仕組みは、両者に用意があります。Kiroのsteeringは.kiro/steering/にMarkdownを置く方式で、ホーム直下の~/.kiro/steering/に置けば全ワークスペースに効きます。両者が食い違うときはワークスペース側が優先されます。製品概要のproduct.md、技術スタックのtech.md、ファイル構成のstructure.mdが基本の3ファイルで、既定でどの対話にも含まれます。KiroのsteeringのドキュメントでAGENTS.mdは対応が明記されていますが、CLAUDE.mdの記載はありません。Claude Code側は、CLAUDE.mdが無ければAGENTS.mdを読みます(v2.1.277以降)。両方あるとCLAUDE.mdだけが読まれます。

Claude Codeで育てたCLAUDE.mdをKiroでも使いたいときは、規約をAGENTS.mdに置き、CLAUDE.mdから取り込む形にすると両方で同じ内容が効きます。

モデルは、Claude CodeがAnthropicのClaudeモデル前提です。KiroはClaude系列、OpenAIのGPT-5.6系列、DeepSeekなどのオープンウェイトモデル、複雑さとコストを見てKiroが選ぶ「Auto」から選べます。単一の系列に最適化されたエージェントを使うか、タスクごとに切り替えるかが判断材料です。

料金プランを比較する

Kiroは無料プランを含む全プランがクレジット消費型です。Claude Codeは、Claude.aiのサブスクリプションプラン(月額固定で利用量に上限)またはAnthropic APIの従量課金のいずれかで利用します。

プラン階層Claude(Claude.aiサブスク)Kiro
無料Claude(Claude.aiサブスク)$0Kiro$0(50クレジット/月、オープンウェイトモデルとClaude Sonnet 4.5にアクセス)
入門有料Claude(Claude.aiサブスク)Pro: 年払い換算$17/月、月払い$20/月KiroPro: $20/月(1,000クレジット、プレミアムモデル利用可)
中位Claude(Claude.aiサブスク)—KiroPro+: $40/月(2,000クレジット)
上位Claude(Claude.aiサブスク)Max: $100/月〜(Proの5倍または20倍の利用量)KiroPro Max: $100/月(5,000クレジット)
最上位Claude(Claude.aiサブスク)—KiroPower: $200/月(10,000クレジット)
追加消費Claude(Claude.aiサブスク)APIはトークン単価の従量課金Kiro追加クレジット $0.04/クレジット

※Claudeの金額はいずれも税抜の表示価格です。日本から契約すると消費税10%が加わります(Pro月払いなら$22)。

Kiroのクレジットは、選ぶモデルで減り方が変わります。公式サイトのモデル一覧では、Autoを基準の1.0倍として、Claude Opus 5.5が2.0倍、Claude Sonnet 5.5が1.3倍、Claude Haiku 4.5が0.4倍です。Proの1,000クレジットは、Opus 5.5を使い続けるとAutoの半分の作業量で尽きる計算になります。

Kiroは新規に有料プランへ登録する際、ソーシャルログインまたはBuilder IDでの申し込みで$20分のクレジットが付与されるキャンペーンを公式サイトで案内しています(条件は変わることがあります)。

権限モデルの違い

Claude CodeのPlanモード中のシェルコマンドは、セッションの状態で扱いが変わります。autoモードが使え、useAutoModeDuringPlanが有効(既定)なら、分類器が審査して承認か拒否を決めます。autoモードが使えないか、設定を切っているときは、組み込みの読み取り専用コマンド以外は承認プロンプトが出ます。Kiroはエンタープライズ向けに、IAMおよびSSO認証、利用状況ダッシュボード、コスト管理コントロール、IP補償、ガバナンス機能を提供しています。AWSの既存のセキュリティ・信頼性・プライバシー基準に依拠するとされています。AIコーディングエージェント全般の権限モデルの違いは、Claude Code・Codex・Cursor・Devinの権限モデル比較で詳しく扱っています。

使い分け早見表

状況選択の目安理由
実装前に要件・設計・タスクを文書化してから進めたい選択の目安Kiro理由specが要件・設計・タスクを分けて生成し、IDEではproperty-basedテストで検証できる
既存のターミナル中心のワークフローに軽く組み込みたい選択の目安Claude Code理由CLI・Hooks・Skillsで既存のパイプラインに統合しやすい
AWSのIAM/SSOをそのままエージェントの認証に使いたい選択の目安Kiro理由AWSが提供・運用するエンタープライズ機能が標準で用意されている
Anthropicのモデルだけを使い続けたい選択の目安Claude Code理由Claudeモデルを前提に設計されている
モデルをタスクごとに切り替えたい(他社モデル含む)選択の目安Kiro理由Claude・GPT・オープンウェイト・Autoから選べる
クラウド上でセッションを継続させたい選択の目安どちらも対応理由Claude Codeはクラウドセッション、Kiroはクラウドサンドボックス(Kiro Web)を持つ

サンドボックス実行や隔離環境の作り方まで踏み込んで比較したい場合は、AIコーディングエージェントのサンドボックス実装比較も参考になります。ターミナル型では、Kimiモデルが標準のKimi Code CLIとの違いも整理しています。

まとめ

要件・設計・タスクの3文書を標準の成果物として残したいならKiro、計画と実行を分ける枠組みを自分のCLI中心の開発フローに合わせて組み立てたいならClaude Codeが向いています。迷うときは、小さな機能1つをQuick SpecとPlanモードの両方で試し、計画が手元にどんな形で残るかを見比べる方法があります。

参照した一次ソース

この記事の記述は、次の一次ソースと照合しています。更新時に参照先が変わった場合は一覧も更新します。

  1. kiro.dev/
  2. code.claude.com/docs/en/permission-modes
  3. code.claude.com/docs/en/hooks
  4. code.claude.com/docs/en/claude-code-on-the-web
  5. code.claude.com/docs/en/settings-reference
  6. code.claude.com/docs/en/memory
  7. kiro.dev/docs/specs
  8. kiro.dev/docs/specs/plan
  9. kiro.dev/docs/steering
  10. kiro.dev/docs/hooks
  11. kiro.dev/docs/cli
  12. kiro.dev/pricing
この記事を共有:XはてブLinkedIn