ClaudeでES(エントリーシート)を企業別に下書きし設問別に管理する
Projectsに自己分析と共通ルールを置き、企業ごとにチャットを分けてガクチカ・志望動機・自己PRを字数別に下書きする構成です。混線を防ぐ指示文の例つき。
ESの下書きは、5社、10社と応募先が増えるほど管理が崩れます。A社向けに直したガクチカがB社の文面に残る、字数違いの版がどれか分からなくなる、といった混線です。
この記事では、ClaudeのProjectsを1つだけ作り、自己分析と共通ルールを知識として置き、企業ごとにチャットを分ける構成を扱います。設問(ガクチカ・志望動機・自己PR)ごとに字数別の下書きを積み上げていく運用です。
企業ごとにプロジェクトを作らず、チャットで分ける理由
結論から言うと、プロジェクトは就活全体で1つ、企業の単位はその中のチャットです。理由は2つあります。
1つ目は上限です。Freeプランで作れるプロジェクトは最大5つです。企業ごとに1プロジェクトを作ると、5社で枠を使い切ります。
2つ目は知識の共有範囲です。プロジェクトの知識(アップロードした文書)は、そのプロジェクト内のすべてのチャットで使われます。一方、チャット同士の文脈は共有されません。知識に書き込まない限り、A社のチャットで決めたことはB社のチャットに届きません。
この性質が、ES管理では都合よく働きます。
| 置く場所 | 入れるもの | 届く範囲 |
|---|---|---|
| プロジェクトの知識 | 入れるもの自己分析メモ、エピソード一覧、共通の文体ルール | 届く範囲プロジェクト内の全チャット |
| プロジェクトの指示 | 入れるもの役割、禁止事項、出力形式 | 届く範囲プロジェクト内の全チャット |
| 企業別チャット | 入れるもの募集要項、設問文、その企業向けの下書き | 届く範囲そのチャットのみ |
自分の材料は共通で持ち、企業固有の情報は閉じた場所に置く。A社の社名や求める人物像がB社の下書きに紛れ込む事故は、この分け方で構造的に起きにくくなります。
プロジェクトの知識に置く3つのファイル
知識には、企業が変わっても使い回せる材料だけを置きます。自己分析の深掘りそのものはClaudeに質問させて自己分析を深める手順で扱っているため、ここではその出力をどう置くかに絞ります。
- エピソード一覧(1項目1エピソード、数字と役割を含める)
- 自己分析のまとめ(強み・価値観・避けたい環境)
- ES共通ルール(文体、禁止表現、字数の数え方)
エピソード一覧は箇条書きで、次のような粒度にします。
## エピソード03: 学園祭実行委員(装飾班)
- 期間: 2年秋〜3年春 / 役割: 班長(8名)
- 課題: 前年比で予算が2割減、装飾材の調達が滞った
- 行動: 廃材の提供を近隣店舗に依頼、週次で進捗表を共有
- 結果: 予算内で完成、来場者アンケートの装飾評価が前年より上昇
- 使えそうな設問: ガクチカ / チームでの役割 / 課題解決「使えそうな設問」を書いておくと、設問ごとにどのエピソードを当てるかをClaudeが選びやすくなります。エピソードを1つ選んで文章化するところまでの作法は、志望動機・自己PR・履歴書の文章を整える手順と同じ考え方です。ここでは重ねて説明せず、企業別の管理に話を移します。
共通ルールのファイルには、たとえば次のような内容を置きます。文体や字数の数え方は企業をまたいで揃えたい部分なので、知識側に持たせておく価値があります。
## ES共通ルール
- 文体: 「だ・である」調で統一(企業の指定があればそちらを優先)
- 冒頭: 結論を先に書く。「私は〜です」から始めない
- 数字: 半角。期間は「2年間」のように単位を付ける
- 字数: 空白と改行を含めて数える(企業の指定があれば従う)
- 避ける表現: 「多くを学びました」「貴社に貢献したい」など根拠のない抽象語企業ごとに文体の指定が違う場合は、共通ルールを直すのではなく、その企業のチャットの最初に「この企業は『です・ます』調」と書いて上書きします。共通ルールを書き換えると、すでに完成している他社の下書きとの整合が取れなくなるためです。
プロジェクトの指示に書く内容
指示は「Set project instructions」から設定でき、プロジェクト内のすべてのチャットに効きます。ESでは次のような内容が使えます(例)。
あなたは就職活動のES下書きの相談相手です。
- 文章は、知識にあるエピソード一覧の事実だけで書く。数字や役割を足さない。
- 事実が足りない箇所は、書かずに私へ質問する。
- 各チャットの最初に、企業名と設問を私が示す。それ以外の企業の情報は持ち込まない。
- 字数指定があれば、指定字数の90〜100%に収める。
- 下書きの末尾に「使ったエピソード番号」を1行で書く。ポイントは2つ目と3つ目です。事実を足させない指示は、盛った内容がESに入り込むのを防ぎます。企業名の宣言は、混線防止の合図として働きます。
企業別チャットの進め方
チャットは企業ごとに1つ作り、名前を「企業名_職種_締切日」のようにしておきます。最初のメッセージは、募集要項と設問文をそのまま貼るところから始めます。
企業: A社(メーカー・営業職)
募集要項の要点: (貼り付け)
設問1: 学生時代に力を入れたこと(400字)
設問2: 志望理由(300字)
設問3: 自己PR(200字)
まず、各設問にどのエピソードを当てるか、重複しない割り当てを提案してください。文章化はまだしないでください。割り当てに納得してから、設問ごとに下書きを依頼します。設問を1つずつ進めると、返ってきた文章の直しが設問単位で閉じます。
字数別の版を作る
同じ設問でも、企業によって字数は200字、400字、600字と違います。字数違いを扱うコツは、最長版を先に完成させ、そこから短くすることです。
設問1の400字版を確定しました。これを基に、同じ事実のまま
(a) 300字版 (b) 200字版 を作ってください。
削る優先順位は、結果 > 行動 > 背景の順にしてください。短い版は「削る」作業なので、削る優先順位を先に指定すると、結果や数字が消える事態を避けられます。
設問ごとに変える依頼のポイント
同じエピソードでも、設問が聞いている中身は違います。設問の種類ごとに、依頼で指定する軸を変えると、下書きの焦点がぶれません。
| 設問 | 依頼で指定する軸 | 混ざりやすい失敗 |
|---|---|---|
| ガクチカ | 依頼で指定する軸課題・行動・結果の順、自分の役割の明示 | 混ざりやすい失敗チームの成果の説明に終始して自分の行動が消える |
| 志望動機 | 依頼で指定する軸その企業を選ぶ理由と、自分の経験との接点 | 混ざりやすい失敗業界一般の魅力語りになり社名を入れ替えても通じる |
| 自己PR | 依頼で指定する軸強みの主張と、それを裏づける再現性のある事実 | 混ざりやすい失敗ガクチカと同じエピソードを同じ角度で書いてしまう |
ガクチカと自己PRで同じエピソードを使う場合は、「ガクチカは経緯、自己PRは強みの根拠」のように切り口を分けて指示します。割り当ての段階で「設問1と設問3でエピソードが重複しないようにしてください」と書いておけば、重複は早めに見つかります。志望動機は企業固有の要素が入るため、募集要項の要点を根拠として渡し、「募集要項に書かれていない企業の特徴は書かないでください」と添えると、推測で語られた企業像が混じるのを抑えられます。
面接前の見直しにつなげる
ESと面接の回答が食い違うと不利になりやすいため、提出した文面はチャット内に「提出版」として残しておきます。面接対策はClaudeを面接官役にした模擬面接で行えます。提出版が同じチャットにあれば、それを踏まえた深掘り質問を頼めます。
よくあるつまずき
エピソードを更新したのに、企業別チャットに反映されない: 知識ファイルを直しても、進行中のチャットの下書きは自動では書き換わりません。更新後は「エピソード03を更新しました。設問1の下書きに反映し直してください」と明示的に頼みます。
企業別チャットが増えて、どれが最新か分からない: チャット名に締切日を入れ、提出済みのものには名前の頭に「済」を付けると、一覧で見分けられます。提出版は、チャットの最後のメッセージにまとめて貼り直しておくと探しやすくなります。
募集要項の全文を貼ると、設問と関係ない情報に引っ張られる: 待遇や福利厚生の記述まで貼ると、志望動機に混ざることがあります。求める人物像・事業内容・設問文の3点に絞って貼ります。
過去の下書きを探す・混線を直す
企業が増えると「あのガクチカはどの企業の何字版だったか」を探す場面が出ます。有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)では、過去チャットの検索機能があり、プロジェクト内のチャットは、そのプロジェクトの範囲内でだけ検索されます。「A社の設問1の300字版を出して」のように頼めます。
なお、各プロジェクトには独立した記憶と要約があり、他のプロジェクトや通常のチャットとは分かれています。就活用の記憶が普段使いのチャットへ流れ込まないのは、この分離のおかげです。
うっかり別用途の会話をプロジェクト内で始めたときは、チャットのメニューから「プロジェクトから外す」か、別のプロジェクトへ移動できます。逆に、単独のチャットで書き始めた下書きを「Add to project」で取り込むこともできます。
知識が増えたときの挙動
エピソード一覧と自己分析だけなら、容量に困る場面はまず来ません。ただ、応募先ごとの企業研究資料まで知識に入れると増えていきます。有料プランでは、知識がコンテキストの上限に近づくとRAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。仕組みの違いはClaude ProjectsのRAG検索の仕組みと全文投入との違いにまとめています。
企業研究資料は企業別チャットに貼るほうが、混線の面でも安全です。知識には「全社共通の材料」だけを置く、という線引きを保ちます。
提出前の確認事項
下書きの管理とは別に、提出前に人間が確認すべき点が3つあります。
- 応募要項や選考ページに、AI利用や生成物の扱いについての記載がないか
- 数字・固有名詞・期間が、自分の実際の経験と一致しているか
- 社名・職種名が応募先のものになっているか
AI利用の扱いは企業ごとに異なり、本記事は特定の企業の方針を扱いません。記載があれば従い、判断がつかない場合は問い合わせ窓口に確認する、という順序です。Claudeの出力は下書きで、提出する文章の責任は自分にあります。
個人情報の扱い
ESには氏名、大学名、経歴などの個人情報が含まれます。Team・Enterpriseプランではプロジェクトを組織内で共有できるため、就活のプロジェクトは共有しない(非公開のまま)にしておきます。個人アカウントで就活を進めるのが基本です。
また、チャットの履歴や記憶に残したくない相談は、プロジェクト外のシークレットチャットで行う手があります。シークレットチャットはプロジェクトの外で始めるもので、履歴と記憶に保存されません。
就活が終わったら
内定承諾後は、プロジェクトをアーカイブすると一覧から片付けられます。アーカイブしても中のチャットには引き続きアクセスでき、削除する場合は先にアーカイブを解除する必要があります。ESの資産は次のキャリア設計にも使えるため、すぐに消さず寝かせておく選択肢もあります。
よくある質問
新しいバージョンのProjectsでも同じ運用ですか
新バージョンのProjects(ベータ)は、Claude Codeを使うPro・Maxの一部ユーザーから段階的に提供されています。チャットとCoworkの既存プロジェクトは従来どおり動く、と案内されています。この記事の構成は、従来のチャット版のProjectsを前提にしています。
企業ごとにプロジェクトを分けたほうが安全ではないですか
混線の防止という点では、チャットの分離で足ります。プロジェクト単位で分けると、共通の自己分析を企業の数だけ複製することになり、更新時にどれが最新か分からなくなります。
まとめ
ES管理の要は、プロジェクトの知識に「自分の材料」、企業別チャットに「企業固有の情報と下書き」を分けて置くことです。最も長い字数の下書きから短い下書きを作り、提出版をチャットに残せば、面接まで一貫した材料で進められます。まずはエピソード一覧を1つ作り、応募先1社のチャットから始めてください。