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生産計画の負荷山積みをClaude for Excelで作り能力超過を検算する

生産計画の負荷山積みをClaude for Excelで作り能力超過を検算する

受注・標準工数・稼働時間から週別の工程負荷を山積みし、能力を超える工程をClaude for Excelで洗い出す手順です。山崩し案の出させ方と、総工数の保存を軸にした検算までを示します。

週次の生産計画で負荷山積みを作るには、受注数量に品番ごとの標準工数を掛け、工程別・週別に合計して、工程の能力と並べます。Claude for Excelには、この集計式の組み立てと、能力を超えた工程の山崩し案づくりを任せられます。

ただし、標準工数と稼働率はブックの外にある現場の数字です。Claudeに推測させず、人が決めてブックに書いておく分担にします。この記事では、3工程・3週の小さな例で、山積みから超過の発見、山崩し、検算までを順に示します。

負荷山積みで何が分かり、Claudeに何を任せるか

負荷山積みは、工程ごとに「その週に必要な作業時間(負荷)」を積み上げ、「その週に使える時間(能力)」と比べる表です。負荷を能力で割った負荷率が100%を超える工程が、能力超過です。

超過が見つかったら、受注の着手週をずらして負荷を平らにします。これが山崩しです。

Claude for Excelに向く作業は、次の3つです。

  • 受注と工数マスタから、工程別の所要時間を出す式を組む
  • 週別の山積みと負荷率の表を作り、超過のセルに条件付き書式を付ける
  • 超過した工程について、どの受注をどの週へ動かすかの案を出す

ブックの質問には、セル単位の根拠が付きます。数字の出どころを追えるので、検算と相性が良い作業です。

一方で、標準工数、稼働率、動かしてよい受注の範囲は、Claudeには決められません。資材の入荷や顧客との納期調整は、ブックの中に書かれていないからです。

前提 — 使える環境とブックの構成

Claude for Excelは、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランで使えます。動作するのは、Excel on the web、Microsoft 365版のExcel on Windows(ビルド16.0.13127.20296以降)、Excel on Mac(バージョン16.46以降、ビルド21011600以降)です。Excel 2016と2019の永続・ボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。

ブックは次の4シートで組みます。

シート中身
受注中身受注番号、品番、数量、納期週の週初日、工程別の所要時間
工数マスタ中身品番ごとの標準工数(分/個)を工程別に並べた表
能力中身工程ごとの台数と稼働率、1日の稼働時間
負荷山積み中身週別の負荷、能力、負荷率

作業の前に、ブックを複製して作業用のコピーを作ります。Claude for Excelの案内でも、広く編集させる前に信頼できるコピーで始めることが勧められています。受注データは社内システムから出したものに限ります。外部から受け取ったファイルには、隠れた指示文が仕込まれている場合があるためです。

この記事で使う例の数字は、次のとおりです。

品番切削(分/個)溶接(分/個)組立(分/個)
A切削(分/個)3溶接(分/個)2組立(分/個)4
B切削(分/個)6溶接(分/個)3組立(分/個)2
C切削(分/個)2溶接(分/個)5組立(分/個)3

週ごとの受注数量は、41週がA200・B100・C200、42週がA600・B500・C300、43週がA400・B300・C500です。

ステップ1: 受注から工程別の所要時間を出す

最初に、受注1行ごとの所要時間(時間単位)を工程別に出します。納期週は、日付から週初日(月曜日)を求めて持たせます。

納期週の週初日 = 納期日 - WEEKDAY(納期日,2) + 1

週番号ではなく週初日で持つのは、年をまたぐ集計を取り違えないためです。週番号を返すISOWEEKNUM関数は、年内の通し番号だけを返すので、年末年始をまたぐ計画では別の年の週が同じ番号に混ざります。

Claudeへの依頼は、列の意味と単位を具体的に書きます。

「受注」シートのB列が品番、C列が数量(個)、D列が納期週の週初日です。
E〜G列に、切削・溶接・組立の所要時間(時間)を入れたいです。
「工数マスタ」シートのA列が品番、B〜D列が各工程の標準工数(分/個)です。
数量×標準工数÷60 で計算し、品番がマスタに無い行は#N/Aのままにして
ください(0で埋めないでください)。

返ってくる式は、例えば次のような形になります(公式の例ではなく、組み方の一例です)。

=$C2*INDEX(工数マスタ!B$2:B$4, MATCH($B2,工数マスタ!$A$2:$A$4,0))/60

分を時間に直す÷60が入っているか、品番が見つからないときに0でなくエラーになるかを見ます。0で埋められると、マスタ漏れの受注が山積みから静かに消えます。

ステップ2: 週別・工程別に山積みする

次に、負荷山積みシートで、受注の所要時間を週ごとに合計します。1行目に週初日を並べ、2〜4行目に工程名を置きます。

=SUMIFS(INDEX(受注!$E:$G,0,MATCH($A2,受注!$E$1:$G$1,0)),
        受注!$D:$D, C$1)

SUMIFSは、合計する範囲、条件を見る範囲、条件の順に引数を並べる関数です。ここでは、工程名に合う列を合計範囲に選び、納期週の週初日が見出しと一致する行だけを足しています。

能力は、台数×稼働率×1日の稼働時間×週の稼働日数で出します。祝日のある週は、稼働日数の行を4にします。

工程の能力(h/週) = 台数 × 稼働率 × 稼働時間(h/日) × 稼働日数

例では、切削が2台・稼働率85%、溶接が2台・稼働率80%、組立が3人・稼働率85%、1日8時間・週5日です。能力は切削68時間、溶接64時間、組立102時間になります。

負荷率は、負荷を能力で割ります。依頼文には「負荷率が100%を超えたセルに赤の条件付き書式を付けて」と添えます。条件付き書式は、Claude for Excelが直接頼める操作に挙がっています。

山積みの結果は次のとおりです。

週工程負荷(h)能力(h)負荷率
41週工程切削負荷(h)26.7能力(h)68負荷率39.2%
41週工程溶接負荷(h)28.3能力(h)64負荷率44.3%
41週工程組立負荷(h)26.7能力(h)102負荷率26.1%
42週工程切削負荷(h)90.0能力(h)68負荷率132.4%
42週工程溶接負荷(h)70.0能力(h)64負荷率109.4%
42週工程組立負荷(h)71.7能力(h)102負荷率70.3%
43週工程切削負荷(h)66.7能力(h)68負荷率98.0%
43週工程溶接負荷(h)70.0能力(h)64負荷率109.4%
43週工程組立負荷(h)61.7能力(h)102負荷率60.5%

能力超過は、42週の切削(22時間超過)、42週の溶接(6時間超過)、43週の溶接(6時間超過)の3か所です。組立はどの週も余裕があります。

ステップ3: 検算する

山積み表は、見た目が整うので、合っているかどうかの判断が甘くなりがちです。次の2つを必ず行います。

1つ目は総工数の照合です。受注側の所要時間の合計と、山積み側の負荷の合計は、本来一致します。

=SUM(受注!E2:G200) - SUM(負荷山積み!C2:E4)

差が0でなければ、集計から漏れた受注があります。納期週が表の範囲外、週初日の計算ミス、日付が文字列になっている行が典型です。

2つ目は、1セルの手計算です。42週の切削を、電卓で追います。

A: 600個 × 3分 = 1,800分
B: 500個 × 6分 = 3,000分
C: 300個 × 2分 =   600分
合計 5,400分 ÷ 60 = 90.0時間
能力 2台 × 0.85 × 8時間 × 5日 = 68時間
負荷率 90.0 ÷ 68 = 132.4%

シートの値が一致すれば、式の構造は正しいと言えます。残りのセルは同じ式の展開なので、参照のずれだけを見ます。

切り分け

総工数が合わないときの切り分け

  1. Qすべての受注の納期週が、山積み表の週の範囲に入っていますか?
    答えが入っていない

    範囲外の受注が集計から漏れています。週の列を足すか、納期週の計算を直します。

    答えがはい
  2. Qすべての品番が工数マスタにありますか?
    答えがない

    マスタに無い品番は、所要時間がエラーになり合計から外れます。マスタに工数を追加します。

    答えがはい

それでも差が出る

日付が文字列のまま入っている行を探します。見た目は日付でも、SUMIFSの条件に一致しません。

照合の考え方は、Claudeの数式・計算の精度と検算でも扱っています。数式そのものの組み立てを確認したいときは、Claude Excel関数の書き方が参考になります。

能力超過の工程に山崩し案を出させる

超過が確認できたら、山崩しの案をClaudeに出させます。ここでは、動かしてよい範囲を依頼文に書くことが肝心です。条件を書かないと、納期を破る案や、資材が無い週への前倒しが混ざります。

「負荷山積み」シートで負荷率が100%を超えたセルについて、
山崩し案を別シート「山崩し案」に作ってください。
条件:
- 動かすのは前倒しのみ。後ろ倒し(納期遅れ)は禁止
- 前倒しは最大2週まで
- 元の「受注」シートは書き換えず、動かす数量と移動先の週を一覧にする
- 動かした後の負荷率を、変更前と並べて表にする

元のシートを書き換えさせないのは、案の比較ができなくなるのを防ぐためです。Claude for Excelは既存データを上書きする前に警告を出しますが、警告に頼らず、案は別シートに出させます。

例では、42週の切削が22時間の超過です。Bは1個あたり切削6分なので、22時間は1,320分、220個にあたります。このBの220個を41週へ前倒しすると、42週の切削は68.0時間(負荷率100.0%)に収まります。

43週の溶接の6時間超過は、Cの72個(溶接5分×72個=360分)を41週へ前倒しして解消します。

動かした後の負荷率は、次のとおりです。

週工程変更前変更後
41週工程切削変更前39.2%変更後75.1%
41週工程溶接変更前44.3%変更後70.8%
42週工程切削変更前132.4%変更後100.0%
42週工程溶接変更前109.4%変更後92.2%
43週工程溶接変更前109.4%変更後100.0%

42週の溶接は、Bの220個が41週へ移った分だけ軽くなり、超過が解消しています。切削の42週と、溶接の43週は100.0%ちょうどで、余裕はありません。

山崩しのあとも、検算は同じです。移動は受注の週をずらすだけなので、総工数は変わりません。

山崩し前の総負荷 - 山崩し後の総負荷 = 0 になるか
動かした数量 × 標準工数 = 移動先の週に増えた分と一致するか

Bを220個動かすと、切削は1,320分(22時間)、溶接は660分(11時間)、組立は440分(約7.3時間)の負荷が、42週から41週に移ります。この3つの数字がシートの増減と合えば、案が数字として整合しています。

前倒しが実際にできるかは、別の話です。資材の入荷、金型の空き、顧客の受け入れ体制は、ブックには載っていません。Claudeの案は、あくまで検討の叩き台として扱います。

山積みの粗さと、使えない場面

この方法は、納期週にすべての工程の負荷を載せる簡略版です。現場の実態とずれる点を知っておきます。

  • 工程の順序を見ていない: 切削の次が溶接、その次が組立なら、後の工程の負荷は納期週より前にずれます。工程ごとに先行週数を持たせた式に直すと実態に近づきます
  • 段取替えの時間が入っていない: 標準工数が加工時間だけなら、品番の切り替えが多い週は負荷が過小になります。ロットごとの段取時間を別の列に持たせます
  • 能力が一定とみなされる: 稼働率85%は平均値です。設備の故障や人の欠勤がある週には、実際の能力が下がります
  • 山崩しの案は最適解の保証がない: 動かす候補が増えると、組み合わせはClaudeの提案以外にもあります。検算で整合を確かめたうえで、現場の判断を優先します

品質の記事にある工程能力Cpkは、ばらつきの指標です。ここでいう設備の能力(時間)とは別物で、管理図と工程能力Cpkの手順は品質データ側の話になります。

安全在庫と発注点で在庫側の前提を決めている場合は、安全在庫と発注点をClaudeにExcelで計算させ検算する手順の流れで、需要の週次集計をそのまま受注側に使えます。人員を増やす案を試算するときは、要員計画の人件費シミュレーションの組み方が受けます。

使えない機能と、データの扱い

Claude for Excelは、データテーブルとマクロ・VBA操作に対応していません。感度分析をデータテーブルで組んでいる職場では、その部分は手作業のままです。

制限事項には、検証のない最終成果物、監査上重要な計算の検証なしの利用、機密性や規制の厳しいデータを統制なしで扱うことが、推奨されない用途として挙がっています。受注先や単価が入るブックは、社内のデータ取り扱いルールと照らしてから使います。

会話履歴はブラウザ内に保存され、Anthropicのサーバーには保存されません。入出力はバックエンドで受領または生成から30日以内に削除されます。長い会話は、コンテキストを使い切らないよう自動的に新しい会話へ圧縮されます。

毎回同じ条件で頼むためのInstructions

アドインのSettingsにあるInstructionsに、書式や前提を書いておくと、Excelでのすべての会話に反映されます。PowerPointやWordの設定とは別です。

- 時間は小数第1位まで、負荷率は%表示で小数第1位まで
- 標準工数は分/個、負荷と能力は時間で持つ
- 週は週初日(月曜日)の日付で持ち、週番号は使わない
- 受注シートは書き換えず、案は別シートに作る
- 式を追加したら、参照しているセルの意味を一覧で示す

まとめ

負荷山積みは、標準工数と稼働率の置き方で結果が変わります。この2つを人が決めてブックに書き、Claudeには参照する式と山崩し案を作らせる分担にすると、数字の出どころが追えます。受注側と山積み側の総工数が一致するか、1セルの手計算が合うか。この2点を通してから、現場の資材や納期の事情と突き合わせます。

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