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Claudeで派遣の個別契約と就業条件明示書を突き合わせる手順

Claudeで派遣の個別契約と就業条件明示書を突き合わせる手順

派遣の個別契約書と就業条件明示書は、法26条と法34条でつながる2枚の書類です。記載事項の対応表と、2枚をClaudeに読ませて食い違いを洗い出す手順をまとめます。

派遣元の営業事務や派遣先の総務は、同じ派遣就業について2枚の書類を扱います。派遣元と派遣先が結ぶ派遣の個別契約書と、派遣元が派遣労働者に渡す就業条件明示書です。2枚は別々の相手に向けた書類ですが、中身は法律の上でつながっています。始業時刻や派遣先責任者が片方だけ更新されていると、現場では契約と実態がずれます。

この記事では、2枚の記載事項がどの条文でどう対応するかを表にし、PDFやWordをClaudeに読ませて食い違いを洗い出す手順を示します。派遣先の台帳の点検はClaudeで派遣先管理台帳を点検する手順、許可更新の書類は労働者派遣事業の許可更新に必要な書類をClaudeで点検する方法にあります。

個別契約書と就業条件明示書は、誰が誰に渡す書類か

個別契約書は、派遣元事業主と派遣先の間の書類です。根拠は労働者派遣法(以下「法」)26条で、契約の締結に際して一定の事項を定めるよう求めています。

就業条件明示書は、派遣元事業主から派遣労働者への書類です。根拠は法34条で、派遣元は労働者派遣をしようとするとき、あらかじめ派遣労働者に事項を明示しなければなりません。

くらべる

2枚の書類の向きと根拠

派遣元 と 派遣先

個別契約書

法26条1項で定める事項を、締結の際に決めます。施行規則21条3項により、定めた事項は書面に記載しておく必要があります。

派遣元 から 派遣労働者

就業条件明示書

法34条1項で、派遣をしようとするときにあらかじめ明示します。明示の方法は施行規則26条が定めています。

2枚をつなぐのが、法34条1項2号です。明示すべき事項に「第26条第1項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項であって当該派遣労働者に係るもの」と書かれています。つまり、契約書で定めた事項のうち、その派遣労働者に関わる部分は、そのまま明示書にも載せる設計です。

派遣先にとっても無関係ではありません。法39条は、派遣先に対し、26条1項各号の事項などに関する契約の定めに反しないよう適切な措置を講じることを求めています。契約書の記載が、現場の運用の基準になります。

契約書の10項目は、明示書のどこに現れるか

法26条1項が挙げる事項は1〜10号です。10号は「前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項」で、施行規則22条が7項目を足しています。

法26条1項契約書で定める事項明示書でのチェック点
1号契約書で定める事項従事する業務の内容明示書でのチェック点業務の表現が契約書と同じか
2号契約書で定める事項就業場所の名称・所在地、組織単位明示書でのチェック点事業所名と組織単位が一致するか
3号契約書で定める事項指揮命令者に関する事項明示書でのチェック点部署・役職・氏名が一致するか
4号契約書で定める事項派遣の期間と就業日明示書でのチェック点開始日・終了日・就業日が一致するか
5号契約書で定める事項就業の開始・終了時刻と休憩時間明示書でのチェック点時刻と休憩の分数が一致するか
6号契約書で定める事項安全及び衛生に関する事項明示書でのチェック点記載の有無と内容
7号契約書で定める事項苦情の申出を受けた場合の処理明示書でのチェック点窓口・処理方法が一致するか
8号契約書で定める事項契約解除時の雇用の安定措置明示書でのチェック点新たな就業機会の確保や休業手当の費用負担の定め
9号契約書で定める事項紹介予定派遣の場合の紹介に関する事項明示書でのチェック点紹介予定派遣の旨と内容
10号契約書で定める事項省令で定める事項明示書でのチェック点下の表で確認

法26条1項柱書は、これらの事項に加えて、内容の差異に応じた派遣労働者の人数を定めるよう求めています。人数は契約書側の事項で、明示書は派遣労働者ごとに作るため、人数の欄は対応しません。

10号に当たる施行規則22条の7項目は次のとおりです。

施行規則22条事項
1号事項業務に伴う責任の程度
2号事項派遣元責任者・派遣先責任者に関する事項
3号事項就業日以外の就業、就業時間の延長ができる旨を定めた場合の、その日または時間数
4号事項診療所等の施設利用、制服の貸与など福祉の増進のための便宜供与を定めた場合の内容と方法
5号事項派遣終了後に派遣先が派遣労働者を雇用する場合の通知・手数料などの紛争防止措置
6号事項派遣労働者を協定対象の派遣労働者に限るか否かの別
7号事項派遣労働者を無期雇用の派遣労働者などに限るか否かの別

3号の時間外・休日の定めは、見落としやすい項目です。契約書に「延長できる時間数」を書いてあるのに、明示書には所定の時刻しか書かれていない、という食い違いがここで出ます。

契約書の側に、追加で載せるもの

契約書には、26条1項の事項のほかに、次の内容を同じ書面に記載します。

  • 派遣元が許可を受けている旨。法26条3項により、契約締結の前に派遣元が明示します。施行規則21条4項で、派遣先は明示された内容を契約の書面に併せて記載します
  • 派遣業務に政令4条1項各号の業務が含まれるときは、該当する号番号。日雇労働者の派遣が行われないことが明らかな場合は不要です(施行規則21条2項)
  • 紹介予定派遣、産休・育休代替など特定の類型のときの追加事項(施行規則22条の2)

許可の明示は、契約書側の確認項目です。法34条1項の明示事項には許可を受けている旨が挙がっていないので、2枚の突き合わせとは分けて、契約書単体のチェックにします。

明示書にだけ載る項目

明示書は契約書の写しではありません。法34条1項は、26条1項の事項に加えて次を明示するよう定めています。

法34条1項内容
1号内容労働者派遣をしようとする旨
2号内容26条1項各号の事項などで、その派遣労働者に係るもの。省令事項として、施行規則26条の2が、社会保険等の加入確認書類が行政機関に提出されていない場合の具体的な理由を定める
3号内容組織単位の業務について、派遣元が法35条の3に抵触することとなる最初の日
4号内容就業場所の業務について、派遣先が法40条の2第1項に抵触することとなる最初の日

3号と4号は、いわゆる期間制限の抵触日です。ただし、労働者派遣が法40条の2第1項各号のいずれかに該当する場合は、3号と4号を除いて明示します。契約書に「法40条の2第1項の例外に当たる」ことを示す記載がある派遣では、抵触日がなくても欠落ではありません。

法34条3項は、派遣先が一定の違法な行為をした場合に労働契約の申込みをしたものとみなされる旨を、併せて明示するよう定めています。この文言が定型の明示書に入っているかも、確認の対象です。

派遣料金は別の条文です。法34条の2は、労働者を雇い入れようとする場合と、派遣をしようとする場合などに、派遣料金の額を明示するよう定めており、施行規則26条の3が方法を定めています。就業条件明示書とは別の書面に載せる運用もあるため、この記事の突き合わせ表には含めていません。

明示の方法と時期の確認

内容が合っていても、明示の方法が足りない場合があります。施行規則26条は、明示を次のいずれかで行うよう定めています。

  • 書面の交付
  • 派遣労働者が希望した場合に限り、ファクシミリの送信
  • 派遣労働者が希望した場合に限り、電子メール等の送信

派遣の実施に緊急の必要があってあらかじめ上記の方法によれない場合は、先に別の方法で明示したときに限り例外になります。この場合も、派遣労働者から請求があったとき、または派遣の期間が1週間を超えるときは、派遣の開始後に遅滞なく、上記のいずれかの方法で明示します。

点検では、明示書の発行日と派遣開始日を並べて、開始日より前に渡されているかを見ます。メールで送っている場合は、派遣労働者がメールでの明示を希望したことが、どこかに残っているかも確認材料になります。

Claudeに2枚を突き合わせさせる手順

条文との対応が分かれば、あとは反復作業です。Claudeに向くのは、2枚の書類から項目を抜き出し、同じ項目同士を並べて差を出す部分です。

手順

突き合わせの進め方

  1. 1

    項目の表を先に固定する

    上の2つの表を、チェック項目のリストとして使います。リストは派遣元と派遣先で共通の物差しにして、Claudeには「リストにない指摘はしない」と伝えます。

  2. 2

    2枚をそれぞれ項目の表にする

    個別契約書と就業条件明示書を、同じ会話に添付します。PDFでもWordでも構いません。スキャン画像の場合は、先に文字が読めているかを確認します。

  3. 3

    項目ごとに一致・不一致・記載なしを出させる

    結果は文章でなく表で返させます。不一致には、両方の記載を引用符つきで並べさせます。

  4. 4

    判断が要る差だけを人が見る

    表現の違いなのか、実質の違いなのかは、案件の事情で変わります。Claudeの判定は一次選別に使います。

Claudeのプロジェクト機能を使うと、チェック項目の表と指示文を保存して、案件ごとに使い回せます。プロジェクトにはナレッジとして書類を置け、プロジェクトごとの指示も設定できます。チェック項目はプロジェクト指示に、個別の契約書と明示書は会話に添付する分担が扱いやすい構成です。

プロジェクトの指示に入れる文面の例です。

あなたは派遣元の営業事務の補助です。
添付された「派遣の個別契約書」と「就業条件明示書」を、
次の項目で突き合わせてください。
 
【項目】
業務内容 / 就業場所と組織単位 / 指揮命令者 / 派遣期間 / 就業日 /
始業・終業時刻 / 休憩時間 / 安全衛生 / 苦情処理 / 契約解除時の措置 /
業務に伴う責任の程度 / 派遣元・派遣先責任者 /
就業日以外の就業・時間外の定め / 福祉便宜供与 /
派遣終了後の雇用に関する定め / 協定対象の派遣労働者の別 / 無期雇用等の別 /
抵触日(組織単位・事業所単位)/ 労働契約申込みみなしの明示
 
【出力】
1. 項目ごとに、契約書の記載・明示書の記載・判定(一致/不一致/片方に記載なし)の表
2. 判定が不一致のものは、両方の原文を引用する
3. 書類に書かれていないことを推測で補わない。読めない箇所は「判読不能」とする

出力の例として、次のような表が返ってくる形を想定します。実際の文言は書類によって変わります。

| 項目 | 契約書 | 明示書 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 始業・終業時刻 | 9:00〜18:00 | 9:00〜17:30 | 不一致 |
| 休憩時間 | 60分 | 60分 | 一致 |
| 就業日以外の就業 | 月10時間まで延長可 | 記載なし | 片方に記載なし |

件数が多い派遣元では、書類を表計算に落としてから機械的に比べる手もあります。Claudeにコードを書かせて実行させ、結果の差分だけを読む形です。書類ごとに抜き出した項目を、次のようなCSVにします。

項目,契約書,明示書
始業時刻,09:00,09:00
終業時刻,18:00,17:30
休憩分,60,60

差分を出す短いスクリプトは次のとおりです。

import csv
 
with open("check.csv", encoding="utf-8") as f:
    for row in csv.DictReader(f):
        if row["契約書"].strip() != row["明示書"].strip():
            print(f'不一致: {row["項目"]} 契約書={row["契約書"]} 明示書={row["明示書"]}')

文字列の完全一致で比べるので、「9時」と「09:00」のような表記ゆれは不一致として出ます。抜き出す段階で、時刻は24時間表記、日付は和暦か西暦のどちらかにそろえるよう指示しておくと、ノイズが減ります。

食い違いを見つけたあとの読み方

不一致が出たときは、どちらが正かを先に決める必要があります。順序は決まっていて、契約書が派遣元と派遣先の合意、明示書はそれを派遣労働者に伝える書類です。契約書が変更されたのに明示書が古いままなら、明示書を直します。

逆に、派遣労働者との間で実態が変わっており契約書が古いなら、契約書の変更が先です。派遣先は法39条により契約の定めに反しない措置を講じる立場なので、契約書が実態と離れたままの状態は、派遣先の運用上も問題になりえます。

Claudeが「片方に記載なし」と返した項目は、次の3つに分けて見ます。

  • 該当する取り決めが、そもそもない(例: 福祉便宜供与を定めていない)
  • 取り決めはあるが、片方の書類に書き忘れている
  • 抵触日のように、派遣の類型によって明示が不要になっている

1つ目と3つ目は、欠落ではありません。Claudeには「この項目は定めがない場合は記載不要」と、項目ごとの条件を指示文に書いておくと、誤った指摘が減ります。

法令の解釈や、実際の書類が適法かどうかの最終判断は、派遣元責任者や社労士などの担当者が行います。2枚の書類の食い違いを洗い出す作業は、判断の前段階にあたります。

よくあるつまずき

  • 契約書が更新契約のたびに変わるのに、明示書のひな形が古いまま: 派遣期間を更新すると、法26条1項4号の事項が変わります。更新のたびに明示書も新しい内容で渡されているかを見ます
  • 組織単位の表記がずれる: 契約書は「営業部営業一課」、明示書は「営業部」のように粒度が違うと、同じ組織単位か判断できません。Claudeには、粒度が違う場合を「不一致」でなく「要確認」と分けさせると扱いやすくなります
  • 協定対象の派遣労働者の別: 施行規則22条6号は、派遣労働者を協定対象の派遣労働者に限るかどうかを契約書で定めるよう求めています。派遣労働者本人に関わる区分なので、明示書の側にも同じ区分が反映されているかを確認します
  • 個人情報の扱い: 明示書には派遣労働者の氏名などが載ります。Claudeに渡す前に、社内の個人情報の取扱いルールで、外部サービスへ入力してよい範囲を確認します
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