Claudeで個別支援計画の原案を整える手順 — 面談記録とアセスメントから
サービス管理責任者が、面談記録とアセスメントから個別支援計画の原案をClaudeで整える手順です。省令の記載事項に沿った並べ方と、本人・家族向けの説明文への言い換え方を示します。
個別支援計画の原案づくりでClaudeに任せられるのは、アセスメントの結果を省令が求める記載項目に並べる作業と、本人・家族に説明するための言い換えです。面接そのもの、課題の優先順位、支援方針の決定はサービス管理責任者の仕事として残ります。
この記事は、面談記録とアセスメントシートが手元にある状態から、原案を作って説明・同意に進むまでの手順をまとめます。相談支援専門員が作るサービス等利用計画案の下書きはClaudeでサービス等利用計画案を下書きする手順が扱っています。事業所側の個別支援計画は、その計画を受けて作る別の書類です。
原案づくりは、省令の手順のどこに当たるか
個別支援計画は、指定障害福祉サービスの事業者が作る計画です。指定基準(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準)の第3条第1項は、利用者の意向、適性、障害の特性その他の事情を踏まえた計画を作り、それに基づいて支援し、効果を継続的に評価するよう定めています。
作成の手順は、療養介護の章にある第58条が詳しく書いています。生活介護、自立訓練、就労移行支援などは、この条文を計画の名称だけ読み替えて準用しています。自分の事業所のサービスの章で、準用の読み替えを一度確かめてください。
省令が定める個別支援計画の流れ
- 1
アセスメント
サービス管理責任者が利用者に面接して行います。面接の趣旨を説明し、理解を得ることが条件です(第4項)。
- 2
原案の作成
アセスメントと支援内容の検討結果をもとに、サービス管理責任者が原案を作ります(第5項)。
- 3
会議で意見を聞く
利用者と担当者を集めた会議で、生活に対する意向を改めて確認し、原案への意見を求めます(第6項)。
- 4
説明と文書での同意
原案を利用者または家族に説明し、文書で利用者の同意を得ます(第7項)。
- 5
交付とモニタリング
作成した計画を利用者と相談支援事業者に交付します(第8項)。その後は実施状況の把握と見直しを続けます(第9項)。
Claudeが入れるのは2番目の「原案の作成」と、4番目の説明用の文章です。1番目のアセスメントは面接を省けず、3番目の会議は人が集まって行うものです。Claudeに渡す材料は、面接を終えたあとの記録に限ります。記録にない事情を推測で補わせると、アセスメントの実体がない原案ができあがります。
原案に必要な項目は、第58条第5項が挙げている
条文は、原案に書く事項を次のように挙げています(療養介護の章の第58条第5項。ほかのサービスでは計画の名称が読み替えられます)。
| 項目 | 条文の言い方 |
|---|---|
| 本人・家族の意向 | 条文の言い方利用者及びその家族の生活に対する意向 |
| 支援の方針 | 条文の言い方総合的な支援の方針 |
| 課題 | 条文の言い方生活全般の質を向上させるための課題 |
| 目標 | 条文の言い方サービスの目標及びその達成時期 |
| 留意事項 | 条文の言い方サービスを提供する上での留意事項等 |
加えて、事業所が提供するサービス以外の保健医療サービスや福祉サービスとの連携も、原案に位置付けるよう努めると定められています。条文は記載事項を挙げているだけで、様式の指定はありません。様式は事業所ごとに持っているものを使い、Claudeにはその項目の並びを渡します。
Projectsに様式と指示文を置く
毎回、様式と注意事項を貼り直すのは手間です。ClaudeのProjectsには、プロジェクトごとのナレッジと指示文を置けます。ナレッジに置いた内容は、そのプロジェクト内のすべてのチャットで使われます。指示文は「Set project instructions」から設定し、プロジェクト内のすべてのチャットに効きます。無料プランでも作れますが、プロジェクトは5つまでです。
一方で、同じプロジェクト内でもチャットをまたいで文脈は共有されません。ナレッジに入れない限り、前のチャットで渡した利用者の情報は次のチャットに引き継がれません。この性質は、利用者ごとにチャットを分ける運用にそのまま使えます。
置き分けの考え方は次のとおりです。
- ナレッジに置く: 事業所の計画書様式の項目、目標の書き方の例(個人が特定できないもの)、事業所の用語の決まり
- チャットに貼る: 特定の利用者の面談記録とアセスメント結果
- どちらにも置かない: 氏名、住所、受給者証番号、医療情報の詳細
利用者の情報は、イニシャルや記号に置き換えてから貼ります。事業所の個人情報の取り扱い規程や、利用するプランでの入力データの扱いは事前に確認してください。個人情報を伴う業務での設計は、保有個人データの開示請求対応をClaudeで整えるでも別の角度から触れています。
指示文の例を示します。以下は一例で、事業所の様式に合わせて書き換えます。
あなたはサービス管理責任者の下書き補助です。
入力は、面談記録とアセスメント結果です。
- 記録にない事実を補わない。不明な項目は「記録なし」と書く
- 本人の言葉は、引用符で囲んだままにし、言い換えない
- 支援者の所見は「所見」と明示し、本人の意向と混ぜない
- 判断は私が行う。優先順位の提案はしない
- 出力は、本人・家族の意向 / 総合的な支援の方針 / 課題 /
目標と達成時期 / 留意事項 / 他サービスとの連携 の順手順1: 面談記録を意向・事実・所見に仕分ける
原案に入る前に、記録を意向・事実・所見に分けます。条文が「利用者及びその家族の生活に対する意向」を最初に挙げているのは、意向が計画の出発点だからです。意向と支援者の見立てが混ざったまま原案に入ると、本人の希望として書かれたものが実は事業所の希望だった、という計画ができます。
次の面談記録を、A〜Dに仕分けてください。
A. 本人の意向(本人の言葉をそのまま)
B. 家族の意向(同上)
C. 事実(日常生活の状況、できること、困っていること)
D. 支援者の所見(記録者の見立て)
どれか判断がつかない記述は E「要確認」に入れ、理由を一言添えてください。
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(面談記録をここに貼る)Eの「要確認」が出たら、そこが担当者に聞き直す箇所です。たとえば、本人の発言なのか家族の発言なのかが記録から読み取れない場合です。仕分けはClaudeが速いのですが、確認は人がします。
本人が自分の意思を決めることに困難を抱えている場合、条文はアセスメントで本人の意思や選好、判断能力を丁寧に把握するよう求めています(第3項)。この把握はClaudeの推測で代えられません。本人の表情や行動から意向を読み取った記述があれば、それは所見(D)に分類して、意向(A)とは別に扱います。
手順2: 項目の順に原案を下書きさせる
仕分けが済んだら、条文の項目順に原案を作らせます。ここで効くのは、課題と目標を分けて出させることです。課題は「生活全般の質を向上させるため」のもの、目標は達成時期を伴うものと、条文が別々に挙げています。
仕分け結果をもとに、個別支援計画の原案を下書きしてください。
項目は、本人・家族の意向 / 総合的な支援の方針 / 課題 /
目標と達成時期 / 留意事項 / 他サービスとの連携 です。
- 各課題には、根拠にした記録の箇所(A〜Dの番号)を添える
- 達成時期は、記録に書かれていなければ「要決定」とする
- 本人の意向(A)に対応する目標がない場合は、その旨を最後に列挙する最後の指示が点検になります。意向と目標の対応が欠けている箇所を、Claudeに一覧させるわけです。たとえば、一人暮らしへの希望が意向にあるのに、目標が日中活動の定着だけになっている場合です。それが事業所の判断で妥当なら、その理由を原案に書き添えます。
出力例は次のような形になります(書式の一例です)。
【課題2】 買い物の金額管理に不安がある
根拠: C-3(レジで金額を数え間違える場面の記録)、A-2(「自分で買い物に行きたい」)
目標(案): 3か月後までに、事業所の支援員と一緒に予算内で買い物ができる
達成時期: 要決定Claudeが書く目標は案です。達成時期を埋めさせず「要決定」と出させるのは、時期を決めるのが会議と本人の同意を経る人の判断だからです。
手順3: 会議にかける前に、原案を点検する
原案ができたら、会議に出す前に二つの点検をします。
- 意向の取りこぼし: 記録のA・Bに書かれた意向のうち、原案のどの課題・目標にも触れていないものを挙げさせる
- 事実の混入: 原案の中に、記録にない記述が入っていないか、根拠の番号を頼りに確かめる
後者は、人が根拠番号をたどって確認します。Claudeに「問題なし」と答えさせて済ませない運用が安全です。
会議では、原案への意見を求めたうえで内容を修正します。修正後の版を説明に使うので、会議の指摘をそのまま貼り、原案のどこを直したかを差分で出させておくと、説明・同意の場で変更点を伝えやすくなります。
手順4: 本人・家族向けの説明文に言い換える
第7項は、原案を利用者またはその家族に説明し、文書で利用者の同意を得ることを求めています。計画書の文面は、事業所の側の用語で書かれがちです。説明用の文面は別に作ります。
次の原案を、本人に説明するための文章に言い換えてください。
- 一文は短く、難しい言葉は使わない
- 「あなたが言っていたこと」「これから一緒にやること」の順に書く
- 原案にない約束や見通しを足さない
- 本人の言葉は、そのまま使う言い換えで怖いのは、原案にない約束が入ることです。たとえば、「必ずできるようになります」のような言い切りです。指示文で禁じたうえで、出てきた文章を人が読み、原案と食い違う箇所がないかを確かめます。
本人の理解の仕方に合わせた形(ルビを振る、絵や写真を足す、短い項目に分ける)は、本人をよく知る担当者が決めます。Claudeには「この形にしてほしい」という条件を渡し、文面の下書きだけを頼みます。
よくあるつまずき
落とし穴
原案が整いすぎて、本人の声が消える
Claudeは文章を整えるので、本人の言葉が計画書の言葉に置き換わりやすくなります。意向の欄は引用符つきで本人の言葉を残し、整えるのは課題・目標・留意事項の欄に限ります。
- 達成時期が勝手に埋まる: 「要決定」と出すよう指示文に書き、埋まっていたら削除します。
- 前回の計画の内容が混ざる: 利用者ごとにチャットを分けます。更新時は、前回の計画を意図して貼ったうえで、変更点だけを聞きます。
- ほかのサービスとの連携が空欄になる: 連携先の情報が記録になければ、「記録なし」のままにし、相談支援専門員に確認する事項として残します。
見直しの周期は、サービスによって違う
原案を作って終わりではありません。第9項は、計画の作成後に実施状況の把握(モニタリング)を行い、少なくとも6か月に1回以上、計画の見直しを行うと定めています。ただし、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、自立生活援助では、準用の読み替えにより「6月」が「3月」になります。
見直しの際にも、同じ手順が使えます。前回の計画とこの期間の支援記録を渡し、目標ごとに「達成した / 途中 / 変化なし」の根拠を記録から拾わせます。この判定は案で、サービス管理責任者が決めます。
なお、利用者の指定申請や事業所の書類点検の側は障害福祉サービスの指定申請書類をClaudeで点検する方法で扱っています。日々の個別支援計画とは別の書類群です。
まとめ
Claudeに任せるのは、記録の仕分け、項目順の下書き、意向と目標の対応の洗い出し、説明文への言い換えです。アセスメントの面接、課題の優先順位、達成時期、同意の取得は人が行います。条文の項目順に原案を作らせると、抜けが「記録なし」「要決定」として表に出ます。それを埋めるのが、サービス管理責任者の仕事です。