ClaudeとLILTを連携する方法 — 翻訳ジョブをMCPで依頼する
LILTコネクタをClaudeに追加し、翻訳の依頼からジョブの確認、ダウンロードまで会話で回す手順です。接続URLの食い違い、Claude Codeでの登録、管理者の設定、3種類の検証レベルをまとめます。
ClaudeとLILTの連携とは — 翻訳ジョブを会話から発注する
LILTコネクタは、LILTの企業向け翻訳機能をClaudeの会話から呼び出せるようにするConnectorです。開発元はLILT自身で、Connectorsディレクトリでは生産性カテゴリに分類され、Anthropic verifiedの表示があります。追加時期は2026年1月、サインインが必須です。
ディレクトリの説明文は「高品質な翻訳を、人による検証つきで」という趣旨です。ブランド固有の文脈を反映した翻訳を、カスタマイズされたAIか人による検証つきの翻訳で依頼できると書かれています。
Claudeだけでも翻訳はできます。LILTを挟む意味は、既存のLILTアカウントの権限、モデル、データソースをそのまま使い、ファイル翻訳をジョブとして発注できる点にあります。LILTの資料も、接続先は「ユーザーが持つLILTアカウント」で、権限とアクセス範囲は同じだと説明しています。アカウントを持たない人が、コネクタだけで始めることはできません。
同じ翻訳系では、用語集とスタイルルールを効かせるDeepLコネクタがあります。LILTのツール構成は、テキスト翻訳に加えてファイルのジョブ管理(状況確認・ダウンロード)を含むのが特徴です。
使えるツール — 5つとその役割
ディレクトリに載っているツールは次の5つです。
| ツール | 名前から読める用途 |
|---|---|
translate_text | 名前から読める用途テキストの翻訳 |
translate_files_with_verification | 名前から読める用途検証つきのファイル翻訳 |
get_credit_balance_information | 名前から読める用途クレジット残高の情報 |
check_job_status | 名前から読める用途ジョブの状況確認 |
download_job | 名前から読める用途ジョブの成果物の取得 |
ディレクトリのページはツール名を列挙するだけで、引数や戻り値の説明は載っていません。表の右列はツール名から読み取れる範囲の用途で、実際の挙動は接続後にClaudeが表示するツール説明で確かめます。
ファイル翻訳は、発注して終わりではありません。translate_files_with_verification で依頼し、check_job_status で進み具合を見て、完了したら download_job で受け取る流れが、ツール構成から想定できます。人による検証が入るジョブは即時には返らないため、状況確認のツールが別にあると考えられます。
接続手順 — Claude DesktopとClaude Codeで入口が違う
LILTのサポート記事は、Claude Desktopとターミナル版のClaude Codeの2つの手順を載せています。
Claude Desktopで追加する
サポート記事の手順は、カスタムコネクタを追加する形です。
Claude DesktopでのLILT追加
- 1
コネクタの画面を開く
Claude Desktopで「Customize」から「Connectors」へ進み、プラス(+)のアイコンから「Add custom connector」を選びます。
- 2
名前とURLを入れる
Nameに
LILT、Remote MCP URLにLILTが示すURLを入力し、「Add」を押します。 - 3
サインインする
「Connect」を押し、LILTのログイン情報でOAuthの認証を済ませます。
- 4
新しい会話を始める
導入直後は、必ず新しいチャットを開きます。既存の会話では、LILTのツールが読み込まれない場合があります。
ディレクトリに掲載済みのコネクタなので、ディレクトリのLILTのページから「Add to Claude」で追加する経路もあります。LILTのサポート記事が載せているのはカスタム追加の手順だけで、ディレクトリ経由の画面遷移は説明していません。
接続URLが資料で食い違っている
接続先のURLは、2つの資料で別の値が書かれています。
| 資料 | 書かれているURL |
|---|---|
| Connectorsディレクトリ | 書かれているURLhttps://mcp.lilt.com/mcp |
| LILTのサポート記事 | 書かれているURLhttps://mcp-enterprise.lilt.com/mcp |
サポート記事の見出しは「LILT Enterprise MCP」で、ホスト名にもenterpriseが入っています。2つの資料は、どちらのURLがどの契約に対応するかを説明していません。ディレクトリから追加する場合は掲載されたURLが自動で使われるので、気にする必要はありません。カスタム追加で手入力するときは、契約に合うURLをLILTのアカウント担当に確認してから入れるのが確実です。
Claude Codeに登録する
Claude Codeでは、リモートMCPサーバーとして claude mcp add で登録します。サポート記事の手順は次のとおりです。
claude mcp add --transport http LILT \
https://mcp-enterprise.lilt.com/mcp登録後は claude を起動し、/mcp コマンドでLILTを選んで「Re-authenticate」を実行します。ブラウザーでLILTのアカウントにログインすれば完了です。管理設定でプラグイン以外のMCP追加を止めている環境では、登録そのものが失敗します。その場合の見分け方はclaude mcp addが失敗する原因にあります。
プロンプトに「LILT」と書く
サポート記事は、最初の依頼に「LILT」という語を入れるよう勧めています。例は「Ask LILT to...」の形です。会話にはほかの翻訳手段もあるため、LILTのMCPに振り分けられるようにするための工夫です。
LILTを使って、この製品マニュアルのPDFを日本語に翻訳して。
人による検証つきで。完了したらジョブの状況を教えて。上は公式が示す書き方に沿った例文で、実際の応答を再現したものではありません。ポイントは次の2つです。
- 「LILTを使って」と明示する。書かないとClaudeが自前で翻訳を始めることがある
- 検証の有無を依頼文に書く。ツール名に
with_verificationを含むものがあり、検証を挟むかどうかは依頼側の意図に左右される
発注前に費用が気になる場合は、クレジット残高のツールで残りを確かめてから大きなファイルを投げる流れが取れます。クレジット残高を返すツールが用意されているので、費用の見当はClaudeの画面を離れずにつけられます。
3つの検証レベル — 依頼前に選び方を決める
LILTは翻訳の検証度合いを3段階で説明しています。ここは、Claudeに依頼する前に読者が決めておく部分です。
| 方式 | 内容 | 向く用途 |
|---|---|---|
| AI Translate | 内容LILTのAIが翻訳する | 向く用途速度、大量、社内向け |
| Agent verified | 内容AIが翻訳し、AIレビュー担当が各セグメントを確認・修正する | 向く用途人手を待たずに品質を上げたいとき |
| Expert verified | 内容AIが翻訳し、人の専門家が確認する | 向く用途顧客向けや重要度の高い内容 |
Agent verifiedはベータ版の位置づけで、配信は通常3時間以内です。100%一致と101%一致のセグメントはAIレビューを飛ばし、承認済みの訳がそのまま残ります。
この方式は、画像・音声・アーカイブのファイル、字幕のない動画、ICU複数形のコンテンツ、前処理や後処理が必要なファイルには使えません。非対応のファイルを混ぜると、LILTの画面ではAgent verifiedの選択肢そのものが出なくなります。
もう1つの制約は、発注後にファイルを足せないことです。追加で訳したいファイルが出たら、新しいジョブとして出し直します。Claudeの会話で依頼するときも、渡すファイルは最初にそろえておきます。
Agent verifiedの訳文はLILTのデータソースに「AI Reviewed」の印つきで保存されます。以降の翻訳の一貫性には使われますが、カスタムモデルの学習には使われません。人の専門家が確認した時点で、人手で検証された訳として学習に使える扱いに変わります。
MCP経由では、LILTのアシスタントと同様に翻訳オプションを提示されたときにAgent verifiedを選ぶ形だと説明されています。コネクタ経由でどのレベルを指定できるかは、ツールの引数の説明が公開されていないため、実際の画面で確かめることになります。
Expert verifiedの流れでは、LILT上で「Receive an expert-verified translation」を有効にし、納品前に自社でも確認するか(Customer Verification)を選べます。PDFや画像では、抽出したテキストを翻訳前に確認する設定もあります。スキャン文書を扱うなら重要です。
これらはLILT側のアカウントや組織で決めておく項目です。Claudeからの依頼文で毎回指定するものではないため、会話で発注する前にLILTの画面で既定値を確かめておきます。LILTの管理者は、Agent verifiedを既定の選択肢にしたり、チームに使わせたくない選択肢を隠したりする設定も持っています。
管理者がやること — MCPの有効化と接続の取り消し
LILT側の管理者は、組織全体でMCPの利用をオンオフできます。管理画面は「Manage」の下部にある「MCP」の項目です。
- 組織全体のトグルで、LLM経由の接続を許可するか決める
- 接続中のAIクライアント(Claude、ChatGPT、Gemini、Copilotなど)と状態を一覧で見る
- クライアントごとに、接続しているユーザーを確認し、個別の接続を取り消す
Claudeで追加したのに認証が通らないときは、LILT側でMCPが無効になっている可能性があります。Claudeの設定を疑う前に、LILTの管理者に確認します。逆に、離職者や担当替えの際は、このページから個別の接続を失効できます。
つまずきやすい点
- 追加直後の既存チャットでツールが見えない: 新しいチャットを開く
- 依頼してもLILTが呼ばれない: 依頼文に「LILT」と明記する
- 認証画面でログインできない: LILTの既存アカウントが必要。権限は通常のLILTと同じ
- 接続URLが通らない: ディレクトリ値と企業向け値のどちらが契約に合うか、LILTに確認する
- ジョブがすぐに返らない: 検証つきのジョブは時間がかかる。状況確認のツールで追う
まとめ
LILTコネクタは、既存のLILTアカウントを持つ組織が、翻訳ジョブの発注から受け取りまでをClaudeの会話に寄せる仕組みです。個人が手軽に試す翻訳ツールではなく、検証レベルと契約が先にある業務向けの接続だと捉えると判断しやすくなります。
迷うのは接続URLと検証レベルの2点です。どちらも資料だけでは決まらないため、導入前にLILTの担当へ確認し、最初は短い文書で check_job_status まで通して挙動を見ておくと、本番のファイルで慌てずに済みます。