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取引先の反社チェックをClaudeのResearchで進め、記録を残す手順

取引先の反社チェックをClaudeのResearchで進め、記録を残す手順

新規取引先の反社チェックで、公開情報の調査をClaudeのResearchに任せる範囲と、確認日・検索語・結果を記録として残す書き方を、記録票の例つきで説明します。

反社チェックは「調べた事実」を残すところまでが仕事

新規の取引先を登録するとき、反社会的勢力との関係がないかを確かめる作業は、検索して終わりにはなりません。法務省が公表している政府指針は、相手方が反社会的勢力かどうかについて「常に、通常必要と思われる注意を払う」ことを求め、疑いが生じた時点で速やかに関係を解消するとしています。後から「どう注意を払ったか」を説明するには、調べた事実が記録に残っている必要があります。

この調査の前半、つまり公開情報を横断して集める部分は、ClaudeのResearch機能に向いています。Researchは複数回の検索を積み重ね、出典付きのレポートにまとめる調査機能です。一方、結果の判定と記録の保管は人が行います。

この記事では、Researchに任せる範囲、依頼文の型、確認日・検索語・結果を残す記録票の書き方を順に扱います。取引先の与信を定期的に見直す流れはClaudeで取引先与信の見直しを進める手順にあり、ここでは新規登録時の反社チェックに絞ります。

政府指針が求める確認と、Researchの守備範囲

政府指針(企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針)が、取引先に関して企業に求めている点を挙げます。

指針の要点

取引先の確認に関わる指針の項目

  • 相手方の確認

    反社会的勢力かどうかについて、常に通常必要と思われる注意を払う。

  • 疑いが出たとき

    判明した時点、または疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消する。

  • 契約書の条項

    契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入する。

  • 情報の集約

    取引先の審査に使うため、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築し、暴追センターや他企業等の情報で更新する。

指針の脚注は、反社会的勢力を捉えるときに「暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロなど」という属性と、「暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求」という行為の両方に着目することを求めています。指針の解説でも、属性要件と行為要件を組み合わせる考え方が示されています。

Researchが調べられるのは、Web上の公開情報と、接続済みの社内コンテキスト(Gmail・Googleカレンダー・Googleドキュメントなど)です。これを指針の項目に当てはめると、役割は次のように分かれます。

確認の中身Researchに任せる人が行う
取引先名・代表者名に関する報道の収集Researchに任せる○ 出典と日付つきで一覧化人が行う同名の別人・別法人の除外
行為要件(不当要求・事件に関する報道)Researchに任せる○ 検索語を変えて複数回調べる人が行う報道内容の重さの判断
属性要件(暴力団関係企業などか)Researchに任せる△ 公開情報にある範囲まで人が行う外部専門機関への照会
社内データベースとの照合Researchに任せる×人が行う反社対応の担当部署
取引可否の決定Researchに任せる×人が行う決裁権限者

属性の判断は、公開情報だけでは完結しません。指針は、平素から警察や暴追センター、弁護士といった外部専門機関と連携することを求めています。公開情報に出てこないことは、問題がないことの証明にはなりません。この記事の手順は、あくまで一次スクリーニングです。

Researchを使う準備

Researchは、Pro / Max / Team / Enterpriseのいずれかの有料プランで、Web版・Claude Desktop・モバイルアプリから使えます。Researchを動かすにはウェブ検索がオンになっている必要があります。

起動の手順は、チャット入力欄の左下にある「+」ボタンから「Research」を選ぶだけです。有効になると、入力欄の下に青いインジケーターが出ます。もう一度押せば無効になります。

有効にしても調査が始まらないことがあります。そのときは「Claude, please use the research tool to…」のように、Researchの使用を文中で指示すると動きます。Researchを一度の依頼で何度も回すと、通常の会話より早く利用上限に近づく点にも注意が要ります。利用上限は通常の会話と同じ枠で、複数の情報源を取得して包括的な回答を返すぶん、消費が早いと説明されています。

Researchの基本操作はClaudeリサーチの使い方で詳しく扱っています。

依頼文の型 — 検索語と探した範囲も出力させる

記録を残すには、出力にも記録に必要な項目を含めさせます。次の依頼文は一例で、社名や期間は自社の運用に置き換えてください。

Researchツールを使って、新規取引先の反社チェック用に
公開情報を調べてください。対象は次の法人です。
 
法人名: 株式会社○○
法人番号: ○○○○○○○○○○○○○
本店所在地: ○○県○○市…
代表者名: ○○ ○○
 
調べてほしいこと:
1. 法人名・代表者名と、不当要求・詐欺・暴力団関係などの
   語を組み合わせた報道や公的発表の有無
2. 同じ所在地・同じ代表者名で別の法人名が出る場合の記載
3. 法人名の変更、所在地の頻繁な移転を示す情報
 
出力の条件:
- 実際に使った検索語を一覧で書く
- 各項目に出典URLと公開日を付ける
- 該当なしの項目は「公開情報では該当記事なし」と書く
- 同名の別法人の可能性があるものは、確度を分けて書く
- 反社会的勢力かどうかの結論は出さない

ポイントは、最後の一行です。結論を出させないことで、出力が調査結果の一覧に留まり、判定が人の責任として残ります。「公開情報では該当記事なし」という書き方を指定するのは、「問題なし」と読める表現を避けるためです。

同名の法人を見分けるために、法人番号と本店所在地を依頼文の冒頭に入れています。法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで取得でき、商号・所在地・法人番号のセットで特定できます。

記録票の書き方 — 確認日・検索語・結果

Researchのレポートは長くなりがちです。レポートをそのまま保管するだけでなく、社内の記録票に要点を移し、元のレポートを添付する形にします。記録票の項目は次の組み合わせが基本です。

項目書く内容理由
確認日書く内容調査を実行した日付理由後から状況が変わるため、いつの結果か分かるようにする
対象書く内容法人名・法人番号・所在地・代表者名理由同名の別法人との取り違えを避ける
使った検索語書く内容レポートに出力させた検索語の一覧理由同じ範囲を後から再現できる
出典と公開日書く内容URLと日付理由古い記事の混入を見分ける
結果書く内容該当記事なし / 要確認 / 該当あり理由判定前の分類を固定する
確認者と判定者書く内容実行した担当者、判定した責任者理由誰が何を決めたかを分ける
次の動き書く内容取引開始・追加調査・外部機関に相談理由要確認のときの流れを残す

記録は、結果が「該当記事なし」のときこそ重要です。何も出なかった理由が、問題がないからなのか、検索語が足りなかったからなのかは、検索語の一覧がなければ分かりません。

記録票に載せる文面の例を示します。

確認日: 2026-10-10
対象: 株式会社○○(法人番号 ○○○…、本店 ○○県○○市)
実行者: 経理 ○○ / 判定者: 総務部長
方法: Claude Research(報道・公的発表の検索)
検索語: 「株式会社○○ 不当要求」「株式会社○○ 逮捕」…
結果: 公開情報では該当記事なし(出典一覧は添付レポート参照)
次の動き: 暴力団排除条項入りの契約書で取引開始

結果欄は3分類に絞ると、判定が揃います。

手順

結果を分類する3段階

  1. 1

    該当記事なし

    調べた範囲では関連する報道がない状態です。社内データベースとの照合や契約書の条項は、別途行います。

  2. 2

    要確認

    同名の別法人かもしれない記事がある、または内容が曖昧な状態です。追加調査と上長への相談に回します。

  3. 3

    該当あり

    本店所在地や代表者が一致する記事があり、反社会的勢力との関連を示す内容です。Claudeでの調査を止め、反社対応の担当部署と外部専門機関に引き継ぎます。

Researchの出力を確認する

Researchの出力には確認しやすい出典が付きますが、それだけで正確とは言えません。記録に残す前に、人が次の点を確かめます。

  • 出典のURLが開けるか。会員限定の記事などで中身が読めないものは、確認済みとして扱わない
  • 記事の人物・法人が、対象と同一か。法人番号、本店所在地、代表者名で照合する
  • 公開日が、確認の対象にふさわしい期間か。古い記事が混ざっていたら、期間を指定して再依頼する
  • 検索語の一覧に、否定的な語(逮捕・詐欺・不当要求など)が含まれているか

出力が「見つかりませんでした」であれば、それは検索で拾えなかったという意味にとどまります。記録票の結果欄には「公開情報では該当記事なし」と書き、「問題なし」とは書かない運用にします。

契約書と社内データベースは別に必要

Researchによる公開情報の調査は、反社チェックの一部にすぎません。政府指針は、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入することを求めています。解説では、暴力団排除条項に加え、相手方に「自分が反社会的勢力でない」ことの申告を求める条項を設ける考え方が示されています。相手方が申告を明確に否定したうえで、後にその申告が虚偽だと判明すれば、条項と虚偽申告を理由に契約を解除できる、という整理です。

記録票の「次の動き」欄に、この条項入りの契約書で締結したかを書いておくと、チェックと契約が一続きの記録になります。

また、指針は取引先の審査に使うデータベースを自社で構築し、暴追センターや他企業などの情報で更新することを求めています。Researchの結果を社内の判定に使うときは、このデータベースとの照合を別の欄に分けます。

反社会的勢力の個人情報をデータベース化して保有・利用することについては、個人情報保護法との関係が論点になります。指針の解説は、利用目的を反社会的勢力による被害防止に限る前提で、取得・利用・提供・保有の各段階の考え方を整理しています。個別の運用は、法務の担当者や弁護士と詰めてください。

取引先が増えたときの回し方

件数が多い場合は、一度に全件をResearchに投げず、次の順で回すと管理しやすくなります。

  • 新規の取引先は、登録の前に必ず記録票を作る
  • 取引額が大きい先、業種上リスクが高い先から先に調べる
  • 依頼文は固定のひな形にして、法人名・法人番号・所在地・代表者名だけを差し替える
  • 単純な確認(最新の報道が1件あるか程度)ならウェブ検索で足りる。ウェブ検索とResearchの使い分けは、5回以上のツール呼び出しを要する包括的な調査かどうかが目安

既存の取引先を定期的に再確認する場合も、同じ記録票を更新します。与信の観点の見直しは、先に挙げた与信見直しの手順と組み合わせると、同じ周期で回せます。経理部門で連携できるSaaSの範囲を知りたいときは経理部門がClaudeで使えるSaaS連携まとめが参考になります。

よくあるつまずき

同名の法人の記事が混ざる

法人名だけで検索すると、別の同名法人の記事が混ざります。依頼文に法人番号と所在地を入れ、出力には記事の法人の所在地が分かる場合はそれも書かせます。

検索語が少なく、結果が薄い

「該当なし」の理由は、検索語が少ないことかもしれません。否定的な語を複数用意し、依頼文に並べておきます。出力された検索語の一覧を見て、足りない語を追加して再依頼する流れが現実的です。

記録がレポートの保存だけになる

Researchのレポートを保管するだけでは、誰がいつ判定したのかが分かりません。レポートは添付資料とし、判定者と結果の分類は記録票の側に書きます。

要確認の扱いが担当者でばらつく

「要確認」の先を決めていないと、担当者ごとに対応が割れます。要確認が出たら誰に相談するかを、記録票のひな形の下に1行書いておきます。

まとめ

取引先の反社チェックでResearchが担うのは、公開情報の横断調査と、その出典・検索語の一覧化です。ここまでをClaudeで進めると、担当者は結果の判定と記録に時間を使えます。

任せられないのは、属性の判断、社内データベースとの照合、外部専門機関への照会、取引可否の決定です。記録票には、確認日・対象・検索語・出典・結果の分類・判定者を残し、結果は「公開情報では該当記事なし」と書きます。この書き方なら、後から調査の範囲を説明するときにも、何を調べて何を調べていないかが読み取れます。

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