Claude Researchでサプライヤー探索を進める — 新規取引先の一次調査
新規サプライヤーの候補探しを、ClaudeのResearchで一次調査まで進める手順です。要求仕様から比較表を作る依頼文と、公開情報では埋まらない項目の切り分けを示します。
新規サプライヤーの一次調査はResearchで下ごしらえできる
新しい部材や外注先を探すとき、最初の数日は検索と転記に消えます。会社のサイトを開き、事業内容と拠点を拾い、認証の記載を探し、表に写す。この作業は、ClaudeのResearch機能に任せられます。
Researchは、複数回の検索を積み重ねて出典付きの回答にまとめる調査機能です。Claudeが次に何を調べるかを自分で判断しながら、複数の切り口を順に調べます。Pro / Max / Team / Enterpriseの有料プランで、Web版・Claude Desktop・モバイルアプリから使えます。
この記事で作るのは、要求仕様から出した候補企業の比較表です。表の各セルに出典を付け、公開情報で埋まる項目と埋まらない項目を分けて書かせます。候補を決めるのは担当者です。Researchは、そこへ至る一次調査の下ごしらえに使います。
この記事の範囲は取引前の候補探索です。口座開設や契約に進んだあとの与信限度額の設定や定期的な見直しは、使う公開情報も変わります。決算公告や登記の変更を追う流れは、Claudeで取引先与信の見直しを進める手順にまとめています。
Researchを選ぶ場面と、通常の検索で足りる場面
Researchは、5回以上のツール呼び出しを要し、1〜3分かかるような網羅的な情報収集に向く機能です。複数の情報源を横断して長めのレポートを作ります。競合企業の比較も、用途の例に挙がっています。
一方、特定の会社について1点だけ確かめたいなら、ウェブ検索で足ります。ウェブ検索は、1〜2回のツール呼び出しで答えが出る事実確認に向くと説明されています。
| 場面 | 向く機能 |
|---|---|
| 1社の所在地や設立年を確かめる | 向く機能ウェブ検索 |
| 要求仕様から候補を10社出して比べる | 向く機能Research |
| 見つけた候補の登録番号を1件ずつ照合する | 向く機能ウェブ検索、または公的データでの照合 |
Researchを動かすには、ウェブ検索がオンになっている必要があります。入力欄左下の「+」からResearchを選ぶと、青いインジケーターが出ます。もう一度押すと無効になります。操作と出典確認の流れは、Claudeリサーチの使い方で詳しく扱っています。
要求仕様を「必須」と「希望」に分けてから渡す
依頼文の出来は、要求仕様の書き方でほぼ決まります。「良いサプライヤーを探して」では、Claudeは何を基準に絞るか分かりません。次の3段に分けて渡します。
要求仕様を依頼文に落とす 3 段
- 1
必須条件を書く
公開情報で判定できる条件に絞ります。取り扱う部材や加工、対応できるロット、拠点の地域、取得していてほしい認証の種類などです。
- 2
希望条件を書く
満たせば加点する条件です。必須と混ぜると、候補が0社になったときに原因が分からなくなります。
- 3
除外条件を書く
既に取引のある会社や、拠点が条件外の会社を先に伝えます。同じ会社が何度も候補に上がるのを避けられます。
候補出しと比較表づくりの依頼文
次の依頼文は、書き方の一例です。品目や条件は自社の仕様に置き換えてください。
Researchツールを使って、次の要求仕様を満たす新規サプライヤー
の候補を最大10社挙げ、比較表にしてください。
【品目】アルミ製の精密切削部品(試作〜月産数百個)
【必須条件】国内に製造拠点がある/図面を受けた加工に対応
【希望条件】品質マネジメントの認証を公開している
【除外】株式会社○○(既存取引先)
【表の列】会社名/本社・製造拠点/事業内容/公開されている認証
/出典URLと公開日
【出力の条件】
- セルごとに出典URLを付ける
- 見つからない項目は「公開情報では確認できず」と書く
- 事実と推測を分け、推測には(推測)と付ける
- 取引の可否や優劣の結論は書かないResearchを有効にしても調査が始まらないときは、冒頭の「Researchツールを使って」の一言が効きます。公式のFAQも、起動しないときは「Claude, please use the research tool to…」と指示するよう案内しています。
「優劣の結論は書かない」の一行は、判断の線引きを依頼文の側で固定するための指定です。比較表を材料に留めると、担当者が自分の基準で順位を付ける余地が残ります。
表が返ってきたら、同じ会話で2回目の依頼を重ねて候補を絞ります。
上の表で、必須条件を満たすと公開情報から言える会社だけ
を残してください。外した会社は、どの必須条件が
確認できなかったかを会社名ごとに1行で書いてください。
残った会社には、次に問い合わせる前に確かめたい点を
1社あたり3つまで挙げてください。外した理由が会社ごとに残るので、「本当に条件外なのか、サイトに書いていないだけなのか」を担当者が見分けられます。
社内の情報を併用したい場合は、接続済みのGmail・Googleカレンダー・Googleドキュメントも調査対象にできます。過去の見積メールや仕様書を参照させたいのに反映されないときは、「関連する文脈を〇〇から取得して」と指示します。
比較表の列は「公開情報で埋まるか」で設計する
比較表の列を決める前に、各列が公開情報で埋まるかを考えます。ここを外すと、Claudeが空欄を推測で埋めた表ができあがります。
| 列 | 公開情報での埋まりやすさ | 補足 |
|---|---|---|
| 事業内容 | 公開情報での埋まりやすさ高い | 補足自社サイトの事業紹介が主な出典 |
| 本社・拠点 | 公開情報での埋まりやすさ高い | 補足製造拠点は会社概要と別ページのことがある |
| 認証の記載 | 公開情報での埋まりやすさ中程度 | 補足サイトの記載どまり。有効性は別途確認 |
| 取引実績 | 公開情報での埋まりやすさ低い | 補足取引先名を出さない会社が多い |
| 品質体制の実態 | 公開情報での埋まりやすさ低い | 補足認証の有無は分かっても、運用までは見えない |
上の2行は、Researchが得意な事業内容や拠点の収集です。下の2行は、依頼文で「確認できず」と書かせたうえで、次の段階に回す前提にします。
比較表の考え方は、条件ごとに候補を並べる他の調べものにも使えます。助成金候補での例は、Claudeで研究費の助成金候補を比較検討する方法にあります。
候補が実在するかを公的データで裏取りする
Researchの出力にある社名と所在地は、公的な公開データで確かめておくと安全です。同名の別法人や、すでに移転・名称変更した会社が混ざる事故を防げます。
法人番号公表サイト(国税庁)では、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号の3情報を検索できます。ダウンロード機能やWeb-APIでも、データを取得できます。
適格請求書発行事業者公表サイト(国税庁)は、登録番号を入力して事業者の登録状況を確かめるサイトです。登録番号は「T」を除く13桁の半角数字で入力し、一度に検索できるのは10件までです。Web-APIによる一括照合は、適格請求書発行事業者のWeb-APIをClaude Codeで呼ぶ手順で扱っています。
さらに、経済産業省のgBizINFOは、法人名や法人番号から企業情報を引ける検索サービスです。絞り込みの条件には、所在地、資本金、従業員数のほか、補助金、調達、届出・認定・表彰といった項目が並んでいます。Researchが拾った認証や表彰の記載を、別の入口から突き合わせる用途に向きます。
なお、検索サイトに載っている情報は、法人が公表に同意した範囲や、各制度への届出内容に限られます。載っていないことは、事業の実態がないことを意味しません。
公開情報だけでは判断できない項目と、次の一手
一次調査の目的は、問い合わせる先を絞ることです。実績と品質体制は、公開情報の外側で確かめます。
Research で埋まる項目と、人が確かめる項目
Research で一次調査できる
事業内容、拠点、サイトに載る認証の記載、受賞や展示会への出展、ニュースでの言及。出典と公開日が付いていれば、あとから検証できます。
人が確かめる
過去の取引実績、品質管理の運用、納期の守られ方、財務の健全性。問い合わせ、質問票、訪問や監査、既存取引先からの評判で確かめます。
認証の記載は、サイトに「取得」と書いてあっても、現在も有効かどうかまではResearchの出力から断定できません。表には、認証の名称に加えて、認証番号、登録範囲(どの事業所・どの製品や工程が対象か)、有効期限の3点を列として足しておきます。登録範囲は、候補の会社が持つ認証が自社の発注品目の工程まで及ぶかを見る手がかりです。サイトに載っていない項目は「確認できず」のまま残し、発行した認証機関への照会や、候補への問い合わせで埋めます。
比較表の「確認できず」の列は、そのまま質問票の項目になります。Researchに続けて、次のように頼めます。
上の比較表で「公開情報では確認できず」となった項目を、
各社への質問票の項目に直してください。
回答形式(はい/いいえ・数値・書類提出)も添えてください。実績や品質体制のように、公開情報で埋まらない項目をどこまで聞くかは、品目のリスクによって変わります。試作段階なら軽い質問票で足り、量産前なら監査や現地確認が要る、といった具合に重みを変えます。
候補が0社・多すぎるときの条件の動かし方
候補が0社、あるいは10社ではとても絞れないときは、条件のどれを動かすかを決めてから再依頼します。
候補が0社なら、必須条件を1つずつ希望条件に降ろします。一度に複数を緩めると、どの条件が効いていたのか分からなくなります。地域を広げる、ロットの下限を下げるなど、最初に緩める条件を1つ決めておくと、表の差が読み取れます。
候補が多すぎるなら逆向きです。希望条件のうち、取引上外せないものを必須に上げます。除外欄に、すでに検討済みで見送った会社を足す方法もあります。品目の範囲を狭める(例:「アルミ全般」を「アルミの精密切削」にする)のも効きます。どの場合も、条件を動かしたら変更点を依頼文の先頭に1行書き添えておくと、前回の表との差を後から追えます。
Researchの使用量は通常の会話より早く減る
Researchには、通常の会話と同じ上限が適用されます。ただし複数の情報源を取得して包括的な回答を返すため、通常の会話より早く上限に届くことがあります。候補を10社出す依頼を何度も繰り返すより、依頼文を整えてから1回で回すほうが、使用量の面でも無駄がありません。
まとめ
Researchに任せるのは、候補の洗い出しと、事業内容・拠点・認証の記載の収集までです。実績と品質体制は、比較表で「確認できず」と明示させ、質問票や監査の項目へ変えていきます。要求仕様を必須・希望・除外に分け、出典付きで依頼するのが、手戻りを減らす近道です。