Claude Tagがチャンネルで個人コネクタに対応 — Teamプランからロールアウト
Claude Tag(ベータ)はSlackチャンネルの依頼でも、各メンバー自身のコネクタを使えるようになりました。共有コネクタとの使い分けと管理者側の変化をまとめます。
Slackチャンネルに常駐するClaude Tag(ベータ)が、チャンネル内の依頼でも各メンバー自身のコネクタを使えるようになりました。これまでチャンネルで使えるコネクタは、管理者がそのチャンネルに紐づけた共有コネクタだけでした。個人のカレンダーやドライブ、CRMの担当アカウントといった「本人しかアクセス権を持たない情報」には届きませんでした。
要点
- 自分のClaudeアカウントに接続済みのコネクタ(カレンダー・ドライブ・CRMの担当アカウント・ステージング環境など)を、チャンネルの依頼で使える
- 結果を投稿する前に確認するかどうかは、依頼した本人が選ぶ
- 個人コネクタ経由の操作は、そのツール自身のログに本人のアカウントとして残る
- Teamプランでは組織の設定なしで有効。Enterpriseプランは管理画面で有効になる時期が示される
チャンネルで依頼すると何が起きるか
公式ブログの例は具体的です。GitHubに接続された#checkout-migrationチャンネルで、Priyaが「自分のGoogleドライブの企画書『Checkout migration, Q3』と、出荷した内容を突き合わせて」と@Claudeに依頼します。マージ済みのプルリクエストはチャンネルの共有コネクタ(GitHub)から読めます。企画書はPriya本人しか開けません。以前なら、Claudeの作業はここで止まっていました。
更新後は、Claudeが企画書をPriyaのGoogleドライブの個人コネクタ経由で読み、チャンネルの作業とは切り離して突き合わせ結果を投稿します。公式ドキュメントには、同じ流れをカレンダーで追った例があります。
カレンダーの空き時間を頼んだときの流れ
- 1
チャンネルで依頼する
@Claude find a free 30-minute slot on my calendar Thursday afternoonのように投稿します。Googleカレンダーは、自分のclaude.aiアカウントに接続済みという前提です。 - 2
本人にだけ見える確認が出る
Claudeがスレッドに、自分のコネクタを使ってよいかを尋ねる確認を出します。見えるのは依頼した本人だけです。
- 3
許可の種類を選ぶ
ここで
Allow with reviewを選ぶと、Claudeは自分のカレンダーを読み、見つけた枠を本人にだけ見せます。 - 4
承認して投稿する
枠を承認すると、Claudeが同じスレッドに投稿します。同じ依頼を同僚が出したときは、その同僚のカレンダーが使われ、本人のコネクタは使われません。
インストール作業はありません。依頼で自分のコネクタが必要になった最初のタイミングで、Claudeが許可を求めてきます。
AllowとAllow with reviewはどちらを選ぶか
確認画面の選択肢は3つです。Don't allowはその依頼でコネクタを使わず、次の依頼で改めて確認が出ます。残る2つの違いは次のとおりです。
2つの許可の違い
Allow
Claudeが投稿前にチェックし、機微と判定した結果だけ保留します。判定に引っかからなければ、そのままチャンネルに投稿されます。
Allow with review
すべての結果を、投稿前に本人へ見せます。承認するまでチャンネルには何も出ません。
Allowのチェックが探す内容は、次の10種類です。
- 認証情報・秘密鍵
- 個人を特定できる情報
- 報酬・人事・評価の記録
- 解雇・退職・採用・候補者といった人事異動
- 顧客・取引・商業情報
- 法的な秘匿情報
- 会社の戦略・未発表の計画・進行中の案件
- 保護対象の属性に関する情報
- 医療・健康情報
- セキュリティインシデント
ただし、このチェックは目安であり保証ではありません。チャンネルの他のメンバーが、あなたと同じ権限を持っているかどうかも考慮しません。機微な話題にはAllow with reviewを選ぶよう、ドキュメント自身が勧めています。Ownerは管理画面のAdditional topicsに「役員会の議事録は機密」のような独自の話題を足せます。足した話題に触れる結果も保留されます。
選んだ許可は保存できます。確認画面のUse this choice for future requestsにチェックを入れると、以後はすべてのチャンネルで確認なしに始まります。変更するときは、SlackのClaudeアプリのHomeタブを開きます。選択肢はAuto mode・Ask every time・Allow with reviewの3つで、保存前の状態がAsk every timeです。
個人コネクタが使われない場面
個人コネクタは、依頼した本人の作業にしか使われません。使われない場面は次のとおりです。
個人コネクタが動かない3つの場面
他の人が頼んだとき
同じスレッドで他の人が頼んだ内容は、管理者がチャンネルに紐づけた接続だけで動きます。
Claudeが自分で始めた作業
スケジュール実行のルーチンなど、Claudeが自発的に始める処理は、チャンネルの接続だけを使います。
スレッドに割り込む指示
他の人の発言は、作業についての情報として届きます。進路を変えさせたり、見つけた内容を共有させたりする指示は、あなたのコネクタを使えません。
DMでは扱いが違います。1対1のDMは、Claudeアカウントを接続済みのメンバーが送ったものならそのアカウントで動くので、個人コネクタが最初から使われます。グループDMはチャンネルと同じく、許可したあとにだけ、依頼した本人の分が使われます。組織はDM自体を無効にすることもできます。
共有コネクタと個人コネクタの使い分け
見分けるポイントは、作業が無人で動くかどうかと、投稿を全員に見せてよいかどうかです。
| 用途 | 向くコネクタ | 理由 |
|---|---|---|
| オンコールチャンネルでのCIトリアージ・自動応答 | 向くコネクタ共有コネクタ | 理由個人コネクタは無人実行では動かないため |
| RFP起草など、全員には見せたくないデータを扱う作業 | 向くコネクタ個人コネクタ | 理由元データの閲覧権限を、必要な人だけに絞れる |
| 自分のカレンダー確認・担当CRMレコードの照会 | 向くコネクタ個人コネクタ | 理由本人以外にアクセス権がない情報のため |
| チームで共有するGitHubリポジトリでの作業 | 向くコネクタ共有コネクタ | 理由チーム共通の資産で、全員が参照するため |
オンコールの例は、ランブックや監視ツール、デプロイ履歴への共有コネクタさえ設定しておけば、勤務時間外でもClaudeが問題の特定と対応を助けられるという話です。人が呼びかけなくても動く前提なので、共有コネクタが要ります。
RFPの例は逆の発想です。価格情報など一部のメンバーしか持たない権限が要るなら、チャンネル全体に共有コネクタを配るより、必要な人だけが個人コネクタで引き込む設計になります。それでも、投稿された内容はチャンネルの全員に見えます。
権限の非対称にも注意が必要です。共有コネクタは、管理者がClaude用に用意したアカウントの権限で動くので、誰が頼んでも同じ範囲に届きます。公式ドキュメントによると、あなた自身のアカウントでは開けない文書でも、共有コネクタが開けるなら、Claudeはあなたの依頼で読んで要約できます。個人コネクタは逆に、あなたのアカウントが届く範囲にしか届きません。
SlackとClaudeをつなぐ経路には、Claude Codeから使うSlack MCPサーバーもあります。こちらはSlackの会話ログ自体を外部データとして読む経路で、Claude Tagのチャンネル内コネクタとは目的も権限モデルも別です。
管理者側の変化
個人コネクタが加わり、管理者が選べるガバナンス設計は3通りになりました。エージェントアイデンティティの下に共有ツール一式を持たせる従来型、メンバーに個人コネクタだけを使わせて既存のロールベースアクセスに任せる型、ツールごとに共有か個人かを決める型です。接続やアクセスの設定手順はClaude Tag管理者設定にあります。
プランによって、全員レビューの扱いが分かれます。
- Teamプラン: 組織の設定なしで、個人コネクタが全組織で有効です。レビューを強制するスイッチはなく、各メンバーの選択が、どの結果を保留するかを決めます。
- Enterpriseプラン:
claude.ai/admin-settings/claude-tagのPersonal connectors欄に、有効になる時期が表示されます。欄にあるRequire human review of every messageをオンにすると、依頼した本人の確認がすべての結果に必須になります。オンの間は、確認画面からAllowが、HomeタブからAuto modeが消えます。
組織として個人コネクタを無効にする設定はありません。特定のサービスをチャンネルから遠ざけたいときは、個人コネクタではなくコネクタ自体を、組織のコネクタ設定で管理します。
チャンネルの共有作業は、接続先ツールのログにエージェントのサービスアカウントとして残ります。個人コネクタ経由の呼び出しは、本人のアカウントとして別に残ります。既存の監査体制のどこに置くかを、今回の更新に合わせて見直す余地があります。支出は従来どおり、組織の利用残高にかかる月次の支出上限の下で管理されます。
背景 — Claude Tagがここまで来た経緯
Claude Tagがベータで登場した当初、チャンネルで使えるコネクタは管理者が紐づけたものだけでした。ブログによると、多くの組織はアクセス権をチャンネルでなく本人に紐づけたいと考えており、共有コネクタの一覧を意図的に短く保っています。今回の更新は、共有の接続を緩める形ではありません。共有と個人という別の軸を並べて、その要望に応えています。
Slackで@Claudeを使う仕組みには、Claude Code in Slackもあります。公式の概要ページは、共有チャンネルでのチーム作業はClaude Tag、自分のファイルを使う個人作業はCowork・Claude Codeと分けて説明しています。個人コネクタの追加で、Claude Tagはチャンネルという共有の場から、本人の権限を必要な部分だけ持ち込める形に近づきました。
個人コネクタは共同作業と本人限定情報をどう両立させるか
チャンネルは、投稿を全員が見る前提の場です。一方で、カレンダーやCRMの担当分は、本人しか見られないから意味があります。今回の設計は、入力は本人の権限、出力はチャンネルの前提、という分け方です。
この分け方の弱点は、出力側のふるいにあります。自動モードのチェックは機微な内容を拾いますが、前述のとおり投稿を見る側の権限までは見ません。たとえば営業案件の数字が、チャンネルの一部のメンバーに見えてはいけないものなら、チェックは通っても事故になりえます。その穴を埋めるのが、Enterpriseの全員レビューのスイッチです。
個人コネクタをチャンネルに入れるかどうかの判断は、技術の問題というより、投稿を誰に見せるかの設計の問題です。入力の権限を絞っても、出力が全員に開いていれば、絞った意味は薄れます。レビューモードを標準にするチームと、自動モードを許すチームで、運用の分かれ目はここに出てきそうです。
よくある質問
個人コネクタの利用をやめたいときは
接続済みの個人コネクタは、いつでも解除できます。解除はclaude.aiのCustomize > Connectorsから行います。実行中のタスクは、コネクタを使うと伝えたメッセージの下にあるStopで止められます。Stopは依頼した本人にだけ表示されます。チャンネルの共有コネクタによる作業には影響しません。
Pro・MaxプランでもClaude Tagを使えますか
Claude TagはTeamとEnterpriseのプランで使えます。Free・Pro・Maxの個人プランと、サードパーティ経由の提供は対象外です。個人プランでSlackからClaudeを使う方法は、ClaudeとSlackの連携にあります。
まとめ
個人コネクタは、本人しか持たない情報をチャンネルの作業に持ち込む手段です。何をチャンネルに見せてよいかの線は、Allow with reviewを選ぶ本人と、Enterpriseでは管理者のスイッチが引くことになります。