CoworkのMDM管理者設定 — 2つの制御キーで何が変わるか
CoworkのMDM管理者設定はisLocalDevMcpEnabledとisDesktopExtensionEnabledの2キーで制御します。組織設定との違いと、配布までの手順をまとめます。
Coworkの管理者設定には、組織全体のオン・オフとは別に、管理対象デバイス単位で効くMDM(モバイルデバイス管理)キーが2つあります。isLocalDevMcpEnabled と isDesktopExtensionEnabled で、それぞれローカルMCPサーバーと拡張機能の実行そのものを止められます。設定できるのはTeamとEnterpriseプランのデバイス管理者に限られます。
Coworkの組織設定とMDMは何が違うか
組織設定はCowork自体のオン・オフを決め、MDMは有効化後の実行範囲を絞る仕組みです。両者はレイヤーが違います。
組織側の管理画面(Organization settings > Coworkの「Enable for your organization」)は、組織にCoworkを使わせるかどうかを決めるだけのスイッチです。ここがオフなら、以下のMDMキーは意味を持ちません。
デバイス側のMDMキーは、組織がCoworkを有効にしたあとで、各デバイス上でCoworkがどこまで手を伸ばせるかを制限します。Organization settingsの画面からは設定できず、MDMソリューション経由でしか配布できません。対象はTeamとEnterpriseプランのみで、Pro・Maxのようなセルフサーブプランには適用範囲がありません。
isLocalDevMcpEnabledとisDesktopExtensionEnabledは何を止めるか
isLocalDevMcpEnabled をfalseにすると、プラグイン同梱とローカル設定の両方のMCPサーバーが無効になります。isDesktopExtensionEnabled をfalseにすると、MCPBとDXT形式の拡張サーバーが起動しなくなります。どちらもBoolean型でデフォルトはtrueです。
対象が違う点に注意したいところです。isLocalDevMcpEnabled は .mcp.json やプラグインが持ち込むMCPサーバー構成を止めます。isDesktopExtensionEnabled はMCPB・DXT形式のデスクトップ拡張を止めます。同じ「外部連携を減らす」目的でも、止まる経路は別物です。両方をオフにして初めて、Claude Desktop上でのサードパーティ連携の入口をほぼ塞いだ状態になります。
もう1つ近い名前のキーに isDesktopExtensionDirectoryEnabled があります。これは拡張機能ディレクトリへのアクセス可否で、拡張の実行を止める isDesktopExtensionEnabled とは別軸の制御です。3つを混同すると意図した制限になりません。
macOSとWindowsでMDMキーを配布する方法
macOSでは、MDMソリューション(Jamf Pro、Kandji、Microsoft Intune)から構成プロファイルを配布します。Claude Desktopは com.anthropic.claudefordesktop ドメインの設定を読み込むので、対象マシンやユーザーグループにプロファイルをpushすれば、ユーザー操作なしで一括適用できます。プロファイル作成にはJamf Pro・Kandji・Intune組み込みのエディタのほか、ProfileCreatorやiMazing Profile Editorも使えます。
Windowsでは、グループポリシーまたはIntuneポリシー経由でレジストリを設定します。マシン全体(HKLM)とユーザー単位(HKCU)のどちらにも置け、両方が設定されている場合はマシンレベルが優先されます。
# マシン全体への設定(推奨)
New-Item -Path "HKLM:\SOFTWARE\Policies\Claude" -Force
Set-ItemProperty -Path "HKLM:\SOFTWARE\Policies\Claude" -Name "isLocalDevMcpEnabled" -Value 0 -Type DWord
Set-ItemProperty -Path "HKLM:\SOFTWARE\Policies\Claude" -Name "isDesktopExtensionEnabled" -Value 0 -Type DWord-Value 0 がfalse、-Value 1 がtrueに対応します。上の例はローカルMCPサーバーとデスクトップ拡張の両方を無効化する設定です。適用後は Get-ItemProperty -Path "HKLM:\SOFTWARE\Policies\Claude" で値を読み出し、意図どおりに反映されているかを確認できます。対象マシンの一部だけを先に確認してから全台展開に進めば、反映漏れに気づくタイミングが早くなります。
関連するEnterpriseポリシーキー一覧
Coworkの実行範囲に関わるキーは、この2つだけではありません。公式の一覧には主に次のキーが含まれます(このほか disableAutoUpdates ・autoUpdaterEnforcementHours ・effortLevel は表の対象外で、後述します)。
| キー | 型 | 既定値 | 制御する対象 |
|---|---|---|---|
secureVmFeaturesEnabled | 型Boolean | 既定値true | 制御する対象デスクトップでのCowork自体の有効・無効 |
isLocalDevMcpEnabled | 型Boolean | 既定値true | 制御する対象ローカルMCPサーバーの実行 |
isDesktopExtensionEnabled | 型Boolean | 既定値true | 制御する対象MCPB・DXT拡張サーバーの実行 |
isDesktopExtensionDirectoryEnabled | 型Boolean | 既定値true | 制御する対象拡張機能ディレクトリへのアクセス |
isClaudeCodeForDesktopEnabled | 型Boolean | 既定値true | 制御する対象デスクトップでのClaude Codeアクセス |
allowedWorkspaceFolders | 型string[] (JSON) | 既定値制限なし | 制御する対象Coworkにマウントできるフォルダーパス |
forceLoginOrgUUID | 型string / array | 既定値null | 制御する対象ログインを許可する組織の限定 |
secureVmFeaturesEnabled をfalseにすると、デスクトップ版Cowork自体が使えなくなります。これは組織設定のトグルと似た効果に見えますが、あくまでデバイス単位の制御であり、組織全体のオン・オフとは別に管理します。allowedWorkspaceFolders はCoworkがマウントできるフォルダーを許可リスト化するキーで、Computer Useのアプリブロックリスト設定と同じ「触れる範囲を絞る」系統の制御になります。
disableAutoUpdates と autoUpdaterEnforcementHours はセットで使うキーです。MDM側でClaude Desktopのバージョンを管理したいなら disableAutoUpdates をtrueにして自動更新を止め、配布のタイミングを自分たちで決めます。自動更新に任せる場合は未設定のままにし、autoUpdaterEnforcementHours(1〜72時間)で、更新が準備できてからどれだけ猶予を置いて強制的に再起動させるかを調整します。effortLevel はClaude CodeセッションのEffort初期値を固定するキーですが、Cowork自体のセッションには適用されません。デスクトップ内のClaude Code利用を対象にした設定であり、Cowork側のふるまいを制御するキーとは別物として扱います。
設定時によくある落とし穴
- HKLMとHKCUの優先順位を取り違える: Windowsでマシンレベル(
HKLM)とユーザーレベル(HKCU)の両方に同じキーを設定すると、マシンレベルが優先されます。特定ユーザーだけ例外を作りたくてHKCUに緩い値を置いても、HKLMに厳しい値が入っていれば無視されます。 isDesktopExtensionEnabledだけを止めて満足する:isDesktopExtensionDirectoryEnabledを明示的に制御しないままだと、拡張機能ディレクトリへのアクセス自体は既定値(true)で残ります。拡張の実行を止めても、ディレクトリを閲覧できる経路は別途塞ぐ必要があります。- 個人アカウントへのログインを防げていない: MDMキーはインストール済みのClaude Desktopの挙動を制御するだけで、ユーザーが個人アカウントでログインすること自体は止められません。組織アカウントへのログインを強制したいなら
forceLoginOrgUUIDを併用し、ログイン先の組織をUUIDで限定します。
この2つのキーはクラウドセッションにも及ぶか
及びます。MDMキーが制御しているのはClaude Desktopアプリそのものなので、ローカルセッションだけでなく、クラウド上のセッションがデスクトップアプリ経由で到達する範囲にも同じ制限がかかります。
クラウドセッション自体はAnthropicのサーバー上で動くため、ローカルMCPサーバーはそもそもクラウドセッションの中では実行されません。しかし、クラウドセッションがユーザーのデバイス上のファイルやブラウザにアクセスするときは、そのデバイスのClaude Desktopアプリを経由します。管理対象デバイスで isLocalDevMcpEnabled をfalseにしておくと、クラウドセッションがそのデバイス経由で使えるツールも、フォルダー限定のデスクトップファイルツールだけに絞られます。ローカル実行を止めたつもりの設定が、クラウド実行の到達範囲まで狭めるわけです。
この性質は、Coworkのデータの扱いを検討する際に見落としやすいところです。「クラウドセッションだから関係ない」という判断は成立しません。
組織設定側にもクラウドセッション専用のコントロールがある
MDMのデバイスキーとは別に、組織設定(Organization settings)にはクラウド上のセッションだけに効く制御が並びます。ローカルのデスクトップCoworkは残したまま、次の4つを個別に設定できます。
- クラウドセッションだけを組織単位でオン・オフする
- クラウドセッションが到達できる宛先を決めるネットワークアクセスポリシーを設定する
- 「常に許可」の永続化を止めて毎回の権限確認を必須にする、あるいはメンバーが確認プロンプト無しでセッションを走らせられるかを制御する
- クラウドセッションにトラステッドデバイス登録と直近のサインインを必須にする
最後の1つを有効にすると、組織内のすべてのクラウドセッションに一律で適用されます。
デバイス側のMDMキーは、これらの組織設定がクラウドセッションに関与する場面(デスクトップアプリ経由でのアクセス)にも及びます。両者は独立した設定画面ですが、実際の制限範囲は重なり合います。MDMだけを見て「デバイスは制限した」と判断せず、組織設定側のクラウドセッション用コントロールも合わせて確認する必要があります。
たとえば、ネットワークアクセスポリシーで到達先を絞っていても、isLocalDevMcpEnabled を有効なままにしておけば、ローカルMCPサーバー経由で組織内リソースに触れる経路は残ります。デバイスのMDMキーと組織のクラウドセッション設定を両方揃えて、初めて想定どおりの制限になります。
まとめ
isLocalDevMcpEnabled と isDesktopExtensionEnabled は、管理対象デバイスでCoworkのMCP連携と拡張機能の実行を止めるためのMDMキーです。設定できるのはTeam・Enterpriseプランのデバイス管理者で、Organization settingsの組織トグルとは別レイヤーで管理します。
ローカルの連携経路を塞ぎたいなら、この2キーに加えて isDesktopExtensionDirectoryEnabled も一緒に検討してください。許可リストを併用する予定があるなら、両キーをfalseにしないことも忘れずに確認したいところです。Cowork監査ログでの可視性や削除承認の扱いと合わせて、デバイス管理者が導入前に一度は目を通しておきたい設定です。