Coworkプラグイン管理 — 配布設定とグループ制御の使い分け
Team/EnterpriseプランのCoworkプラグインを、4段階の配布設定とグループ別アクセスで管理者が制御する手順をまとめます。
Coworkのプラグインは、Team・EnterpriseプランのOwner・Primary Ownerが組織全体への配布を一括管理できます。配布設定は「インストール済み」「カタログ掲載」「非表示」「必須」の4段階で、Enterpriseならグループ単位で上書きも可能です。設定場所はOrganization settings > Pluginsの1画面に集約されています。
Coworkのプラグイン管理でできること
プラグインマーケットプレイスは、組織のメンバー全員に配布するプラグインを1か所で選別する仕組みです。マーケットプレイスを作り、プラグインを追加し、誰がどのプラグインを見られるか・使えるかを管理者が決めます。配布したプラグインは、Web版とClaude DesktopのChatタブ、そしてCowork本体の両方に表示されます。
利用には前提条件があります。CoworkとSkillsの両方が組織で有効になっていることが必要です。どちらか一方でも無効なら、プラグインマーケットプレイスの機能自体が使えません。組織全体の権限体系の中では、プラグイン配布はRBAC(役割ベースのアクセス制御)や監査ログと並ぶ管理項目の1つという位置づけです。組織のロール設計全体はCoworkのRBAC運用で扱っています。
管理者が使えるマーケットプレイスには2種類あります。Anthropicが用意した既製のものと、管理者自身が作る独自のものです。どちらも同じOrganization settings > Plugins画面から管理でき、配布設定・グループオーバーライドの仕組みも共通です。手動アップロードとGitHub同期の具体的な手順はCoworkのプライベートプラグインマーケットプレイスを社内向けに作るで扱います。
Anthropic製マーケットプレイスを追加・削除する
Anthropicは法務・財務など用途別のプラグイン集を「Anthropic-built marketplace」としてあらかじめ用意しています。組織を新規に作ると、Knowledge Workマーケットプレイスがデフォルトで追加された状態でスタートします。
追加の手順は次の通りです。
- Organization settings > Pluginsを開く
- 「Add plugins」をクリック
- 「Browse Anthropic sources」を選ぶ
- 組織全体に表示したいものごとに「Add」をクリック
Knowledge Workが自分のチームに合わなければ、同じ画面のメニューから「Remove」で外せます。Anthropic製マーケットプレイスは、内部のリポジトリスラッグではなく「Knowledge Work」のような読みやすい名前で表示されるのも特徴で、法務・財務のような特定業務向けのプラグイン集が今後も追加されていく見込みです。
自作のマーケットプレイスを作りたい場合は、同じ「Add plugins」から「Upload a file」または「GitHub」をソースとして選ぶ流れになります。手動アップロードとGitHub同期の具体的な手順、ファイルサイズ・プラグイン数の上限、命名ルールはCoworkのプライベートプラグインマーケットプレイスを社内向けに作るにまとめました。
プラグインの配布を4段階で制御する
マーケットプレイスにプラグインが入ったら、配布設定でメンバーの見え方を決めます。プラグインごとに次の4つから選べます。
| 設定 | 何が起きるか | メンバーに見えるもの |
|---|---|---|
| インストール済み(既定) | 何が起きるか全メンバーに自動インストール | メンバーに見えるもの操作なしでインストール済み一覧に表示、アンインストールは可能 |
| カタログ掲載 | 何が起きるかプラグインカタログに掲載 | メンバーに見えるもの閲覧して自分の判断でインストール可能 |
| 非表示 | 何が起きるかカタログから完全に除外 | メンバーに見えるもの閲覧もインストールもできない |
| 必須 | 何が起きるか全メンバーに自動インストール、削除不可 | メンバーに見えるものインストール済み一覧に表示され、無効化・アンインストール不可 |
「非表示」は、テスト段階のプラグインや廃止予定のプラグインを一時的に隠すのに向いています。「必須」は、部門横断で必ず使わせたい業務ツールに使う設定です。設定を変えても即座には反映されず、メンバーの次回セッションかプラグイン更新のタイミングで反映されます。
グループ単位でアクセスを上書きする
Enterpriseプランでは、組織全体の配布設定をグループごとに上書きできます。たとえばあるプラグインを、Engineeringグループには自動インストール、Legalグループには自己判断のカタログ掲載、それ以外の全員には非表示、という3段構えの配布も可能です。
グループ設定はOrganization settings > Pluginsから対象マーケットプレイスを開き、プラグインの「Custom access」列で「Add groups」を選び、グループと配布設定を指定します。手動作成のグループとSCIM連携のグループのどちらも同じ画面で扱えます。
設定の優先順位は「グループ設定 → 組織全体設定 → マーケットプレイスの既定値」の順です。あるメンバーが複数のグループに属し、それぞれで異なる設定が付いている場合は、最も緩い設定が優先されます。優先度の高い順に並べると「必須 > インストール済み > カタログ掲載 > 非表示」です。GroupAが「非表示」、GroupBが「インストール済み」を指定していれば、両方に属するメンバーには自動インストールされます。
グループが削除された場合、その上書き設定はUI上に「orphaned」のまま残りますが、誰にも属さないため実際の配布には影響しません。整理したい場合は、プラグインのCustom access設定から個別に消せます。GitHub同期マーケットプレイスを再同期しても、グループ単位の上書きはプラグイン自体が削除されない限り保持されます。
配布中のプラグインを更新・削除する
配布済みのプラグインを差し替えるときの操作は、マーケットプレイスの作り方によって変わります。
手動マーケットプレイスでは、既存と同じ名前のプラグインを再アップロードすると自動的に上書きされます。プラグイン名がそのまま一意の識別子になるため、legalという名前で再アップロードすれば常にlegalが置き換わり、事前に旧バージョンを消す必要はありません。削除したい場合は、対象マーケットプレイスから個別に消すだけです。
GitHub同期のマーケットプレイスでは、リポジトリ側に変更をpushしたうえで「Update」をクリックして同期を走らせます。同期のたびにマーケットプレイスの中身はリポジトリの最新状態へ丸ごと置き換わるため、リポジトリ側で削除したプラグインは次回同期で自動的に消えます。自動同期のトリガー条件や失敗時の挙動はCoworkのプライベートプラグインマーケットプレイスにまとめています。
配布したプラグインが実際にどれだけ使われているかを組織側で把握したい場合は、OpenTelemetry監視でセッションごとに呼び出されたスキル・プラグインを追跡できます。設定手順はCoworkのOpenTelemetry監視設定にまとめました。
メンバー側の見え方とよくあるつまずき
メンバーは「Browse plugins」モーダルから利用可能なプラグインを確認します。自動インストール対象は操作なしでインストール済み一覧に現れ、カタログ掲載のプラグインはセルフサービスでインストールできます。組織管理下のプラグインは、メンバー側での編集ができない仕組みになっており、共有ツールへの意図しない変更を防いでいます。
運用でつまずきやすいのは次の2点です。
- プラグインがメンバーに見えない: 配布設定が「非表示」になっていないか確認します。それでも見えない場合は、CoworkとSkillsが組織で有効になっているかを再確認します
- 更新したプラグインが反映されない: 変更はメンバーの次回セッションかプラグイン更新のタイミングで反映されるため、即時反映ではありません。それでも変わらない場合は、アップロードやGitHub同期が実際に成功しているか、マーケットプレイス側のバージョン表示で確認します
なお、Enterpriseプランで第三者製のスキル・プラグインをアップロード・編集すると、悪意あるコードが含まれていないかを確認する自動スキャンの対象にもなります。配布設定とは別レイヤーの仕組みで、判定結果や対象範囲はスキル・プラグインのセキュリティスキャンにまとめています。プラグインに同梱されたスキルもスキャン対象に含まれるため、配布前に弾かれるケースがある点は運用上覚えておくとよい部分です。
グループオーバーライドはなぜ「最も緩い設定」を優先するのか
同じ組織のグループ機能でも、支出上限は「高い方・低い方どちらを適用するか」を管理者が選べる仕組みです。ところがプラグインのグループオーバーライドは、選択の余地なく常に最も緩い設定が勝ちます。
これは設計思想の違いを反映しています。支出上限はコストという後戻りしにくいリスクを扱うため、組織側が厳格・寛容のどちらを優先するか選べる必要があります。
一方でプラグインアクセスは「使いたいチームに使わせる」ための仕組みであり、セキュリティ境界としては設計されていません。ある部門だけに強制的に使わせたくない場合は、組織全体の設定を「非表示」にしたうえで、必要なグループにだけ許可を与える運用にする必要があります。グループ設定を安全装置として使おうとすると、想定外のグループ所属によって配布範囲が緩む方向にしか動かない点は覚えておく価値があります。
まとめ
Coworkのプラグイン管理は、マーケットプレイスの追加(Anthropic製または自作)、4段階の配布設定、Enterpriseのグループオーバーライドという3層で構成されています。特にグループオーバーライドは「最も緩い設定が勝つ」ため、アクセス制限の目的では使わず、組織全体の既定値を絞ったうえで許可リストとして使うのが安全です。Coworkの全体像や他の管理機能との関係はClaude Coworkとはで整理しています。