Claude部門別プラグインの使い方 — Marketing/Sales/PM編
AnthropicがOSS公開したMarketing・Sales・Product Managementプラグインを、リポジトリの実際の中身と導入手順から読み解く。READMEと実体の食い違いも扱う。
AnthropicはCowork向けに設計した業務プラグインをanthropics/knowledge-work-pluginsとしてオープンソース公開しています。導入はCoworkなら一覧から「Install」を選ぶだけ、Claude Codeならclaude plugin installの1行です。ただし、各プラグインのREADMEと、リポジトリに実際に置かれているファイルには食い違いがあります。この記事ではMarketing・Sales・Product Managementの3つについて、実体に沿ったコマンドとスキルの一覧、接続先、導入手順を扱います。
Claude部門別プラグインとは何か
knowledge-work-pluginsはCowork(Claude Desktopで使うエージェント機能)向けに主に設計されたプラグイン集で、Claude Codeでも動作します。READMEの表に並ぶのは11種類です。Productivity・Sales・Customer Support・Product Management・Marketing・Legal・Finance・Data・Enterprise Search・Bio Research・Cowork Plugin Managementが該当します。
一方、リポジトリのディレクトリにはengineering・design・human-resources・operations・small-businessなど、この表に載っていないものも並んでいます。「11種類」はREADME上の数字で、リポジトリ全体の数ではありません。operationsの中身はClaudeのoperationsプラグインの使い方で扱っています。
各プラグインは次の4つで構成され、コードやビルド手順は不要です。
plugin-name/
├── .claude-plugin/plugin.json # マニフェスト
├── .mcp.json # 外部ツールへの接続定義
├── commands/ # 明示的に呼び出すスラッシュコマンド
└── skills/ # Claudeが自動的に参照するドメイン知識READMEと実体が食い違う — コマンドとスキルの境界
3プラグインのディレクトリを実際に開くと、README上の「コマンド」と「スキル」の区分が実体と一致していません。
3プラグインの実際の構成
Marketing(v1.2.0)
commands/ディレクトリが存在せず、skills/に8個が入っています。draft-content・campaign-plan・brand-review・competitive-brief・performance-report・seo-audit・email-sequenceとcontent-creationです。READMEは7コマンド+5スキルと書いていますが、スキル名のcampaign-planningやbrand-voiceはskills/に見当たりません。Sales(v2.0.1)
commands/は無く、skills/に36個があります。READMEは「From 9 to 36 skills」と書き、以前の3コマンド構成から作り直されています。Product Management
commands/にあるのはbrainstorm.mdの1本だけです。write-spec・roadmap-update・stakeholder-update・synthesize-research・competitive-brief・metrics-reviewはskills/側にあり、skills/は計8個で、sprint-planningと、/brainstormに対応するproduct-brainstormingも入っています。READMEの表は7コマンド+7スキルのままです。
呼び出し方の側から見ると、この区分はさほど問題になりません。Claude Codeの公式ドキュメントでは、プラグインのスキルは/プラグイン名:スキル名の形で呼べます。skills/draft-content/SKILL.mdなら/marketing:draft-contentです。ほかのコマンドと名前が重ならなければ、/draft-contentだけでも呼べます。MarketingとProduct Managementを両方入れると、competitive-briefは名前が重なります。Marketingのdraft-contentは本文に「User runs /draft-content or asks to draft…」と書かれており、コマンドとしても自然な依頼文としても動くスキルとして書かれています。
導入方法 — CoworkとClaude Codeでのインストール手順
Coworkではclaude.com/pluginsの一覧から対象プラグインのページを開き、「Install in」からClaude Desktopを選びます。Claude Codeでは、マーケットプレイスの追加とプラグインの導入の2段階です。
Claude Codeでの導入
- 1
マーケットプレイスを追加する
ターミナルなら
claude plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-plugins、セッション内なら/plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-pluginsです。v2.1.285のclaude plugin marketplace add --helpでは、スコープを--scopeでuser(既定)・project・localから選べます。 - 2
プラグインを個別に入れる
claude plugin install marketing@knowledge-work-pluginsのように、プラグイン名@マーケットプレイス名で指定します。Sales・Product Managementも同じ形式です。 - 3
呼び出して確かめる
READMEは
/sales:call-prepや/data:write-queryのように、プラグイン名を前置した形を例示しています。反映されない場合は/reload-pluginsコマンドでセッションを再起動せずに反映できます。
v2.1.285のclaude plugin --helpには、details <name>があります。「プラグインの構成要素の一覧と、想定されるトークンコストを表示する」と説明されており、スキルが数十個あるSalesのようなプラグインで、コンテキストへの影響を見る手がかりになります。プラグイン全般の仕組みやマーケットプレイスの探し方はClaude Codeプラグイン完全ガイドにまとめています。
Marketingプラグインの使い方と接続先
コンテンツ作成・キャンペーン計画・ブランドボイス管理・競合分析・パフォーマンス報告をカバーします。
| スキル | できること |
|---|---|
/draft-content | できることブログ・SNS投稿・メールニュースレター・LP・プレスリリース・事例記事の下書き |
/campaign-plan | できること目的・チャネル戦略・コンテンツカレンダー・成功指標を含む企画書の生成 |
/brand-review | できること既存コンテンツをブランドボイス・スタイルガイドと照合 |
/competitive-brief | できること競合を調査し、ポジショニングとメッセージングを比較 |
/performance-report | できること主要指標・トレンド・改善提案を含む成果レポート |
/seo-audit | できることキーワード調査・オンページ分析・コンテンツギャップ・技術チェック・競合比較 |
/email-sequence | できることナーチャリングやオンボーディング向けの複数通メールの設計 |
.mcp.jsonが定義する接続先は13件です。Slack・Canva・Figma・HubSpot・Amplitude(米国とEUの2エンドポイント)・Notion・Ahrefs・Similarweb・Klaviyo・Supermetrics・Google Calendar・Gmailが並びます。READMEの本文はGoogle CalendarとGmailに触れておらず、ここもファイル側のほうが広い範囲です。
/campaign-planに、READMEの例と同じ条件を渡した場合の入力は次のようになります。
/campaign-plan
Goal: Drive 500 signups for our new product launch
Audience: Technical decision-makers at enterprise companies
Timeline: 6 weeks
Budget range: $20,000-$30,000READMEによると、返ってくるのは目的・読者セグメント・主要メッセージ・チャネル戦略・週単位のコンテンツカレンダー・追跡するKPIを含む企画書です。ブランドボイスやスタイルガイドは、README上「ローカル設定ファイルに記録すると/draft-contentや/brand-reviewが毎回聞き直さない」と説明されています。この設定ファイルの置き場所は、Marketingの各SKILL.mdに書かれていません。
Salesプラグインは2.0で作り直された
Salesは3つの中で変化が最も大きく、README冒頭の「What's new in 2.0」に方針が書かれています。
- スキルが9個から36個に増え、案件レビュー・クローズプラン・ステークホルダーマップ・契約更新の管理・チームのパイプライン表示・顧客ヘルス・リード振り分け・CRM更新・会議予約・受信箱整理が加わった
- CRMごとの前提を置かず、そのCRM自身のステージや項目を読む。GmailかOutlook、SlackかTeamsかも区別しない
- 何も接続していなければ、アップロードしたパイプライン書き出しや文字起こしから動く
- ユーザーが頼めばCRM更新・メール下書きや送信・チャット投稿・会議予約まで行う。頼まれずに提案する変更は、根拠つきで先に見せる
旧来の名前は残り、account-research・call-summary・forecast・call-prep・daily-briefing・draft-outreach・pipeline-review・competitive-intelligence・create-an-assetは名前を維持したまま作り直されています。ただし、次の2つは出力が変わりました。
2.0で出力が変わった2つのスキル
forecast
以前は最良・見込み・最悪の3シナリオを出していたのに対し、2.0ではコミット・ベストケース・パイプラインの語り(ナラティブ)を書きます。
create-an-asset
以前はランディングページやインタラクティブなデモでした。2.0では、アカウントデータに基づく顧客向け資料・1枚もの・置き土産資料を作ります。
呼び出しは、READMEの例にあるとおり/sales:call-summaryのような名前指定でも、「Research Acme Corp before my call tomorrow」のような自然な依頼文でも構いません。スキルは依頼内容が合致したときに動くため、コマンド名を思い出す必要はありません。
接続なしで動く範囲と、管理者の作業
READMEの表によると、Salesの各スキルは何も接続していなくても動きます。接続なしでできることと、接続で強化される内容の対応は次のとおりです。
| やりたいこと | 接続なし | 接続すると |
|---|---|---|
| 通話の要約 | 接続なしメモや文字起こしを貼り付ける | 接続すると通話録音・メール・CRM・チャット |
| パイプライン予測 | 接続なしパイプラインの書き出しをアップロード | 接続するとCRM |
| 見込み客の調査 | 接続なしWeb検索と手元の情報 | 接続するとデータ補強・CRM |
| CRMの更新 | 接続なし手作業で当てはめるチェックリストを受け取る | 接続するとCRM |
| 会議の予約 | 接続なし送信用の招待文の下書き | 接続するとカレンダー・CRM |
接続を足す場合は、管理者の作業が絡みます。.mcp.jsonにはSalesforce・Microsoft 365・Gongなど23件のサーバーが定義されていますが、READMEによるとSalesforceとMicrosoft 365は組織の管理者がClaudeで有効化してから、各ユーザーがサインインする流れです。Salesforceでは、組織のSalesforceアプリの準備も必要です。
書き込み系ツールの許可は、コネクタ側の「許可・確認・ブロック」の設定で決まります。ブロックされている場合、スキルは処理を止めずに、人が手で当てはめるチェックリストを返します。朝のブリーフィングや週次のシグナル通知を定期実行する場合は、送信・投稿・書き込みを「確認」にしておく構成がREADMEで示されています。
Product Managementプラグインと/brainstormの性格
仕様書作成からロードマップ管理、ユーザーリサーチの統合、競合分析、指標レビューまでPM業務の広い範囲をカバーします。
| 呼び出し名 | できること |
|---|---|
/write-spec | できること課題説明からユーザーストーリー・要件・成功指標を含む機能仕様書(PRD)を生成 |
/roadmap-update | できることNow/Next/LaterやOKR形式でロードマップを作成・更新・優先順位変更 |
/stakeholder-update | できること週次・月次・ローンチ時のステークホルダー向け進捗報告を生成 |
/synthesize-research | できることインタビュー・アンケート・サポートチケットからテーマとペルソナを抽出 |
/competitive-brief | できること競合の機能比較とポジショニング分析のブリーフを生成 |
/metrics-review | できることプロダクト指標のトレンド分析と目標比較 |
/brainstorm | できること問題領域を探索する壁打ち相手(唯一commands/にある) |
/sprint-planning | できることスコープ・キャパシティ・目標を決めてスプリント計画を作る。READMEの表にはまだ無い |
接続先は16件です。Slack・Linear・Asana・monday.com・ClickUp・Atlassian(Jira)・Notion・Figma・Amplitude(米国とEU)・Pendo・Intercom・Fireflies・Google Calendar・Gmail・Similarwebが並びます。Slack単体の接続手順はSlack MCPサーバーの使い方、monday.comをボード単位で操作する手順はCowork monday.com連携にあります。
/brainstormは他と性格が異なり、答えを出す前にまず問い返すよう設計されています。READMEの例では、「検索機能にAIを追加すべきか」と投げると、Claudeは「そもそも今の検索の何にユーザーが困っているのか」を聞き返します。「見つからない」がサポート問い合わせの2番目に多いと答えると、検索技術ではなく発見性の問題かもしれないと押し返し、分類体系の改善からAI検索まで5つほどの方向性を出します。最後に、最も危険な仮定を最も安く試す実験を提案する流れです。
自社向けにカスタマイズする勘所
公開されている状態は汎用的な出発点です。READMEは、.mcp.jsonを書き換えて実際に使うツール群に差し替えること、スキルのMarkdownに自社の用語・組織構造・手順を書くこと、cowork-plugin-managementプラグインで自社用のプラグインを作ることを挙げています。
Salesの2.0は「設定ファイルは不要で、見つからない情報は1回だけ聞く」と書かれており、設定を書き込む前提が薄くなりました。カスタマイズするなら、まず.mcp.jsonのコネクタ定義を自社の実際のツールに合わせるのが、READMEの中で最も具体的に示されている作業です。
まとめ
導入前にリポジトリのskills/と.mcp.jsonを開き、自社のCRMやプロジェクト管理ツールが接続先にあるかを確かめておくと、期待とのずれを避けられます。