Claude部門別プラグインの使い方 — Marketing/Sales/PM編
AnthropicがOSS公開したMarketing・Sales・Product Managementプラグインのコマンド・スキル・接続先を導入手順とあわせて整理する。
AnthropicはCowork向けに設計した業務プラグインをanthropics/knowledge-work-pluginsとしてオープンソース公開しています。MarketingプラグインはCoworkの利用画面から一覧を開き、対象プラグインの「Install」を選ぶだけで導入できます。この記事ではMarketing・Sales・Product Managementの3プラグインについて、実際に用意されているコマンドとスキルの一覧、接続できる外部ツール、Claude Codeでの導入コマンドをまとめます。
Claude部門別プラグインとは何か
knowledge-work-pluginsはCowork(Anthropicのエージェント型デスクトップアプリ)向けに主に設計されたプラグイン集で、Claude Codeでも動作します。公開されているのは11種類で、Marketing・Sales・Product Managementに加えてProductivity・Customer Support・Legal・Finance・Data・Enterprise Search・Bio Research・Cowork Plugin Managementが含まれます。各プラグインは「Commands(明示的に呼び出すスラッシュコマンド)」と「Skills(Claudeが自動的に参照するドメイン知識)」の2種類のファイルで構成され、コードやビルド手順は不要です。
3プラグインを比較すると、部門ごとにコマンド設計の重心が違うことが分かります。
| プラグイン | コマンド数 | スキル数 | 主な接続先 |
|---|---|---|---|
| Marketing | コマンド数7 | スキル数5 | 主な接続先Slack・Canva・Figma・HubSpot・Amplitude |
| Sales | コマンド数3 | スキル数6 | 主な接続先HubSpot・Close・Fireflies・Gong・Clay |
| Product Management | コマンド数7 | スキル数7 | 主な接続先Linear・Jira・Notion・Figma・Amplitude |
MarketingとProduct Managementはコマンド主体で明示的な指示に応える設計、Salesはコマンドが3つに絞られ、代わりに「話しかけるだけで自動的に発動するスキル」の比重が高い設計になっています。
導入方法 — CoworkとClaude Codeでのインストール手順
Coworkではclaude.com/pluginsの一覧から対象プラグインのページを開き、「Install」を選ぶだけで有効になります。設定ファイルを共有フォルダに置くと、ブランドボイスやCRMの認証情報などをプラグインが自動的に読み込みます。
Claude Codeでは、まずマーケットプレイスを追加してから個別のプラグインをインストールします。
/plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-plugins
/plugin install marketing@knowledge-work-pluginsインストール後は、各プラグインのREADMEに記載された裸形(/draft-contentなど)に加えて、/marketing:draft-contentのようにプラグイン名を前置した名前空間形式でも呼び出せます。コマンド一覧へ反映されない場合は、/reload-pluginsコマンドでセッションを再起動せずに反映できます。プラグイン全般の仕組みやマーケットプレイスの探し方はClaude Codeプラグイン完全ガイドにまとめています。
Marketingプラグインの7コマンドと使い方
コンテンツ作成・キャンペーン計画・ブランドボイス管理・競合分析・パフォーマンス報告をカバーします。
| コマンド | できること |
|---|---|
/draft-content | できることブログ・SNS投稿・メールニュースレター・LP・プレスリリース・事例記事の下書き作成 |
/campaign-plan | できること目的・チャネル戦略・コンテンツカレンダー・成功指標を含むキャンペーン企画書の生成 |
/brand-review | できること既存コンテンツをブランドボイス・スタイルガイド・メッセージング方針と照合 |
/competitive-brief | できること競合を調査しポジショニング・メッセージング比較資料を生成 |
/performance-report | できること主要指標・トレンド・改善提案を含むマーケティング成果レポートの作成 |
/seo-audit | できることキーワード調査・オンページ分析・コンテンツギャップ・技術チェック・競合比較を含む総合SEO監査 |
/email-sequence | できることナーチャリングやオンボーディング向けの複数通メールシーケンスの設計 |
ブランドボイスやスタイルガイドをローカル設定ファイルに記録しておくと、/draft-contentや/brand-review実行時に毎回聞き直されることなく自社基準を適用できます。接続先はSlack・Canva・Figma・HubSpot・Amplitude・Notion・Ahrefs・Similarweb・Klaviyo・Supermetricsです。
/campaign-planを実行すると、目的・対象読者・期間・予算だけを聞かれます。たとえば「新製品ローンチで500件の登録を獲得したい、対象はエンタープライズの技術部門の意思決定者、期間6週間、予算2〜3万ドル」と答えると、目的設定・読者セグメント・主要メッセージ・チャネル戦略・週単位のコンテンツカレンダー・追跡すべきKPIまでを含む企画書が返ってきます。ゼロから企画書の骨子を書く時間を、条件を答える数分の対話に置き換える設計です。
Salesプラグインのコマンドとスキルの違い
Salesプラグインは「明示的に呼ぶコマンド」と「自然に話しかけると発動するスキル」が役割分担しています。
コマンドは3つです。
| コマンド | できること |
|---|---|
/call-summary | できること通話メモや文字起こしからアクションアイテムとフォローアップメールを生成 |
/forecast | できることCSVアップロードやパイプラインの説明から加重予測とベスト/ワースト/確度別の見通しを算出 |
/pipeline-review | できることパイプラインの健全性スコア・案件の優先順位付け・週次アクションプランを生成 |
一方、account-research(企業・人物の調査)・call-prep(商談準備)・daily-briefing(日次ブリーフィング)・draft-outreach(調査してからパーソナライズしたアウトリーチを下書き)・competitive-intelligence(競合調査とトークトラック作成)・create-an-asset(提案資料の生成)は、コマンド入力ではなく「Acme社について調べて」のように自然に依頼すると自動的に発動するスキルです。
Salesプラグインの設計上の特徴は、接続なしでも最低限動き、接続を足すほど精度が上がる「スタンドアロン+スーパーチャージ」の考え方です。
| やりたいこと | 接続なしでできること | 接続すると強化される内容 |
|---|---|---|
| 通話メモの処理 | 接続なしでできることメモや文字起こしを貼り付ける | 接続すると強化される内容通話記録MCP(Gong・Fireflies) |
| パイプライン予測 | 接続なしでできることCSVアップロードや案件の説明 | 接続すると強化される内容CRM MCP |
| 見込み客の調査 | 接続なしでできることWeb検索 | 接続すると強化される内容企業データ強化MCP(Clay・ZoomInfo) |
| 商談準備 | 接続なしでできること打ち合わせ内容の説明 | 接続すると強化される内容CRM・メール・カレンダーMCP |
接続しなくてもWeb検索と入力データだけでコマンド・スキルの両方が動作するため、まずCRM連携なしで試して価値を確認してから接続を足す進め方ができます。
Product Managementプラグインの7コマンドと接続先
仕様書作成からロードマップ管理、ユーザーリサーチの統合、競合分析、指標レビューまでPM業務の広い範囲をカバーします。
| コマンド | できること |
|---|---|
/write-spec | できること課題説明からユーザーストーリー・要件・成功指標を含む機能仕様書(PRD)を生成 |
/roadmap-update | できることNow/Next/LaterやOKR形式でロードマップを作成・更新・優先順位変更 |
/stakeholder-update | できること週次・月次・ローンチ時などのステークホルダー向け進捗報告を生成 |
/synthesize-research | できることインタビュー・アンケート・サポートチケットからテーマとペルソナを抽出 |
/competitive-brief | できること競合の機能比較とポジショニング分析のブリーフを生成 |
/metrics-review | できることプロダクト指標のトレンド分析と目標比較 |
/brainstorm | できることHow Might We・Jobs-to-be-Done・第一原理などのフレームワークで問題領域を探索する壁打ち相手 |
接続先はSlack・Linear/Asana/monday.com/ClickUp/Atlassian(Jira)・Notion・Figma・Amplitude/Pendo・Intercom・Firefliesです(Slack単体のMCP接続手順はSlack MCPサーバーの使い方を参照)。
/brainstormは他の6コマンドと性格が異なり、答えを出す前にまず問い返すよう設計されています。「検索機能にAIを追加すべきか」と投げると、すぐに実装方針を提案するのではなく「そもそも今の検索の何にユーザーが困っているのか」を聞き返します。社内の問い合わせ分類で2番目に多いのが「見つからない」だと答えると、それが検索技術の問題なのか情報設計の問題なのかを一緒に切り分けます。そのうえで分類体系(taxonomy)の改善からAI検索まで複数の打ち手を提示し、最も安く検証できる案から試すよう提案します。特にプロジェクト管理ツールとFigmaを両方接続すると、/write-specがデザインの文脈とチケットの状態を踏まえた仕様書を作れるようになります。
部門別プラグインを使う際によくあるつまずき
- コマンドとスキルを混同する: Salesプラグインの
call-prepはREADMEのコマンド表ではなくスキル表に載っており、自然な依頼文でも発動します。/call-prepという明示コマンド形式を期待すると見つからないことがあります - 接続なしで使えないと思い込む: いずれのプラグインもMCP接続は前提条件ではなく、CSVアップロードや手入力だけでも動作する「スタンドアロン」設計です。まず接続なしで試してから、必要な範囲だけ接続を増やす方が設定の手間を減らせます
- ローカル設定を配置し忘れる: ブランドボイスやクォータなどの個人設定はローカルの設定ファイルに書きますが、Coworkでは共有フォルダに、Claude Codeではプラグインディレクトリ配下の
.claude/settings.local.jsonに置く必要があり、置き場所を間違えると毎回同じ質問をされます - インストール後にコマンドが出てこない: Claude Codeでインストール直後にセッションを再起動していないと、追加したスラッシュコマンドが候補に出ないことがあります
自社向けにカスタマイズする際の勘所
3プラグインとも、公開されている状態は汎用的な出発点にすぎません。リポジトリの構成は.claude-plugin/plugin.json(マニフェスト)・.mcp.json(接続先定義)・commands/・skills/のディレクトリに分かれており、.mcp.jsonを書き換えるだけで自社が実際に使っているCRMやプロジェクト管理ツールに差し替えられます。
スキルのMarkdownファイルに自社の用語や組織構造、承認フローを書き加えると、Claudeが毎回同じ説明を求めずに社内標準へ沿った出力を返すようになります。営業チームのクォータや競合リストのようにユーザーごとに違う情報は、ローカル設定ファイルに書いておけば初回だけ聞かれて以降は再利用されます。
マーケティング・営業・PM以外にもLegal(契約審査)・Finance(仕訳・照合)・Data(SQL・可視化)・Enterprise Search(全社横断検索)向けのプラグインが同じリポジトリに公開されているため、自部門向けが無い場合はまずそちらを確認する価値があります。
よくある質問
CoworkとClaude Codeのどちらで使うべきですか
3プラグインとも主にCowork向けに設計されていますが、Claude Codeでも同じコマンド・スキルが動作します。ファイルやフォルダを扱う作業が中心ならCowork、ターミナルでの作業に慣れているならClaude Codeという使い分けで問題ありません。
料金はかかりますか
プラグイン自体はオープンソースで無料で、追加のライセンス費用はかかりません。ただしCoworkやClaude Codeの利用そのものにはClaudeのプラン(Pro・Max・Team・Enterpriseなど)またはAPIの利用料がかかります。
日本語でも使えますか
コマンドやスキルの説明文は英語ですが、日本語で依頼すればコマンド・スキルとも日本語で応答します。生成される企画書やレポートも日本語で出力できます。
まとめ
Marketing・Sales・Product Managementの3プラグインは、いずれもAnthropicがオープンソースで公開しているテンプレートであり、接続先のMCPサーバーや設定ファイルを自社のツールスタックに合わせて書き換えることが前提になっています。まずは接続なしでコマンドを試し、日常的に使う機能が固まった段階でCRMやプロジェクト管理ツールとの接続を追加していくのが導入の摩擦が少ない進め方です。