Firecrawl MCPでClaude CodeにWebスクレイピングをさせる
Firecrawl公式MCPサーバーをClaude Codeに接続し、URL指定のスクレイピングからサイト横断のクロール、Web検索まで自然言語で指示する手順と料金・注意点をまとめます。
FirecrawlのMCPサーバーは、URLを指定したページ取得からサイト全体のクロール、Web検索までをClaude Codeから自然言語で呼び出せる公式ツールです。APIキーなしの無料枠でも一部ツールが動き、キーを設定すればクロールやAIリサーチエージェントまで使えるようになります。
Firecrawl MCPサーバーとは
Firecrawl MCPサーバーとは、Webスクレイピング・検索サービスFirecrawlが提供するMCP(Model Context Protocol)サーバーで、Claude CodeをはじめとするMCP対応クライアントからFirecrawlの機能を呼び出せるようにします。単一ページの取得だけでなく、サイト内URLの発見、複数ページのクロール、Web検索、動的ページでのクリックやフォーム入力まで、Web関連の操作をひとつの接続にまとめている点が特徴です。
リポジトリはmendableai/firecrawl-mcp-serverとしてMITライセンスで公開されており、GitHubで7,500以上のスターを集める人気サーバーです。接続方法は3つあり、APIキー不要のホスティングエンドポイントにつなぐ方法、Firecrawlのアカウントに紐づくAPIキーを使う方法、自前でFirecrawl APIをセルフホストする方法から選べます。
Claude Codeへの接続方法
接続方式によって使えるツールの範囲と手順が変わります。まずは自分の用途に合う方式を決めます。
| 方式 | 接続先 | APIキー | 使えるツール |
|---|---|---|---|
| ホスティング(キーなし) | 接続先https://mcp.firecrawl.dev/v2/mcp | APIキー不要 | 使えるツールscrape・search・parseの3つのみ(レート制限あり) |
| ホスティング(キーあり) | 接続先https://mcp.firecrawl.dev/v2/mcp | APIキー必要 | 使えるツールcrawl・map・agentを含むフルセット |
| ローカル(npx) | 接続先stdio(ローカルプロセス) | APIキー必要 | 使えるツールフルセット。FIRECRAWL_API_URLでセルフホストのFirecrawl APIも指定可 |
試しにキーなしで動かしたい場合は、HTTPトランスポートでホスティングエンドポイントに接続するだけです。
claude mcp add --transport http firecrawl https://mcp.firecrawl.dev/v2/mcp本格的に使うにはFirecrawlのアカウントでAPIキーを発行し、AuthorizationヘッダーにBearerトークンとして渡します。
claude mcp add --transport http firecrawl https://mcp.firecrawl.dev/v2/mcp \
--header "Authorization: Bearer YOUR_FIRECRAWL_API_KEY"ローカルプロセスとして起動したい場合は、npx経由のstdioサーバーとして追加します。環境変数FIRECRAWL_API_KEYをそのまま渡せます。
claude mcp add --env FIRECRAWL_API_KEY=fc-YOUR_API_KEY --transport stdio firecrawl -- npx -y firecrawl-mcp追加後はclaude mcp listでサーバーの接続状態を確認します。✔ Connectedと表示されれば準備完了です。Claude Desktopで使う場合はclaude_desktop_config.jsonに同じcommand・args・envのJSONブロックを書く形式になり、設定の考え方は共通しています。claude mcp addの--scopeやヘッダー指定の詳しい構文はClaude Code MCP設定ガイドにまとめています。
どのツールをいつ使うか
Firecrawl MCPサーバーは用途別に複数のツールを公開しています。代表的な使い分けは次の通りです。
| やりたいこと | 使うツール | ポイント |
|---|---|---|
| 既知のURL1件から内容を取得したい | 使うツールfirecrawl_scrape | ポイントJSON形式+スキーマ指定がデフォルトで推奨される |
| サイト内のURL一覧だけ知りたい | 使うツールfirecrawl_map | ポイントページ内容は取得しない。まず全体像を掴むのに使う |
| 検索クエリから関連ページを探したい | 使うツールfirecrawl_search | ポイントURLが分からないときの起点。scrapeOptionsで本文取得も同時にできる |
| サイト内の複数ページをまとめて取得したい | 使うツールfirecrawl_crawl | ポイントlimitやmaxDiscoveryDepthを必ず指定して範囲を絞る |
| クリックや入力が必要な動的ページを操作したい | 使うツールfirecrawl_interact | ポイントプロンプトまたはコードで操作を指示し、scrapeIdでセッションを継続できる |
| URLが分からず複数サイトにまたがる情報を集めたい | 使うツールfirecrawl_agent | ポイント非同期ジョブとして実行し、firecrawl_agent_statusでポーリングする |
| PDFやWord文書を読みたい | 使うツールfirecrawl_parse | ポイントホスティングMCPではアップロード用の一時URLを発行してから読み込む2段階フロー |
公式READMEはこのほかに、論文検索に特化したfirecrawl_research_*、定期巡回と変更検知を行うfirecrawl_monitor_*、GitHub issueやREADMEを検索するfirecrawl_developer_searchも公開しています。フィードバック用ツールを含むフルプロファイルはデフォルト設定で25個のツールを登録すると明記されており、クライアント側にツール数の上限がある場合は環境変数FIRECRAWL_NO_SEARCH_FEEDBACK=1・FIRECRAWL_NO_ENDPOINT_FEEDBACK=1でフィードバック系ツールを減らせます。検索専用エンドポイント(https://mcp.firecrawl.dev/v2/mcp-search)を使うと、ページ本文の取得を行わない読み取り専用の6ツールに絞られます。
検索・リサーチ系ツールの使い分け
Firecrawl MCPサーバーには、通常のWeb検索以外に開発者向けの検索も用意されています。
firecrawl_search: 通常のWeb検索です。categories: ["research"]を指定すると論文寄りのサイトに結果を絞り込めますが、これはあくまで通常のWeb検索結果をフィルタしたものです。firecrawl_developer_search: GitHubのissue・マージ済みPull Request・README・ドキュメントサイトを対象にしたインデックスを検索します。ライブラリの使い方やエラーメッセージ、既知のバグを調べたいときに向いています。skillsパラメータを"only"にするとAgent Skillsファイルだけに絞り込めます。firecrawl_research_*(論文検索): PubMed・bioRxiv・medRxiv・arXivなどの論文の要旨・全文を対象にした専用ツール群です。firecrawl_research_search_papersで検索し、firecrawl_research_read_paperで本文を読み進められます。firecrawl_agent: URLが分からない、または複数サイトにまたがる情報を集めたいときに使う非同期の調査ツールです。プロンプトと任意のJSONスキーマを渡すとジョブIDが返り、firecrawl_agent_statusをポーリングして完了を待ちます。1つのURLが既に分かっている場合はscrapeのJSON形式のほうが速く安価です。
動的ページの操作と定期監視
クリックやフォーム入力が必要なページにはfirecrawl_interactを使います。新規ページならurl、すでにfirecrawl_scrapeで開いたページの続きならscrapeIdを渡し、prompt(自然言語の指示)かcodeのどちらかを指定します。操作が終わったセッションはfirecrawl_interact_stopで明示的に閉じます。1回の呼び出しは1つのプロンプトまたはコードの実行で完結する設計のため、クライアント側から逐次的にステップを積み重ねる使い方はできません。
同じページを定期的にチェックしたい場合はfirecrawl_monitor_*ツール群が使えます。page(またはpages)とgoal(自然言語での変更検知条件)を渡すと、30分間隔のスケジュールでスクレイピングと差分判定が自動的に設定されます。firecrawl_monitor_listで一覧を確認し、firecrawl_monitor_checkで個別チェックのdiffや判定結果を取得できます。
スクレイピングを頼んでみる
接続できたら、Claude Codeへの指示は具体的なURLと欲しい情報を伝えるだけで十分です。
https://example.com/product の商品名・価格・説明をJSON形式で取得してClaudeはfirecrawl_scrapeをJSON形式・スキーマ付きで呼び出し、指定したフィールドだけを抽出して返します。ページ全体の要約が必要なときは「Markdown形式で本文を取得して」のように伝えればformats: ["markdown"]が選ばれます。サイト全体を調べたいときは「example.comのブログ記事を新しい順に10件クロールして」のように件数や深さの目安を伝えると、firecrawl_crawlが適切なlimitで呼び出されやすくなります。
プライバシーとブランド抽出の特殊フォーマット
firecrawl_scrapeには用途別の特殊フォーマットも用意されています。個人情報を含むページを扱う場合はredactPII: trueを指定すると、個人を特定できる情報を除いた状態で結果を受け取れます。デザイン検証やスタイル模倣のためにサイトの配色・フォント・ロゴといったブランド要素だけを抜き出したいときはformats: ["branding"]を指定します。
PDFやWord文書を読み込む(parse)
ローカルのPDFやWord文書、スプレッドシートを読み込みたいときはfirecrawl_parseを使います。ホスティングMCPはクライアントのファイルシステムを直接読めないため、filePathを渡すと短命のアップロード用コマンドとnextToolCallが返り、そのコマンドでファイルをアップロードしてから、返ってきたuploadRefを指定してfirecrawl_parseをもう一度呼び出す2段階の流れになります。ローカルのnpx firecrawl-mcpモードでファイルを直接読み込ませたい場合は、クラウドAPIキーだけでは動作せず、FIRECRAWL_API_URLでセルフホストのFirecrawl APIを指定する必要があります。
料金とレート制限の考え方
キーなしのホスティングエンドポイントでは、scrape・search・parseがレート制限付きで無料で使えます。crawl・map・agentなど他のツールはAPIキーが必須です。検索(firecrawl_search)は1回あたり2クレジット消費しますが、結果を実際に使ったかどうかをfirecrawl_search_feedbackで送信すると初回分だけ1クレジットが返金される仕組みがあります。返金には日次の上限(チーム単位でデフォルト100クレジット/UTC日)があり、上限に達するとdailyCapReached: trueが返り、以降はその日のフィードバックを送っても返金されません。
自前のFirecrawlインスタンスを運用したい場合はFIRECRAWL_API_URLで自己ホスト先のAPIエンドポイントを指定できます。MCPサーバー自体の実装や一般的なセルフホスト構成の考え方はMCPサーバー自作ガイドが参考になります。
よくあるつまずき
scrapeに複数URLを一度に渡そうとする。firecrawl_scrapeは1回の呼び出しにつきURL1件が前提です。複数URLをまとめて処理したい場合は、URLごとに呼び出しを分けるか、MCPの外でFirecrawl APIのバッチエンドポイントを直接使う必要があります。
crawlの範囲を絞らずに実行してしまう。limitやmaxDiscoveryDepthを大きくしすぎると、返ってくるデータ量がコンテキストウィンドウを超えることがあります。公式READMEも「クロールのレスポンスは非常に大きくなり得る」と明記しており、まずはfirecrawl_mapでURL構造を確認してから範囲を決めるのが安全です。
markdown形式をデフォルトで使ってしまう。scrapeはJSON形式+スキーマ指定が推奨で、markdown形式は記事全体の要約など全文が本当に必要なときに限る位置づけです。目的のフィールドだけが欲しいなら、最初からJSON形式で指定したほうがレスポンスが小さくなります。
OAuthトークンとAPIキーの優先順位を意識していない。HTTPストリーム接続では、OAuthのBearerトークン(fco_で始まる)がAPIキーヘッダーより優先されます。両方を設定したまま挙動が変わらないと感じたら、どちらが実際に使われているかを確認します。
キーなしモードでcrawlが動かないと勘違いする。ホスティングのキーなしエンドポイントで使えるのはscrape・search・parseの3つだけです。「crawlやmapのツールが見当たらない」と感じたら、まずAPIキーをヘッダーに設定しているかを確認します。
まとめ
Firecrawl MCPサーバーは、単一ページのスクレイピングからサイト横断のクロール、Web検索、動的ページの操作までを1つの接続でカバーする公式ツールです。まずはキーなしのホスティングエンドポイントでfirecrawl_scrapeやfirecrawl_searchを試し、クロールや構造化データ抽出が必要になった時点でAPIキーを発行してフルセットに切り替える進め方が扱いやすくなっています。ブラウザーの直接操作やスクリーンショット中心の用途ではCloudflare Browser RenderingのMCPのような専用サーバーとの使い分けも検討できます。