Freshserviceで入退社のITアカウント申請を会話から起票する
FreshserviceのConnectorはオンボーディング・オフボーディング専用のツールを持ち、入社時のITアカウント発行リクエストや退職時の資産回収リクエストを会話から起票・照会できます。具体的な使い方をまとめます。
入退社専用のツールで何ができるか
Freshserviceコネクタには、createOnboardingRequest(オンボーディングリクエストの作成)とcreateOffboardingRequest(オフボーディングリクエストの作成)という、入退社に特化したツールが専用で用意されています。汎用のチケット作成ツール(createTicket)とは別枠で、入社・退職という業務イベントに直結したリクエストを会話から起票できる点が、Freshserviceコネクタを情シス部門で使うときの主な利点になります。Claudeがアカウントの発行自体を実行するのではなく、発行や資産回収のリクエストを会話から起票・照会する使い方です。
対応する操作は入社・退職それぞれで3種類ずつです。入社時はcreateOnboardingRequest(作成)・fetchOnboardingRequestForm(申請フォームの取得)・fetchOnboardingRequests(一覧取得)、退職時はcreateOffboardingRequest(作成)・fetchOffboardingRequestTickets(紐づくチケットの取得)・fetchOffboardingRequests(一覧取得)です。加えて、資産の貸与・回収はサービスカタログ経由のツール群(placeRequestServiceCatalogItemほか)とfetchAssets(資産情報取得)が担います。
本記事は、これらのツールを使ったIT側のアカウント発行・資産回収のチケット処理に絞って扱います。
入社時のアカウント発行フロー
新入社員の入社が決まった時点で、情シス担当がFreshserviceの画面を開かずに一連の手続きを進められます。
| 手順 | 使うツール | 依頼の例 |
|---|---|---|
| 申請フォームの確認 | 使うツールfetchOnboardingRequestForm | 依頼の例オンボーディングリクエストのフォームにどんな項目があるか教えて |
| リクエストの作成 | 使うツールcreateOnboardingRequest | 依頼の例来週月曜入社の新入社員のオンボーディングリクエストを作成して。部署は営業、貸与機材はノートPCとスマートフォン |
| 進捗の確認 | 使うツールfetchOnboardingRequests | 依頼の例今月の入社者分のオンボーディングリクエストを一覧で確認して、未対応のものを教えて |
フォームの項目を先に確認してから作成を依頼すると、部署・役職・貸与機材といった必須項目の抜けを防げます。複数人分の入社が重なる時期は、一覧取得で未対応分をまとめて洗い出す使い方が効きます。
リクエストの担当者はfetchAgent・fetchAgentsで確認できます。特定のIT担当者に必ず割り当てたい入社対応がある場合、空いている担当者を先に確認してから作成を依頼すると、後から手動で割り当て直す手間が減ります。
退職時のアカウント停止・資産回収フロー
退職者のIT側の手続きは、アカウント停止と資産回収がセットで発生します。
| 手順 | 使うツール | 依頼の例 |
|---|---|---|
| リクエストの作成 | 使うツールcreateOffboardingRequest | 依頼の例来月末退職予定のメンバーのオフボーディングリクエストを起票して。アカウント停止日は最終出社日翌日で |
| 紐づくチケットの確認 | 使うツールfetchOffboardingRequestTickets | 依頼の例このオフボーディングリクエストに紐づくチケットの対応状況を教えて |
| 進捗の確認 | 使うツールfetchOffboardingRequests | 依頼の例今四半期の退職者分のオフボーディングリクエストで、資産回収が終わっていないものを一覧にして |
fetchOffboardingRequestTickets(紐づくチケットの取得)を使えば、個別のチケット番号を覚えていなくても、リクエストに紐づくチケットの対応状況をまとめて確認できます。
資産の貸与・回収をサービスカタログで扱う
ノートPCやライセンスの貸与・回収は、オンボーディング・オフボーディングのリクエストとは別に、サービスカタログ経由でも申請できます。
fetchServiceCatalogCategoriesでカタログのカテゴリを確認するfetchServiceCatalogItems・fetchServiceCatalogItemSearchで貸与可能な機材やライセンスを検索するplaceRequestServiceCatalogItemで実際に申請するfetchAssetsで回収対象の資産情報を確認する
「新入社員にノートPCを貸与するリクエストをサービスカタログから出して」のような依頼は、オンボーディングリクエストの作成とは別のツールが動きます。両者を同じ依頼文の中で使い分けたい場合、Claudeがどちらのツールを呼ぶかは依頼の書き方に左右されるため、「オンボーディングリクエストの作成」と「機材貸与の申請」を分けて明示すると意図どおりに動きやすくなります。
退職者から回収する資産が複数ある場合、fetchAssetsで対象の資産情報をまとめて確認してから回収リクエストを進めると、返却漏れの発見に役立ちます。
入社・退職のどの段階でどのツールに頼るか
入社・退職はどちらも数週間かけて進む手続きです。表のツールをいつ使うかを、準備・当日前後・完了確認の3つのタイミングで押さえておくと使い分けに迷いません。
- 準備段階: 入社なら部署・貸与機材、退職なら停止日といった内容を確定させてから作成系のツールを依頼します。未確定のままリクエストを作成すると、後からFreshservice側で修正する作業が発生します。
- 当日前後: 入社なら貸与機材の申請状況をサービスカタログ側のツールで確認し、退職なら紐づくチケットの対応状況を確認して、間に合っていない項目があれば個別に対応します。
- 完了確認: 複数人分の入社・退職が重なる時期は、一覧取得系のツール(
fetchOnboardingRequests・fetchOffboardingRequests)で未対応・未完了分をまとめて洗い出すと、個別にチケット番号を追うより早く状況を把握できます。
承認設定は組織全体・実行できるかは利用者ごと
入退社の手続きは人事情報を含むため、書き込み系の操作をどう制御するかが気になります。ここは2層に分かれています。
Claude側のTool permissionsは、Team・EnterpriseプランのOwnerが設定する組織全体の設定です。一次ソースによれば、この設定は組織内の全員に一律で適用され、個々の利用者が自分だけ設定を上書きすることはできません。参照系はAlways allow、作成系はNeeds approvalのように、カテゴリ単位・個別ツール単位で許可レベルを決めますが、その内容はFreshserviceコネクタを使う全員に同じ形で反映されます。
役割によって扱いを変えたい場合は、Claude側の設定ではなくFreshservice側のロール権限で制御します。Claude側で書き込み操作を許可していても、接続したアカウントにFreshservice側の実行権限がなければ、その操作自体が実行できません。
| 層 | 誰が設定するか | 効果の範囲 |
|---|---|---|
| Claude側(Tool permissions) | 誰が設定するかOwner(Team/Enterpriseプラン) | 効果の範囲組織全体で共通。個人による上書きは不可 |
| Freshservice側(ロール権限) | 誰が設定するかFreshserviceの管理者 | 効果の範囲接続したアカウントごとに異なる |
Tool permissionsの画面では、読み取り系ツールと書き込み・削除系ツールがカテゴリ別に表示され、カテゴリ単位でも個別ツール単位でも設定できます。「チケットの参照は許可するが、オンボーディングリクエストの作成は承認を挟む」のような組み合わせもこの画面で指定しますが、これも組織全体に対する設定です。
Needs approvalは操作のたびに承認を挟む前提で、内容を都度確認しながら運用したい場合に向きます。Blockedは操作自体を一律に禁止する設定で、導入直後のように書き込み系の挙動をまだ確認しきれていない期間に向いています。役割ごとにきめ細かく制御したい場合は、Claude側の設定ではなくFreshservice側のアカウント権限を先に整理する必要があります。権限設定の2層構造や設定時によくある失敗はClaude Connectorsの権限設定でよくある失敗と対策にまとめています。
入退社の記録は監査対象になりやすい情報でもあります。組織側でどこまで操作ログを追跡できるかはClaudeコネクタの権限設定は監査ログでどこまで追えるかで扱っています。
接続とセットアップ
FreshserviceコネクタはFreshserviceアカウントでのサインインが必須です。Team・Enterpriseプランでは、Ownerによる組織側の有効化とメンバー個別の認証という2段階が必要になります。接続手順そのものと、チケット・資産照会・ナレッジベース更新を含めた全体像はClaudeとFreshserviceを連携する方法を先に確認してください。
新入社員向けの受け入れ資料(初週の日程やチーム紹介)を別途まとめたい場合は、IT側のアカウント発行とは別の作業として新人オンボーディングガイドをClaudeで自動生成する手順が対応します。IT側のアカウント発行・資産回収と、受け入れ資料の作成は、担当部門も使うツールも別々に進める作業です。
よくあるつまずき
オンボーディングリクエストが作成できない
オンボーディングリクエストの作成がうまくいかない場合、Freshservice側でテンプレートやワークフローの設定が影響している可能性があります。管理画面でテンプレートの設定を確認してみてください。
オフボーディングに紐づくチケットが一部しか取得できない
fetchOffboardingRequestTicketsで取得できる範囲は、接続したアカウントの閲覧権限に依存します。一部のチケットを接続アカウントが閲覧できない場合、権限がなければ一覧から漏れます。
サービスカタログの申請とオンボーディングリクエストが混同される
「新入社員の受け入れ準備をして」のような抽象的な依頼は、作成系ツールのどちらが呼ばれるか安定しません。「オンボーディングリクエストを作成して」「サービスカタログからノートPCを申請して」のように、操作名と対象を分けて依頼すると意図どおりに動きます。
資産の返却状況とチケットの状態が食い違う
現物の返却が終わっていても、Freshservice側の資産台帳が更新されていなければ、fetchAssetsで照会しても返却前の状態に見えることがあります。Freshservice側で資産の割当解除を行うタイミングが、返却の受け取りと別工程になっていないかを確認します。Claude側からリクエストを起票できても、資産台帳の更新自体はFreshservice側の運用に依存します。
まとめ
Freshserviceコネクタは、汎用のチケット作成とは別に、入社・退職それぞれに専用のリクエスト作成・取得ツールを備えています。担当者の割り当てや資産情報の確認まで同じ会話の中で完結します。日常的な一覧確認はAlways allowのままにし、アカウント発行や資産回収に関わる作成系の操作はNeeds approvalにして内容確認を挟む運用が、人事情報を扱う業務としては現実的です。オンボーディングリクエストとサービスカタログ申請は別のツールなので、依頼するときは操作名と対象を分けて明示すると、意図どおりに動きやすくなります。