Freshserviceで入退社のITアカウント申請を会話から起票する
FreshserviceのConnectorはオンボーディング・オフボーディング専用のツールを持ち、入社時のITアカウント発行リクエストや退職時のオフボーディングリクエストを会話から起票・照会できます。具体的な使い方をまとめます。
入退社専用のツールで何ができるか
Freshserviceコネクタには、createOnboardingRequest(オンボーディングリクエストの作成)とcreateOffboardingRequest(オフボーディングリクエストの作成)という、入退社に特化したツールが専用で用意されています。汎用のチケット作成ツール(createTicket)とは別枠で、入社・退職という業務イベントに直結したリクエストを会話から起票できる点が、情シス部門で使うときの主な利点です。Claudeがアカウントの発行自体を実行するのではなく、発行や退職手続きのリクエストを起票・照会する使い方になります。
入社側は申請フォームの取得(fetchOnboardingRequestForm)、作成、起票済み分の取得が揃っています。退職側は作成、一覧取得(fetchOffboardingRequests)、チケットの取得(fetchOffboardingRequestTickets)です。資産の貸与はサービスカタログ経由のツール群(placeRequestServiceCatalogItemほか)と、資産情報の取得(fetchAssets)が担います。
ツール名の細部は、公開されているページごとに少しずれます。claude.comのコネクタページは全35ツールとし、Freshworksのヘルプは45ツールの一覧表を載せています。Freshworksの表にはfetchOnboardingRequest(単数形、1件の取得)とfetchOffboardingRequestFormがあります。claude.com側のページに並ぶfetchOnboardingRequestsとfetchServiceCatalogCategoriesは、その表にありません。実際に使えるツールは、接続後にClaudeの設定画面で表示される一覧が基準になります。
入社時のアカウント発行フロー
新入社員の入社が決まった時点で、情シス担当はFreshserviceの画面を開かずに一連の手続きを進められます。依頼はこの順に並べると、項目の抜けを後工程に持ち越さずに済みます。
入社リクエストの起票から確認まで
- 1
申請フォームの項目を見る
fetchOnboardingRequestFormがオンボーディングのフォーム項目を返します。依頼の例は「オンボーディングリクエストのフォームにどんな項目があるか教えて」です。 - 2
リクエストを作成する
createOnboardingRequestで起票します。「来週月曜入社の新入社員のオンボーディングリクエストを作成して。部署は営業、貸与機材はノートPCとスマートフォン」のように、フォームで見た項目を依頼文へ入れます。 - 3
起票済みの分を確かめる
fetchOnboardingRequestで、起票したオンボーディングリクエストを取得します。依頼の例は「起票したオンボーディングリクエストを取得して」です。今月分や未対応といった絞り込みは、返ってきた内容を見ながら続けて依頼します。
フォームの値に使う部署・拠点・グループの名前は、同じ一覧表のfetchDepartments・fetchLocations・fetchGroupsで照会できます。ただしFreshworksのヘルプによると、fetchDepartmentsは単一アカウントのMSP(マネージドサービス事業者向け)モードでは使えません。担当者(agent)の一覧はfetchAgents、特定の1人はfetchAgentが返します。これらは名前やIDを確かめる用途の読み取りです。一覧系ツールで続きのデータが必要なときは、MCPクライアントとLLMがnextCursorパラメータで自動的に取得します。
退職時のオフボーディングリクエストの流れ
退職者のIT側の手続きは、アカウント停止と機材の返却がセットで発生します。退職側にも、入社と同じくフォームの項目を返すツール(fetchOffboardingRequestForm)があります。
| 手順 | 使うツール | 依頼の例 |
|---|---|---|
| フォームの確認 | 使うツールfetchOffboardingRequestForm | 依頼の例オフボーディングのフォームにどんな項目があるか教えて |
| リクエストの作成 | 使うツールcreateOffboardingRequest | 依頼の例来月末退職予定のメンバーのオフボーディングリクエストを起票して。退職日は2026-10-31で |
| 一覧の確認 | 使うツールfetchOffboardingRequests | 依頼の例今四半期の退職者分のオフボーディングリクエストを一覧にして |
| チケットの確認 | 使うツールfetchOffboardingRequestTickets | 依頼の例オフボーディングのチケットの詳細を教えて |
Freshworksのヘルプでは、fetchOffboardingRequestsは「すべてのオフボーディングリクエストの詳細」、fetchOffboardingRequestTicketsは「すべてのオフボーディングチケットの詳細」を返すツールとして書かれています。個別のチケット番号を覚えていなくても、退職関連のチケットをまとめて引けます。
日付は「最終出社日」のような言い回しにせず、依頼文に日付そのものを書いておくと、起票後のリクエストと突き合わせやすくなります。項目名は、fetchOffboardingRequestFormで見たフォームの表記に合わせます。
資産の貸与をサービスカタログで扱う
ノートPCやライセンスの貸与は、オンボーディングのリクエストとは別に、サービスカタログのアイテムとしても申請できます。Freshworksのヘルプに載っている依頼例は、次の2つです。
- 「Search the service catalog for 'laptop'.」(
fetchServiceCatalogItemSearchでカタログを検索) - 「Request a software installation for Zoom for john@acme.com.」(
placeRequestServiceCatalogItemでアイテムを申請)
アイテムの一覧はfetchServiceCatalogItems、1件の詳細はfetchServiceCatalogItemです。claude.comのコネクタページには、カテゴリを返すfetchServiceCatalogCategoriesも載っています。資産台帳側には、一覧のfetchAssets、1件のfetchAsset、新規のcreateAsset、更新のupdateAssetが並んでいます。
「新入社員にノートPCを貸与するリクエストをサービスカタログから出して」という依頼は、オンボーディングの作成とは別のツールが動きます。退職者から戻る機材が複数あるときは、fetchAssetsで資産の一覧を取得してから、カタログ側の依頼を進めます。
利用枠は読み取りの1回も1アクションと数える
Freshworksのヘルプによると、MCPの利用は「成功したツール呼び出し」を1アクションと数えます。公式の例は、チケット1001のステータスを更新する操作も、資産112の詳細を取得する操作も、どちらも1アクションです。入社の起票では、読み取りだけの照会も枠を使います。
Freshserviceのプラン別 MCP上限
Growth
1,200回
1分あたり25回まで
Pro
6,000回
1分あたり50回まで
Enterprise
12,000回
1分あたり100回まで
数字の見方は2つあります。1つ目は、ヘルプの本文が「monthly action allowances」と書く一方で、表の見出しは「per account, annually」で、年間の回数になっている点です。月ごとの上限として運用する前に、契約中のプランのページで確かめる価値があります。2つ目は日付です。FreshworksのMCP連携は2026年9月10日から一般提供で、早期アクセス(EAP)で使っていたアカウントにも、2026年10月5日から標準の料金と上限が適用されます。
フォーム確認・作成・状況確認の3操作を1人の入社の流れとして単純に数えると、Growthの年間1,200回は400人分にあたります。部署や担当者の照会を挟めば1人あたりの回数は増えます。1アクションは成功したツール呼び出しなので、参照系をAlways allowにしても、承認の手間が消えるだけで消費は変わりません。上限を超えたときの扱いは、ヘルプが案内するPricingのアドオン(アクションパックの購入)で確かめます。
承認設定は組織全体・実行できるかは利用者ごと
入退社の手続きは人事情報を含むので、書き込み系の操作をどう制御するかが気になります。ここは2層に分かれています。
権限は2か所で決まる
Claude側のTool permissions
Team・EnterpriseプランのOwnerが、Customize > ConnectorsでFreshserviceを選んで設定します。ヘルプには「組織内の全員に適用され、個々の利用者は上書きできない」と書かれています。
Freshservice側の権限
Claudeで書き込みを許可していても、接続したアカウントにFreshservice側の実行権限がなければ操作は通りません。役割ごとに変えたいときは、こちらで制御します。
Tool permissionsの画面には、読み取り系ツールと書き込み・削除系ツールがカテゴリ別に並び、カテゴリ単位でも個別のツール単位でも許可レベルを決められます。Claudeのヘルプが挙げる選択肢はAlways allow・Needs approval・Blockedの3つです。Freshworksのヘルプは、これにCustomを加えた4つを書いています。「チケットの参照は許可するが、オンボーディングリクエストの作成は承認を挟む」といった組み合わせも、この画面で指定します。
アカウント発行や退職手続きにつながる作成系だけNeeds approvalにして、日常の一覧確認はAlways allowのままにする構成なら、承認の手間は書き込みの場面に集まります。導入直後で挙動をまだ見極められない期間は、作成系をBlockedにして読み取りだけ使う方法もあります。権限設定の2層構造と設定時の失敗はClaude Connectorsの権限設定でよくある失敗と対策にまとめています。
入退社の記録は監査対象になりやすい情報でもあります。組織側でどこまで操作ログを追えるかはClaudeコネクタの権限設定は監査ログでどこまで追えるかで扱っています。
接続とセットアップ
FreshserviceコネクタはFreshserviceアカウントでのサインインが必須です。Team・Enterpriseプランでは、Ownerによる組織側の有効化と、メンバー個別の認証という2段階が必要になります。接続手順の全体像は、チケット・資産照会・ナレッジベース更新を含めてClaudeとFreshserviceを連携する方法で先に確認できます。
claude.aiのコネクタ経由なら、Freshworksのヘルプの手順はSettingsのConnectorsでFreshserviceのConnectを押し、認証画面でログインする流れです。成功するとコネクタ名の横にConfigureボタンが出ます。接続先のMCPエンドポイントはhttps://サブドメイン.freshservice.com/mcpの形で、独自ドメインはMCPのエンドポイントに使えません。
Claude Codeから使うときは、APIキーをヘッダーに付けて登録する方法がヘルプに載っています。claude mcp addは--transport httpと-H, --headerを受け付けます。
claude mcp add --transport http freshservice \
https://サブドメイン.freshservice.com/mcp \
--header "Authorization: APIキー"ヘルプにはClaude Code向けにOAuthで接続する方法もあり、stdioトランスポートでmcp-remoteを経由します。登録のコマンドは次の形で、後述のnpx -vはこの方式に関わる確認です。
claude mcp add my-remote-server --transport stdio -- \
npx -y mcp-remote https://サブドメイン.freshservice.com/mcpAPIキー方式のヘルプの出力例では、登録先はLocal config (private to you in this project)、つまりそのプロジェクトで自分だけに効くローカル設定です。ヘッダーのAPIキーは設定ファイルに平文で入るので、共有リポジトリに置くprojectスコープへの登録は避けます。
新入社員向けの受け入れ資料(初週の日程やチーム紹介)を別途まとめたい場合は、新人オンボーディングガイドをClaudeで自動生成する手順が対応します。IT側のアカウント発行・退職手続きと受け入れ資料の作成は、担当部門も使うツールも別々の作業です。
よくあるつまずき
接続の確認で失敗する
Freshworksのヘルプは、まずVPNを含むネットワーク状態を見るよう書いています。次に、ブラウザーで/mcpのURLを開いてエンドポイントが生きているか、npx -vでNode環境が動くかを確かめます。組織や契約側でIP制限をかけている場合は、リージョンごとのIP範囲を許可リストに加える必要があります。mcp-remoteの実行時のタイムアウトや接続拒否は、ヘルプがIP制限の症状として挙げています。
OAuth認証でエラーが出る
Claude Codeでは、/mcpコマンドをセッションの中で実行します。ブラウザーの認証プロンプトには期限があるので、開いたらすぐ完了させます。そのうえで、接続アカウントが使いたいツールに必要な権限を持っているかを見ます。
サービスカタログの申請とオンボーディングリクエストが混同される
「新入社員の受け入れ準備をして」のような抽象的な依頼では、どちらの作成系ツールが呼ばれるかは依頼文の書き方に左右されます。「オンボーディングリクエストを作成して」「サービスカタログからノートPCを申請して」のように、操作名と対象を分けて書くと意図に近づきます。
作成系の操作だけ実行されない
まず疑うのは、Claude側でその操作がBlockedになっていないか、接続したFreshserviceアカウントに実行権限があるか、の2点です。Claudeのヘルプは、Claude側の制限がFreshservice側の権限を超えて広げることはなく、狭めるだけだと書いています。2層のどちらで止まっているかは、Tool permissionsの画面と、Freshservice側のロール権限を順に見て切り分けます。
まとめ
運用に入る前に、契約プランのMCP上限と、Claude側・Freshservice側の2層の権限を先に決めておくと、承認の流れと枠の消費を見込んで進められます。
参照した一次ソース
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