Claude Media
AWS BedrockのClaude料金は直接APIとどう違うか

AWS BedrockのClaude料金は直接APIとどう違うか

Amazon Bedrock経由でClaudeを使うときの料金を、モデル単価・リージョン加算・Batch割引の対応状況・CCU課金という4つの軸で直接APIと比較します。

Amazon Bedrock経由でClaudeを使うと何が変わるか

Amazon Bedrockは、AWSが自社のAPIとして提供するClaudeの利用経路です。Anthropicと個別契約を結ばずに、既存のAWSアカウントの請求にClaudeの利用料をまとめられます。モデルの中身はAnthropicの直接APIと同じですが、請求の仕組みと料金の内訳は別物です。

結論を先に書きます。確認できる範囲では同じ水準に置かれています。ただし公式はBedrockの料金をAWS側が独立に設定すると明記しています。実際の請求額はリージョンの選び方・Batch割引の対応状況・エンドポイント種別によって直接APIとずれます。差が生まれる場所を知らないと、見積もりが外れます。

似た名前の選択肢に「Claude Platform on AWS」があります。これはAnthropicがAWS Marketplace経由で提供する別サービスで、Amazon Bedrockとは課金の単位も申込み経路も異なります。両者を混同すると見積もりを取り違えるため、まず違いを押さえます。BedrockはAWSが自社のオンデマンド課金として直接請求するのに対し、Claude Platform on AWSはAnthropicがトークン使用量をUSDで計算し、Claude Consumption Unit(CCU、1CCU=$0.01)に換算してAWS Marketplace経由で請求します。

料金プラン全体の見取り図はClaude料金プラン完全ガイド、Claude Codeのコーディング用途に絞った試算はClaude Codeの料金がそれぞれ扱っています。本記事はこのうち開発者が実務でよく使うAmazon Bedrock側の料金に絞り、直接APIとの差分だけを深掘りします。

モデル単価は直接APIとどこまで一致するか

Anthropicが公開する直接APIの料金表は次のとおりです(主要モデル、100万トークンあたりのUSD)。

モデル入力キャッシュ書込(5分/1時間)キャッシュ読込出力
Claude Opus 5入力$5キャッシュ書込(5分/1時間)$6.25 / $10キャッシュ読込$0.50出力$25
Claude Sonnet 5入力$2キャッシュ書込(5分/1時間)$2.50 / $4キャッシュ読込$0.20出力$10
Claude Haiku 4.5入力$1キャッシュ書込(5分/1時間)$1.25 / $2キャッシュ読込$0.10出力$5

Bedrockのオンデマンド課金は、この直接API料金表を基準にした水準で設定されます。実際に確認できる例を挙げると、旧世代のClaude 3 SonnetはAWSの公式価格リストで「入力1,000トークンあたり$0.003」と明記されており、これは100万トークン換算で$3ちょうどです。当時のAnthropic直接APIの入力価格もまったく同じ$3/MTokでした。Bedrockが独自の上乗せをせず、モデル提供元の単価をそのまま反映する設計だとわかります。

公式の料金表では、Opus 4.1・Sonnet 4・Haiku 3.5について「Bedrock・Google Cloudを除き提供終了」と明記されています。つまり直接APIではすでに使えなくなったこれらのモデルも、Bedrock経由なら引き続き呼び出せます。

一方で、Opus 5・Sonnet 5・Fable 5のような現行モデルは、AWSの旧来の一括価格リストAPIには載っていません。これらはAWS Marketplaceのサブスクリプション経由で提供されるようになり、価格はAWSコンソールまたはaws.amazon.com/bedrock/pricingのリージョン別料金表でアカウントごとに確認する形に変わっています。見積もりの起点としては上表のAnthropic直接API価格を使い、実際の請求前に必ずAWS側の表示価格で最終確認してください。

直接APIのキャッシュ書込・読込の割引率は、5分キャッシュが基準単価の1.25倍、1時間キャッシュが2倍、キャッシュ読込(ヒット)が0.1倍です。Bedrock側でこの倍率がそのまま適用されるかは、AWS公式の料金表で個別に確認してください。

リージョンとデータレジデンシーが料金を押し上げる場面

Bedrockはエンドポイントを2種類提供します。グローバルエンドポイント(可用性優先で動的にルーティング)と、リージョナルエンドポイント(特定の地理リージョンに固定)です。Claude Sonnet 4.5・Haiku 4.5・Opus 4.5以降のモデルでは、リージョナルエンドポイントを選ぶとグローバルエンドポイントに対して10%の上乗せが発生します。日本国内リージョンに固定してデータレジデンシー要件を満たしたい場合、この10%はほぼ避けられないコストです。

似た名前の仕組みにinference_geoパラメーターがあります。こちらはClaude API(直接契約)とClaude Platform on AWSに適用される設定で、"us"を指定すると全トークン種別に1.1倍の乗数がかかります。Amazon BedrockとGoogle Cloudはこのパラメーターの対象外で、リージョンごとの価格は各クラウド側が独自に設定します。直接APIの記事で読んだ「US指定で1.1倍」という数字をそのままBedrockに当てはめると計算がずれるので注意してください。

エンドポイント提供元料金への影響
グローバルエンドポイント提供元Bedrock料金への影響基準単価(上乗せなし)
リージョナルエンドポイント提供元Bedrock料金への影響基準単価の1.1倍(Sonnet 4.5以降)
inference_geo: "us"提供元直接API / Claude Platform on AWS料金への影響基準単価の1.1倍(Claude 4.6以降)

Claude Codeを使う場合はさらにANTHROPIC_BEDROCK_REGION_PREFIXという環境変数が関わります。これはどのリージョンの推論プロファイルを優先するかを決める設定で、料金そのものを直接動かすわけではありませんが、指定した地理圏にリクエストが実際にルーティングされているかを左右します。コスト最適化の前提として、まずリクエストがどこを通っているかを固定しておくと計算が狂いません。

Batch割引はモデルによって対応状況が分かれる

直接APIでは、非同期処理のBatch APIを使うと入力・出力とも50%引きになります(詳しくはClaude Batch APIの使い方を参照してください)。Bedrockでも同じ割引の仕組みは用意されていますが、対応モデルにばらつきがあります。

AWSが公開しているBedrockのクロスリージョン推論料金表を確認すると、Claude Opus 5・Sonnet 4.6・Opus 4.6・Opus 4.5・Haiku 4.5・Sonnet 4.5・Sonnet 4にはBatch用の価格列が存在します。ところがClaude Sonnet 5・Fable 5・Opus 4.7・Opus 4.8の行では、Batch入力・Batch出力の両方が空欄になっています。世代の新旧では説明がつかない分かれ方で、モデルを切り替えるたびにBatch割引が使えるかどうかを個別に確認する必要があります。

大量データを非同期でさばく前提の構成を組むなら、この対応状況の確認を後回しにしないでください。想定していたモデルでBatch割引が使えないと分かった時点で、コスト試算をやり直すことになります。

サービスティアとコンテキスト長も設定次第で変わる

BedrockにはANTHROPIC_BEDROCK_SERVICE_TIERという設定があり、defaultflexpriorityの3段階でコストとレイテンシーのバランスを選べます。優先度を上げるほど料金は上がる代わりに応答が速くなる、という一般的なトレードオフです。対応状況はモデルとリージョンの組み合わせで変わるため、本番投入前に対象モデルでの提供有無を確認してください。

1Mトークンのコンテキストウィンドウも、直接APIと同じくBedrockで使えます。Claude Sonnet 5はMantleエンドポイント経由で常に1Mウィンドウが有効になり、選択の余地はありません。Opus 4.6以降やSonnet 4.6など他のモデルは、モデルIDの末尾に[1m]を付けて手動で拡張ウィンドウを有効化する形です。直接APIのClaude 4.6以降では、900kトークンのリクエストも9kトークンと同じトークン単価で課金される規定になっています。この単価据え置きがBedrock側にもそのまま及ぶかは、AWS公式の料金表で確認してください。

Claude CodeをBedrock経由で使う場合の設定変更や新モデル対応は、Claude Code v2.1.158でAuto modeがBedrock・Vertex・Foundryをオプトインで使えるようになった回のように、リリースノート側でも追いかけられます。

請求の見え方はAnthropicコンソールとまったく別になる

Bedrock経由の利用料は、Anthropicのコンソールではなく自分のAWSアカウントの請求に直接乗ります。Claude Codeを含め、Bedrock経由のリクエストは使用状況のメトリクスをAnthropicへ送信しないため、Anthropic側のAnalytics dashboardやAnalytics APIには一切反映されません。支出の可視化・予算アラートは、AWS Cost ExplorerやBedrockコンソール側の機能を使う前提になります。

Bedrockのモデル有効化自体は軽い手続きです。AWSコンソールのモデルカタログでAnthropicモデルを選び、ユースケースフォームを送信するだけでアクセスが即座に許可されます。裏側ではAWS Marketplaceへのサブスクリプションが自動処理されるため、実行ロールにはaws-marketplace:Subscribe権限が必要になりますが、利用者が別途マーケットプレイスの画面を操作する必要はありません。

対して、前述したClaude Platform on AWSはCCU単位の従量課金で、AWS Marketplaceの請求書に1行のCCU項目としてまとめて計上されます。前払いクレジットの仕組みはなく、後払い(arrears)のみです。値引き交渉をしている企業は、既存のBedrockプライベートオファーがClaude Platform on AWS側に自動で引き継がれないケースがあるため、契約担当者への事前確認が必要です。

Bedrockが向く場面の早見表

利用シーンBedrockのおすすめ度理由
AWS請求に一本化したい企業利用Bedrockのおすすめ度理由既存のAWS Cost Explorer・予算管理がそのまま使える
マルチクラウドでVertex AIとも併用Bedrockのおすすめ度理由Claude Code側の切り替え設定が共通化されている
個人開発ですぐ試したいBedrockのおすすめ度理由直接APIの方がAPIキー発行だけで即座に始められる
Batch処理でコストを最小化したいBedrockのおすすめ度理由対象モデルでのBatch対応可否を先に確認する必要がある
東京リージョンでのデータレジデンシー要件Bedrockのおすすめ度理由リージョナルエンドポイントの10%上乗せを織り込めば選択可能

よくある質問

Bedrock経由でも直接APIと同じClaude機能が全部使えますか

大半の機能は同じですが、一部は対象外です。Fast modeは直接API限定で、Bedrockを含む他のクラウド経由では利用できません。Batch割引もモデルごとに対応状況が異なる点は前述のとおりです。

個人開発者でもAWS Bedrockを使う意味はありますか

AWSの他サービス(Lambda・S3など)と同じ請求にまとめたい場合や、AWS向けの与信・調達フローがすでにある場合は意味があります。単純に一番早く試したいだけなら、直接APIのAPIキー発行の方が手数は少なくなります。

BedrockでClaudeの料金が最も安くなる組み合わせは何ですか

グローバルエンドポイントを使い、リージョナルエンドポイントの10%上乗せを避け、Batch割引に対応したモデル(Opus 5など)を非同期処理に使う組み合わせが基準単価に最も近づきます。ただし最新の実額は必ずAWSコンソール側の表示価格で確認してください。

Claude Platform on AWSとAmazon Bedrockはどう使い分けますか

すでにAWS Marketplaceでの一括請求・CCU単位の管理を求められている企業契約ならClaude Platform on AWS、開発者が個別にモデルを呼び出す通常のワークロードならAmazon Bedrockが実務上の主な使い分けです。

まとめ

Bedrock経由のClaude料金は、モデル単価そのものは直接APIと同じ水準を基準にしています。実際の請求額を左右するのは、リージョナルエンドポイントの10%上乗せ・Batch割引の対応モデル差・サービスティアの選択という、AWS側で追加される変数です。見積もりを立てるときは、まずAnthropicの直接API料金表を基準値として使い、次に自分が選ぶエンドポイントとモデルでどの上乗せが乗るかを個別に確認してください。特にBatch割引の対応可否は、想定より早くコスト試算に響く落とし穴です。

この記事を共有:XはてブLinkedIn