Amazon BedrockでClaudeを使う — 直接APIとの違いとアクセス手順
Amazon Bedrock経由でClaudeを使うときの直接APIとの違いを、認証方式・対応モデル・使えない機能・リージョンの4点で整理し、アクセスをリクエストする手順まで確認します。
Amazon Bedrockは、AWSのアカウントと請求の中でClaudeを呼び出せる提供経路です。モデルの中身はAnthropicの直接APIと同じですが、認証・課金・利用できる機能の範囲はBedrock側の枠組みに従います。直接APIとの違いを知らずに移行すると、動くはずのコードがそのままでは通らない場面が出てきます。違いの所在とアクセスの取得手順を確認します。
Amazon Bedrockとは何か
Amazon Bedrockは、AnthropicのようなAIベンダーの基盤モデルを単一のAPIから呼び出せる、AWSのフルマネージドサービスです。サーバーレスで動くため、モデルを動かすためのインフラを自分で管理する必要がありません。ファインチューニングや検索拡張生成(RAG)による独自データでのカスタマイズ、既存のAWSサービスと組み合わせたエージェント構築にも対応しています。
Claudeのモデルは、このBedrockのカタログに載る形で提供されています。ユーザーはBedrockコンソールからモデルへのアクセスをリクエストし、許可されたモデルを自分のAWSアカウントの範囲で試したり本番投入したりできます。推論はAWSが管理するインフラの上で完結し、Anthropicの担当者は推論インフラへアクセスできません。APIの形はAnthropic直接APIと同じMessages APIですが、リクエストがAWSのセキュリティ境界の外へ出ることはありません。
なぜBedrock経由でClaudeを使うのか
理由の中心は、既存のAWS環境にそのまま乗せられる点です。柱は3つあります。IAMでの権限管理、CloudWatch・CloudTrailでのログ監視、AWSの請求にまとめる課金です。これらはAnthropicと個別に契約を結ばなくても、すでに使えるAWSの仕組みの上で完結します。
セキュリティを重視する組織にとっても意味があります。Bedrock経由のClaudeはAWSが管理するインフラの上で動き、Anthropicの担当者が推論インフラへアクセスすることはありません。AWSのセキュリティ境界の外にリクエストが出ない構成を作りたい場合、この点が選定理由になります。
一方で、Bedrockは万能ではありません。次の節で見るとおり、直接APIにある一部の機能が使えません。新機能が直接APIと同じタイミングで使えることを優先するなら、後述するClaude Platform on AWSが選択肢になります。
直接APIやClaude Platform on AWSとの違い
似た名前の選択肢が複数あるため、まず全体像を確認します。3つの提供経路は認証・請求・機能範囲がそれぞれ違います。
| 提供経路 | 認証 | 請求 | 機能範囲 |
|---|---|---|---|
| Anthropic直接API | 認証APIキー | 請求Anthropicへ直接 | 機能範囲フル機能 |
| Amazon Bedrock | 認証AWS認証(IAM・SigV4・bearerトークン) | 請求AWSアカウントへ直接 | 機能範囲一部制限あり |
| Claude Platform on AWS | 認証AWS認証情報 | 請求AWS Marketplace経由 | 機能範囲直接APIとほぼ同等(新機能の提供も同日程度) |
Claude Platform on AWSは、AWS Marketplaceで契約しながら中身はAnthropicが直接運用するAPIを呼び出す提供形態です。Bedrockのようにモデルカタログを介さないため、機能面では直接APIに近い挙動になります。認証と請求はAWS寄り、機能は直接API寄りという構成で、Bedrockとは別物です。設定手順と機能差の詳細はClaude Platform on AWSでClaude Codeを使うにまとめています。
Bedrockで使えない機能は主に次のとおりです。
| 分類 | 使えない機能の例 |
|---|---|
| サーバー側ツール | 使えない機能の例コード実行・Web検索・Web fetch・Advisorツール |
| エージェント基盤 | 使えない機能の例Agent Skills・MCPコネクタ・プログラム的ツール呼び出し・Claude Managed Agents |
| API管理系エンドポイント | 使えない機能の例Message Batches・Models・Admin・Compliance・Usage and Cost |
| その他 | 使えない機能の例構造化出力・画像やドキュメントのURL入力・Files API・サーバー側フォールバック |
対応している機能もあります。Messages APIそのもの、プロンプトキャッシュ、Thinkingです。Bash・Memory・Text editorなどのツール利用、Citationsも使えます。Computer useはbeta版のツールに限って利用でき、computer_toolset_20260801・browser_toolset_20260801のtoolsetは非対応です。この対応状況はモデルの世代でも変わります。Claude Opus 4.7以降とHaiku 4.5は、新しいMessages API形式のエンドポイント(/anthropic/v1/messages)で提供されます。Opus 4.6以前はInvokeModel・ConverseというARNベースの旧エンドポイントです。旧エンドポイントからの移行を考えているなら、まずどちらの形式で動いているモデルかを確認してください。
料金の差は別の切り口になります。モデル単価・リージョン加算・Batch割引の対応状況・CCU課金の4点で直接APIとどれだけずれるかは、AWS BedrockのClaude料金は直接APIとどう違うかで扱っています。
利用できるモデルとリージョン
Bedrockで使えるモデルにはanthropic.という接頭辞が付きます。Claude Fable 5.1・Fable 5・Opus 4.8・Opus 4.7・Sonnet 5・Haiku 4.5はすべてのBedrockユーザーに開放されています。Opus 5は個別の許可条件があり、招待制のClaude Mythos PreviewはProject Glasswing経由の申し込みが必要です。
リージョンは27のAWSリージョンに展開されていて、東京・大阪を含むアジア太平洋、米国、欧州、南米、中東、アフリカまで広くカバーしています。エンドポイントには2種類あります。全リージョンへ動的にルーティングする「グローバル」は追加料金なしで可用性を優先する構成です。単一リージョンに固定する「リージョナル」はデータの所在地を保証する代わりに、グローバルより10%高い料金がかかります。日本のデータを日本国内に留めたい場合は、東京リージョンをリージョナルエンドポイントで単独指定するか、日本向けの推論プロファイル(inference profile)で複数リージョンをまたいで振り分けます。ただしFable 5.1のリージョナルエンドポイントは現時点でus-east-1のみで、東京リージョナルを使う場合はFable 5やOpus 4.8などのモデルを選ぶことになります。
利用量の上限はデフォルトで入力200万トークン/分です。追加の申請なしで入力500万トークン/分・出力50万トークン/分まで引き上げられます。それ以上、あるいはAWS側のリクエスト数上限(RPM)を調整したい場合はAWSサポートへの申請が必要です。
Bedrockへのアクセスをリクエストする手順
Bedrock経由でClaudeを呼び出すまでの流れは大きく3段階です。
- モデルアクセスをリクエストする: Amazon Bedrockコンソールのモデルアクセス画面から、使いたいClaudeモデルへのアクセスを申請します。開放モデルであれば数分で承認されます。
- 認証方式を選ぶ: Bedrockサービスロール(長期利用に推奨)・IAMのアサインロール(12時間セッション上限のフェデレーション認証)・bearerトークン(短期利用向け)の3方式から選びます。管理者がロールやポリシーを用意し、開発者側はそのロールを引き受けてリクエストに署名します。
- SDKを導入して最初のリクエストを送る: Python・TypeScript・Go・Java・C#・PHP・Ruby向けにBedrock専用パッケージが用意されています。cURLで直接呼び出す場合は次のようになります。
curl https://bedrock-mantle.us-east-1.api.aws/anthropic/v1/messages \
--aws-sigv4 "aws:amz:us-east-1:bedrock-mantle" \
--user "$AWS_ACCESS_KEY_ID:$AWS_SECRET_ACCESS_KEY" \
-H "x-amz-security-token: $AWS_SESSION_TOKEN" \
-H "content-type: application/json" \
-H "anthropic-version: 2023-06-01" \
-d '{
"model": "anthropic.claude-opus-5",
"max_tokens": 1024,
"messages": [{"role": "user", "content": "Hello, Claude"}]
}'エンドポイントはhttps://bedrock-mantle.{region}.api.aws/anthropic/v1/messagesという形式です。認証情報はAWS標準の優先順位(コンストラクタ引数 → 環境変数 → AWS設定ファイル・認証情報チェーン)で解決されます。
Claude CodeやCoworkからBedrockを使う場合
Claude CodeからBedrockを使う場合は、CLI内蔵の/setup-bedrockウィザードで認証方式・モデルのピン留めを対話的に設定できます。手順はClaude Code Bedrockセットアップにまとめています。Fable 5.1をBedrock経由で使うにはClaude Code 2.1.255以降が必要です。
Claude CodeがBedrock・Vertex AI・Microsoft Foundryのどれでどこまで使えるかは提供元ごとに差があります。機能の対応状況はClaude Codeの機能比較 — Bedrock・Vertex・Foundry別対応表で確認できます。Foundry側の設定手順はClaude Code Microsoft Foundry設定ガイドにまとめました。CoworkでもBedrock経由の運用に対応しており、こちらはCoworkをBedrock・Vertex・Foundryで動かす方法で扱っています。
サポートへの問い合わせ先
Bedrock経由のClaude利用でAPIリクエストが失敗したときは、AWSアカウントIDと失敗したレスポンスのrequest-idを添えてサポートへ連絡します。Anthropicの消費者向けサポート窓口ではなく、Amazon側の窓口が一次対応になる点は覚えておく必要があります。
アカウントや請求に関する問い合わせはAWSサポート、またはAWSアカウントマネージャーが窓口です。コミュニティベースの相談ならAWS re:Postも使えます。Bedrock経由の利用料は返金対象外です。Anthropicと個別契約(プライベート契約)を結んでいる顧客は、特別な事情がある場合に限りリレーションシップマネージャーに相談できます。
導入でよくあるつまずき
- 旧エンドポイントとの混同: Opus 4.6以前のモデルをBedrockで使う場合は
InvokeModel・Converseという別形式のAPIになります。新しいMessages API形式のコードをそのまま流用すると失敗します - グローバルとリージョナルの取り違え: データ所在地の要件がないのにリージョナルエンドポイントを選ぶと、10%の追加料金だけを払うことになります。要件がなければグローバルで十分です
- Claude Codeのバージョン不足: Fable 5.1をBedrockで使うにはClaude Code 2.1.255以降が必要です。
claude updateで更新してから設定します - 使えない機能を前提にした移行: Agent SkillsやMCPコネクタ、Web検索・コード実行といったサーバー側ツールに依存したコードは、Bedrockではそのまま動きません。移行前に機能一覧で対応状況を確認します
まとめ
Amazon Bedrock経由でClaudeを使う最大の利点は、既存のAWSアカウント・IAM・請求の仕組みにそのまま乗せられることです。ただし直接APIと完全に同じではなく、サーバー側ツールやAgent Skillsなど一部機能は使えません。モデルの世代によってエンドポイント形式も分かれます。アクセスはBedrockコンソールのモデルアクセス画面からリクエストし、AWS認証情報でリクエストに署名すれば呼び出せます。機能の完全な一致を求めるなら、AWS Marketplace請求で直接APIに近い機能を使えるClaude Platform on AWSが選択肢になります。