Claudeのドメインキャプチャ一括移行を管理者が設定する手順
Enterprise管理者が自社ドメイン上の個人Claudeアカウントをまとめて組織へ統合する、前提条件・有効化手順・30日間の移行期間の挙動をまとめます。
ドメインキャプチャの一括移行で何ができるか
ドメインキャプチャは、Enterprise管理者向けの一括移行機能です。検証済みの自社ドメイン上にある個人のClaudeアカウント(無料・Pro・Max)を発見し、まとめて組織のEnterpriseワークスペースへ移行できます。Enterprise導入の初日から個人アカウントとの分裂状態を解消でき、すでにClaudeを個人で使っていたメンバーも作業内容を引き継げます。
対象はEnterpriseプランのみです。直接契約でもAWS Marketplace経由の契約でも同じ仕組みが使え、機能の挙動そのものに違いはありません。Teamプランはドメイン検証と新規個人アカウントの作成ブロックまでは可能ですが、既存アカウントの一括クレーム・移行はできません。Teamプランのメンバーは、ドメインキャプチャ通知が届いたときの選択肢で扱っている「本人がその都度個人アカウントを移行する」経路だけを使うことになります。
有効化前に満たす4つの前提条件
ドメインキャプチャを有効にする前に、次の4つがすべて整っている必要があります。順序を守らないと、移行の過程でユーザーがサインインできなくなる事故につながります。
| # | 前提条件 | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 前提条件検証済みドメインでの新規組織作成を制限する | 目的ドメイン外に新しい個人組織が乱立するのを防ぐ |
| 2 | 前提条件ドメイン所有権をDNSで検証する | 目的クレーム対象のドメインを確定させる |
| 3 | 前提条件SSOを「設定」ではなく「強制」する | 目的移行後に全員がサインインできる経路を用意する |
| 4 | 前提条件JITプロビジョニングまたはSCIMを有効にする | 目的IDプロバイダー側のアカウントと移行先を紐づける |
これらの前提条件は、移行の途中でユーザーがClaudeから締め出されるのを防ぐために存在します。SSOが「設定済み」なだけで「強制」になっていないと、個人アカウントのままサインインし続けられる抜け道が残り、ドメインキャプチャの効果が薄れます。SSOが強制され、プロビジョニングが有効になっていれば、ドメイン上の全員が移行後もサインインできる状態を保てます。
4つのうち見落とされやすいのが1番目です。新規組織の作成を制限しないまま準備を進めると、クレームを検討している最中にも同じドメインで新しい個人組織が作られてしまい、対象範囲の洗い出しがいつまでも終わりません。準備の最初の段階でこの制限を先に掛けておくと、以降の作業がぶれずに進みます。
対象アカウントを確認してから有効化する
ドメイン検証が済むと、そのドメイン上にある既存の個人アカウント(組織にまだ属していないもの)を一覧で確認できます。メールアドレス・プラン種別・作成日・最終アクティブ日が表示され、CSVとして書き出すことも可能です。この一覧で、どのアカウントが自社のIDプロバイダーに登録済みで、どれが未登録かを事前に洗い出しておきます。IDプロバイダーに未登録のアカウントは、移行後にサインインできず締め出されるため、クレームを開始する前にIT部門へ追加を依頼しておくのが安全です。
最終アクティブ日は、クレームの影響範囲を見積もる手がかりになります。直近まで使われているアカウントが多いドメインでは、通知後の問い合わせ件数も比例して増えると想定しておきます。逆に作成されたまま長期間触られていないアカウントが目立つ場合は、退職者や休眠アカウントが混じっている可能性があります。クレームの前に人事側の在籍状況と突き合わせておけば、移行後になって初めて気づく想定外のケースを事前につぶせます。
対象範囲を確認したら、「Organization settings」の「Organization and access」から「Security」欄までスクロールします。「Migrate accounts using your domain」のトグルを有効にする、この操作がドメインキャプチャの有効化そのものです。
クレームを開始してから30日間に起こること
トグルを有効にすると、移行の影響範囲を示す確認画面(対象アカウントのプレビュー、IDプロバイダー登録状況、想定される問題の警告)が表示されます。内容を確認して確定すると、対象の全アカウントにメールと製品内バナーで通知が即座に届きます。
移行期間は、クレームを開始した日から組織全体で共通の30日間です。ユーザーごとに個別の期限が走るわけではなく、対象者は全員同じ締切日を見ます。この期間中、各ユーザーは2つの選択肢から自分で選べます。「マージして参加」(既存のチャット・Projects・ファイル・記憶を新しいEnterpriseアカウントへ引き継ぐ)か、「新規参加」(まっさらなアカウントで始める)かです。
期限を過ぎると、まだ移行していない個人アカウントは無効化されます。有償のPro / Maxサブスクリプションは日割り返金つきで自動解約され、残っていた利用クレジットも返金されます。選択しなかったユーザーには既定で新規参加のアカウントが割り当てられ、本人のデータはメールで送付されますが、元の個人アカウント自体にはアクセスできなくなります。ドメインキャプチャ有効化後に新しく作られるアカウントは、最初からSSO経由でEnterpriseワークスペースに入る形になり、個人アカウントという状態自体が発生しません。
運用でつまずきやすい5点
- SCIMとJITを同時に有効にしない: 両方を同時に有効化すると、SCIMが優先されJIT側の設定は無視されます。意図しない挙動を避けるため、どちらか一方に決めます
- HIPAA対応・カスタマー管理鍵(CMEK)の組織はデータが移らない: これらを有効にしている組織では、ドメインのクレーム自体はできても、対象ユーザーは新規参加しか選べません。個人アカウントのデータは一切移行されないという点は、事前に対象ユーザーへ名指しで伝えておくべきです
- Teamプランのアカウントはクレームできない: 一括クレームの対象は無料・Pro・Maxの個人アカウントに限られます。Teamプランの組織を丸ごと吸収する話は別の手続きで、TeamプランからEnterpriseプランへ移行する手順で扱っています
- 移行期間は30日固定で延長できない: 特定のユーザーだけ期限を延ばす設定はありません。締切に間に合わないメンバーが出そうなら、クレームを開始する前にIT部門への周知期間を長めに取ります
- 座席不足はプラン購入経路によって挙動が違う: Anthropicとの直接契約なら管理画面に座席追加を促すエラーが出ますが、AWS Marketplace経由の契約では、移行対象のユーザー自身に「管理者に連絡してください」というメッセージが表示されます
座席不足は、クレームを確定する前のプレビュー画面で対象人数を見ておけば事前に見積もれます。移行が始まってから不足に気づくと、対象ユーザーが一時的にサインインできない状態になるため、確定前に必要な座席数を数えておくのが得策です。通知そのものはメールと製品内バナーの両方で届きますが、見落とすメンバーも一定数は出ます。期限の3〜4日前を目安に社内チャットなどで念押しの案内を送っておくと、未選択のまま期限を迎えるメンバーを減らせます。
よくある質問
移行先の組織に座席が足りない場合はどうなりますか
直接契約のEnterpriseプランなら、組織設定に座席追加を促すエラーメッセージが表示されます。AWS Marketplace経由の契約では、ログインしようとした移行対象ユーザー本人に管理者への連絡を求めるメッセージが表示される仕組みです。
Apple App Store経由のサブスクリプションも管理者側でまとめて解約できますか
できません。App Store経由でPro / Maxを購入していたユーザーは、本人がAppleのアカウント設定から個別にキャンセルする必要があります。管理者がこの点を事前に周知しておけば、移行後に二重課金へ気づいて慌てる人は出ません。
移行の締切日をユーザーごとに変えられますか
変えられません。移行期間は常に30日で、組織全体で単一の締切日になります。
SCIMを使っている場合、既存のプロビジョニング済みアカウントとはどう紐づきますか
SCIMで作成済みのアカウントは、メールアドレスの一致によって移行後のアカウントと自動的にリンクされます。
ドメイン検証が終わってからクレームを開始するまで、期間を空けてもよいですか
問題ありません。ドメイン検証・前提条件の整備・対象アカウントの洗い出しは、クレームの開始とは別のタイミングで進められます。準備が整うまでトグルを有効にしなければ、30日間のカウントも始まりません。
まとめ
ドメインキャプチャの一括移行は、前提条件(組織作成の制限・ドメイン検証・SSO強制・JIT/SCIM)を先に整え、対象アカウントを洗い出してから有効化するのが安全な進め方です。有効化は一方向の操作で、開始後は組織全体で共通の30日間が動き出します。移行される側のユーザーが見る画面や選択肢はドメインキャプチャ通知が届いたときの選択肢で解説しているので、社内周知に使えます。Enterpriseプラン自体の料金・機能はClaude Enterpriseとは、契約形態の選び方はClaude法人プランの契約ガイドを参照してください。