ClaudeをTeamからEnterpriseへ移行する手順
ClaudeのTeam組織をEnterpriseへ移行するには、組織を作り直さずアップグレードします。引き継がれるデータ、2経路の手順、移行後の設定を説明します。
同じ組織のままアップグレードするのが基本
先に答えを並べます。Claudeのチームをアップグレードする場合、移行の可否と引き継ぎは次のとおりです。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| Teamから移行できるか | 答えできる。既存のTeam組織をそのままEnterpriseへ切り替える |
| 引き継がれるもの | 答えメンバーの所属と役割、チャット履歴、Projectsと共有コンテンツ |
| 見直すもの | 答え既定でオフになる機能、ユーザーごとの支出上限、座席の割り当て |
| 最低座席数 | 答えセルフサーブは20席、営業経由は50席 |
| 元に戻せるか | 答えセルフサーブ経由は戻せない |
新しくEnterprise組織を作る経路もありますが、その場合は所属・履歴・Projectsを最初から組み直すことになります。
引き継がれるのは、Teamで積んだ設定のすべてではありません。「一部の設定」と公式が書いているとおり、既定でオフになる機能や座席の割り当てなど、移行後に見直す項目が残ります。後半の「移行後に必ず確認する設定」で個別に扱います。
セルフサーブと営業経由のどちらに当たるか
アップグレードには「セルフサーブ」と「営業経由(セールスアシスト)」の2経路があります。営業担当と請求書払いや個別契約で進めているなら営業経由、そうでなければセルフサーブが対象です。手順もタイミングも経路ごとに違うので、自社がどちらかを先に決めます。
2つの経路の違い
セルフサーブ
最低座席数は20席です。支払いは移行中だけクレジットカードに限られ、移行後にデビットカードや銀行振込(ACH)を選べます。通貨はUSDのみで、利用料は前払いのクレジットで購入します。
営業経由
最低座席数は50席です。請求書払いや複数通貨に対応し、利用料は月ごとに後払いで請求されます。5万ドル以上の請求書は、銀行振込(ACHかwire)だけが使えます。
ここに挙げた最低座席数・支払い方法・通貨・利用料の請求方式は、公式のEnterprise解説にある「セルフサーブと営業経由の比較表」の内容です。機能と座席単価はどちらの経路でも同じです。
切り分けの目安は次のとおりです。
- 請求書払い、USD以外の通貨での支払い、専任のカスタマーサクセスが必要なら、営業経由で進めます
- すでに営業担当と契約書のやり取りをしているなら、その手順に従います
セルフサーブで移行する手順
セルフサーブ移行の流れ
- 1
アップグレード画面を開く
claude.ai/upgradeにアクセスし、「Get Enterprise plan」を選びます。 - 2
既存のTeam組織を選ぶ
「Upgrade an existing organization」を選び、対象のTeam組織を指定します。
- 3
座席数を入れる
必要な座席数を入力します。Enterprise組織の最低座席数は20です。
- 4
上限と初期残高を決める
1人あたりの支出上限と、組織全体の初期利用残高を設定します。
- 5
支払い情報を確かめる
Teamで登録した情報が引き継がれます。鉛筆アイコンから変更できます。
- 6
確定する
注文内容を確認し、「Confirm upgrade」で確定します。
移行中の支払い方法がクレジットカードに限られる点は、比較の項で触れたとおりです。Teamからアップグレードした組織は、いったんカードで始まり、あとから「Organization settings > Billing」で銀行振込(ACH)に切り替えられます。
営業経由の切り替えは契約開始日に始まる
営業経由では、移行を始めるボタンを自分で押しません。契約書に双方が署名した後、契約で定めた開始日に組織のプロビジョニングが始まります。だから、実施日時(go-liveの時刻)は署名の前に営業担当と合意しておく必要があります。
営業経由の切り替えの流れ
- 署名の前go-liveの時刻を合意する
営業担当と実施日時を決めます。
- 契約開始日組織のプロビジョニングが始まる
この間、ユーザーはClaudeを使えません。アクセスが短時間止まります。
- 開始日のうち後の時間帯有効化が完了することがある
開始日の朝に終わるとは限りません。完了が同じ日の後ろにずれ込む場合があります。
- 翌営業日の朝社内展開する
業務時間中の混乱を避けるため、社内への案内はこの時間に置きます。
- 展開後全員が再ログインする
管理者も一般メンバーも、ログアウトして入り直します。
再ログインを省くと、切り替え前の古い設定が画面に残って見えることがあります。公式が全員に求めているのは、セッションを更新し、キャッシュされた旧設定を消すための再ログインです。社内への案内には「使い始める前に一度ログアウトする」の一言を入れておきます。
移行前に確かめる支出上限
どちらの経路でも、移行前に見るのが支出上限です。Teamで組織全体の支出上限を設定していた場合、その上限に達した時点で全員がすぐにアクセスを失います。解除されるのは、上限を上げたときか、翌月になったときです。
公式は、移行日(go-live)より前に上限を引き上げておくよう案内しています。
移行後に必ず確認する設定
移行が終わったら、次の4点を既定値のまま放置せずに見直します。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 有効な機能 | 確認することTeamで使えていた機能が、Enterpriseの既定でオフになっていないか |
| ユーザーごとの支出上限 | 確認することTeam時代の設定が、Enterpriseの運用に合っているか |
| 座席の割り当て | 確認すること「No seat assigned」のメンバーがいないか |
| ロールベースのアクセス制御 | 確認することカスタムロール・グループ・グループ単位の支出上限を組み直すか |
既定でオフになる機能と、消えないデータ
Enterpriseで既定でオフになる機能は、次のとおりです。
- Skills、およびそれに連動するSkillの作成と共有(組織内・公開の両方)
- コード実行とファイル作成
- Claude Design、Claude Slides、Claude Docs(Organization settingsのArtifacts内)
- claude.ai/designの単体版Claude Design
大事なのは、機能をオフにしても、その裏にあるデータは消えない点です。Team時代にメンバーが作ったカスタムSkillsは組織に残り、管理者が機能を再度オンにすれば、もう一度使えます。他の既定オフの機能も同じで、設定を戻せば既存のコンテンツにまたアクセスでき、作り直しは要りません。
移行ガイドの既定オフ一覧にはClaude in Chromeも載っています。ただしClaude in Chromeの管理者向けヘルプでは、Enterpriseでも無効にしていない限り既定でオンです。移行後はOrganization settings > Claude in Chromeで実際の状態を確かめます。HIPAAを有効にした組織では、OwnerがOrganization settings > Claude in Chromeでオンにするまでオフのままです。オンにしても、ユーザーには自動で通知が飛びません。使えるようになったことは、社内の連絡経路で知らせます。
Claude in ChromeとClaude Coworkは別々に管理されます。Chromeをオンにしても、Cowork内でClaudeがその拡張機能を使えるかは別の設定です。Claude Desktopに組み込まれたブラウザも、Enterpriseでは既定でオフで、「Organization settings > Cowork」で管理します。拡張機能、組み込みブラウザ、両方、どちらもなし、のどれも選べます。
カスタムロールを使う組織では、Claude in Chromeに専用の権限があります。組織全体のスイッチと、ロールごとの権限の2つで制御し、Claude Coworkの権限は引き継がれません。
支出上限と座席の見直し
ユーザーごとの支出上限は、「Organization settings > Usage」で全メンバー分を確認します。もう合わなくなった上限は、消すか調整します。
座席については、移行の過程で一部のメンバーが座席の階層に自動で割り当てられず、「No seat assigned」と表示されることがあります。この状態のメンバーは、管理者が直すまで使えません。利用の多いメンバーから先に確認します。
ロールベースのアクセス制御は、OwnerかPrimary Ownerが、移行後にカスタムロール、グループ、グループごとの支出上限を設定します。
座席は後から増やせるが、減らせるのは更新時
Enterpriseの座席は、ユーザー1人あたりの月額で年間請求される「Enterprise seat」1種類です。Claudeのweb・デスクトップ・モバイルに加えて、Claude Codeも使えます。
移行の開始日に、座席数を厳密に決め切る必要はありません。プロビジョニングは開始日に行われ、その日のうちに新機能が使えます。その後の追加は、OwnerかPrimary Ownerが自分で進められます。
座席を追加する画面の流れ
- 1
組織の設定を開く
「Organization settings」の「Organization and access」を開きます。
- 2
座席の管理に入る
「Total seats」の「Manage」を選び、「Add or change seats」を押します。
- 3
数を決めて購入する
追加する数を入れ、日割りの請求額を確認して、「Confirm & purchase」で確定します。
追加した座席は、請求サイクルの残り日数に応じた日割りになり、その場で請求されます。新しいメンバーを招待するときに空席がなければ、その場で座席を買う案内も出ます。
逆に、セルフサーブのEnterpriseでは、年間契約の期間中に座席を減らせません。減らせるのは更新時です。例外が必要なときは、営業担当に連絡して営業経由のプランへの切り替えを相談します。契約形態ごとの座席の考え方はClaude Enterpriseとはにまとめています。
営業経由のEnterpriseでは、座席数の変更はアカウントマネージャーに相談します。
メンバーを組織から外しても、座席が空くだけで、請求額は変わりません。請求を減らすには、座席の総数そのものを減らす必要があります。
SSOとプロビジョニングの待ち時間
移行と前後してSSOやプロビジョニングを見直す組織では、時間差が混乱の元になります。
- ドメイン検証(DNS): 設定が世界中に反映されるまで24〜48時間を見込みます。10分ほどで反映される場合も多くあります
- SCIMプロビジョニングの同期: Microsoft Entra IDは約40分おきに変更を反映します。Oktaはこれより頻繁に同期します
- SSOを有効にした瞬間: 既存ユーザーは強制的にログアウトされ、次のアクセスで再ログインが必要になります
SSOの強制ログアウトと、営業経由の再ログインは別の操作です。同じ週に重ねるかどうかは、社内の展開計画に合わせて決めます。
個人アカウントも寄せるときの前提
Team組織そのものの移行とは別に、社員が個人のFree・Pro・Maxで使っているアカウントを組織に集めたいことがあります。管理者が既存の個人アカウントを引き込む「ドメイン取得(domain claiming)」は、Enterpriseだけの機能です。Teamでは、ドメインを検証して新しい個人アカウントの作成を止めることまでしかできません。
Enterpriseへ移行した後にこの機能を使うには、次の4つが前提になります。
- 検証済みドメインでの組織作成を制限する
- ドメイン検証(DNS)を完了する
- SSOを実際に強制する(設定しただけでは足りません)
- JITプロビジョニングかSCIMを有効にする
実際に始めると、対象のアカウントには30日の移行期間が設けられます。期限までに移らなかった個人アカウントは無効になります。ドメイン取得は取り消せない設定です。詳しい手順と注意点は自社ドメインのアカウントを一括移行する手順で扱っています。
請求まわりで変わること
従量課金型のEnterpriseに移ると、請求は実際の利用量に基づきます。Team時代に買った利用クレジットの未消化分は、新しい従量制のEnterpriseにそのまま繰り越されます。
まとめ
Team組織のまま切り替え、確定の前に経路とgo-liveの日時、支出上限の引き上げを決めておけば、移行後の作業は設定の見直しに絞れます。料金と機能の違いはClaude Teamプランとは、契約形態の選び方はClaude法人プランの契約ガイドにあります。