ClaudeをTeamからEnterpriseへ移行する手順
既存のTeam組織をEnterpriseへアップグレードする手順を、セルフサーブと営業経由の2経路・移行後に見直す設定まで説明します。
同じ組織のままアップグレードするのが基本
TeamプランからEnterpriseプランへの移行は、新しい組織を作り直すのではなく、今使っているTeam組織をそのままEnterpriseへ切り替えるのが基本の進め方です。この経路なら、メンバーの役割・チャット履歴・Projectsと共有コンテンツがそのまま引き継がれます。ゼロから新しいEnterprise組織を作ってしまうと、これらの設定を最初から組み直す羽目になります。
アップグレードには「セルフサーブ」と「営業経由(セールスアシスト)」の2つの経路があり、請求書契約や個別合意でAnthropicの営業担当と進めている場合は営業経由、それ以外はセルフサーブが対象です。手順もタイミングの制約も経路ごとに異なるため、自社がどちらに該当するかを先に確認します。すでに営業担当とやり取りしているなら営業経由、社内で誰も担当者とのやり取りをしていなければセルフサーブに該当すると考えて差し支えありません。
移行前に必ず見ておきたいのが支出上限です。Teamプランで組織レベルの支出上限を設定していた場合、その上限は移行後も引き継がれます。上限に達するとその瞬間から全メンバーがアクセスできなくなり、上限を引き上げるか翌月になるまで解除されません。月末が近いタイミングで移行日を迎える組織ほどこのリスクが高くなるため、移行日が近いなら事前に上限を引き上げておくのが安全です。
セルフサーブで移行する手順
自社の支払いをクレジットカードで完結できる場合は、セルフサーブでの移行が使えます。
claude.ai/upgradeにアクセスし、「Get Enterprise plan」を選ぶ- 表示された選択肢から「Upgrade an existing organization」を選び、対象のTeam組織を指定する
- 必要な座席数を入力する(Enterprise組織の最低座席数は20)
- 1人あたりの支出上限と、組織全体の初期利用残高を設定する
- 支払い情報を確認する(Teamプランで登録済みの情報が引き継がれるが、変更も可能)
- 注文内容を確認し、「Confirm upgrade」で確定する
このセルフサーブ経路で移行する間は、支払い方法がクレジットカードに限定されます。移行が完了した後であれば、クレジットカードに加えてデビットカードや銀行振込も選べるようになります。
営業経由(セールスアシスト)で移行する場合
Anthropicの営業担当と契約を進めている組織は、契約書への署名が済んだ時点で組織側の切り替え作業が始まります。セルフサーブのように自分の好きなタイミングでボタンを押して始められるわけではないため、契約書に双方が署名する前に、担当者と移行の実施日時(go-live timing)を合意しておきます。契約が締結された当日に組織のプロビジョニングは始まりますが、実際に使える状態になるのはその日のうちの後の時間帯になることがあります。社内展開は翌営業日の朝に設定しておくと、業務時間中の混乱を避けられます。
切り替えの瞬間には短時間のアクセス断が発生します。管理者・一般メンバーを問わず、移行完了後は一度ログアウトしてから再度ログインし、セッションと古いキャッシュ設定を更新する必要があります。この再ログインを済ませないままだと、切り替え前の古い設定が画面上に残って見えることがあります。社内への展開時は「まず一度ログアウトしてから使い始める」という一手間を周知しておくと、問い合わせを減らせます。
移行後に見直す4つの設定
移行が完了したら、次の4点は既定値のまま放置せず必ず確認します。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 有効な機能(Capabilities) | 確認することTeamで既定オンだった機能がEnterpriseでは既定オフに戻っていないか |
| ユーザーごとの支出上限 | 確認することTeamプラン時代の設定がEnterpriseの運用に合っているか |
| 座席の割り当て | 確認すること「未割り当て」のままのメンバーがいないか |
| ロールベースのアクセス制御 | 確認することカスタムロール・グループ・グループ単位の支出上限を設定し直すか |
Enterpriseプランでは既定でオフになる機能がいくつかあります。Skills(作成・共有を含む)・コード実行とファイル作成・Artifacts内のインタラクティブなコンテンツ・Claude Design・Claude in Chromeがそれにあたります。ここで重要なのは、設定の裏にあるデータ自体は消えていないという点です。Team時代にメンバーが作ったカスタムSkillsは、機能をオフにしても組織側に保持されたままで、管理者が該当機能を再度有効にすれば元通りアクセスできます。作り直しの手間は発生しません。
座席の割り当ても要注意です。移行の過程で一部のメンバーが自動では座席階層にマッピングされず、「未割り当て」の状態で残ることがあります。座席が割り当たっていないメンバーはアクセスできないままなので、特に利用頻度が高いメンバーから優先して確認します。ロールベースのアクセス制御は、OwnerまたはPrimary Ownerの権限で、移行完了後に改めてカスタムロール・グループ・グループごとの支出上限を組み立てます。Teamプランには無かったこれらの機能を使うと、部署ごとにロールを分けたり、グループ単位で支出上限を別々に管理したりする運用が組めるようになります。
追加の座席は後から自分で増やせる
移行の開始日にすべての座席数を厳密に確定させておく必要はありません。契約後に必要が生じたぶんは、OwnerまたはPrimary Ownerが自分で追加できます。
移行の開始日にはプロビジョニングが行われ、その日のうちに新しい機能が使える状態になります。その後、人数が増えて座席が足りなくなった場合も、営業担当を挟む必要はありません。「Organization settings」の「Organization and access」から「Total seats」の「Manage」を選ぶだけで、セルフサーブに座席を追加できます。立ち上げ時点の人数が読みにくくても、必要最小限から始めて後から増やす運用ができます。
SSOとプロビジョニングの切り替えタイミング
移行と前後してSSOやプロビジョニングを見直す組織も多く、ここでの時間差が混乱の原因になりがちです。
- ドメイン検証(DNS): 世界中に設定が反映されるまで24〜48時間を見込みますが、多くの場合は10分程度で反映されます
- SCIMプロビジョニングの同期: Microsoft Entra IDはおよそ40分おきに変更を反映します。Oktaはこれよりも頻繁に同期します
- SSOを新たに有効化した瞬間: 既存ユーザーは強制的にログアウトされ、次回アクセス時に再ログインが必要になります
請求面では、従量課金型のEnterpriseプランに移る場合、実際の利用量に応じた請求になります。Teamプラン時代に購入していた利用クレジットの未消化分は、そのまま新しい従量制のEnterpriseプランに繰り越され、無駄になりません。
よくある質問
この移行は組織全体をまとめて統合する話ですか、それとも個人アカウントの話ですか
本記事が扱うのは、すでにTeamプランとして契約している組織をEnterpriseへ切り替える話です。組織に属していない個人のPro / Maxアカウントをまとめて組織に引き込む場合は、ドメインキャプチャという別の仕組みを使います。手順は自社ドメインのアカウントを一括移行する手順で解説しています。
移行の途中でメンバーはClaudeを使えますか
セルフサーブの場合は明確な断絶は想定されていません。営業経由の場合は、切り替えの瞬間に短時間アクセスできなくなり、完了後の再ログインが必要になります。
Teamプラン時代に作ったカスタムSkillsは消えますか
消えません。Skills機能自体はEnterpriseで既定オフになりますが、データは組織側に保持され、管理者が機能を再度有効にすれば元通り使えます。
座席を減らしたい場合はすぐに反映されますか
Enterpriseプランでは、座席の削減は年間契約の更新時に反映されます。詳細はClaude Enterpriseとはで解説しています。人数が読みにくい時期は、必要最小限の座席から始めておくと調整がしやすくなります。
ドメイン検証やSCIM同期の待ち時間中もClaudeは使えますか
Teamプランでの利用自体は継続できます。ドメイン検証やSCIM同期はSSO・プロビジョニングの設定作業であり、この移行の切り替え処理そのものとは別のタイムラインで進みます。
まとめ
TeamからEnterpriseへの移行は、新規組織を作らず既存のTeam組織をそのままアップグレードするのが基本です。セルフサーブならclaude.ai/upgradeから数分で完了しますが取り消せません。営業経由なら契約締結前にgo-liveのタイミングを握っておきます。どちらの経路でも、移行後は既定オフに戻る機能・支出上限・座席の割り当てを必ず確認します。Teamプラン・Enterpriseプランそれぞれの料金や機能はClaude TeamプランとはとClaude Enterpriseとはを参照してください。契約形態の選び方全体はClaude法人プランの契約ガイドで解説しています。