Claude Enterpriseのグループ支出上限を設定する手順
Claude Enterpriseのグループは支出上限・カスタムロール・リソース共有をまとめて管理する単位です。作成手順、個人上限との優先順位、SCIM運用の注意点をまとめます。
Claude Enterpriseのグループとは、メンバーを部署やチームの単位でまとめ、支出上限・アクセス権限・リソース共有を一括で適用する仕組みです。メンバー1人ずつ設定する手間を省き、グループ単位で予算とアクセスを統制できます。
Claude Enterpriseのグループとは
グループを作ると、3つの機能が使えるようになります。支出上限をグループの全員へ一括適用すること、カスタムロールによるアクセス制御をグループ単位で振り分けること、プロジェクトやスキルをグループへまとめて共有することです。
1組織あたり作成できるグループは最大100個です。1人のメンバーが所属できるグループ数に明示的な上限はありませんが、250個を超えて所属すると動作が遅くなることがあります。グループは手動で作成するほか、IDプロバイダーからSCIM経由で自動的に同期することもできます。
グループは支出上限だけでなく、Coworkのプラグイン公開範囲(利用可能・プリインストール・必須・非表示)をグループ単位で振り分けるのにも使われます。Coworkのロール設計全般はClaude CoworkのRBAC運用にまとめています。
管理できるのはOwner・Primary Owner、またはIdentity & Access権限が「Can manage」のカスタムロールを持つメンバーです。支出上限の変更だけは、Billing権限が「Can manage」の管理者が別途必要になります。
グループを作成する手順
グループの作成はOrganization settings > Groupsから完了します。
- Organization settings > Groupsを開く
- 「Add group」をクリックする
- Group nameを入力する
- 任意でDisplay nameを入力する(空欄ならGroup nameがそのまま表示される)
- このグループに割り当てるカスタムロールを選ぶ(任意)
- Visibility settingsで、発見・共有・閲覧を許可する範囲を選ぶ(任意)
- メンバーを検索して追加するか、「Add all members」で組織の全員を追加する
- 「Add group」をクリックして保存する
SCIM同期が有効な組織では、「Add group」の隣に「SCIM Sync」ボタンが表示されます。クリックすると、IDプロバイダー側の最新のグループ構成を手動で取り込めます。
グループの可視性設定 — 3つのトグルの意味
可視性設定は既定ですべてオフです。オフのままだと、グループは管理者向けの画面にしか表示されません。
| 設定 | 許可される操作 |
|---|---|
| Discover this group | 許可される操作メンバーがグループ名で検索できる(メンバー・上限・ロールは非公開のまま) |
| Share resources with this group | 許可される操作メンバーがプロジェクトやスキルをこのグループへ共有できる |
| See group members | 許可される操作メンバーが所属者の名前とメールアドレスを閲覧できる |
各設定は「Group members(所属者のみ)」か「Everyone(組織全員)」のどちらかに許可範囲を絞れます。両方のチェックを外せば、その設定はオフのままです。可視性設定は管理者のアクセスには影響しません。Owner・Primary Owner、およびIdentity & Access権限を持つカスタムロールは、可視性設定にかかわらず常にすべてのグループを閲覧できます。
親組織の配下に複数の子組織がある場合、グループ本体・所属メンバー・SCIM同期は親組織レベルで管理され、全子組織に共有されます。ただし可視性設定だけは子組織ごとに個別です。ある子組織で可視性を変更しても、他の子組織には影響しません。
グループ単位で支出上限を設定する手順
支出上限はメンバー1人あたりの月次上限です。メンバー1人ずつでなく、グループ単位でまとめて設定できます。設定はOrganization settings > Usageから行います。
- Organization settings > Usageを開く
- 「By group」タブを選ぶ
- 対象グループの右側のメニューボタンから「Edit limit」を選ぶ
- 「Unlimited」か「Set dollar amount」を選び、金額を入力する
- 「Set limit」をクリックする
設定した上限は、そのグループに所属する全メンバーへ適用されます。個別に支出上限を設定されているメンバーには、グループの上限でなく個人の上限が優先されます。
個人上限・グループ上限・上限なしの優先順位
支出上限はメンバー1人あたりの月次上限で、3段階の順序で解決されます。
| 優先順位 | 条件 | 適用される上限 |
|---|---|---|
| 1 | 条件個人に上限が設定されている | 適用される上限所属グループに関係なく個人の上限 |
| 2 | 条件個人に上限がなく、上限つきグループに所属 | 適用される上限「Multi-group spend limit」の設定に従って解決 |
| 3 | 条件個人にもグループにも上限がない | 適用される上限上限なし |
1人のメンバーが上限つきの複数グループに所属する場合、Organization settings > Usageの「Spending defaults」にあるMulti-group spend limit設定が、どちらの上限を採用するかを決めます。「Lower group limit」を選ぶと低い方が適用され、大きなグループに広い上限を敷いたうえで特定チームだけ厳しく絞りたい場合に向きます。「Higher group limit」を選ぶと高い方が適用され、大きなグループに保守的な基準値を置きつつ、特定チームへ余裕を持たせたい場合に向きます。
カスタムロールと組み合わせてアクセスを一元管理する
グループは支出上限だけでなく、アクセス権限の一元管理にも使えます。メンバーのロールを「Custom」に設定すると、そのメンバーの機能アクセスは所属グループに割り当てられたカスタムロールだけで決まります。User・Admin・Ownerが持つ既定の権限は一切引き継がれません。
Customロールに切り替えたメンバーが、どのグループにも属していない、または所属グループにロールが割り当てられていない場合は要注意です。その状態では機能アクセスの権限がゼロになり、どの製品も使えず、サインイン時に設定ページへ着地します。移行時に見落としやすい落とし穴です。
たとえば「Public projects」という機能アクセスも、メンバーへ個別に開放するか制限するかを、グループに割り当てたカスタムロール側で判断できます。組織全体でこの機能自体を止めたい場合は、ロール設定より前段の組織レベルの設定が優先されます。手順はClaude組織のプロジェクト公開を無効化する方法にまとめました。カスタムロールの権限設計そのものはClaude Enterpriseでカスタムロールを作成する手順で扱っています。
SCIM同期を使うときの注意点
SCIM同期を使う組織では、IDプロバイダー側のグループがそのままClaudeへ同期されます。ここで見落としやすいのが、ネストしたグループの扱いです。
Claudeが対応するのは直接所属だけです。IDプロバイダー側でグループの中にグループを入れ子にしている場合、その入れ子関係はSCIM経由の同期で無視され、直接のメンバーだけがClaude側に反映されます。一部のIDプロバイダーはプッシュ前に入れ子のメンバーシップをフラット化するため、その場合は子グループのメンバーも直接所属者として現れます。動作はプロバイダーによって異なります。導入前に確認してください。
グループを削除・編集するときに何が起きるか
グループの削除は、割り当てていたカスタムロールの定義自体には影響しません。ロールは残り、他のグループへの割り当てにも使えます。削除によって組織からメンバーが除籍されることもありません。
影響が出るのはリソース共有だけです。削除したグループに共有していたプロジェクトやスキルへのアクセスは失われます。他の経路でアクセス権を持たないメンバーは閲覧できなくなります。複数のグループをまとめて編集したい場合は、グループ一覧でチェックボックスを使って選択し、「Edit settings」から一括変更できます。
「Share resources with this group」をオフにしても、新規の共有を止めるだけで、既存の共有は自動では取り消されません。既存の共有を止めたい場合は、編集画面のVisibility settingsから「Remove this group's access to all[件数]projects」を選び、明示的に取り消します。共有プロジェクトが1,000件を超えるグループでは、この取り消し処理はバックグラウンドで動き、完了までに数分以上かかることがあります。
支出上限をどの粒度で設計するか
支出上限をどの単位に置くかは、組織の規模とSCIM運用の有無で変わります。
| 組織の状況 | 向いている設計 |
|---|---|
| 数十人規模で部署が少ない | 向いている設計全社共通の「All Users」グループに1つの上限を設定 |
| 部署ごとに予算が大きく異なる | 向いている設計部署別グループを作り、それぞれに個別の上限 |
| 特定メンバーだけ特別扱いしたい | 向いている設計個人の支出上限を設定(グループ上限より優先される) |
| IDプロバイダーでグループを管理済み | 向いている設計SCIM同期を有効化し、手動作成と二重管理しない |
個人の支出上限は常にグループの上限より優先されます。大半のメンバーをグループ管理に任せ、例外的な数人だけ個人設定を残す組み合わせは崩れにくい設計です。
よくある質問
グループとカスタムロールは同時に使う必要がありますか
必須ではありません。支出上限だけを目的にグループを作り、アクセス制御はUser・Admin・Ownerの組み込みロールのまま運用することもできます。カスタムロールと組み合わせるのは、機能アクセスもグループ単位で統制したい場合です。
SCIM同期のグループ名は変更できますか
できません。SCIM経由で同期されたグループは、名前の変更や削除がClaude側では行えず、所属メンバーの管理もIDプロバイダー側で行います。名前を変えたい場合はIDプロバイダー側で変更し、再同期します。
グループの上限を「Unlimited」にするとどうなりますか
そのグループに所属し、個人の上限を持たないメンバー全員が、月次の支出上限なしで利用できるようになります。
1人のメンバーが持てるグループ所属数に上限はありますか
明示的な上限はありません。ただし250個を超えて所属すると動作が遅くなる場合があります。通常の運用でここまで多くのグループに所属させることは稀です。
Teamプランでもグループ機能は使えますか
使えません。グループと支出上限のグループ単位での設定はEnterpriseプラン限定です。TeamとEnterpriseの違い全般はClaude Enterpriseとはにまとめています。
まとめ
Claude Enterpriseのグループは、支出上限・アクセス権限・リソース共有をメンバー単位でなくまとめて管理する仕組みです。作成はOrganization settings > Groupsから、支出上限の設定はOrganization settings > Usageの「By group」タブから行います。個人の上限は常にグループの上限より優先され、複数グループに属する場合は「Multi-group spend limit」の設定が解決します。カスタムロールと組み合わせて機能アクセスまで一元管理する場合は、ロールとグループを先に作ってからメンバーをCustomへ切り替える順序を守ってください。