ClaudeとChatGPTのPDF処理上限を比較する — サイズとページ数の違い
ClaudeとChatGPTのPDF処理上限を、API(32MB・600ページ / 50MB)とチャットアプリの両面で比較します。
ClaudeとChatGPTは、どちらもPDFの文章と図表を読み取って質問に答えられます。ただし上限の示し方は対照的です。Claudeはページ数の境界を数値で明記し、超えればエラーで止まります。ChatGPTはファイルサイズこそ大きいものの、ページ数の上限を公表せず、トークン数の上限に達したときの挙動は明記されていません。この記事では、開発者向けのAPIと一般ユーザー向けのチャットアプリ、両方の面でPDF処理上限を比較します。
比較対象 — APIとチャットアプリ、どちらの上限を比べるか
PDF処理の上限は、同じ「Claude」「ChatGPT」でもAPIとチャットアプリで別々に決まります。開発者がAnthropic API・OpenAI APIから直接PDFを送る場合と、claude.ai・ChatGPTのチャット画面にファイルを添付する場合とでは、当たる壁の数字がまったく違います。
この記事は両方の面を、公式ドキュメントに記載された数値だけで比較します。実測値や非公開の挙動には踏み込みません。契約書や決算資料のように数百ページに及ぶPDFを扱う場面では、この上限の差が実務にそのまま影響します。
評価軸 — サイズ・ページ数・解析方式・超過時の挙動
上限を比べるときに見るべき軸は4つです。
- ファイルサイズ上限: 1リクエスト、または1ファイルにかかる上限
- ページ数上限: PDFのページ数そのものに掛かる上限があるかどうか
- 解析方式: テキストだけを抽出するのか、各ページを画像としても解析するのか
- 超過時の挙動: 送信時にエラーで止まるのか、警告なく一部が切り捨てられるのか
この4軸のうち、ClaudeとChatGPTで設計が最も違うのは「ページ数上限」と「超過時の挙動」の2つです。
比較表 — API面のPDF処理上限
開発者がAPI経由でPDFを渡すときの上限は、Claude APIとOpenAI APIで数値そのものが異なります。
| 項目 | Claude API | OpenAI API |
|---|---|---|
| リクエストサイズ上限 | Claude API32MB(プラットフォームにより変動) | OpenAI API50MB(1ファイルあたり、リクエスト合計も50MB) |
| ページ数上限 | Claude API600ページ(リクエストのコンテキストウィンドウが100万トークン未満の場合は100ページ) | OpenAI API明記なし |
| 対応モデル | Claude API全アクティブモデル | OpenAI APIvision機能を持つモデル(gpt-4o以降) |
| 解析方式 | Claude API各ページをテキスト+画像に変換して解析 | OpenAI APIテキストとページ画像の両方をコンテキストに含める |
Claudeは「32MB・600ページ」という具体的な上限を公式ドキュメントに明記しています。大きなPDFはFiles APIでfile_id化してから参照する構成が推奨されますが、アップロード自体の上限(500MB)とは別に、メッセージとして送る段階では変わらず32MB・ページ数の上限が掛かります。保存先を変えても、リクエストの壁そのものは動きません。密度の高いPDFは、ページ数の上限に達する前にコンテキストウィンドウを圧迫して失敗することもあります。
OpenAI APIはページ数の上限を公表していません。ファイルサイズの50MBと、使用するモデルのコンテキストウィンドウが実質的な上限として働きます。図版の多いPDFほど、サイズの壁より先にトークン数の壁に当たりやすくなります。
比較表 — チャットアプリ面のPDF処理上限
claude.aiとChatGPTのチャット添付を比べると、ファイルサイズはどちらも500MB台でほぼ並びますが、ページ数の扱いと視覚解析の対応範囲が対照的です。
| 項目 | claude.aiチャット | ChatGPT |
|---|---|---|
| ファイルサイズ上限 | claude.aiチャット500MB/ファイル | ChatGPT512MB/ファイル |
| ページ数上限 | claude.aiチャット1,000ページ(視覚解析は100ページまで) | ChatGPT明記なし(2Mトークンで実質決まる) |
| 図表・グラフの視覚解析 | claude.aiチャット全プランで対応(100ページ以下) | ChatGPTEnterpriseプランのみ対応 |
| 1会話あたりの制約 | claude.aiチャット20ファイルまで添付可 | ChatGPT80ファイル/3時間(無料プランは3ファイル/日) |
claude.aiのファイルサイズ・ページ数・100ページ境界の詳しい挙動は、冒頭のCalloutで挙げたClaudeのPDF読み込み・画像解析の使い方とアップロード上限にまとめています。
ChatGPTで見落としやすいのが、図表を画像として読み取るVisual Retrieval機能の対応プランです。OpenAIのヘルプセンターは、この機能をChatGPT Enterpriseの利用者に限定すると明記しています。Free・Plus・Pro・Team・Eduを含むそれ以外のプランでは、PDFに埋め込まれた画像やグラフは破棄され、テキストだけが抽出されます。ファイルサイズが512MBまで通っても、無料プランやPlusプランで図表の内容まで質問できるとは限りません。
対応形式とパスワード保護PDFの扱い
上限の数字以外にも、そもそも受け付けるPDFの条件に違いがあります。Claudeは公式ドキュメントで「パスワード・暗号化のない標準的なPDFであること」を要件として明記しています。暗号化されたPDFは、API・チャットのどちらに送っても解除しないと処理できません。
OpenAI APIのドキュメントには、パスワード保護PDFの扱いについての明記がありません。実務では、暗号化を解除してから渡す運用がどちらのサービスでも安全な進め方です。
コストの目安 — ページあたりのトークン消費
PDFをAPIに送るときのトークン消費は、ページ数だけでなく解析方式にも左右されます。Claude APIのテキスト抽出分は、ページあたりおおよそ1,500〜3,000トークンです。これに画像分のトークンが加わります。PDF処理専用の追加料金はなく、通常のinput tokenと同じ単価で課金されます。
OpenAI APIのドキュメントは、PDFの解析がテキストとページ画像の両方をコンテキストに含めるためトークン消費が増える、という説明にとどまります。Claudeのようなページあたりの具体的なトークン数のレンジは示していません。代わりにdetailパラメーターをlowに指定すると、ページ画像の解像度を落として入力トークンを抑えられます。図表の判読精度より処理件数を優先するバッチ処理では、このlow指定がコスト調整の実質的な手段になります。正確なコストは、送信前にどちらも各社のトークンカウント機能で確認するのが確実です。
同じPDFに繰り返し質問する場合、Claude APIはprompt cachingを使うと2回目以降のリクエストでトークン消費を抑えられます。OpenAI APIにも類似のキャッシュ機構はありますが、本記事で参照した公式ページにはPDF処理と組み合わせたときの具体的な効果は記載されていません。
強みと弱み — どちらが何に向くか
数字だけを見ると、ページ数の上限が明確なClaudeの方が「どこまで送れるか」を事前に見積もりやすい設計です。600ページ・100ページという境界がドキュメントに明記されているため、送信前にPDFのページ数を数えれば通るかどうか予測できます。弱みは、32MBというリクエストサイズがOpenAI APIの50MBより厳しい点です。画像を多く含む大きなPDFは、ページ数に達する前にサイズの壁に当たることがあります。
ChatGPTの強みは、512MBという大きめのファイルサイズと、ページ数上限そのものがない点です。小さいPDFを何度も送るより、1つの大きなPDFをまとめて渡す使い方に向きます。弱みは、図表を読み取るVisual Retrieval機能がEnterpriseプラン限定という点です。無料・Plus・Pro・Teamの各プランでは、大きなPDFを送れてもテキストしか読み取られません。OpenAI APIも条件付きで、gpt-4o以降のvision対応モデルを指定しないとページ画像が渡されず、モデル選びが解析結果を左右します。
上限に達したかどうかを確認する方法
厄介なのは、上限を超えたときの挙動が違う点です。Claudeはエラーで送信自体が止まるため、上限超過に気づきやすい設計です。一方ChatGPTは2Mトークン到達時の挙動が明記されていないため、大きなPDFを渡した後は利用者側で確認する必要があります。
実務的な確認方法は、渡したPDFの最後のセクション名やページ番号について質問することです。回答が資料の後半まで届いていなければ、その時点で切り捨てが起きていると判断できます。重要な情報が資料の前半に集中していないPDFほど、この確認を省くと誤った要約に気づけないリスクが高まります。
使い分け早見表
| 用途 | 向く選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 送信前にページ数の可否を確定させたい | 向く選択Claude API | 理由600ページ・100ページという境界が明記されている |
| 1つの大きなPDFをサイズの心配なく試したい | 向く選択ChatGPT | 理由512MBかつページ数上限が公表されていない |
| 無料・Plusプランで図表まで読ませたい | 向く選択Claude(API/claude.ai) | 理由全プランで視覚解析に対応。ChatGPTはEnterprise限定 |
| 資料の後半まで見落とさず読ませたい | 向く選択Claude API | 理由600ページ超過はエラーで止まる |
| 大量のPDFを繰り返し投げたい | 向く選択Claude Files API | 理由file_idで使い回せる(前掲) |
まとめ
ClaudeとChatGPTのPDF処理上限は、どちらが大きい・小さいという単純な優劣ではなく、上限の示し方が違います。Claudeはページ数とサイズの境界を数値で明記し、超えればエラーで止まります。ChatGPTはファイルサイズこそ大きいものの、ページ数上限を公表せず、図表を読み取るVisual RetrievalはEnterpriseプラン限定です。重要な情報を見落とさずに大きなPDFを扱いたいなら、Claudeの設計が向いています。ページ数を気にせず1ファイルをまとめて試し、図表の解析は不要というなら、ChatGPTが候補になります。Claude単体のファイル上限やChatGPTとの料金・機能の総合比較は、冒頭のCalloutで挙げた記事にまとめてあります。