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ケアプランを生成AIで下書きするケアマネの注意点と厚労省の考え方

ケアプランを生成AIで下書きするケアマネの注意点と厚労省の考え方

厚労省の中間とりまとめと老健事業の研究動向、運営基準第13条の手続きから、Claudeでケアプランを下書きする際にケアマネに残る判断を確認します。

ケアプランをClaudeで下書きすることは厚労省の考え方と矛盾しないか

結論から言うと、矛盾しないと読めます。厚生労働省は2025年4月に公表した「中間とりまとめ」で、計画書などの文書を生成AIで下書きすることが業務効率化に資すると指摘しました。一方で、居宅サービス計画(ケアプラン)の原案作成、サービス担当者会議、利用者への説明と同意は、運営基準が介護支援専門員(ケアマネジャー)本人の手続きとして定めています。

Claudeが担えるのは、文章の下書きと書類の整形までです。アセスメントの面接も、最終的な判断も人に残ります。Claudeの機能全体はClaude完全ガイドで確認できます。

厚労省の中間とりまとめは「生成AIによる原案作成」をどう扱っているか

厚労省は2025年4月10日の第5回検討会で「中間とりまとめ」をまとめ、同日公表しました。検討会の正式名称は「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会で、介護以外の福祉サービスも対象です。4月10日の文書は高齢者関係の中間とりまとめです。2040年を見据えて持続可能な介護サービス提供体制を検討する場の文書で、訪問系・通所系サービスに役立つテクノロジーの実証・開発を進める方針が示されています。

具体的には、「介護事業者において様々作成する文書、例えば計画書やサービス担当者会議等の議事録を生成AIの技術を活用して、その原案を作成することも業務効率化に資する」という指摘です。同時に「AIの信頼性やセキュリティ等の問題がある」とも記され、実証を通じて効果と留意点を明らかにする必要性が強調されました。

とりまとめの末尾には、「AIによるケアプランの作成支援をはじめ、どのように現場に組み込むか、検討が必要である」とあります。同旨の記述は、2025年7月25日の最終とりまとめにも引き継がれています。

これは、生成AIでの原案作成を認めた通知ではありません。検討会の議論の到達点を示す文書で、評価と留保が併記されています。

老健事業の試作システムとClaudeは何が違うのか

ケアプラン作成支援AIの調査研究は、老人保健・健康増進等事業(老健事業)の枠組みで2017(平成29)年度から段階的に行われてきました。研究機関IISEの報告ページは、ケアプランの作成を「ケアマネジメントの中でも負担感の高い業務」で、ケアマネジャーによるバラつきも指摘されると位置づけ、AI活用への期待が高いと述べています。

フェーズ1(2017年度からの3年間)は、文章で書かれたケアプラン第2表のようなデータをどう分析できるかの取り組みでした。フェーズ2(2020年度からの3年間)では、居宅介護支援の事業者や、ホワイトボックス型AIに先端的な技術を持つNECと協働し、ケアマネジャーの思考を見える化して共通部分をルールとして学習させています。8つのクラスタのうち最もボリュームの大きいNo.4クラスタで試作システムが作られ、2023(令和5)年度からのフェーズ3は、その「あるべき姿」とデータ利活用基盤の検討が焦点です。

試作システムは、ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容に「おすすめ」を出し、適切なケアマネジメント手法を学んだケアマネジャーのデータとの比較から「抜け漏れ注意」も示します。フェーズ3は、ホワイトボックス型AIによる作成支援のあるべき姿を引き続き実証的に検討しています。簡単な効果検証では、おすすめと抜け漏れ注意に「ある程度の効果」があり、社会実装の道筋が見え始めたと報告されています。報告ページは、現在のAIモデルが状態の異なるクラスタでも使えるかを継続して検証する必要があるとも記しています。

2つは別の取り組みです。中間とりまとめが指すのは、Claudeのような生成AIに文書の原案を書かせる使い方です。老健事業のシステムは、調査研究のために作られた専用の試作で、現場で使える製品として公開されたものではありません。

運営基準第13条:原案の前後に、人が行う手続きはどこか

居宅サービス計画の作成プロセスは、運営基準(平成11年厚生省令第38号)の第13条が号ごとに定めています。条文には生成AIへの言及はなく、原案の文章をどう作るかは定められていません。定められているのは、次の手続きの順序と担い手です。

流れ

居宅サービス計画ができるまで(第13条)

  1. 1

    アセスメント(第7号)

    利用者の居宅を訪問し、利用者と家族に面接して行います。面接の趣旨を説明して理解を得ることも求められます。

  2. 2

    原案の作成(第8号)

    アセスメントの結果と利用者・家族の希望に基づき、最も適切なサービスの組合せを検討して原案を書きます。ここがClaudeの下書きの出番で、確認の責任は介護支援専門員に残ります。

  3. 3

    サービス担当者会議(第9号)

    担当者を招集し、原案について専門的な見地の意見を求めます。テレビ電話装置等での開催は可能ですが、利用者や家族が参加する場合は、その活用に本人の同意が必要です。末期の悪性腫瘍の利用者で主治医等が必要と認める場合や、その他やむを得ない理由がある場合は、担当者への照会等で意見を求められます。

  4. 4

    説明と文書による同意(第10号)

    保険給付の対象かどうかを区分したうえで原案を説明し、文書で利用者の同意を得ます。

  5. 5

    交付(第11号)

    作成した居宅サービス計画を、利用者と担当者に交付します。

計画を変更するときも同じです。第16号が第3号から第12号までを準用しているため、更新認定や区分変更の後にAIで修正案を下書きしても、面接から交付までの手続きは原則として省けません。更新認定・区分変更では、第15号でサービス担当者会議による意見聴取も求められます。

下書きの作成方法がどう変わっても、AIの出力を同意取得の代わりにはできません。

下書きが満たしているべき記載項目と、AIが取りこぼしやすい条文

第8号は、原案に記載する項目も列挙しています。利用者・家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、サービスの目標と達成時期、サービスの種類・内容・利用料、サービス提供上の留意事項です。Claudeに下書きを頼むときは、この項目が空欄なく埋まっているかを読み返す観点になります。

もう1つの注意点は、サービスの組合せによって条文が追加の判断を求めることです。サービスの名前を並べただけの下書きでは、これらが抜け落ちます。

下書きに入れるサービス条文追加で求められること
訪問看護・通所リハビリ等の医療サービス条文第19号・第20号追加で求められること利用者の同意を得て主治医等の意見を求める。医療サービスは主治医等の指示がある場合に限り位置づける
厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護条文第18号の2追加で求められること利用の妥当性を検討し、必要な理由を記載して市町村に届け出る
福祉用具貸与条文第22号追加で求められること必要な理由を記載し、必要に応じて随時サービス担当者会議を開く
短期入所の生活介護・療養介護条文第21号追加で求められること利用日数が要介護認定の有効期間のおおむね半数を超えないようにする

第19号の2は、この場合に作成した計画を主治医等に交付することも求めています。第21号の日数の制限には、利用者の心身の状況から特に必要と認められる場合を除くという例外も付いています。第22号は、福祉用具貸与を続けるときも、必要性を検証したうえで継続の理由を計画に書くよう求めています。特定福祉用具の販売を計画に入れる場合も、第23号が妥当性の検討と必要な理由の記載を求めます。保険給付の対象かどうかの区分(第10号)も、原案を説明する前にケアマネジャーが行う作業です。文章としてもっともらしい下書きでも、これらを欠いていればそのままでは使えません。

モニタリングの下書きも同様です。第14号は、特段の事情のない限り、少なくとも月1回の利用者への面接と、その結果の記録を求めています。面接は居宅訪問が原則です。訪問しない月にテレビ電話装置等を使えるのは、少なくとも2か月に1回は訪問することに加え、文書による利用者の同意と、サービス担当者会議等での関係者の合意がある場合です。合意の対象は3点で、利用者の心身の状況が安定していること、利用者がテレビ電話装置等で意思疎通できること、装置では把握できない情報を担当者から提供してもらえることです。Claudeが下書きできるのは、面接で得た内容の記録の文章です。

Claudeのファイル作成機能で下書きを作るとき、情報をどう扱うか

Claudeには、コードを実行してWord・Excel・PowerPoint・PDFを会話の中で作る機能があります。Web版・デスクトップアプリ・モバイルアプリのFree・Pro・Max・Team・Enterpriseすべてで使えます。居宅サービス計画書のように書式が決まった書類では、アセスメントの要点を渡して下書きのWordファイルを作らせる使い方が考えられます。

渡す情報には注意が要ります。個人情報保護委員会のFAQは、医療・介護関係事業者が扱う要配慮個人情報の例として、介護関係記録に書かれた病歴、診療情報、健康診断の結果、障害の事実を挙げています。要配慮個人情報は、取得や第三者提供の際に原則として本人の同意が要り、オプトアウトによる第三者提供は認められません。利用者の心身状況を書いたアセスメントの要点は、この種の情報にあたりえます。

AnthropicのヘルプセンターはAI側のリスクも示しています。外部のファイルやWebサイトに紛れ込ませた指示によって、Claudeが信頼できないコードを実行したり、会話中の情報を外部へ送ったりするよう誘導される可能性があります。ネットワークアクセスを無効にすれば、データがサンドボックスの外へ出るリスクをなくせます。ただしMCP連携を有効にしている場合は、ネットワーク設定にかかわらずMCP経由の通信が残ります。

ネットワークの初期設定はプランで異なります。Team・Enterpriseのオーナーは、設定を4つから選べます。ネットワークを切ってインストール済みのパッケージだけにする、パッケージ管理ツール(npm・PyPIなど)だけを許可する、特定のドメインを追加で許可する、すべてのドメインを許可する、です。最後の選択肢は、ヘルプ自身が最もリスクが高いと書いています。慎重に進める場合は、まず全面オフから始めて段階的に広げる手順が示されています。

プラン別

ファイル作成機能のネットワーク設定

  • Free・Pro・Max

    コード実行とファイル作成は初期設定で有効で、ネットワークアクセスも有効です。承認された取得元からのパッケージ導入に使われます。設定の「機能」画面で切り替え、オフにしている場合は同じ画面でオンにします。

  • Team

    ページの冒頭では、ネットワークアクセスは初期設定で無効とされています。一方で同じページの設定手順と構成の説明では、初期設定は「パッケージ管理ツールのみ許可」です。組織のオーナーが設定画面で実際の値を確認します。

  • Enterprise

    新規の組織では、ネットワークアクセスは初期設定で無効です。オーナーはドメインの許可リストも設定できます。

数値や個人情報を扱う下書きでは、確認手順を先に決めておく考え方が欠かせません。同じ発想はClaudeで確定申告・年末調整の下書きを作るときの注意点でも扱っています。

扱えるファイルのサイズは、アップロードもダウンロードも1ファイルあたり30MBまでです。複数月分のモニタリング記録をまとめて渡すときは、この上限が目安になります。

他の専門職の線引きと並べると、ケアマネに残る役割はどう見えるか

厚労省の中間とりまとめと老健事業を並べると、目指しているのは「AIがケアプランを作る」ことではなく、原案づくりの一部を現場へどう組み込むかを探ることと読めます。

文章の生成と整理をAIに任せ、最終判断は専門職本人に残す構図は、他の領域でも共通です。弁護士がClaudeで生成AIを使う際の注意点や弁理士がClaudeで生成AIを使うときのガイドラインがその例です。監査法人がClaudeを運用する際の設計も、AIの提案と人間の最終確認を分けています。ケアプランでその専門職にあたるのが、居宅訪問での面接から同意、交付までを担うケアマネジャーです。

まとめ

更新認定や区分変更のたびに、第15号・第16号の手続きが再び動きます。Claudeに渡す前に、MCP連携の有無とネットワーク設定の段階を確かめておくと、利用者情報の行き先を把握したまま下書きを頼めます。

参照した一次ソース

この記事の記述は、次の一次ソースと照合しています。更新時に参照先が変わった場合は一覧も更新します。

  1. i.care-mane.com/times/104278
  2. laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100038
  3. support.claude.com/en/articles/12111783-create-and-edit-files-with-claude
  4. i-ise.com/jp/information/report/2023/rep_it_202403d.html
  5. ppc.go.jp/all_faq_index/faq3-q2-4
  6. mhlw.go.jp/content/12201000/001509409.pdf
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