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Claudeで地域防災計画の修正箇所を洗う — 防災基本計画の新旧対照表と突き合わせる

Claudeで地域防災計画の修正箇所を洗う — 防災基本計画の新旧対照表と突き合わせる

令和8年7月の防災基本計画の修正を、内閣府の新旧対照表から変更一覧にし、自治体の地域防災計画の章立てと突き合わせて修正箇所を洗い出す手順です。概要資料だけでは拾えない文言の差し替えも対象にします。

防災基本計画が修正されると、市町村の地域防災計画も見直しの対象になります。内閣府は修正のたびに新旧対照表を公開しており、これを自治体の計画の章立てに対応させれば、修正箇所の洗い出しはClaudeに任せやすい作業になります。

この記事では、令和8年7月14日に決定された防災基本計画の修正を例に、新旧対照表を変更一覧に直し、自分の自治体の計画と突き合わせて、修正案のたたき台を作るまでの手順を書きます。

防災基本計画が変わると、地域防災計画で何を見直すのか

地域防災計画は、防災基本計画に基づいて作ります。災害対策基本法は、市町村防災会議に対し、防災基本計画に基づく市町村の地域防災計画を作成し、毎年検討を加えて必要があれば修正するよう求めています(第42条第1項)。都道府県も同じ構造です(第40条第1項)。

見直しで押さえる点は3つあります。

  • 市町村の計画は、防災業務計画と都道府県の地域防災計画に抵触してはならない(第42条第1項)
  • 修正したら、速やかに都道府県知事へ報告し、要旨を公表する(同条第5項)
  • 報告を受けた知事は、都道府県の防災会議の意見を聴き、必要なら助言または勧告ができる(同条第6項)

つまり、基本計画の新旧対照表だけでなく、自分の県の地域防災計画がどこまで改定済みかも確認の対象です。県の改定が先行していれば、県の新旧対照表も同じ手順で変更一覧にできます。

基本計画の修正は毎年のように入ります。内閣府の履歴表では、令和元年以降、毎年5月から7月に一部修正が決定されています。作業を一度仕組みにしておけば、翌年も同じ型で回せます。

概要資料では拾えない修正が、新旧対照表にある

内閣府の防災基本計画のページには、修正ごとに「概要」と「新旧対照表」のPDFが並びます。令和8年7月修正の概要は1枚で、主な修正項目として次が挙がっています。

  • 気象業務法・水防法の改正を踏まえた修正(河川氾濫に係る特別警報の新設、高潮の予報・警報、警報・注意報の情報名への「レベル」付記)
  • カムチャツカ半島東方沖の地震による津波を踏まえた、緊急避難場所の避難環境の確保
  • 三重県四日市市の地下駐車場の浸水を踏まえた、道路地下構造物の浸水対策
  • 要配慮者のためのバリアフリー環境、罹災証明コーディネーター、避難施設のデュアルユースなど

自治体の計画を直すには、これだけでは足りません。新旧対照表を読むと、概要に出てこない修正がいくつもあります。

  • 自主防災組織への参画促進で、「女性」が「女性やこども・若者」に変わった
  • 市町村が「ホテル・旅館等を実質的に福祉避難所として開設する」と書かれていた箇所が、「社会福祉施設を福祉避難所として開設する」に変わった
  • 介護保険施設などが災害協定を結ぶ相手から「ホテル・旅館等の民間施設等」の例示が外れ、「同種の施設」だけになった
  • 複合災害の例に、「大規模な火事災害や林野火災と津波の同時発生」が加わった

最初の2つは文言の差し替えで、「(新設)」の印では見つかりません。手元でPDFをテキスト化して数えると、「(新設)」の印は17か所ありました。文言の差し替えや削除は、この数に入りません。新旧の2列を読み比べないと拾えない修正です。

対照表が触れる編は、第1編(総則)、第2編(各災害に共通する対策編)、第3編(地震災害対策編)、第4編(津波災害対策編)、第5編(風水害対策編)、第7編(雪害対策編)、第12編(原子力災害)、第15編(林野火災対策編)の8つです。

「(新設)」の数を、取りこぼしの検査に使う

Claudeが作る変更一覧の件数が正しいかは、人間が数え直せます。ローカルにpdftotextがあれば、次の1行で「(新設)」の数が出ます。

pdftotext -layout kihon_newold.pdf - | grep -c "(新設)"

令和8年7月修正の新旧対照表では17が返りました。変更一覧に「新設」が17件なければ、読み落としか、1つの新設を2件に割った可能性があります。

手順1: 新旧対照表と自分の計画をプロジェクトに置く

作業はClaudeのプロジェクトで行います。プロジェクトは、独自のチャット履歴と知識ベースを持つ作業スペースで、文書を置いておけばその中のチャットが参照します。

置く文書は次のとおりです。

文書入手先使いどころ
防災基本計画 新旧対照表入手先内閣府「防災基本計画」ページ使いどころ変更一覧の元
防災基本計画の修正の概要入手先同上使いどころ変更の理由の確認
自分の自治体の地域防災計画入手先自治体サイト使いどころ突き合わせ先
県の地域防災計画(必要に応じて)入手先県サイト使いどころ抵触の確認

ファイルの制限は2種類あります。プロジェクトに置くファイルは1つ30MBまでで、中身はテキストの抽出だけが行われます(マルチモーダルPDFは例外)。100ページ以下のPDFは、テキストに加えて画像や表の視覚要素も読まれます。101〜1000ページはテキストのみです。

新旧対照表は2列組みなので、視覚要素も読まれる100ページ以下のPDFとして置くのが向いています。地域防災計画は数百ページになることが多く、その場合はテキストのみで読まれます。章や編ごとに分けて置くと、あとで根拠のページを辿りやすくなります。

プロジェクトの知識ベースに入れたものだけが、チャットをまたいで共有されます。チャットに添付した内容は、別のチャットには引き継がれません。

計画本体は公開文書ですが、資料編には名簿や連絡先が含まれることがあります。庁内で生成AIをどの範囲で使えるかは自治体職員の生成AI利用と総務省ガイドライン、LGWAN接続系の端末から使えるかはLGWAN接続系からα'モデルでClaudeを使えるかが判断の軸になります。

指示文で「根拠の出し方」を固定する

次は、プロジェクトの指示文の例です。

あなたは市町村の防災担当を補助する立場で、地域防災計画の修正箇所を洗う。
 
- 防災基本計画の変更は、プロジェクトの新旧対照表だけを根拠にする。
  変更ごとに、編・章・節の見出しを添える。
- 自治体の計画の記述は、引用した原文と、その掲載ページを必ず示す。
  該当する記述が見つからないときは、見つからないと書く。推測で補わない。
- 新旧対照表の「(新設)」は区分「新設」、文言の差し替えは「修正」、
  文が消えたものは「削除」と区別する。
- 判断が分かれるものは「要判断」とし、理由を1文で添える。

3点目の区別が重要です。区分を分けておけば、「新設17件」の検算と、文言の差し替えの拾い漏れチェックを別々にできます。

手順2: 新旧対照表を、変更一覧に直す

最初の依頼は、対照表をそのまま表にすることです。自治体の計画はまだ見せません。

防災基本計画 新旧対照表(令和8年7月)を、変更一覧の表にして。
列は 通し番号 / 編・章・節 / 区分(新設・修正・削除)/ 主語 /
変更の要点(1文)/ 修正後の原文(冒頭30字)。
左右2列の対照表なので、修正前と修正後を取り違えないこと。
最後に、区分ごとの件数を出して。

返ってきた表で、確かめることが3つあります。

  1. 「新設」の件数が、先ほどの17と一致するか
  2. 修正前と修正後が逆になっていないか。2列組みのPDFでは、ここで間違えやすい
  3. 主語の列が埋まっているか。「国〔気象庁〕」「市町村」「都道府県(市町村)」のように、原文の主語がそのまま入っているか

主語の列は、次の手順の振り分けに使います。

手順3: 主語で振り分け、自分の計画で探す語を決める

基本計画は、国、都道府県、市町村など各主体が取り組む内容を並べた文書です。国が主語の記述は、そのまま地域防災計画に書く内容ではない場合があります。市町村や地方公共団体が主語の記述は、自分の計画に対応する記述があるかを見ます。

令和8年7月の新旧対照表から、振り分けの例を挙げます。「探す語」は、自分の計画の中でその項目が書かれていそうな箇所を探す検索語の案です。

基本計画の位置変更の中身区分主語探す語
第2編 災害予防変更の中身自主防災組織への参画促進で「女性」に「こども・若者」を追加区分修正主語市町村(都道府県)探す語自主防災組織、防災リーダー
第2編 災害予防変更の中身緊急避難場所で熱中症・防寒対策の備蓄(テント・飲料水・防寒具等)に努める区分新設主語市町村探す語緊急避難場所、備蓄
第2編 災害予防変更の中身緊急避難場所のバリアフリー環境の整備(スロープの設置等)区分新設主語市町村探す語要配慮者、避難場所
第2編 災害予防変更の中身指定避難所を武力攻撃事態等でも使用可能な場合は想定する。備蓄は国民保護と兼ねられる認識で取り組む区分新設主語都道府県(市町村)、地方公共団体探す語指定避難所、備蓄、国民保護
第2編 災害応急対策変更の中身「ホテル・旅館等を実質的に福祉避難所として開設」を「社会福祉施設を福祉避難所として開設」に区分修正主語市町村探す語福祉避難所
第2編 災害予防変更の中身複合災害の例に、大規模な火事災害や林野火災と津波の同時発生を追加区分修正主語市町村探す語複合災害、避難指示
第5編 風水害変更の中身避難指示等の発令基準に使う防災気象情報を、警戒レベルに合わせた数字を付記した名称で発表。「危険警報」を併記区分修正主語国〔国土交通省、気象庁〕、都道府県探す語発令基準、警報、警戒レベル
第2編変更の中身罹災証明コーディネーターの派遣調整区分新設主語国〔内閣府〕、都道府県探す語罹災証明、被害認定

下から2行目のように、主語が国であっても、自治体の計画が気象情報の名称を引いて発令基準を書いているなら、名称の差し替えが必要になることがあります。主語だけで機械的に除外せず、「要判断」に残すのが安全です。

原子力災害の編や林野火災の編の修正は、該当する施設や森林を抱える自治体の項目です。該当しない市町村は、変更一覧に残したまま「対象外」の理由を書き込みます。

手順4: 自分の計画の章立てを渡し、該当記述を引かせる

地域防災計画の章立ては、自治体ごとに違います。法が定めるのは「おおむね」の記載事項(事務や業務の大綱、予防・応急・復旧の各計画、労務・物資等の整備計画)で、編や章の並べ方までは決めていません。そこで、まず計画の目次を表にします。

添付した〇〇市地域防災計画の目次を、編・章・節・ページの表にして。
そのあと、変更一覧の各項目について、
(1) 該当しそうな節、(2) その節の原文の引用(100字以内)と掲載ページ、
(3) 判定(記述あり・記述なし・要判断)を表にして。
記述なしの場合は、探した語と、探した節を書いて。

例えば、次のような形で返ってきます。数値と節名は説明用の仮の例です。

変更番号該当しそうな節引用と掲載ページ判定
5該当しそうな節避難所の開設・運営(仮)引用と掲載ページ「福祉避難所は、ホテル・旅館等を…」p.XX(仮)判定記述あり。文言の見直しが必要
3該当しそうな節緊急避難場所の指定(仮)引用と掲載ページ(該当なし。探した語: 熱中症、防寒)判定記述なし

「記述あり」の判定には、引用が付きます。引用が付いていない判定は、使わないでください。計画のPDFを開いて、引用した語を検索し、ページが合っているかを自分で確かめます。ここを省くと、存在しない記述を根拠にした修正案が出回ります。

手順5: 内閣府と同じ「修正前・修正後」の形で修正案を作る

判定が「記述あり」と「記述なし」の項目について、自治体の新旧対照表の案を作ります。内閣府の形式に合わせ、修正前と修正後の2列にして、変更しない部分は「(略)」で省きます。

判定が「記述あり」の項目について、修正前(現行の原文)と
修正後(案)の2列の表にして。変更しない文は「(略)」にする。
基本計画の文言を借りる場合は、変更番号を脚注に付けて。
「記述なし」の項目は、追記するならどの節かの候補だけを挙げて。

修正後の文は、あくまで案です。「努めるものとする」のような努力義務の書き方は、自治体の財政や備蓄の実態と合わせる判断が要ります。備蓄量の数値や協定の相手先は、担当課が決める内容で、Claudeの案に任せる箇所ではありません。

つまずきやすい点

  • 修正前と修正後の取り違え: 2列組みの表でよく起きます。変更一覧の段階で、左右を数件、PDFと目で照らしてください
  • 「(略)」の前後を別の項目として読む: 略の前後は同じ節の続きです。節の見出しを必ず列に残させると防げます
  • 県の計画との食い違い: 市町村の計画は県の計画に抵触してはならないので、県が先に修正している場合は、県の新旧対照表もプロジェクトに足します
  • 資料編の扱い: 避難の要支援者名簿や、非公開の連絡網は、プロジェクトに置きません
  • 去年の修正の積み残し: 履歴表は毎年の修正を並べています。前年分の新旧対照表を同じ手順で通すと、反映漏れが見つかることがあります

避難所ごとのマニュアルを直す作業は、Claudeで避難所運営マニュアルを作成する手順に分けてあります。生成AIに入れた文書が行政文書にあたるかは、Claudeに入れた文書は行政文書かにあります。

まとめ

地域防災計画の見直しで手間がかかるのは、基本計画のどの修正が自分の計画に効くかを洗う段階です。概要の1枚では足りず、文言の差し替えは新旧対照表の2列を読み比べないと見つかりません。

作業を、変更一覧(主語と区分つき)、自治体の計画の目次、引用つきの突合表の3つに分けると、Claudeに任せる範囲と人が確かめる範囲が分かれます。「(新設)」の数と、引用した原文のページは、必ず人の目で検算してください。修正案の文言と、防災会議にかける内容は、担当課の判断です。

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