Claude CodeのBigIDプラグインでデータ探索と管理を会話で進める
BigIDプラグインはMCPサーバー1つと6つのスキルを同梱し、DSPMの優先順位付け、規制別の証跡PDF、アクセスグラフ作成をClaude Codeから進めます。導入手順、19のツールの読み書き区分、権限の絞り方をまとめます。
BigIDプラグインは、データセキュリティ製品のBigIDが配布しているClaude Code用のプラグインです。BigID公式のMCPコネクタ1つと、データの探索・管理・対処に向けて整えた6つのスキルが入っています。マーケットプレイスのページには「Anthropic verified」の表示があります。
要点は、BigIDの画面を開かずに、自分の環境の検出結果を会話で引き出せることです。ただしMCPサーバーは早期導入プログラムの扱いで、誰でもすぐ使えるわけではありません。導入の前提、同梱物の中身、書き込み系ツールの絞り方を順に書きます。
BigIDプラグインが入れるもの
プラグインのマニフェストでは、名前がbigid、バージョンが0.1.60、ライセンスの欄がProprietaryです。MCPサーバーはbigidという名前のHTTP型で、接続先はhttps://bigid-mcp.bigid.cloudと書かれています。接続先のURLは固定です。
プラグインの2つの部品
MCPサーバー
BigIDの環境に生のAPIアクセスを提供します。ツールは19個で、補助が3個です。
6つのスキル
「セキュリティ姿勢」「規制別の証跡」「シャドーAI」「アクセスグラフ」「PIAテンプレート作成」「Jiraチケット起票」の6つです。
READMEは、スキルを「関連する場面で自動的に働く指示のまとまり」と説明しています。セキュリティケースやコンプライアンス証跡、AIリスクを尋ねると、該当のスキルが動き、スラッシュコマンドは要らないという位置づけです。扱う領域はDSPM(データセキュリティ態勢管理)、プライバシー、コンプライアンスです。
導入前に確認する前提
コマンドを打つ前に、手元の条件を確かめます。
- BigIDの環境(テナント)を持っていること。プラグインは自分のBigID環境につなぐもので、単体では何も返しません
- MCPサーバーの利用権があること。READMEによると、MCPサーバーは早期導入プログラム(Early Adopters Program)で提供されています。参加はBigIDのサポートか
mcp@bigid.comへの連絡が入口です - READMEは、プラグインを入れる前にBigIDのURLと認証情報をMCPサーバー側で設定するよう求めています
マニフェストには認証情報を書く欄がなく、認証方式の詳細もREADMEにはありません。トークンかログインかは契約の形で変わると見て、BigID側に確かめるのが確実です。
スキルごとの要件もあります。セキュリティ姿勢のスキルはDSPM(Actionable Insights)のライセンスが前提です。ケースを取るツールが見えないか、ライセンスのエラーが返った場合は、他のデータ源で代用せずに止まる作りです。規制別の証跡スキルもモジュール別の権限が前提で、403やライセンスなしのエラーなら生成を打ち切ります。
導入手順
READMEのClaude Code向けの記載は次の1行です。
claude plugin install git@gitlab.com:bigid/agentic-ai/skills.gitこの行の接続先はGitLabで、プラグインページのソース表示が指すGitHubのリポジトリとは別の場所です。リポジトリの.claude-plugin/marketplace.jsonには、マーケットプレイス名bigidの下にプラグインbigidが登録されています。そのため、GitHubのリポジトリを直接マーケットプレイスとして追加する形でも入れられます。
/plugin marketplace add bigexchange/bigid-plugin-official
/plugin install bigid@bigid/plugin marketplace addはGitHubのowner/repo形式を受け取り、/plugin installはプラグイン名@マーケットプレイス名で指定します。claude.comのマーケットプレイスで見つけたプラグインの場合は、ページのClaude Codeボタンがclaude plugin install <名前>@claude-plugins-officialの形のコマンドをコピーする、とClaude Codeのドキュメントにあります。どちらの経路でも、入れた後は/reload-pluginsで反映します。
入ったかどうかを確かめる
プラグインのスキルは/プラグイン名:スキル名の形で呼べます。READMEの一覧では、次の名前です。
| スキル | 担当 |
|---|---|
/bigid:bigid-security-posture | 担当DSPMのケースを危険度順に並べ、対処まで進める |
/bigid:bigid-regulations-and-frameworks | 担当規制別のコンプライアンス証跡をPDFで作る |
/bigid:bigid-shadowai-and-ai-risk | 担当AI関連のケースを絞り、AI基盤内の資格情報や規制対象データを洗う |
/bigid:bigid-access-graph | 担当利用者・グループ・権限・データの関係を対話的な図にする |
/bigid:bigid-create-assessment-template | 担当Word・Excel・PDFやインタビューからPIAテンプレートを作る |
/bigid:bigid-create-jira-tickets-for-policy-violations | 担当ポリシー違反のケースをデータソースごとにJiraチケットにする |
MCPサーバーのツール名は、プラグイン同梱のサーバーではmcp__plugin_<プラグイン名>_<サーバー名>__<ツール名>の形になります。このプラグインなら、たとえばmcp__plugin_bigid_bigid__data_overviewです。後で権限を絞るときに、この形が必要になります。
19のツールを読み取りと書き込みで分ける
MCPサーバーのツールは19個で、READMEが一つずつ[READ]か[WRITE]を付けています。[WRITE]は「書き込みもできる」の意味で、読むだけの利用に限られません。
読み取り専用は次の2つだけです。
data_overview:全体の件数や内訳。「何件あるか」「どの種類別か」に答えるaudit_compliance_logs:BigID自身の中で誰が何を変えたか、消したか、書き出したか
残りの17個は[WRITE]です。ここで混同しやすいのが、名前の読みやすさと実際の権限の差です。たとえばcatalogは検索が中心でも、タグの追加と削除ができます。data_security_postureは、ケースの状態変更、担当者の割り当て、複数件の一括更新を含みます。
| ツール | 主な用途 | 注意したい書き込み |
|---|---|---|
catalog | 主な用途スキャン済みの全オブジェクトの検索と詳細 | 注意したい書き込みタグの付け外し |
data_security_posture | 主な用途露出や秘密情報などのセキュリティケース | 注意したい書き込み状態変更、割り当て、一括更新 |
data_access_intelligence | 主な用途誰が何にアクセスできるか、ラベル付け状況 | 注意したい書き込みラベル付けの開始と一時停止 |
remediation | 主な用途持ち主に直してもらう流れ | 注意したい書き込み修復アクションの設定、コメント |
data_deletion | 主な用途削除待ちのキューと削除の実行 | 注意したい書き込み削除は永久で取り消せない |
data_discovery_management | 主な用途スキャンの開始・一時停止・再開・取消 | 注意したい書き込みスキャンの操作 |
data_source_connectivity | 主な用途接続しているデータソース | 注意したい書き込み新規ソースの追加、一括更新 |
READMEはdata_deletionについて、削除は永久で元に戻せないので、影響件数を確かめて確認してから実行するよう書いています。
ツールが多いときの選び分け
READMEには、取り違えやすい組を整理した節があります。要点を並べます。
- ルールと結果:
policy_managementがポリシーを定義し、data_security_postureがそこから上がるケースを持つ。直す流れはremediation、消すのはdata_deletion - 個別と集計:
catalogはオブジェクトを返し、data_overviewは件数を返す - 分類器と出力:
classification_managementはルールを直し、results_review_refineは出てきた検出結果の正誤を判定する - 2種類のケース:セキュリティのケースは
data_security_posture、プライバシーのリスクケースはrisk_controls_management - 2種類のログ:BigID内の操作は
audit_compliance_logs、データに対する操作はdata_activity_monitoring
仕組みの使い方に迷ったときは、system_administrationに含まれるBigChatが近道です。BigIDの公式ドキュメントから答えるアシスタントで、どのツールを使うべきかの手がかりにもなります。
補助ツールは3つです。get_tool_schemaは操作に必要な情報を事前に示します。get_tpa_idsは環境に入っている追加アプリを調べます。read_large_responseは、一度に返せない大きな結果を区切って取り出します。
スキルの動き方を3つ見る
スキルの本文はリポジトリにあり、動きがかなり具体的です。ここでは3つを取り上げます。
セキュリティ姿勢: 資格情報を先頭に置く
bigid-security-postureは、BigID自身の重大度と影響オブジェクト数を出発点にしながら、資格情報の露出を最優先に上書きする順位付けを持っています。3つの段に分かれます。
- 段1: ポリシー名に
password、token、api key、secret、private key、connection stringなどを含むもの - 段2: 名前に
open accessを含み、さらに高感度データ、決済カード、社会保障番号、医療などの語を含むもの - 段3: それ以外。重大度、次に影響オブジェクト数の順
同じ段の中は、影響オブジェクト数の多い順で並べます。スキル本文には、この語の一覧は網羅的で、その場でキーワードを足さないとあります。ポリシーの名前付けが自社流だと、期待した段に入らない可能性があります。
もう一点、スキルは「一覧で終わらず必ず次の行動まで提示する」作りです。ただし勧めるのは確認できた手段だけです。チケット起票を提案する前にget_tpa_idsなどで、JiraやServiceNowの連携が入っているかを調べます。どちらもなければ、ケースの状態変更と担当者の割り当てに切り替えます。ファイルの退避などオブジェクト単位の修復は、別のライセンスが要り、使える操作ごとにisEnabledも見ます。
規制別の証跡: 名前を挙げたときだけ動く
bigid-regulations-and-frameworksは、規制の名前をBigIDとあわせて挙げたときにだけ動くよう書かれています。READMEの一覧ではGDPR、HIPAA、EO 14117、OSFI B-13が例に出ていて、利用者がアップロードした独自ポリシーとの突き合わせにも対応します。
「コンプライアンスレポートを作って」とだけ頼んでも、どれを指すか尋ねられます。生成物はPDFで、生成にはPythonのreportlabが要ります。OSFI B-13ではデータカタログとデータソースの情報も使います。
Jiraチケット: 確認ループで誤った起票を防ぐ
bigid-create-jira-tickets-for-policy-violationsは、あるポリシーの未対応のリスクケースを集め、データソース1つにつきJiraチケット1枚を作ります。READMEの説明では、誤った起票の一括実行を避けるために確認の手順を挟みます。
Claude Code側で書き込みを絞る
プラグインが入ると、17の書き込み系ツールがそのままClaude Codeに現れます。スキルの本文は「書き込み前に確認」を求めていますが、これはモデルへの指示です。強制力を持つのはClaude Codeの許可設定とBigID側の権限なので、両方で絞ります。
Claude Codeの許可ルールは、MCPツールをmcp__<サーバー>__<ツール>で指定します。プラグイン同梱のサーバーは先ほどのmcp__plugin_bigid_bigid__で始まる形です。削除や修復のように取り消せないものはdenyかaskに置きます。以下は設定の一例です。
{
"permissions": {
"allow": [
"mcp__plugin_bigid_bigid__data_overview",
"mcp__plugin_bigid_bigid__audit_compliance_logs"
],
"ask": [
"mcp__plugin_bigid_bigid__data_security_posture",
"mcp__plugin_bigid_bigid__remediation"
],
"deny": [
"mcp__plugin_bigid_bigid__data_deletion"
]
}
}ドキュメントによると、allowに使えるワイルドカードはmcp__<サーバー>__の後ろだけです。読み取りを広く通したいときも、名前をひとつずつ書く形が安全です。allowが読み取り専用の2ツールだけなら、残りは都度の確認になります。
BigID側では、MCPサーバーを使うアカウントの権限を最小にします。調査用のアカウントには閲覧中心のロールを与え、削除や修復を担う権限は別アカウントに分けるのが無理のない形です。ロールの作り方はREADMEにないため、system_administrationのBigChatか、BigIDの管理者に確かめます。
組織の管理設定でプラグイン以外のMCP追加が止められている環境では、claude mcp addによる手動登録は通りません。症状と原因はclaude mcp addが失敗する理由にあります。同じ作りのコネクタ同梱プラグインの導入例はCouchbaseプラグインの記事で扱っています。
公式の説明どうしのずれ
READMEとスキル本文を並べると、揃っていない点が3つあります。
- READMEのツール一覧は19個の名前ですが、スキル本文は
BigID MCP Productionというサーバー名とlist_servers、list_tools、get_objects、write_objectsといった呼び出しを前提に書かれています。READMEの名前と本文の呼び名が違うため、環境の側がどちらで公開しているかは接続して初めて分かります - セキュリティ姿勢のスキルは、プライバシーのリスクケースを別の
bigid-privacy-postureスキルに回すと書いています。READMEの6つの一覧にそのスキルはありません - READMEのインストール行はGitLabの接続先で、プラグインページのソース表示はGitHubのリポジトリです
どれも動作を止める話ではありませんが、本文に「スキル本文が呼ぶツールの名前が見つからない」と出たときは、get_tool_schemaやlist_toolsで実際に見えている名前を確かめると切り分けやすくなります。スキル本文自体が「名前を推測せず、先に一覧で確かめる」ことを求めています。
他の道具との違い
BigIDはデータの置き場所を探してリスクを見つける製品なので、同じ領域でも役割が違います。Microsoft Purviewとの連携は、Claudeの利用を監査し、DSPMで追う使い方でした。手順はClaudeとMicrosoft Purviewの連携にあります。一方、BigIDプラグインはClaudeを使う側ではなく、BigIDの中のデータを問う側として使います。
DPAやDSARの文書を下書きする用途なら、privacy-legalプラグインがあります。こちらは文書の下書きを手伝う側です。一方BigIDのdsar_case_managementは、個人に関する保有データの検索結果を返す側に立ちます。
プラグインという仕組み自体の違いはClaude.aiのプラグイン機能の記事にまとめています。
使い始めの順序
最初から書き込みを許可せず、読み取りだけで試す順序が無難です。
- MCPサーバーの利用権とBigIDのアカウントを用意する
- プラグインを入れて
/reload-pluginsを実行する - 許可設定で
data_overviewとaudit_compliance_logsだけをallowにする - 「データの種類別に件数を出して」のように、集計から頼む
- 読み取りで回ることを確かめてから、ケースの状態変更など書き込みを
askで足す
最初の依頼は例えば次の形です。以下は依頼文の例で、返答の再現ではありません。
今のDSPMケースで、資格情報の露出に当たるものを上から5件挙げて。まだ何も変更しないで
状態変更や割り当ては、ケースの内容を読んでから足せば十分です。