ClaudeとEnterpretを連携する方法 — 散在した顧客の声を会話で引く
Enterpretのコネクタを使うと、問い合わせ・通話・アプリレビュー・NPSをまとめたグラフにClaudeが直接質問できます。接続手順、7つのツール、問いの立て方、答えの裏取りまでを扱います。
顧客の声は、サポートチケット、営業の通話、アプリのレビュー、NPS調査、Slackと、置き場所がばらばらです。Enterpretはこれらを1つの索引にまとめるサービスで、そのEnterpretがClaude向けのコネクタを出しています。ClaudeにEnterpretをつなぐと、「この機能について顧客は何と言っているか」を、元の会話へのリンク付きで聞けます。
この記事では、コネクタの中身、接続の手順、管理者が先に決めておく権限、そして答えを仕事で使う前の裏取りまでを順に扱います。手元のCSVを分析する話はClaudeでユーザーフィードバックのパターンを分析する方法にまとめています。ここでの主題は、すでにEnterpretに集約された顧客の声を、Claudeから引く入口です。
Claude Enterpret連携とは何をつなぐものか
Claude Enterpret連携は、EnterpretのMCPサーバーをClaudeのコネクタとして使う仕組みです。コネクタ一覧の表示は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | 内容Enterpret Inc |
| 区分 | 内容Anthropic verified |
| カテゴリ | 内容Data & analytics |
| サインイン | 内容必要 |
| 追加時期 | 内容2026年4月 |
| コネクタURL | 内容https://wisdom-api.enterpret.com/server/mcp |
紹介文によると、Enterpretのナレッジグラフに、サポートチケット・Gongの通話・アプリレビュー・NPS調査・Slackなどをまたいで問い合わせられます。すべての知見は、実際の顧客との会話にリンクでたどれる形で返ります。クエリ言語や事前設定は要らず、普通の言葉で質問します。
Enterpret側のMCPサーバーのページでは、50以上のソースから集めたフィードバックを「Adaptive Taxonomy」に載せ、感情・件数・アカウントの文脈を付けた状態で扱うと説明されています。Claudeが受け取れるのは、構造化されたテーマ、感情、顧客の原文、アカウントのメタデータです。
つまり、Claudeに生のテキストを読ませる方式とは土台が違います。分類と集計はEnterpret側のグラフが済ませ、Claudeはそのグラフに問い合わせる役に回ります。
このコネクタで変わる3点
ソースを意識しなくてよい
チケット、通話、レビュー、調査を、1つの問いでまとめて引けます。
答えに根拠のリンクが付く
知見は元の顧客の会話に戻れる形で返ります。
Claude側の権限は個人ごと
各メンバーがEnterpretにサインインして使います。
使える7つのツール
コネクタのページに載っているツールは7つです。
| ツール | 名前から読める用途 |
|---|---|
get_organization_details | 名前から読める用途組織の情報を取得 |
get_graph_schema | 名前から読める用途グラフのスキーマ(どんな項目があるか)を取得 |
run_graph_query | 名前から読める用途グラフへのクエリを実行 |
search_graph_values | 名前から読める用途グラフ内の値を検索 |
get_query_examples | 名前から読める用途クエリの例を取得 |
search_graph_fields | 名前から読める用途グラフ内の項目を検索 |
find_user_quote | 名前から読める用途顧客の発言を探す |
右の列は、ツール名から読み取れる範囲の目安です。各ツールの引数や戻り値は、コネクタのページには記載がありません。詳細が必要なときは、コネクタ一覧の「Documentation」から提供元の資料を開いてください。
ここで見ておきたいのは、get_graph_schema と search_graph_fields の存在です。Claudeは、いきなり答えを探すのではなく、まず自社のグラフにどんな項目があるかを確かめてから run_graph_query に進めます。項目名が自社独自の命名でも、Claudeが先に調べてくれるので、質問する側が覚える必要はありません。
ClaudeでEnterpretに接続する手順
Claude(Web / Desktop)とCowork
コネクタは、Claude・Cowork・Claude Desktop・モバイルで使えます。ディレクトリから追加する流れは共通です。
- コネクタ一覧でEnterpretを探し、「Connect」を選ぶ
- Enterpretのサインイン画面で、自分のアカウントを認証する
- 会話の「+」ボタンから「Connectors」を開き、Enterpretのトグルをオンにする
会話ごとにトグルで切り替える仕様なので、顧客データを使わない会話ではオフのままにできます。
TeamとEnterpriseのプランでは順序が変わります。先にOwnerまたはPrimary Ownerが組織としてコネクタを有効にし、そのあと各メンバーが自分でEnterpretに認証します。組織で有効にしても、誰かに自動で権限が付くわけではありません。
Claude Code
Claude Codeからは、コネクタURLを指定してMCPサーバーを追加します。公式のページに専用のコマンドは載っていないため、次は一般的なHTTP型MCPの追加方法をコネクタURLに当てはめた例です。
claude mcp add --transport http enterpret \
https://wisdom-api.enterpret.com/server/mcp追加したら claude を起動し、/mcp から認証します。MCPサーバーの追加と管理の全体像はClaude CodeのMCPサーバー活用ガイドにあります。
Enterpret側のページは、ClaudeのCoworkとClaude Codeのユーザーが、コネクタディレクトリに載ったEnterpretのMCPサーバーから、顧客インテリジェンスを直接引けると説明しています。想定されている使い手は、仕様を書くプロダクトマネージャー、バグの傾向を調べるエンジニア、役員会の資料を作る人です。
管理者が先に決める権限
TeamとEnterpriseのOwnerは、コネクタのアクションを組織全体で絞れます。Customize > Connectorsでコネクタを選ぶと「Tool permissions」が出て、読み取り系と書き込み・削除系に分類されます。それぞれ「Always allow」「Needs approval」「Blocked」から選びます。この設定は全員に効き、個人では上書きできません。
Enterpretのコネクタについては、ページにツールごとの読み取り・書き込みの区分が載っていません。管理者は、実際に画面に出る分類を見てから、既定の扱いを決めるのが確実です。
もう1点、権限の考え方は変わりません。Claudeは接続した本人の権限で動き、Enterpretで見えないデータは、Claudeからも見えません。顧客の発言には個人情報が含まれることがあります。誰がどの範囲を見られるかは、Enterpret側の設定が決めると考えてください。
類似の設計で社内文書を横断検索する方法はClaudeのAsk Your Orgの記事が扱っています。
問いの立て方 — マーケとCSで使い分ける
コネクタのページが挙げる例は、機能について顧客が何と言っているか、あるセグメントで解約につながるフィードバックの上位テーマは何か、顧客の発言を引用付きで取り出す、の3つです。これを仕事の場面に置き換えると、次のような問いになります。
| 場面 | 問いの例 |
|---|---|
| CSの週次レビュー | 問いの例先週増えた不満のテーマを、件数の多い順に5つ出して。各テーマに代表的な顧客の発言を1件ずつ付けて |
| マーケの訴求づくり | 問いの例新機能Xについて、顧客が肯定的に語っている理由を、ソース別に分けて示して |
| 解約の振り返り | 問いの例エンタープライズのセグメントで、解約リスクに結びつくテーマの上位を教えて。根拠の会話へのリンクも付けて |
| 仕様の下調べ | 問いの例検索機能に関するバグ報告と要望を分けて、それぞれの傾向を出して |
答えを使いやすくするコツは3つあります。
- 期間とセグメントを問いの中で固定する
- 件数と代表的な発言を、必ず両方求める
- 「ソース別に」と添えて、チケットと通話の言い分の違いを見る
件数だけだと根拠に戻れず、発言だけだと偏りが見えません。両方を求めると、あとで裏取りしやすくなります。
繰り返す問いはCLAUDE.mdに書いておく
週次で同じ問いを回すなら、Claude Codeの CLAUDE.md に手順を固定しておくと、毎回の指示が短くなります。次はその一例です(自社の運用に合わせて書き換えます)。
## 顧客フィードバックの調べ方
- 顧客の声はEnterpretのコネクタで引く。手元のCSVや記憶で補わない
- 最初に get_graph_schema で使える項目を確かめてから、クエリに進む
- 結果は必ず「テーマ / 件数 / 代表的な発言 / 元の会話へのリンク」の表で返す
- リンクが付かない知見は「根拠なし」と明記し、結論に含めない
- 期間は直近4週間、前期間(その前の4週間)との差も併記する2行目の項目確認は、ツール名の get_graph_schema に沿った手順です。前期間との差を求めるのは、増減の幅で優先度を決めるためです。
返ってきた答えを使う前の裏取り
Enterpretが付ける元の会話へのリンクは、この連携でいちばん使い道のある要素です。Claudeの要約だけで報告に載せず、最低限、次を確かめます。
- 代表的な発言のリンクを2〜3件開き、要約と原文が合っているか読む
- 件数が、対象ソースを絞った結果なのか全ソースなのかを確認する
- 前回と比べるときは、期間とセグメントの条件を揃える
3番目は特に見落としやすい点です。条件が違うまま増減を比べると、実態でなく範囲の差を見ることになります。
複数チャネルの声を、Enterpretを使わずClaudeで読み解く方法はClaudeでフィードバックを複数チャネル横断で分析するにあります。集約済みの基盤がまだない組織は、先にそちらの方法で始められます。
なお、BI基盤の数字をClaudeに引かせたい場合はClaudeとMetabaseの連携のように、データの置き場に合わせたコネクタを選びます。顧客の声は定性、売上や利用量は定量と分けておくと、問いの設計がぶれません。
よくあるつまずき
- Enterpretのアカウントがない: コネクタの表示は「サインインが必要」です。自社のEnterpret環境が前提で、Claudeだけでは顧客の声は引けません
- 会話で何も引かれない: 「+」の「Connectors」で、Enterpretのトグルが会話ごとにオンか確かめます
- 答えの粒度が粗い: 期間・セグメント・ソースを問いに入れます。範囲が広いほど答えは平均的になります
- 権限の質問が出る: Team・Enterpriseでは、組織の有効化と本人の認証が別です。どちらが未済かを管理者に確認します
まとめ
Enterpretのコネクタは、集約済みの顧客の声をClaudeから質問する入口です。分類と集計はEnterpret側、問いの組み立てと言語化はClaude側という分担になります。
使い始めるなら、まず1つの定例(CSの週次レビューなど)を決め、問いと出力の型を固定します。そのうえで、返ってきた代表的な発言を数件開いて、要約が原文と合っているかを毎回確かめてください。