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卒業要件の単位判定をClaude for Excelで学生別に進める手順

卒業要件の単位判定をClaude for Excelで学生別に進める手順

履修一覧と区分別の必要単位を突き合わせ、学生ごとの不足区分と見込み単位を出すExcel手順です。大学設置基準の124単位と上限規定、匿名IDで渡す型、検算の方法をまとめます。

卒業判定の時期に教務が抱えるのは、履修一覧と学部の科目区分別の必要単位を学生ごとに突き合わせ、「あと何単位、どの区分が足りないか」を出す作業です。履修一覧は1学生あたり数十行あり、区分名の表記ゆれや再履修の重複も混じります。この表は、Claude for Excelに数式と検算の下準備を任せれば、ブックの中で組めます。

先に線引きを書いておきます。卒業の可否を決めるのは、学則と教授会などの正式な手続きです。Claudeが出すのは、人が確認するための「不足の洗い出し」までです。

学生の履修情報は個人情報なので、氏名や学籍番号は渡さず、匿名IDに置き換えた表だけを使います。その手順も後半に書きます。

124単位は全国共通、区分別の内訳は学則で決まる

大学設置基準32条1項は、卒業の要件を「124単位以上を修得することのほか、大学が定めること」としています。124単位は下限で、区分ごとの内訳(教養、外国語、専門必修など)は大学が決めます。

学部によって下限が変わります。

学科の種類卒業要件の単位数(以上)
一般の学科卒業要件の単位数(以上)124
医学・歯学卒業要件の単位数(以上)188
薬学(臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの)卒業要件の単位数(以上)186(薬学実務実習20単位以上を含む)
獣医学卒業要件の単位数(以上)182

ブックの要件表に入れる総単位数は、こうした設置基準の数字ではなく、自学部の学則の数字にします。

総単位とは別に、数え方に上限がある単位がある

124単位に届いていても、数え方の上限に引っかかる学生がいます。設置基準の上限は次のとおりです。

  • 他大学での履修や大学以外の学修、入学前の既修得単位の認定は、条文上、合わせて60単位まで(28条・29条・30条。編入学・転学等の場合は除く)
  • 多様なメディアを高度に利用して教室以外で履修する授業(25条2項)は、卒業要件の単位のうち60単位まで(32条5項)
  • 連携開設科目として修得したものとみなす単位は、30単位まで(32条6項)

また、1単位は45時間の学修を必要とする内容を標準とします(21条2項)。卒業論文や卒業制作など、単位数を別に定められる科目もあります(同条3項)。

大学の学則はこれより厳しく定めていることがあります。ブックには設置基準の数字ではなく、学則の上限値を入れてください。

入れる表は3つ、列は最小限にする

ブックは「履修」「要件」「集計」の3シートで組みます。以下の区分名と単位数は、手順を説明するための架空の学則です。

シート1行の意味主な列
履修1行の意味1学生・1科目・1回の履修主な列匿名ID、科目コード、区分、単位、状態、取得方法
要件1行の意味1つの区分の必要単位主な列区分、必要単位(最後の行に総単位)
集計1行の意味1学生主な列匿名ID、区分別の修得、不足、見込み、判定

履修シートの「状態」は、修得・履修中・不合格の3値にします。点数や評語は載せません。判定に要るのは合否だけで、成績まで渡す理由がないためです。「取得方法」は、通常・認定・遠隔の3値です。上限の点検に使います。

要件シートは次の形にします。必要単位の合計が総単位(B7)と一致するか、検算の式も隣に置きます。

区分必要単位
基礎教養(A列2行目から)必要単位20
外国語必要単位8
専門必修必要単位40
専門選択必要単位28
自由選択必要単位28
総単位(B7)必要単位124

検算は =SUM(B2:B6)-B7 が0になることで確かめます。区分の合計と総単位がずれていたら、学則の読み違いか入力ミスです。

集計シートの数式で、不足区分と見込みを出す

履修シートをExcelテーブル(名前は tblRishu)にします。集計シートの1行目に、B1からE1へ要件シートと同じ区分名(基礎教養・外国語・専門必修・専門選択)を並べます。区分名が1文字でも違うと、SUMIFSが0を返します。

2行目の数式の例です。コピーして使えるよう、80字以内に折ってあります。

B2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[区分],B$1,tblRishu[状態],"修得")
G2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[状態],"修得")
N2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[状態],"履修中")

B2をE2までコピーすると、区分別の修得単位が出ます。Gは区分に関係なく修得した全単位、Nは履修中の単位です。

自由選択は、専用の区分で修得した単位に、他の区分の必要単位を超えた分を足します。超過分を自由選択に算入できるかは、学則しだいです。算入できない大学では、この加算を外します。

F2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[区分],"自由選択",tblRishu[状態],"修得")
    +MAX(0,B2-要件!$B$2)+MAX(0,C2-要件!$B$3)
    +MAX(0,D2-要件!$B$4)+MAX(0,E2-要件!$B$5)

不足と判定は次のとおりです。

H2: =MAX(0,要件!$B$2-B2)   ← I2〜K2は要件!$B$3〜$B$5と C2〜E2
L2: =MAX(0,要件!$B$6-F2)
M2: =MAX(0,要件!$B$7-G2)
O2: =IF(AND(SUM(H2:L2)=0,M2=0),"充足",
      IF(N2>=M2,"総数は見込みあり(区分は要確認)","不足"))

判定の「見込みあり」は、履修中の単位が総数の不足を埋められるかだけを見ています。不足している区分と、履修中の科目の区分が合っているかは見ていません。区分まで見るには、履修中を区分別に集計する列を足します。その式と頼み方は、次の節の後半に載せています。

集計結果の見え方は、たとえば次の形です(架空の3人の例です)。

匿名ID総修得不足している区分総不足 / 履修中判定
S0001総修得124不足している区分なし総不足 / 履修中0 / 0判定充足
S0002総修得110不足している区分外国語2、専門必修4、自由選択8総不足 / 履修中14 / 16判定総数は見込みあり(区分は要確認)
S0003総修得96不足している区分基礎教養2、専門選択8、自由選択18総不足 / 履修中28 / 12判定不足

S0002は、履修中の16単位で総数は足ります。ただし、それが外国語2・専門必修4を含むかは、履修中の科目の区分を見るまで分かりません。

Claude for Excelに頼む4つの作業

Claude for Excelは、開いているブックの質問に答え、数式を壊さずに値を変え、エラーの原因をたどり、テンプレートを埋められます。ソートやフィルター、ピボットテーブルの編集、データ検証のドロップダウンも直接頼めます。この表づくりでは、次の4つを頼みます。

手順

頼む順番

  1. 1

    区分名のゆれを拾う

    履修シートの区分列を見て、要件シートにない区分名を一覧にしてもらいます。

  2. 2

    重複行を拾う

    同じ匿名IDと科目コードで状態が「修得」の行が2つ以上あるものを、別の列にフラグ付けしてもらいます。

  3. 3

    上記の数式を入れる

    集計シートの列の定義を文章で渡し、数式の入力を頼みます。

  4. 4

    自分の検算を設計してもらう

    後で書く検算の項目を、数式で組んでもらいます。

頼み方の例です。内容は手元のブックの列名に合わせて直してください。

「履修」シートのテーブルに、列「重複」を追加してください。
同じ匿名ID・科目コード・状態「修得」の行が2行以上あれば
「重複」、そうでなければ空欄にします。
既存の数式と値は変更せず、追加する列だけを作ってください。

重複の式はテーブル内では =IF(COUNTIFS([匿名ID],[@匿名ID],[科目コード],[@科目コード],[状態],"修得")>1,"重複","") の形です。再履修で同じ科目が2回「修得」になる入力ミスは、単位の二重計上につながります。

区分まで見る列も、同じ要領で頼めます。

「集計」シートのS列からV列に、履修中の単位を区分別に
集計する列を追加してください。1行目の見出しはB1〜E1と
同じ区分名にします。式は次の形です。
S2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[区分],B$1,tblRishu[状態],"履修中")
W列には、S2>=H2、T2>=I2、U2>=J2、V2>=K2が
すべて成り立つ行を「区分も埋まる見込み」、
そうでなければ「区分に不足が残る」と表示します。
既存の列は変更しないでください。

H〜Kは区分別の不足の列です。自由選択はほかの区分の超過分が絡むため、この判定に含めていません。

Claude for Excelは、既存データを上書きする前に警告を出します。それでも編集の前に、元のブックのコピーで作業するのが安全です。マクロとVBA、データテーブル(What-If分析)は未対応なので、計算はふつうの数式で組みます。

上限と重複を点検する式を足す

124単位に届いていても落ちる学生を拾うため、集計シートに点検の列を足します。

P2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[状態],"修得",tblRishu[取得方法],"認定")
Q2: =SUMIFS(tblRishu[単位],tblRishu[匿名ID],$A2,
      tblRishu[状態],"修得",tblRishu[取得方法],"遠隔")
R2: =IF(OR(P2>60,Q2>60),"上限超過","")

60は設置基準の数字です。学則の上限が違う大学は、要件シートに上限値のセルを作って参照させてください。

検算は3つの角度でやる

  • 区分名の突き合わせ: =SUMPRODUCT(--(COUNTIF(要件!$A$2:$A$6,tblRishu[区分])=0)) が0であること。0より大きければ、要件にない区分名が履修側にある
  • 件数の突き合わせ: 集計シートの「修得」の総単位の合計が、履修シートの状態「修得」の単位合計と一致すること。ずれていたら、集計に載っていない匿名IDがある
  • 抜き取り: 判定が「充足」「不足」「見込み」それぞれ1人以上を選び、履修一覧から手で数え直す

3つ目は省かないでください。数式が全員に同じ誤りを入れていても、2つ目までの検算は通ってしまいます。

落とし穴

区分名の表記ゆれで、不足が実際より大きく出る

教務システムから出力した区分名が「専門必修」と「専門 必修」のように揺れていると、SUMIFSは一致せず0を返します。判定は不足側に倒れるので、気づかないまま「不足」の学生が増えます。上の区分名の突き合わせを、集計より先に走らせてください。

学生の情報は匿名IDにして渡す

履修データには、学生の氏名や学籍番号だけでなく、学科・入学年度・履修科目の組み合わせから個人を絞り込める情報が含まれます。人数の少ない学科で、入学年度と科目を並べると、本人が特定できることがあります。

渡す前に次の4点を済ませます。

  1. 対応表のブックを別に作り、学籍番号と匿名ID(S0001のような連番)を1対1で持たせる。対応表はClaudeを使うブックとは別ファイルで、教務の管理する場所に置く
  2. 匿名IDは、学籍番号から計算した値にしない。学籍番号の形式は推測できるため、ハッシュ値でも復元されることがある。連番を乱数で並べ替え、値として貼り付ける
  3. 氏名・生年月日・住所・メールアドレス・成績(点数・評語)の列は、ブックに入れない。判定に必要なのは、状態(修得・履修中・不合格)と単位数だけ
  4. 判定結果を学生本人や所属学科に返すときだけ、対応表で学籍番号に戻す

Claude for Excelのデータの扱いで確認しておくこと

  • 入出力はバックエンドで受信または生成から30日以内に削除される。会話履歴はブラウザ内(IndexedDB)に保存され、Anthropicのサーバーには保存されない
  • 組織が設定したカスタムのデータ保持設定は引き継がれない。Enterpriseの監査ログにも、アクティビティは含まれない
  • 極めて機微なデータや規制対象のデータを含むモデルは、適切な管理なしには推奨されない。監査で重要になる計算は、検証なしには使わない

大学のClaudeの利用ルールは、学内のポリシーが決めます。文部科学省の通知を踏まえたポリシー設計は文科省の大学向け生成AI通知を大学のClaude利用ポリシーに落とし込むにあります。大学アカウントの始め方はClaude for Educationの使い方に書いています。

外から持ち込んだファイルは、そのまま開かない

Claude for Excelは、外部ファイルに仕込まれた指示に操られる危険があります。学生が提出した書類から転記した履歴、他大学から届いた単位認定の一覧など、教務システムの出力ではない部分は信頼できる元データと分けます。不審な操作を提案されたら、確認画面で承認せず止めてください。

判定を教務に返すとき、出力に書く3点

集計結果は、そのまま学生に通知する文書ではありません。教務の確認用の表として、次の3点を明記して返します。

  • 判定は設置基準と学則の数値に基づく機械集計であること
  • 認定単位・遠隔授業の上限は、点検列のフラグを見ていること
  • 見込み単位は、履修中の科目の合格を前提にしていること。不合格になれば不足に戻る

「充足」の表示は、卒業判定会議の資料にはなりますが、卒業を決めるものではありません。

次の年度に使い回すときの更新点

要件の区分名と必要単位は、入学年度ごとの学則で変わります。複数の入学年度を一つのブックで扱うときは、要件シートに「入学年度」の列を足し、集計シートにも入学年度の列を持たせて、SUMIFSの条件に加えます。

カリキュラムが変わると、科目の読み替えが発生します。旧科目コードと新科目コードの対応表を別シートで持たせ、履修シートの科目コードを新コードへ変換してから集計するのが、数式を増やさずに済む方法です。

シラバスの前提科目の可視化は、Claudeでシラバス作成前に前提条件を可視化する手順にあります。同じ「区分・条件の突き合わせ」でも、提出漏れの洗い出しは支払調書の対象判定をClaude for Excelで進める手順が同じ型で書いています。

まとめ

卒業要件の判定は、履修シートを元に、区分別の修得・不足・履修中をSUMIFSで出す構成で組めます。124単位は設置基準の下限で、内訳と上限値は学則の数字を要件シートに置きます。

最も事故が起きやすいのは、区分名のゆれと単位の二重計上です。集計の前に突き合わせをかけ、抜き取りで3人以上を手で数え直してください。学生の情報は、対応表を別ファイルに置いた匿名IDで渡します。

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