授業時数と年間行事予定をClaude for Excelで突き合わせる手順 — 標準授業時数との過不足を出す
年間行事予定と学年別の週時間割から、年間の授業時数の見込みを数式で出し、標準授業時数との過不足と行事で潰れる曜日の偏りをClaude for Excelで点検する手順です。
年間の授業時数は、授業日ごとの時間割のコマ数を1年ぶん足し、行事で潰れるコマを引けば見込みが出ます。それを学校教育法の施行規則の別表が定める標準授業時数と並べれば、学年ごとの過不足がわかります。Claude for Excelなら、カレンダー・週時間割・行事表の3枚から、この集計表を数式つきで組ませられます。ここでは標準の数字、シートの設計、Claudeへの依頼文、曜日の偏りの見方、振替案の比べ方の順に進めます。
この表が出すのは、計画段階の見込みです。臨時休業や学級閉鎖が起きた後の実績の管理は、別の記録で行います。
標準授業時数は何を物差しにするのか
物差しになるのは、学校教育法の施行規則の別表第一(小学校)と別表第二(中学校)です。第51条と第73条が、各学年の総授業時数は別表に定める授業時数を標準とする、と定めています。
学年別の標準総授業時数
小学校1年
850
週25コマ×34週
小学校2年
910
週26コマ×35週
小学校3年
980
週28コマ×35週
小学校4〜6年・中学校各学年
1,015
週29コマ×35週
各数字の下の「週コマ×週数」は、標準の総時数を35週(1年生は34週)で割り戻した値です。小学校・中学校の学習指導要領の総則には、各教科等の授業を年間35週(小学校第1学年は34週)以上にわたって行うよう計画する、とあります。つまり別表の数字は、週ごとのコマ数と授業週数の積として読めます。
この読み方は、点検表の設計にそのまま効きます。週時間割の合計が29コマ未満の学年は、35週ちょうどでも標準に届きません。たとえば週28コマなら28×35で980、標準の1,015に35コマ足りません。行事で1コマも潰れない理想の年でも、不足は出ます。
別表の備考には、特別活動の授業時数は学級活動(学校給食に係るものを除く)に充てる、とあります。児童会活動・クラブ活動・学校行事は、総則で「内容に応じ適切な授業時数を充てる」と書かれた別の扱いです。行事の時間を授業時数に数えるかどうかは、教育委員会の定める数え方に合わせます。この表では、行事の日に潰れる教科の授業コマだけを減らす設計にします。
4枚のシートで組む
シートを役割で分けると、検算のときに「どの行事が効いているか」を行事表までさかのぼれます。手入力は3枚に集め、集計だけを数式にします。
| シート | 置くもの | 入力 |
|---|---|---|
| 標準時数 | 置くもの学年と標準総授業時数 | 入力手入力 |
| 週時間割 | 置くもの曜日別のコマ数(学年ごとの列)と週合計 | 入力手入力 |
| カレンダー | 置くもの日付・曜日番号・区分 | 入力区分だけ上書き |
| 行事 | 置くもの日付・学年・行事名・減るコマ数・案 | 入力手入力 |
別表の数字は、標準時数シートに1回だけ入れます。小1から小6まで850・910・980・1015・1015・1015、中学校なら各学年1015です。
カレンダー
A列に4月1日から翌年3月31日までの日付を並べ、うるう年に備えて367行目まで取ります。B列は曜日番号、C列は授業日かどうかの区分です。
B2: =WEEKDAY(A2,2)
C2: =IF(B2>=6,"休業日","授業日")WEEKDAYの第2引数に2を指定すると、月曜が1、日曜が7になります。C列は式で初期値を入れ、祝日・夏季休業・年末年始は「休業日」に上書きします。土曜授業の日は「授業日」に書き換えます。区分の入力にはドロップダウンを付けておくと、表記ゆれが出ません。
行事
A列が日付、B列が学年(「小5」のような標準時数シートと同じ表記)、D列がその行事で潰れる授業コマ数です。E列に曜日番号、F列に案の名前を入れます。
E2: =WEEKDAY(A2,2)
F2: 共通 / 案A / 案B のいずれか全校行事は、学年の数だけ行に展開します。6学年ぶんの行を作る作業は、Claudeに頼めます。案が決まっていない行事は「案A」「案B」に分け、決まっている行事は「共通」にします。
集計
集計シートのB1に比較する案、B2に曜日の偏りを見る学年を置きます。A5からA9には曜日番号の1〜5を並べ、授業日の数を曜日別に数えます。
B5: =COUNTIFS(カレンダー!$B$2:$B$367,A5,
カレンダー!$C$2:$C$367,"授業日")学年ごとの行(13行目から)には、次の式を置きます。
B13: =INDEX(標準時数!$B$2:$B$10,MATCH(A13,標準時数!$A$2:$A$10,0))
C13: =INDEX(週時間割!$C$7:$H$7,MATCH(A13,週時間割!$C$1:$H$1,0))
D13: =SUMPRODUCT($B$5:$B$9,
INDEX(週時間割!$C$2:$H$6,0,MATCH(A13,週時間割!$C$1:$H$1,0)))
E13: =SUMIFS(行事!$D$2:$D$200,行事!$B$2:$B$200,A13,行事!$F$2:$F$200,"共通")
+SUMIFS(行事!$D$2:$D$200,行事!$B$2:$B$200,A13,行事!$F$2:$F$200,$B$1)
F13: =D13-E13
G13: =F13-B13
H13: =F13/C13各列の意味は次のとおりです。
- B列は標準総授業時数、C列は週時間割の合計コマ数
- D列は、曜日別の授業日数に曜日別のコマ数を掛けて足した、行事を引く前のコマ数
- E列は、共通の行事と選んだ案の行事で潰れるコマ数の合計
- F列が計画時数、G列が標準との過不足
- H列は計画時数を週合計で割った、実質の授業週数
H列は、学習指導要領の「35週以上(1年生は34週)」と照らす列です。G列がプラスでも、H列が35を割っていれば、週のコマ数を厚くして帳尻を合わせていることになります。
Claudeに依頼する文面
Claude for Excelは、開いているブックについて質問すると、セルを根拠にした答えを返します。数式を壊さずに値を変える、エラーの原因をたどる、ひな形を埋める、といった作業もできます。次の依頼文は、この性質に合わせて「式の意味の説明」と「検算」を必ず頼む形にしてあります。
このブックは小学校の年間授業時数の点検表です。
シートは「標準時数」「週時間割」「カレンダー」「行事」「集計」です。
1. 集計シートの13〜18行目に、学年別の標準時数・週合計・
行事を引く前のコマ数・行事減・計画時数・過不足・実質授業週数を
数式で作ってください。
2. 作った式は、各列がどのセルを参照しているか説明してください。
3. 行事の案は「共通」と、B1で選んだ案を足し合わせてください。
4. 小5だけ、授業日数×曜日別コマ数を手計算できる形で
別の場所に書き出し、集計の値と一致するか確かめてください。Claudeが返す式は、上の例と書き方が違っても構いません。見るのは、行事表の「共通」と選んだ案の両方を足しているか、曜日番号の範囲がカレンダーの367行目まで届いているか、の2点です。
設定の指示欄には、書式や地域の好みを残せます。「時数は整数で表示する」「学年名は『小5』の表記で統一する」と書いておけば、毎回の依頼文を短くできます。この指示欄で設定した内容は、WordやPowerPointの指示とは別に、Excelでだけ働きます。
落とし穴
標準を35で割り戻すと、1年生だけ週数が合わない
小学校1年の標準850は、週25コマ×34週です。35で割り戻すと24.3コマと端数が出て、週の枠が読めなくなります。逆算するときは、1年生だけ34で割ります。H列も同じで、1年生は34、ほかの学年は35と、学習指導要領が示す最低週数に照らして読みます。
行事で潰れる曜日の偏りを見る
学年の合計で過不足が小さくても、曜日で見ると偏りが残ることがあります。教科を曜日と時限に固定している学校では、その偏りが特定教科の年間時数に直結します。
集計シートの曜日ごとの表を、次の3列にします。
- 授業日数(B列。カレンダーから数えた値)
- その曜日に行事で潰れたコマ数
- 潰れた割合(潰れたコマ数を、授業日数とその曜日のコマ数の積で割った値)
C5: =SUMIFS(行事!$D$2:$D$200,行事!$E$2:$E$200,A5,
行事!$B$2:$B$200,$B$2,行事!$F$2:$F$200,"共通")
+SUMIFS(行事!$D$2:$D$200,行事!$E$2:$E$200,A5,
行事!$B$2:$B$200,$B$2,行事!$F$2:$F$200,$B$1)見る順番は2つです。まず、授業日数が曜日で揃っているかを確かめます。月曜に当たる祝日が多い年は、月曜の授業日数が他の曜日より減ります。次に、潰れた割合が突出する曜日を探します。割合が高い曜日に置いた教科が、年間の時数を割りやすい教科です。
Claudeには「潰れた割合が学年平均の2倍を超える曜日に色を付けてください」のように頼めます。条件付き書式の設定は、Claude for Excelが直接できる操作に含まれています。色の付いた曜日を見て、時間割の入れ替えか、行事の曜日の移動かを検討します。
振替案を比べる
行事表の案の列を使うと、同じ年間予定から複数の案の過不足を並べられます。運動会の予備日を平日に取る案Aと、土曜授業にする案B、といった比較です。
B1の案を切り替えるだけでは、案ごとの結果が同時に見えません。そこで集計シートの横に、案ごとの過不足の表を作ります。
| 学年 | 案Aの過不足 | 案Bの過不足 | 差 |
|---|---|---|---|
| 小5 | 案Aの過不足計算値 | 案Bの過不足計算値 | 差案B−案A |
案の列見出しに「案A」「案B」と書き、E列の式の $B$1 を見出しセルの参照に置き換えれば、同じ式を2列に流用できます。この作業もClaudeに頼めます。式を差し替えた後は、案Aだけの表と一致するか、B1を「案A」にして確かめます。
土曜授業を案に入れるときは、注意が要ります。カレンダーの区分は案ごとに持てないからです。土曜授業を含む案は、ブックを複製して区分を「授業日」にした別ファイルで集計します。
点検結果の読み方と、判断の線引き
G列がマイナスの学年が出たら、見る順番は次のとおりです。
- C列の週合計が、標準を週数で割った値(25・26・28・29)に届いているか
- H列の実質授業週数が、34または35を割っていないか
- 曜日別の表で、潰れた割合が突出する曜日がないか
- 行事表に重複した行や、減るコマ数の入力ミスがないか
原因が週合計の不足なら、行事の見直しでは埋まりません。時間割の側を直す話になります。原因が行事の集中なら、行事の日程や内容の調整で戻せる範囲を探します。
学習指導要領の総則には、短い時間を活用した指導について、単元や題材などの内容や時間のまとまりを見通した中で、教師が責任をもって指導の決定や成果の把握・活用を行う体制が整っているときは、その時間を当該教科等の年間授業時数に含められる、とあります。対象は10分から15分程度の短い時間です。この表は45分(中学校なら50分)のコマだけを数えるため、短時間学習を時数に入れる学校は、その分を別の列で足すことになります。入れてよい条件に当たるかどうかは、各学校が判断します。
また、1単位時間をどう定めるかは、各学校が年間授業時数を確保しつつ、児童の発達の段階や学習活動の特質を考慮して適切に定める、と総則にあります。40分授業の日を設ける学校は、その日のコマ数を45分換算で別に扱う必要があります。
Claude for Excelを使う前に確かめること
学校の端末で使える前提から確かめます。
- 提供プランは、Pro・Max・Team・Enterpriseです。
- 対応するExcelは、Excel on the web、Microsoft 365版のWindows(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版のバージョン16.46以降です。
- Excel 2016・2019の永続ライセンス版やボリュームライセンス版、iPad版、Android版では動きません。
学校に配備されているExcelの版は、教育委員会や学校の情報担当に聞くのが確実です。機能の面では、マクロとVBAの操作、データテーブルが未対応です。ここで組んだ表は通常の関数だけで動くので、影響を受けません。
運用面では3点に注意します。
- ヘルプページの制限事項に、監査上重要な計算を検証なしで任せないよう、とあります。授業時数の報告は学校の運営に関わるため、手計算の1学年ぶんの検算を必ず入れます
- 外部から受け取ったファイルには、Claudeを不正に操作する隠れた指示が含まれうると注意されています。教育委員会が配布する様式を取り込むときは、信頼できる写しを作ってからClaudeに触らせます
- 広い範囲を書き換える前に、信頼できる写しのブックで試します。上書きの前には警告が出ますが、確認画面は読んで進めます
この表に児童生徒の氏名や成績は不要です。時数の点検は学年・日付・行事名だけで成立するため、個人情報を入れない設計にしておけば、取り扱いの心配もありません。
まとめ
授業時数の点検は、標準を「週のコマ数×授業週数」に分解して始めると、原因の切り分けが速くなります。週時間割の合計が足りないのか、行事で潰れているのか、特定の曜日に偏っているのか。この3つは、別々の列で見ないと混ざります。Claudeには式を作らせ、式の説明と1学年ぶんの手計算で検算します。時数に何を数えるかは、教育委員会と校長の判断です。
教員の勤務時間の側からの点検は時間外在校等時間の集計手順に、学校評価アンケートの自由記述の整理は学校評価の分類手順にあります。塾で時間割と講師の割当を組む場合は、夏期講習の時間割の手順が参考になります。367行のカレンダーを渡して応答が止まる場合の原因は、Claude for Excelが応答しない・タイムアウトする原因にまとめています。