Claude Media
Claude for Excelで広告費の消化ペーシングと月末着地を予測する手順

Claude for Excelで広告費の消化ペーシングと月末着地を予測する手順

日次の消化実績CSVから、案件ごとの消化率・ペース比・月末の着地額を数式で出し、予算超過と未消化の案件を先に洗うまでを、Claude for Excelで進める手順です。

広告の月間予算は、月末に帳尻が合えばよいわけではありません。月の半ばで使い切りそうな案件と、まだ半分も使っていない案件が混在していて、気づくのは締め日の直前になりがちです。Claude for Excelなら、媒体の管理画面から書き出した日次の消化実績CSVを開いたまま、消化率、ペース比、月末の着地額、超過・未消化の判定までを数式で組めます。この記事は、その数式の置き方と、Claudeに頼む文面、検算の順序をまとめます。

媒体をまたいだCPAやROASを会話で聞く方法はFunnelコネクタの記事やSupermetricsの記事が扱っています。ここではコネクタを使わず、CSVとExcelだけで予算の消化を管理する場面に絞ります。

先に洗う案件は、月末の着地率で決める

消化額の多い案件から見ていくと、順序を誤ります。大きな案件が予定どおりに進んでいて、小さな案件が2倍のペースで走っていることがあるからです。見るべきは、月予算に対して月末にどこへ着地しそうか(着地率)です。

着地率判定先に確認すること
105%以上判定超過見込み先に確認すること日予算の設定、入札の上げ幅、期間指定の誤り
90%超〜105%未満判定適正先に確認すること対象外。数字だけ記録する
90%以下判定未消化見込み先に確認すること配信の停止、審査落ち、日予算が低すぎないか

105%と90%は例です。会社の運用ルールに合わせて変えます。しきい値はセルに出しておき、数式の中には埋め込みません。件数が多すぎると感じたときに、数式を直さず調整できます。

前提: 対応バージョンとプラン

Claude for Excelは、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランで一般提供されています。動作するのは次のExcelです。

  • Excel on the web
  • Microsoft 365版のExcel on Windows(ビルド16.0.13127.20296以降)
  • Excel on Mac(バージョン16.46以降、ビルド21011600以降)

Excel 2016・2019の永続ライセンスまたはボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。マクロ(VBA)とデータテーブルも非対応です。媒体ごとのCSVの取り込みをマクロで自動化している職場では、取り込みまでを従来の方法で行い、ペーシング表の計算だけをClaudeに任せる分担になります。

ブックの形: 実績・予算・ペーシングの3シート

指示を短くするには、ブックの形を先に決めます。CSVはそのまま貼れる形にして、計算は別シートに置きます。

シート中身
実績中身A日付 / B案件 / C日予算 / D消化額 / E日予算消化率
予算中身A案件 / B月予算
ペーシング中身基準日などの条件(上部)と、案件ごとの計算表(10行目以降)

「実績」シートのE列は、日予算に対する当日の消化率です。数式で入れます。

E2: =IF(C2=0,"",D2/C2)

案件名は、媒体ごとに表記が揺れます。「検索_指名」と「検索-指名」が別の案件に見えると、集計が割れます。貼り付ける前に、案件名の対応表を1枚作り、表記を揃えます。

日付は、文字列ではなく日付のシリアル値で入っている必要があります。CSVを開いたときに左寄せになっている日付は文字列です。SUMIFSの日付条件が効かず、累計が0になります。

手順1: 基準日と経過率を決める

ペース比の物差しは、月のうち何割が過ぎたか(経過率)です。「ペーシング」シートの上部に、次の7つを置きます。

セル項目数式
B1項目基準日数式=MAX(実績!A:A)
B2項目月初数式=EOMONTH(B1,-1)+1
B3項目月末数式=EOMONTH(B1,0)
B4項目月の日数数式=DAY(B3)
B5項目経過日数数式=B1-B2+1
B6項目残日数数式=B3-B1
B7項目経過率数式=B5/B4

基準日は、実績の最終日を取る形にしています。管理画面の当日分が確定前の数字なら、B1を前日の日付に手入力で固定します。当日の途中経過を含めると、直近の平均が低く出て、未消化と誤判定します。

Claudeに頼む文面は、次のとおりです。

シート「ペーシング」のB1〜B7に、基準日、月初、月末、月の日数、
経過日数、残日数、経過率を数式で作ってください。
基準日は「実績」シートのA列の最大値です。値の直書きはしないでください。

Claude for Excelは、セルの値を更新するときも数式の関係を保ちます。数式で頼んでおけば、翌日にCSVを貼り替えるだけで、基準日以降のすべてが更新されます。

手順2: 消化率・ペース比・2通りの着地額を出す

10行目からが案件ごとの計算表です。A列に案件名、B列に月予算(「予算」シートから参照)を置きます。C列以降は次のとおりです。

列項目数式(10行目)
C項目累計消化数式(10行目)=SUMIFS(実績!D:D,実績!B:B,A10,実績!A:A,">="&$B$2,実績!A:A,"<="&$B$1)
D項目消化率数式(10行目)=IF(B10=0,"",C10/B10)
E項目ペース比数式(10行目)=IF(D10="","",D10/$B$7)
F項目直近7日の平均数式(10行目)下の式
G項目平均ペース着地数式(10行目)=C10/$B$5*$B$4
H項目直近ペース着地数式(10行目)=C10+F10*$B$6
I項目着地差(予算比)数式(10行目)=H10-B10
J項目着地率数式(10行目)=IF(B10=0,"",H10/B10)
K項目必要日額数式(10行目)=IF($B$6=0,"",(B10-C10)/$B$6)

F列の式は、月の途中の日数にも対応させます。月初の数日は7日分の実績がないので、割る数を経過日数との小さいほうにします。

F10: =SUMIFS(実績!D:D,実績!B:B,A10,実績!A:A,">"&$B$1-7,
実績!A:A,">="&$B$2)/MIN(7,$B$5)

この式は1つのセルに1行で入れます。上は読みやすさのための折り返しです。

指標の読み方は次のとおりです。

  • ペース比: 消化率を経過率で割った値です。1.0より大きければ、時間の経過より速く使っています。1.3なら、同じ日数で予定の3割増しです。
  • 平均ペース着地: 月初からの平均を、月末まで延ばした額です。
  • 直近ペース着地: 累計に、直近7日の平均を残日数ぶん足した額です。日予算を月の途中で変えた案件は、こちらのほうが実態に近くなります。
  • 必要日額: 月予算を使い切るために、残りの日に毎日使う額です。日予算の設定と比べると、手を入れる量が分かります。

2通りの着地額を並べるのは、どちらか一方に頼ると見落とすからです。月前半に入札を上げた案件は、平均ペースが高く出て、直近は落ち着いています。逆に、直近で急に絞った案件は、平均では適正に見えて、直近では未消化になります。差が大きい案件は、月の途中で何かが変わっています。

Claudeには、次のように頼みます。

シート「ペーシング」の10行目以降に、案件ごとの計算表を作ってください。
C列は基準日までの累計消化、D列は消化率、E列はペース比(消化率/経過率)、
F列は直近7日の1日平均、G列は累計/経過日数*月の日数、
H列は累計+直近7日平均*残日数、I列はH-B、J列はH/B、
K列は(B-C)/残日数です。すべて数式で、分母が0のときは空欄にしてください。

作らせたあとは、H10のようなセルを指して「この値はどう計算されたか」と尋ねます。答えにはセル単位の参照が付き、クリックすると該当のセルへ移れます。式の取り違えは、ここで拾えます。

手順3: 判定と、洗う順序をつける

L列に判定を置きます。しきい値は、ペーシングシートの右側に置いたセルを参照します。

セル項目値の例
N1項目超過見込みの下限(着地率)値の例105%
N2項目未消化見込みの上限(着地率)値の例90%
N3項目日予算未達とみなす消化率値の例80%
L10: =IF(J10="","",IF(J10>=$N$1,"超過見込み",
IF(J10<=$N$2,"未消化見込み","適正")))
M10: =COUNTIFS(実績!B:B,A10,実績!A:A,">="&$B$2,実績!E:E,"<"&$N$3)

M列は、月初から数えた日予算の未達日数です。着地率が適正でも、未達日が多い案件は、一部の日に配信が止まっていた可能性があります。逆に、未達日が多くて着地率が超過なら、止まった日を取り返すために別の日が大きく振れている可能性があります。

洗う順序は、着地差の絶対額が大きい順です。率ではなく額にするのは、少額の案件の大きな率に振り回されないためです。並べ替えは、Excelのネイティブな操作としてClaudeに頼めます。

判定が「適正」以外の行を上に集め、着地差(I列)の絶対値が大きい順に
並べ替えてください。元のシートは残し、新しいシート「要確認」に結果を
値ではなく数式で書き出してください。

次の表は、説明用の架空の数値です(基準日が10月20日、経過日数20日、月の日数31日、経過率64.5%、単位は円)。

案件月予算累計消化消化率ペース比直近ペース着地着地率判定
検索_指名月予算1,550,000累計消化1,300,000消化率83.9%ペース比1.30直近ペース着地2,070,000着地率133.5%判定超過見込み
ディスプレイ_新規月予算930,000累計消化480,000消化率51.6%ペース比0.80直近ペース着地711,000着地率76.5%判定未消化見込み
SNS_リタゲ月予算620,000累計消化410,000消化率66.1%ペース比1.03直近ペース着地630,000着地率101.6%判定適正

検索_指名は、直近7日の平均が7万円で、月予算を日割りした5万円を大きく上回っています。着地は予算より52万円多くなる見込みで、最優先で確認する案件です。残りの11日で予算に収めるには、毎日約2.3万円まで下げる必要があります。

ディスプレイ_新規は、月予算を使い切るのに毎日約4.1万円が必要なのに、直近の平均は2.1万円です。入札を上げるか、配信対象を広げるか、配信自体が止まっていないかを確かめます。SNS_リタゲは、対象外にして数字だけ残します。

手順4: 結果を検算する

公式は、人の確認を経ない最終的な成果物や、検証なしの監査上重要な計算に、Claude for Excelを使うことを推奨していません。予算の消化は請求に直結するので、次の突合を入れます。

  1. 「実績」シートの消化額の合計が、媒体の管理画面で見た同じ期間の合計と一致しているか。
  2. 案件ごとの累計消化が、管理画面の案件別の合計と一致しているか。
  3. 数案件を電卓で計算し、平均ペース着地と直近ペース着地が式の結果と一致しているか。
  4. 案件ごとの実績の行数が、経過日数と一致しているか。

4つ目は、欠損日の確認です。ある日のCSVが欠けていると、消化額が0の日として扱われ、累計も直近の平均も低く出ます。未消化見込みの案件が急に増えた日は、数字の中身より先に、日付の連続性を疑います。件数は次の式で数えられます。

=COUNTIFS(実績!B:B,A10,実績!A:A,">="&$B$2,実績!A:A,"<="&$B$1)-$B$5

結果が0でなければ、日付が欠けているか、同じ日が重複しています。

予測が外れやすい場面

  • 月初の数日: 実績が少なく、直近7日の平均が数日分の値に引きずられます。判定は、経過日数が7日を超えてから使います。
  • 日予算を月の途中で変えた案件: 平均ペース着地は、変更前の実績に引きずられます。日予算を日別に持ち、「実績」シートのC列に入れておけば、日予算の消化率も正しく出ます。
  • キャンペーン期間が月をまたぐ案件: 月予算が「期間全体の予算」の場合、月ごとの割り振りを別に決めておく必要があります。割り振りのない案件は、月予算の列を空欄にして、判定から外します。
  • 月末にかけて消化が偏る案件: 予算の使い方が週末や月末に偏る案件では、直近7日の平均が実態と離れます。曜日による偏りが大きいなら、直近14日に延ばすか、曜日別の平均を使います。
  • 税込・税抜の混在: 管理画面の数字と請求書の数字が別の基準だと、月予算との比較が崩れます。どちらかに揃えてから貼り付けます。

翌月に使い回す

毎月の指示を書き直さなくて済むように、Excelの設定にある「Instructions」に、シート名、列の構成、しきい値の置き場所、単位(円)、判定の表記を書いておきます。この指示はExcelの会話すべてに適用され、PowerPointやWordの指示とは別に管理されます。

翌月は、「実績」シートを新しい月のCSVに替え、「予算」シートの月予算を更新します。基準日以降の列は、数式なので自動で更新されます。

使えないこと・注意すること

  • 媒体の管理画面から書き出したCSVは、外部のファイルです。外部から受け取ったファイルには、Claudeを操作する隠れた指示が含まれていることがあると注意されています。案件名やメモの列に書かれた文面を、そのまま指示として扱わないよう、信頼できるコピーで始め、リスクのある操作の確認は内容を読んでから承認します。
  • 変更を確定する前に内容を確認し、広範囲の編集を頼む前は信頼できるコピーのブックで始めます。Claudeは、既存のデータを上書きする前に警告を出します。
  • 入力と出力は、受領または生成から30日以内にバックエンドで削除されます。会話の履歴はブラウザーのIndexedDBにローカル保存され、端末間では同期されません。しきい値や予算は、会話ではなくブックに残します。
  • Claude for Excelは、組織が設定した独自のデータ保持設定を引き継ぎません。保持期間に社内ルールがある場合は、情報システム部門に確認します。

まとめ

月末の着地は、消化率だけでは読めません。経過率で割ったペース比と、直近7日を延ばした着地額を並べ、着地率でしきい値を当てると、超過と未消化の案件を先に洗えます。Claude for Excelには、数式の組み立て、判定列、要確認シートへの並べ替えを任せ、管理画面の合計との突合と欠損日の確認は人が行います。

この表は、案件ごとの月間予算を管理する形ですが、同じ構造は経費科目の予算消化にも使えます。前月や前年同月と比べて動いた科目の理由を聞く流れは、月次変動分析の理由メモにあります。検索広告の中身を見直す場合は、検索語句と除外キーワードの見直しと組み合わせられます。

この記事を共有:XはてブLinkedIn