ClaudeでGoogle広告の検索語句を読み、除外キーワードと広告文を見直す
Google広告の検索語句レポートをCSVでClaudeに渡し、無駄クリックの語を分類して除外キーワードの候補とマッチタイプを決め、広告文の見直しまで進める手順です。
検索広告の運用で地味に効くのが、検索語句レポートの読み込みです。広告の表示やクリックにつながった実際の検索語句が並ぶので、「想定外の語で費用が出ていないか」を見つけられます。ただ、行数が増えると人間の目では追いきれません。CSVをClaudeに渡して無駄クリックの語を分類させ、除外キーワードの候補と広告文の修正案まで出させる流れを組むと、週次の見直しが軽くなります。
先に決めておきたいのは役割分担です。集計と分類はClaudeに任せられます。しかし「どの語を切るか」の最終判断と、除外の入力は人間の仕事です。以下ではこの線引きを保ったまま、手順を順に見ていきます。
見直しの流れ
- 1
CSVを用意する
検索語句レポートをダウンロードし、必要な列を揃えます。
- 2
集計させて検算する
語ごとのクリック・費用・コンバージョンを合算させ、合計を元データと突き合わせます。
- 3
意図で分類させる
費用が出ているのに成果のない語を、検索の意図別に仕分けます。
- 4
除外の形に落とす
マッチタイプとスコープを決め、入力しやすい表にします。
- 5
広告文とLPのずれを探す
多く入ってくる語に、広告文が応えているかを見直します。
検索語句レポートで見る列と、取り出せないデータ
検索語句とは、ユーザーが検索ボックスに入力した語句のことです。キーワードは、広告主が広告グループに設定する語句を指します。ヘルプにある例では、「赤いバラ」と検索した人に、広告主が設定した「バラ」というキーワードで広告が出る場合があります。この食い違いを見るためのレポートです。
画面上の場所は、左側のナビゲーションで[キャンペーン]を開き、[分析情報とレポート]の中の[検索語句]です。表示項目のボタンで列を増減でき、ダウンロードボタンからデータを書き出せます。
Claudeに渡す前に、次の2列が入っているかを確かめてください。
| 列 | 何がわかるか | 注意点 |
|---|---|---|
| キーワード | 何がわかるか検索語句と一致して広告表示につながった設定キーワード | 注意点初期状態では表示されない。[表示項目]から[属性]を開いて追加する |
| マッチタイプ | 何がわかるか検索語句と設定キーワードの関連の強さ | 注意点類似パターンで表示された場合もここに出る |
キーワード列がないCSVを渡すと、Claudeは「どのキーワードが無関係な語を呼び込んだか」を答えられません。除外するより先に、キーワード側の絞り込みが必要な場面を見落とします。ヘルプにも、チューリップを売る広告主が「花」というキーワードで取り扱いのない花の検索に出ていた例があります。この場合は除外を足すより、現在のキーワードを関連性の高い語句に絞る対応が向いています。
もう一つ、データの性質を知っておく必要があります。検索語句レポートには、クエリのアクティビティが十分でない語句が載らないことがあります。データのプライバシーに関するGoogleの基準によるものです。つまりレポートの合計と、アカウント全体の費用は一致しない場合があります。Claudeの集計がずれて見えても、まず疑うのは計算ではなくこの除外分です。
Claudeにファイルを渡す前の準備
Claudeがチャットで扱えるのはCSVを含む複数の形式です。チャットへのアップロードは1ファイル500MBまで、1つのチャットに最大20ファイルです。検索語句のCSVなら、通常はこの範囲に収まります。
XLSXは扱いが異なります。XLSXをアップロードするには、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にしておく必要があります。Free・Pro・Maxでは「Settings > Capabilities」の「Code execution and file creation」をオンにします。Team・Enterpriseの場合は組織のオーナーが「Organization settings > Capabilities」で管理します。
集計の検算をClaudeに実行させたいときも、この設定が前提です。コード実行がオンなら、CSVやTSVなどのデータ分析やPythonスクリプトの作成ができます。
毎週同じ分析をするなら、プロジェクトのファイルに置く方法もあります。ただしプロジェクトファイルは1ファイル30MBまでで、内容はテキスト抽出のみです。件数は無制限でも、合計がコンテキストウィンドウに収まる必要があります。数か月分を貯めて渡すと、途中で収まらなくなる点に注意してください。
手順1:集計させて、合計を検算する
最初の依頼は分析ではなく、集計です。同じ検索語句が広告グループやキャンペーンごとに複数行へ分かれていることがあるため、語単位で合算してから判断に入ります。
次は、渡し方の一例です。列名は手元のCSVに合わせて書き換えてください。
添付のCSVはGoogle広告の検索語句レポートです。
次の順に進めてください。
1. 列名を一覧にして、「検索語句」「クリック数」「費用」「コンバージョン」「キーワード」「マッチタイプ」に当たる列を教えてください。
2. 検索語句ごとに、クリック数・費用・コンバージョンを合算してください。
3. 費用の大きい順に上位30語を表にしてください。
4. 全行の合計(クリック数・費用・コンバージョン)を、元のCSVの合計と並べて示してください。
推測で値を補わず、読み取れない列があればそう書いてください。4番が検算にあたります。Claudeが合算した結果と元CSVの合計がずれていたら、そこで止めて原因を聞きます。たとえば、合計行が1行混ざっていたり、費用の列が通貨記号付きの文字列になっていたりする場合です。
コード実行が使える環境なら、集計の中身を人間が読める形でも出させておくと検算が早くなります。たとえば次のような処理です。標準ライブラリだけで動く最小の例です。
import csv
from collections import defaultdict
agg = defaultdict(lambda: [0, 0.0, 0.0]) # クリック, 費用, コンバージョン
with open("search_terms.csv", newline="", encoding="utf-8") as f:
for row in csv.DictReader(f):
a = agg[row["検索語句"]]
a[0] += int(row["クリック数"])
a[1] += float(row["費用"])
a[2] += float(row["コンバージョン"])
for term, (c, cost, cv) in sorted(agg.items(), key=lambda x: -x[1][1])[:30]:
print(term, c, cost, cv)
print("合計", sum(v[0] for v in agg.values()), sum(v[1] for v in agg.values()))実際の列名や数値の書式は、ダウンロード形式によって違います。そこは手元のCSVを見て直す箇所なので、Claudeには「このCSVの列名に合わせて修正して」と頼めば済みます。
手順2:費用が出て成果のない語を、意図で分ける
集計表ができたら、費用があるのにコンバージョンがない語を拾います。ここで気をつけたいのは、クリック数の少ない語の扱いです。クリックが数回で成果がないだけの語は、偶然の範囲かもしれません。切る基準は人間が先に数字で決めて、プロンプトに書いておきます。
次の基準で「無駄クリック候補」を抽出してください。
- 費用が3,000円以上で、コンバージョンが0
- または、クリックが20回以上で、コンバージョンが0
基準に当てはまる語を、検索の意図で次に分類してください。
A 対象外の商品・サービスを探している
B 無料・求人・使い方など、購入意図が薄い
C 競合・他社名での検索
D 判断に迷う(理由も書く)
各語に分類の根拠を一言添え、Dは必ず人間の確認用に残してください。しきい値の3,000円や20回は一例です。自社の平均単価やコンバージョンまでの期間に合わせて決めます。
分類で価値が出るのはDです。「判断に迷う」を作らせない設計にすると、Claudeは無理に二択へ寄せます。迷う余地を残して理由を書かせておけば、人間が見る行が絞られます。
Cの競合名は、除外するかどうかが運用方針で変わります。競合の検索に出したい場合もあるので、Claudeに決めさせず、方針を先に伝えておきます。競合の訴求を調べる場面はClaudeで競合の広告クリエイティブを分析する手順で扱っています。
またコンバージョンの数字は、検索語句レポートと検索語句に関するインサイトで処理が異なります。コンバージョン達成までの期間によっては、2つのデータに多少の差が出ます。インサイトの数字と合わないときは、期間のずれで説明がつくかを先に見ます。
手順3:除外キーワードにマッチタイプを付ける
分類で除外すると決めた語は、そのまま入力できる形に変えます。ここでマッチタイプの理解が必要です。除外キーワードのマッチタイプは、通常のキーワードとは動きが違うためです。
| マッチタイプ | 広告が出なくなる条件 | 例:除外「ランニング シューズ」 |
|---|---|---|
| 部分一致(初期値) | 広告が出なくなる条件含まれる語がすべて検索に使われた場合。語順は問わない | 例:除外「ランニング シューズ」「シューズ ランニング」は除外、「ランニングの靴」は表示 |
| フレーズ一致 | 広告が出なくなる条件同じ語順でそのフレーズが検索に含まれた場合 | 例:除外「ランニング シューズ」「青 ランニング シューズ」は除外、「シューズ ランニング」は表示 |
| 完全一致 | 広告が出なくなる条件別の語句を含まずに、同じ語順で検索された場合のみ | 例:除外「ランニング シューズ」「ランニング シューズ」だけが除外 |
特に押さえたいのは、除外キーワードが類似パターンと一致しない点です。類義語や単数形・複数形は自動では含まれません。たとえば部分一致で「花束」を除外しても「赤い花束」の検索には出なくなりますが、「赤い花」では広告が出ます。逆に大文字小文字や誤字は自動で考慮されるため、わざわざ追加する必要はありません。
つまり、Claudeに「関連しそうな語もまとめて除外して」と頼むのは危険です。類義語の追加は有効に見えて、除外しすぎにつながります。依頼は次のように、候補の根拠を出させる形にします。
手順2で「除外する」と決めた語について、除外キーワードの入力用の表を作ってください。
列: 除外語 / 推奨マッチタイプ / 理由 / 巻き込むリスクのある検索語句の例
条件:
- 初期値の部分一致は広く効くので、使う場合は巻き込みの例を必ず書く
- 単語の一部ではなく、検索語句全体を除外するなら完全一致を第一候補にする
- 類義語や表記ゆれは勝手に足さず、「足す場合の候補」を別の列に分けて書く出力された表は、そのまま信じず次の確認を挟みます。
- 巻き込みの例に、自社が獲得したい検索語句が入っていないか
- 除外先は、特定のキャンペーンか、アカウント単位のリストか
- 表の語に、すでにコンバージョンしている語が混ざっていないか
アカウント単位の除外キーワードのリストは、関連するキャンペーンタイプの検索インベントリとショッピングインベントリに自動で適用されます。全体に効く分だけ、入れる語は慎重に選びます。まずキャンペーン単位で運用し、複数のキャンペーンで共通と確認できてからリストに移すという順序をとると、巻き込みを確かめやすくなります。
除外しすぎを防ぐ確認
除外キーワードを増やしすぎると、広告の表示対象になるユーザーが減る可能性があります。また、17語以上の長い検索では、17番目以降の語が除外キーワードとして働かない場合があります。長い文章のような検索にまで除外が効くとは限りません。
Claudeに追加で頼んでおくと役立つのが、「除外の効果予測」ではなく「巻き込みの点検」です。過去のCSVで、その除外語を含む行のうちコンバージョンがあった行を一覧にさせます。
今回の除外語リストを、先月分のCSVにも当てはめてください。
除外語を含む検索語句のうち、コンバージョンが1以上だった行を一覧にしてください。
その行は除外すると獲得を失うため、リストから外す候補として示してください。この依頼は、過去データに照らした点検にとどめます。除外後にどれだけ費用が減るかの予測は、手元のCSVだけでは裏づけが取れません。実際の効果は、除外を入れた後のレポートで比べます。
手順4:広告文とランディングページのずれを探す
検索語句レポートは、除外のためだけのものではありません。検索語句からは、検索内容に合う広告文やランディングページの新しいアイデアも見つかります。成果のある語と、数が多いのに成果の薄い語を、広告文の視点で見直します。
手順2の集計から、次の3種類の語を取り出してください。
1. クリックが多く、コンバージョンも出ている語(広告文で強めたい語)
2. クリックが多いが、コンバージョンが薄い語(広告文かLPが応えていない可能性のある語)
3. 検索語句に共通して出る修飾語(価格・比較・口コミ・導入事例など)
次に、現在の広告文(下に貼ります)が1〜3の語にどう応えているか、応えていない点を表にしてください。
広告文はまだ書き換えず、ずれの指摘だけを出してください。「まだ書き換えず」と指示するのは、診断と作文を分けるためです。原因が広告文にあるのか、LPにあるのか、そもそも設定キーワードの側にあるのかは、一度に混ぜると判断できません。
ずれが見えたら、ここで初めて広告文の案づくりに入ります。見出しと説明文の文字数の制限や、バリエーションの出し方はClaudeで広告コピーとバナーのバリエーションを作る手順にまとめてあります。この記事の側で足すのは、「どの検索語句に応える案か」を各案に紐づけることです。
次の検索語句グループごとに、レスポンシブ検索広告の見出し案を3本ずつ出してください。
各案の末尾に「応えている検索語句」を括弧で添えてください。案と検索語句の対応が付くと、あとで成績を見たときに「どの語向けの案が効いたか」を振り返れます。複数の案の優劣は、件数が少ないうちは偶然の差かもしれません。判定の考え方はClaudeにA/Bテストの有意差を検定させる手順が参考になります。
運用に乗せるときのつまずき
最後に、実務で引っかかりやすい点を挙げます。
- CSVが大きすぎて途中で打ち切られる: 1か月分でも行数が多い場合は、費用の上位だけに絞るか、キャンペーンごとに分けて渡します。プロジェクトに置くときはコンテキストウィンドウに収まる必要があります
- Claudeの分類を丸ごと採用する: 検索の意図は文脈で変わります。Dの「迷う語」は必ず人間が見ます
- 除外した理由が残らない: 除外語・理由・入力日をスプレッドシートに残しておくと、数か月後に「なぜこの語を切ったのか」を辿れます。Claudeに表を作らせておけば、毎回の更新が楽です
- 検索パートナーの語句を同列に読む: 検索パートナーのサイトで使われた検索語句は、ページやサイトの構成により、通常より長い形や通常と異なる形で現れる場合があります。他の語と同じ基準で機械的に切ると、読み違えることがあります
- ディスプレイ・動画に同じ手順を当てはめる: 除外キーワードの動作は、検索キャンペーンとディスプレイ・動画キャンペーンで異なります。たとえばディスプレイでは、除外キーワードは完全一致のトピックを除外する動作になります。キャンペーンの種類を最初にClaudeへ伝えてください
複数の広告媒体のデータをまとめて見たい場合は、ClaudeとSupermetricsを連携する方法のように、コネクタ経由で広告データを会話に集める手もあります。ただし除外の入力そのものは、このやり方でも人間が管理画面で行います。マーケティング業務の全体像はClaudeマーケティング活用で見渡せます。
まとめ
検索語句レポートの見直しは、Claudeが速い仕事(集計・分類・表づくり)と、人間が握る仕事(しきい値・除外の判断・入力)を分けると回しやすくなります。依頼は「集計と検算」「意図の分類」「マッチタイプ付きの表」「巻き込みの点検」「広告文のずれの指摘」の順に分け、各段で合計や該当行を人間が確かめます。除外は一度入れると見えなくなる語が出るため、理由と日付を記録しておくことが、次の週の見直しを速くします。