Claudeで広告コピーとバナーのバリエーションを作る手順
Google広告のレスポンシブ検索広告とMeta広告の文字数制限に合わせ、同じ訴求を複数パターンに展開してArtifactsで一覧管理する手順をまとめます。
広告コピーは、一本の名文より「制限内に収まった複数パターン」が要る仕事です。Google広告のレスポンシブ検索広告は見出し最大15本と説明文最大4本を登録し、組み合わせの成績を広告側が学習します。Claudeに訴求の軸を渡して案を量産させ、Artifactsで一覧にして絞り込めば、この作業はかなり短くなります。
広告案ができるまでの流れ
- 1
制限を数字で固定する
全角は2文字で数える点を先に押さえ、媒体ごとの文字数を決めておきます。
- 2
訴求軸を人が決める
軸ごとに本数を割り振って、案の幅を確保します。
- 3
Claudeに展開させる
見出し・説明文・Meta用の文を、表の形で出させます。
- 4
Artifactで数える
文字数の列と判定の列を持つ一覧にして、超過を目で拾います。
- 5
別チャットで点検する
表現の審査は、案を貼り直した新しいチャットで行います。
広告文の制約を先に固定する
Claudeに書かせる前に、媒体ごとの制限を数字で決めます。制限を知らずに書かせると、出てきた案の大半を削り直す羽目になります。
| 媒体・項目 | 公式の制限 |
|---|---|
| Google広告 レスポンシブ検索広告の見出し | 公式の制限1本30文字まで、最小3本・最大15本 |
| 同 説明文 | 公式の制限1本90文字まで、最小2本・最大4本 |
| 同 パス | 公式の制限各15文字まで |
| Meta Facebookフィード画像広告(トラフィック目的) | 公式の制限見出し27文字以内、メインテキスト50〜150文字を推奨 |
見落としやすいのが、日本語の数え方です。Google広告の公式ヘルプによると、韓国語・日本語・中国語のような全角幅の言語では1文字を2文字として数えます。つまり日本語では見出しが全角15字、説明文が全角45字、パスが全角7字ほどです。
Claudeに「30文字以内」とだけ伝えると、半角換算で30字、つまり全角30字の案が返ってきかねません。この食い違いは、手戻りの原因になりやすいところです。
Metaの数値はFacebookフィードの画像広告(トラフィック目的)の仕様ページにある値です。配置や目的が変わると値も変わるため、入稿先の配置ごとに公式の広告ガイドで確かめてください。
Claudeに渡す材料を決める
Claudeへの入力は、次の4点にまとめると案の質が安定します。
- 商材と提供価値を1〜2文で
- 訴求軸(価格・スピード・実績・安心感など)を3〜5個
- 使ってよい事実と、使ってはいけない断言(最安・No.1など根拠のないもの)
- ランディングページの要点
ポイントは、訴求軸を先に人間が決めることです。「いい感じのコピーを15本」と頼むと、似た言い回しが並びます。軸ごとに本数を割り振ると、案の幅が保たれます。
レスポンシブ検索広告の見出し15本を作らせる
本数を増やす理由は、Googleのヘルプにある数字で示されています。いずれもGoogleが広告主のデータから示した平均値で、自社の結果を約束するものではありません。
広告の質と本数による変化
Ad Strengthを「低」から「優良」へ
クリックとコンバージョン+15%
広告グループに「良好」以上の広告2本も推奨
広告1本から2本に増やす
コンバージョン+6.6%
1件あたりの獲得単価は同程度
広告2本から3本に増やす
コンバージョン+3.7%
1件あたりの獲得単価は同程度
見出しと説明文はどの順序でも表示されることがあるため、先頭の3本は、3本並んで読まれても意味が通るように書くのが基本です。
1本ごとに単独で意味が通り、他の見出しと矛盾しないことも条件になります。これをそのまま指示にします。
次の商材のレスポンシブ検索広告を作ってください。
商材: 法人向けクラウド会計(初期費用0円、導入サポートあり)
訴求軸: 導入の手軽さ / サポート / 料金の分かりやすさ / 乗り換え
条件:
- 見出し15本。1本あたり全角15字以内(半角は0.5字換算)
- 説明文4本。1本あたり全角45字以内
- 各見出しは単独で意味が通り、どの順序で並んでも矛盾しないこと
- 「最安」「No.1」など根拠が必要な表現は使わない
- 訴求軸ごとに3〜4本を割り振り、同じ言い回しを避ける
- 出力は表。列は「No」「種別」「訴求軸」「本文」キーワードは1本の見出しの中に収めるのが定石です。キーワードが30文字(全角15字)を超える場合は、90文字の説明文に置きます。狙うキーワードがあるなら、指示にも「キーワード『クラウド会計』を含む見出しを4本」のように具体的に書いておきます。
バリエーションを増やすには、出てきた見出しに対して「行動を促す語(無料相談・資料請求など)を変えた案」を追加で頼みます。既存の見出しの行動喚起を変えて本数を増やす方法は、Googleのヘルプにも例示があります。
文字数はClaudeの自己申告に頼らず、Artifactで数える
Claudeは文字数を守った案を書けますが、自己申告の文字数をそのまま信じるのは危険です。数えるのは機械に任せます。
Artifactsには、小さなインタラクティブツールを作る機能があります。広告文の一覧に文字数の列を持たせ、超過した行を赤くするツールを作らせておけば、直した案もその場で確認できます。次の数え方を指示に含めます。
// 全角を2、半角を1として数える(Google広告の日本語の数え方に合わせる)
function adWidth(text) {
return [...text].reduce(
(sum, ch) => sum + (ch.charCodeAt(0) <= 0x7e || (ch >= "。" && ch <= "゚") ? 1 : 2),
0
);
}
// 見出しは30、説明文は90、パスは15が上限
const LIMIT = { headline: 30, description: 90, path: 15 };この関数は、Google広告の「全角幅の言語は1文字を2文字として数える」という説明に合わせた近似です。Node.jsで実際に動かすと、次の値が返りました。
| 入力 | コードポイント数 | adWidthの値 |
|---|---|---|
| 初期費用0円で始める | コードポイント数10 | adWidthの値19 |
| Cloud会計 無料相談 | コードポイント数12 | adWidthの値18 |
| クラウド会計 | コードポイント数7 | adWidthの値9 |
| 😀 | コードポイント数1 | adWidthの値2 |
「初期費用0円で始める」は10文字でも幅は19で、見出しの上限30には収まります。半角カナは1幅として扱うので、全角のつもりで入れた案との差が出ます。記号や絵文字の扱いは入稿画面の判定が正なので、最終確認は広告管理画面のプレビューで行います。
Artifactsは、Claudeが作る中身が「一定以上の長さ(目安は15行超)で、あとで編集・再利用したくなる、単体で成立する内容」のときに作られます。広告案の一覧はこの条件に当てはまり、ふつうは自動でArtifactになります。ならない場合は「この表をArtifactにして」と頼めば足ります。
Artifactsを使うには、クラウドでのコード実行とファイル作成をオンにしておく必要があります。設定の場所は、Free・Pro・Maxなら「Settings > Capabilities」です。Team・Enterpriseでは「Organization settings > Capabilities」にあります。オフのままだとArtifactが作られません。
Meta広告向けに同じ訴求を展開し直す
Google広告の見出し15本は、Metaにそのまま使い回せません。制限だけでなく、読まれ方が違うためです。検索広告は検索語に応えるのが役目で、Metaのフィード広告は流れてくる投稿の中で目に留まる必要があります。
Metaの仕様ページでは、Facebookフィードの画像広告でメインテキストが50〜150文字、見出しが27文字以内とされています。Google用の案を渡して、次のように頼みます。
先ほどの訴求軸ごとに、Facebookフィード用の広告文を作ってください。
- メインテキスト: 50〜150文字(全角でそのまま数える)
- 見出し: 27文字以内
- 訴求軸ごとに2パターン。1つは悩みから入る、もう1つは数字から入る
- コールトゥアクションのボタン名は入れない(別途選択するため)Metaの仕様ページは単位を「文字」と書いているため、まず1文字を1と数え、入稿画面の表示で確かめます。コールトゥアクションは入稿画面で選ぶボタンで、選べる種類は配置・目的・業種で変わるので、本文には入れません。
バナーはどこまでClaudeで作れるか
ここが誤解されやすい点です。ヘルプセンターには、Claudeは画像生成ツールのように写真やイラストを生成しないとあります。写真やイラストを描き起こすには、Claude画像生成はできない — 読解との違いと代替手段にある通り、別の手段が要ります。一方で、HTMLとSVGによる図やモックアップは、会話の中で作れます。
バナー制作でClaudeに任せる範囲
Claudeに任せる
- バナー上に載せるコピーの複数案(キャッチ・サブコピー・ボタン文言)
- レイアウト案のHTML/SVGモックアップ(Artifactsで表示)
- 訴求軸ごとの色味・構図の指示書(デザイナーや画像生成ツールへの依頼文)
別の工程に回す
- 写真やイラストの描き起こし
- 入稿用のJPG・PNGへの書き出し(デザインテンプレートの書き出し先に挙がっていない)
Artifactsには、Claude Designのテンプレートがあります。有料プラン向けのベータ機能で、視覚物・モックアップ・プロトタイプ・ワンページャー・ランディングページを、デザインシステムに沿って作れます。デザインの書き出し形式は .zip・PDF・PowerPoint・単体のHTMLと、他のツールへの直接の受け渡しです。JPG・PNGは挙がっていないため、入稿サイズの画像に仕上げる工程は、デザインツール側で行う想定にしておくと手戻りが出ません。
バナー案を頼むときは、サイズと余白を数字で渡します。
Facebookフィード用の4:5(1,440×1,800ピクセル)のバナー案をHTMLで作ってください。
- 上段にキャッチ(全角14字以内)、下段にボタン風の文言(全角8字以内)
- 訴求軸ごとに配色を変えた3案を、1つのArtifactに並べて表示
- 画像は使わず、図形と文字だけで構成するMetaの仕様ページは、画像のアスペクト比4:5・解像度1,440×1,800ピクセルを推奨としています。ファイルタイプはJPGまたはPNGで、最大30MB、幅は600ピクセル以上、4:5なら高さ750ピクセル以上が技術要件です。アスペクト比の許容誤差は3%とされています。ここに合わせてモックアップを作らせておくと、デザイナーに渡すときの前提が揃います。
一覧管理とやり直しの流れ
案が増えたら、Artifactsで1枚の管理表にまとめます。おすすめの列は次のとおりです。
| 列 | 内容 |
|---|---|
| 媒体・種別 | 内容Google見出し / Google説明文 / Metaメイン / Meta見出し |
| 訴求軸 | 内容手軽さ・サポート・料金など |
| 本文 | 内容広告文 |
| 幅 | 内容adWidthの結果と上限 |
| 判定 | 内容採用 / 保留 / 却下 |
Artifactsは、Claudeに頼んで直せます。ドキュメントやMarkdownのArtifactなら、直したい箇所を選択して「Edit with Claude」で指示すれば、その場所だけを直してくれます。「見出し7番だけ、行動喚起を変えて」のように、案を1本ずつ差し替えるときに便利です。
Claude上のArtifactsには、データを保存する機能もあります。利用できるのはPro・Max・Team・Enterpriseプランで、WebとデスクトップのClaudeが対象です。無料プランでは保存機能を使えません。パーソナル保存とシェア保存の2種類があり、保存容量は1つのArtifactにつき20MBまでで、テキストのみです。判定列の「採用/保留」を残したい場合は、保存機能つきのArtifactにしてもらいます。チームで共有する場合は、シェア保存のデータが他の利用者にも見える点を確認してから入力してください。
まとめとして書き出すときは、DocsテンプレートのArtifactなら、Word・PDF・Markdown・Googleドキュメントへ書き出せます。広告管理画面への貼り付けはCSVやスプレッドシートのほうが早い場合もありますが、書き出し形式にCSVは挙がっていません。表をコピーして貼り付けるか、Claudeに「タブ区切りで出して」と頼んでください。
表現の審査に通るかは別に確認する
案が量産できても、入稿してよいかは別問題です。特に、健康・美容・不動産のように広告表現の規制が厳しい分野では、量産した案の全部を点検する手間が増えます。
薬機法が関わる商材なら薬機法の広告NG表現をClaudeで点検する方法とAI判定の限界、不動産なら不動産広告の表示規約違反をClaudeで下読みする方法で、下読みの手順を扱っています。Metaの仕様ページにも、すべての広告がMetaの広告ポリシーに準拠する必要があると明記されています。
量産と点検は分けて回すのがコツです。点検は、案だけを新しいチャットに貼り直し、作った経緯を渡さない状態で行います。
固定(ピン留め)の使いどころ
全広告に出す文言があるときは、Googleのヘルプにあるピン留めで位置を固定します。同じヘルプは、免責文を説明文に書いてDescription 1に固定する例を挙げています。
ピン留めできる位置と、表示の保証
必ず出る位置
Headline 1、Headline 2、Description 1です。免責文や社名など、全広告に必要な文言はここに固定します。
出るとは限らない位置
Headline 3とDescription 2です。ここに固定した文言は、すべての広告に出るとは限りません。
ヘルプには、ピン留めは多くの広告主に勧めないという趣旨の注意があります。固定した位置には他の見出しや説明文が入れず、マッチできる組み合わせが減るためです。固定するなら、同じ位置に2〜3本の別の文を割り当てて、A/Bテストの余地を残す構成が示されています。
よくあるつまずき
- 未固定の見出しが出ない: すべての位置に固定すると、固定していない見出しや説明文は表示されない
- 編集で配信が変わる: 見出しや説明文を消したり編集したりすると、配信される広告の組み合わせが変わり、成果に影響しうる
- 2本目以降の見出しが出ない: 固定しない場合、Headline 1とDescription 1は通常表示され、Headline 2・3とDescription 2は保証されない。ディスプレイネットワークでは、Headline 2が出ない形式もある
「案が似通う」ときは訴求軸を渡し直し、Artifactが作られないときは前述のCapabilitiesを確認します。
オーガニック投稿のキャプションづくりは制約が異なるため、ClaudeにSNS投稿文とキャプションを考えてもらう手順と使い分けてください。マーケティング業務全体でのClaude活用はClaudeマーケティング活用にまとめています。
まとめ
手戻りの大半は、文字数の数え方と、全広告に出す文言の固定位置で決まります。この2点を先に固めてから案を量産し、審査と事実確認は人の目で通してから入稿するという選択肢があります。