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Claudeで必要保障額を試算する — 遺族年金を差し引く式をArtifactにする

Claudeで必要保障額を試算する — 遺族年金を差し引く式をArtifactにする

必要保障額は支出見込額から収入見込額を引いた不足分です。遺族年金の金額と2028年4月の見直しを式に組み込み、Claudeに頼んでArtifactの計算機にする手順を、仮の数字の検算つきで示します。

必要保障額は「支出見込額−収入見込額」の不足分

万一のときに遺族へ残したい金額は、家族構成・収入・資産・子どもの年齢で変わります。生命保険文化センターは、将来の支出見込額から収入見込額を引いた不足分を必要保障額の目安とする考え方を「必要保障額積み上げ方式」と呼んでいます。

この式は四則演算だけです。入力欄を並べた計算機なら、Claudeに頼んでArtifactとして作れます。

ただし、遺族年金の金額を記憶で書かせると、数字が古いまま計算機に入ります。ここでは年金額と式を先に固め、それをArtifactに閉じ込める順で進めます。出てくる数字は目安で、保険の加入額を決める根拠にはなりません。

なお、同じ生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2025年度)では、万一のときの遺族の生活に不安を感じる人が合わせて62.5%でした。不安の内容で最も多いのは「遺族年金等の公的保障だけでは不十分」の44.9%です。公的保障がいくら出るかを式に入れること自体が、この不安の中心を数字にする作業になります。

式に入れる支出と収入の項目

積み上げ方式の算出例は、会社員のケースと自営業のケースの二つが示されています。二つの例から、式の骨格になる項目を拾います。

区分項目算出例での扱い
支出項目生活費(末子独立まで)算出例での扱い月額×0.7×12か月×23年
支出項目生活費(末子独立後)算出例での扱い月額×0.5×12か月×35年
支出項目教育費・保育費・結婚資金算出例での扱い統計の平均額で計算
支出項目住居費・葬儀費用・お墓代算出例での扱い統計の平均額で計算
収入項目公的保障(遺族年金)算出例での扱い2026年度の年金額で計算
収入項目妻の就労収入算出例での扱い税・社会保険料を引いた年額×就労年数
収入項目自己資産・退職金算出例での扱い金額をそのまま計上

生活費に0.7と0.5を掛けるのは、世帯主がいなくなると生活費が減ることを織り込む考え方です。算出例では子どもが23歳で独立するものとし、独立後の35年は妻の53歳時の平均余命です。生活費は家計調査の「消費支出−住居費−教育費」で、税金と社会保険料は考慮されていません。

この係数と年数は、算出例の設定です。自分の家庭に当てはめるときは入力欄にして、動かせるようにします。

会社員と自営業で、収入の欄が変わる

会社員は遺族厚生年金や企業保障がある程度の保障になります。自営業は厚生年金や企業保障がないため、必要保障額は一般に会社員より多くなります。世帯主の死亡後に事業収入を見込める場合もありますが、事業を承継しないケースや承継後がうまくいかないケースでは、必要保障額がさらに大きくなります。

計算機は「遺族厚生年金の年額」を0円にできる設計にします。自営業の入力は、この欄を0にするだけで済みます。

遺族年金の金額を式に入れる

収入側で最も取り違えやすいのが遺族年金です。遺族基礎年金・遺族厚生年金・中高齢寡婦加算の三つを分けて入力欄にします。

数字

2026年度の遺族年金の目安(70歳以下の配偶者が受け取る場合)

  • 遺族基礎年金(子ども1人の期間)

    1,091,100円

    年額

  • 遺族基礎年金(子ども2人の期間)

    1,334,900円

    年額

  • 中高齢寡婦加算

    635,500円

    年額、40歳から65歳になるまで

遺族基礎年金は子どもの数で変わります

遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの子のある配偶者なら「847,300円+子の加算額」です。子の加算額は、1人目と2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。子ども1人なら847,300円+243,800円で1,091,100円、2人なら1,334,900円となり、上の数字と一致します。

受け取れる期間は、子どもが18歳になった年度の3月31日までです。20歳未満で障害等級が1級か2級の子どもも含みます。

遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が年金額です。厚生年金の被保険者の死亡など一定の場合は、被保険者期間が300月(25年)未満でも300月とみなして計算されます。中高齢寡婦加算は、夫が亡くなったとき40歳以上65歳未満で生計を同じくする子がいない妻や、遺族基礎年金を受け取れなくなった子のある妻が対象です。

計算機の入力欄には、報酬比例部分から自分で求めた年額を入れるより、年金事務所などで確かめた年額を入れるほうが安全です。この記事の式は、報酬比例の計算そのものは扱いません。

受給要件の保険料納付も確かめる

遺族基礎年金と、被保険者の死亡による遺族厚生年金には、保険料の納付要件があります。死亡日の前日に、保険料を納めた期間(免除期間を含む)が国民年金の加入期間の3分の2以上あることが必要です。死亡日が令和18年3月末日までで、亡くなった方が65歳未満なら、直近1年間に未納がなければよいという特例もあります。

計算機は、この納付要件を判定できません。入力欄の横に「納付要件を満たす前提の計算」と常に表示させておきます。

2028年4月の見直しを、別の試算として並べる

遺族年金は、2025年6月に成立した年金制度改正法により、2028年4月から遺族厚生年金を中心に見直されます。必要保障額の試算は何十年先までを数えるので、見直し後の姿も別の列として持っておく価値があります。

くらべる

遺族厚生年金の見直し前と見直し後(子どもがいる妻の場合)

見直し前

現行

現行で遺族厚生年金に期限が付く例は、子のない30歳未満の妻の5年間です。子どもが遺族基礎年金の対象から外れる時期には、中高齢寡婦加算が付く場合があります。

見直し後

2028年4月から

子どもが18歳の年度末を迎えた後は、原則5年間の有期給付になります。有期給付加算で現行の1.3倍になり、配慮が必要な場合は最長で65歳までの継続給付があります。中高齢寡婦加算は25年かけて縮小され、2053年に廃止されます。

見直しの影響を受けない人も示されています。すでに遺族厚生年金を受給している人、死別の時期が60歳以上の人、子どもを養育している人、2028年度に40歳以上になる女性です。子どもがいる場合、子どもが18歳の年度末を迎えるまでは現行制度のままです。

次の検算の仮の世帯のように、見直しの対象になる妻がいる場合は、必要保障額が増える方向に働きます。計算機には「遺族厚生年金の受給年数」と「中高齢寡婦加算の年数」を別々の入力欄にして、見直し後の想定も同じ画面で並べられるようにします。

見直し後の細部は、この記事の式では扱いきれません。収入に応じた継続給付の額や、中高齢寡婦加算が縮小する途中の金額は、式に入れません。その分は、見直し後の列を「やや多めに出る目安」として読みます。

Claudeに計算機のArtifactを作らせる

Artifactを使うには、設定の「Capabilities」でクラウド上のコード実行とファイル作成をオンにします。個人プラン(Free・Pro・Max)は個人設定、Team・Enterpriseは組織設定です。チャットでArtifactを作る機能は、Freeを含む全プランで使えます。手順の前提はClaude Artifactsで個人サイトを作る方法の有効化の節にまとまっています。

依頼は、式と入力項目をこちらから渡すのが要点です。次のように書きます。

必要保障額の目安を出すArtifactを作ってください。
 
入力(金額は円、期間は年):
- 世帯の月額生活費 / 生活費の率(独立まで、初期値0.7)
- 生活費の率(独立後、初期値0.5)/ 独立までの年数 / 独立後の年数
- 教育費 / 葬儀・お墓などの一時費用
- 遺族基礎年金の年額 と その年数
- 遺族厚生年金の年額 と その年数
- 中高齢寡婦加算の年額 と その年数
- 妻の就労収入(年額)と その年数
- 自己資産 / 退職金・企業保障
 
式:
支出 = 月額生活費×率A×12×独立までの年数
     + 月額生活費×率B×12×独立後の年数 + 教育費 + 一時費用
収入 = 各年金の年額×年数の合計 + 就労収入×年数
     + 自己資産 + 退職金・企業保障
必要保障額 = max(0, 支出 − 収入)
 
遺族年金の年額は初期値を空欄にし、画面に
「2026年度の遺族基礎年金は子1人で1,091,100円」などの
参考値を注記として出す。
画面に常に「目安であり、保険の加入額の根拠にしない」と表示する。

返ってくるコードの核は、例えば次のような形です。式を反映させた例で、頼み方によって実際の出力は変わります。

const RATE_A = 0.7; // 末子独立まで。算出例の設定
const RATE_B = 0.5; // 末子独立後
 
function requiredCoverage(x) {
  const expense =
    x.monthly * RATE_A * 12 * x.yearsToIndep +
    x.monthly * RATE_B * 12 * x.yearsAfter +
    x.education + x.oneOff;
  const income =
    x.basic * x.basicYears + x.employee * x.employeeYears +
    x.widowAdd * x.widowYears + x.wife * x.wifeYears +
    x.assets + x.corporate;
  return { expense, income, need: Math.max(0, expense - income) };
}

率AとBは定数に切り出しておきます。算出例の0.7と0.5は一つの置き方で、別の率に置き換える人もいるからです。

仮の数字で計算機を検算する

Artifactとは別に、同じ式を手で計算して、出てくる数字を突き合わせます。次の値は説明用の仮のものです。

検算

仮の世帯での検算の順番

  1. 1

    世帯の前提を置く

    夫32歳、妻30歳、子ども0歳が1人。月額生活費30万円、教育費1,000万円、葬儀などの一時費用200万円とします。末子の独立まで23年、独立後は35年を数えます。

  2. 2

    支出を出す

    300,000円×0.7×12×23年=5,796万円です。独立後は300,000円×0.5×12×35年=6,300万円です。教育費と一時費用を足して、支出は1億3,296万円になります。

  3. 3

    収入を出す

    遺族基礎年金は1,091,100円×18年で1,963.98万円、中高齢寡婦加算は635,500円×17年(妻48歳から65歳)で1,080.35万円です。遺族厚生年金は仮に年60万円を35年(妻65歳まで)で2,100万円、妻の就労収入は年120万円を30年で3,600万円、自己資産400万円、企業保障300万円を足して、収入は9,444.33万円です。

  4. 4

    差を取る

    13,296万円から9,444.33万円を引いて、必要保障額の目安は約3,852万円です。

Artifactに同じ値を入れて約3,852万円と出れば、式は合っています。ずれたら、年数の欄に独立までの23年と遺族基礎年金の18年を取り違えて入れていないかを見ます。

見直し後の列も、同じ前提で手計算できます。遺族厚生年金は子どもが18歳の年度末を迎えるまでの18年は年60万円のまま、その後の5年は有期給付加算で1.3倍の78万円とします。合計は1,470万円です。中高齢寡婦加算は0円と置きます。

この置き方だと収入は7,733.98万円で、必要保障額の目安は約5,562万円です。現行の約3,852万円より1,700万円ほど多く出ます。妻の年齢が30歳なので、2028年度末で40歳未満として有期給付の対象になる想定です。

取り崩し年数の表で、もう一つの検算をする

必要保障額を出したあとは、保険金が何年分の生活費になるかを見る画面も、同じArtifactに足せます。生命保険文化センターの「どれくらいの保障額が何年分の生活の備えになる?」には、保険金額と年間の取り崩し額から生活できる年数を引く表があります。残金を年利1%で運用する条件です。

表の注の条件に、年の初めに取り崩すという置き方を足すと、表の値と一致します。

保険金額年間取り崩し額生活できる年数
3,000万円年間取り崩し額300万円生活できる年数10年
4,000万円年間取り崩し額240万円生活できる年数18年
5,000万円年間取り崩し額360万円生活できる年数14年
1億円年間取り崩し額120万円生活できる年数175年

この4行をテストの入力に使えます。Claudeには「年初に取り崩し、残りに1%を付けて次の年へ。残高が取り崩し額を下回るまでの年数を数える」と頼みます。年末に取り崩す置き方にすると、5,000万円・360万円は15年、1億円・120万円は180年になり、表とずれます。

計算機が目安から外れる場面

式は、会社員の夫が亡くなり、妻と子が遺される家庭を想定した形です。前提が外れる場合は、次のように読み替えます。

ケース何が起きるか計算機での扱い
自営業・フリーランス何が起きるか遺族厚生年金がなく、遺族基礎年金が中心になる計算機での扱い遺族厚生年金と中高齢寡婦加算を0円にする。寡婦年金などは別に調べる
妻が65歳以降何が起きるか自分の老齢厚生年金があると、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止になる計算機での扱い遺族厚生年金の年数を65歳までにとどめる。仮の例もそうした
妻が亡くなる場合何が起きるか夫が受け取る遺族厚生年金は、妻の死亡時に55歳以上で、60歳になるまで支給停止になる計算機での扱い夫側の入力は別の欄を立て、同じ式を流用しない
子どもが複数何が起きるか子の加算額が人数で変わる計算機での扱い子の人数を入力にして、基礎年金の年額を式で出す
妻に就労収入を見込まない何が起きるか収入が減り、必要保障額が増える計算機での扱い就労収入と年数を0にして別の列に出す

税金と社会保険料は、算出例と同じく式に入れていません。生活費や教育費は、世帯ごとに実額が大きくずれる項目です。平均額の初期値は出発点にして、家計簿や通帳の実額に置き換えます。

同じ年金を二重に数えない

遺族基礎年金と遺族厚生年金は、受け取る資格を満たせば併せて受け取れます。一方、子どもが18歳の年度末を迎えたあとに入る中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金への加算です。遺族厚生年金の年額に加算を含めた金額を入れてしまうと、加算を二重に数えます。

入力欄のラベルに「加算を含まない年額」と書いておくと、取り違えを防げます。

入力値の扱いと共有

Artifactの保存機能(Store data in an artifact)は、Pro・Max・Team・Enterpriseで使えます。Freeプランには含まれていません。保存を使うと家族構成や資産額が残るので、使うかどうかは入力の機微さで決めます。

計算機は、その場で数字を出すだけで足ります。共有する場合は、氏名や住所の欄を持たせず、金額も仮の数字で試せる設計にします。

家族に見せるなら、画面の数字より先に「あくまで目安」という注記が目に入る構成が向きます。注記の文言は、依頼文に書いておけばArtifactに常に出ます。

Claudeに任せる範囲と、人が確かめる範囲

式の整理、入力欄の設計、端数の処理、注記の文言までは、Claudeに任せられます。一方、遺族年金の年額を自分の加入記録で確かめる作業は、人が年金事務所や公的な案内で確かめる領域です。

同じ年金の話では、Claudeで年金の繰下げ受給を試算する手順があります。遺族厚生年金の受給権があると繰下げが制限される論点は、2028年の見直しで一部緩むことが示されています。制度の数字を定数にして式を回す考え方は、ふるさと納税の上限額や新NISAの積立シミュレーションの計算機とも共通します。

まとめ

必要保障額の計算機は、支出と収入を積み上げて差を取る単純な式です。難しいのは式ではなく、遺族年金の金額と期間をどう置くかにあります。

最終的に見るのは、現行制度と見直し後の2列の差です。仮の世帯では、見直し後の列が1,700万円ほど大きく出ました。加入する保険の金額は、保険会社や相談窓口で、実際の家計と加入記録を前に決めます。

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