Claudeで日雇派遣の例外要件を登録スタッフごとに点検する手順
日雇派遣は原則禁止で、例外は業務と人の2系統です。60歳以上・昼間学生・年収500万円の線を登録スタッフ別に判定表へ落とし、Claudeで抜けを洗う手順を扱います。
日雇派遣は、労働者派遣法35条の4で原則として禁止されています。派遣元事業主は、日雇労働者について労働者派遣を行えません。禁止が外れるのは、政令で定める業務に就かせる場合と、政令で定める人・場合に当たるときだけです。
登録スタッフが数百人いると、この例外の当てはめが派遣のたびに必要になります。Claudeには、登録スタッフごとの属性を条文の順に並べ、「どの例外に当たるか」「何の情報が足りないか」を洗い出させる役が向いています。例外に当たると決めるのは派遣元の責任です。この記事では、その役割分担で使う判定表と指示文を作ります。
日雇派遣の禁止は、何を「日雇」と呼んで止めているのか
条文上の日雇労働者は、日々または30日以内の期間を定めて雇用される労働者です。定義の軸は雇用契約の期間で、労働者派遣の期間ではありません。
つまり、1日だけの派遣でも、派遣元との雇用契約が31日以上の期間を定めていれば、35条の4が止める「日雇労働者」には当たりません。逆に、契約を日々更新する形は定義の側に入ります。登録スタッフの判定表は、最初の列を雇用期間にします。
禁止の条文には、例外が2つ組み込まれています。
例外は「業務」と「人」の2系統
業務で外れる
専門的な知識・技術・経験が要り、日雇でも雇用管理に支障が出ないと見なされた19の業務です。誰が就いても、この業務なら派遣できます。
人で外れる
60歳以上の人、昼間学生、収入が一定額以上の人が対象です。業務は問いませんが、派遣元が安全衛生などの雇用管理上の措置を講じていることが前提になります。
系統が違うので、判定の順序も分けます。業務で外れるなら、人の属性は見なくて済みます。人で外れるなら、業務の中身は問われません。ただし後者には、次の節の「前提」が付きます。
人で外れる4つの要件を、判定表の列に変える
施行令4条2項は、派遣元が日雇労働者の安全や衛生を確保するために必要な措置その他の雇用管理上必要な措置を講じている場合であって、次のいずれかに当たるときを例外とします。
| 区分 | 条文の要件 | 判定表に置く列 |
|---|---|---|
| 年齢 | 条文の要件60歳以上 | 判定表に置く列生年月日、または60歳以上かどうか |
| 学生 | 条文の要件学校教育法1条・124条・134条1項の学校の学生または生徒(除外あり) | 判定表に置く列在学区分、除外区分の該当 |
| 本人収入 | 条文の要件一年分の賃金その他の収入が500万円以上 | 判定表に置く列年収が500万円以上かどうか |
| 世帯合算 | 条文の要件生計を維持してくれる配偶者等の収入と合算して500万円以上 | 判定表に置く列生計維持の関係、合算額が500万円以上かどうか |
表の4行は、並列の選択肢です。どれか1つに当たれば足ります。
学生で外れない人
学生の要件には、括弧書きの除外があります。施行令は、定時制の課程に在学する者その他厚生労働省令で定める者を除いています。施行規則28条の2は、その「その他」を次のように定めています。
- 卒業を予定している者で、雇用保険法の適用事業に雇用され、卒業後も引き続き雇用されることになっているもの
- 休学中の者
- これらに準ずる者
登録票に「学生」と書いてあるだけで例外に入れると、この3種類を取りこぼします。判定表では、在学区分と除外区分を別の列にします。
500万円の数え方は2通り
収入の要件は、施行規則28条の3が算定方法を定めています。
- 日雇労働者本人の一年分の賃金その他の収入の額
- 主として生計を一にする配偶者その他の親族の収入により生計を維持する人に限り、本人と、生計を一にする配偶者等の一年分の収入を合算した額
基準額は500万円で、施行令は「以上」と書いています。500万円ちょうどは例外に入る側です。2番目の算定は、生計を維持されている人に限られます。世帯に高収入の人がいるというだけでは、合算できません。生計維持の関係は、登録票の自己申告に頼る項目なので、Claudeには「申告の根拠が書類で確認できているか」を別の列で追わせます。
条文は、年齢や在学の状況をいつの時点で判定するかを書いていません。誕生日や卒業、休学の開始で状況が変わりうるため、判定表は登録スタッフ単位ではなく、「スタッフ × 派遣就業日」の単位で持つ運用が安全です。これは条文からの運用上の提案で、条文自体の要求ではありません。
業務で外れる19業務を、予定業務の列と突き合わせる
政令が定める業務は、施行令4条1項の1号から19号までです。登録スタッフに紹介する予定の業務を、この号に1つずつ対応させます。主な号を挙げます。
| 号 | 業務 |
|---|---|
| 1 | 業務システムの設計・保守、プログラムの設計・作成・保守 |
| 2 | 業務機械・装置・器具や設備の設計・製図 |
| 3 | 業務電子計算機・タイプライターなど事務用機器の操作 |
| 4 | 業務通訳、翻訳、速記 |
| 5 | 業務管理的地位にある者の秘書 |
| 12 | 業務建築物・博覧会場における来訪者の受付・案内 |
| 17 | 業務事務用機器やシステムの使い方を習得させる教授・指導 |
| 19 | 業務保健師・助産師・看護師の業務(病院等・助産所・居宅などで行うものは除く。除外の範囲は原文で確認) |
残りの号(6〜11、13〜16、18)
- 6号: ファイリングの分類作成、または高度な専門知識を要するファイリング
- 7号: 市場等に関する調査と、その結果の整理・分析
- 8号: 財務に関する書類の作成その他の財務処理
- 9号: 外国貿易などの対外取引や国内取引の契約書・文書の作成
- 10号: 機械の性能・操作方法等の紹介・説明
- 11号: 旅行者に同行する旅程管理業務など
- 13号: 科学に関する研究・新製品や新たな製造方法の開発
- 14号: 事業実施に必要な体制や運営方法の整備に関する調査・企画・立案
- 15号: 書籍・雑誌などの作品制作における編集
- 16号: 商品・包装・広告のデザインの考案・設計・表現
- 18号: 顧客の要求に応じて設計を行う機械等・プログラムや、専門知識に基づく助言が要る金融商品の説明・勧誘など
各号には括弧書きの除外や限定が付いています。実際の判定では、令4条1項の原文で括弧書きまで確認します。
物流の仕分け、軽作業、イベントの設営、飲食のホールといった業務は、この19業務には入っていません。一覧にない業務は、人で外れる要件に頼ることになります。紹介予定の業務が一覧にないスタッフは、人の4要件のどれかに当たるかが、判定の分かれ目になります。
業務の当てはめで注意するのは、職種名と実際の仕事内容がずれることです。登録票の職種が「事務」でも、実態が来訪者の受付なら12号の側で考え、データ入力だけなら3号か、どの号にも当たらないかを個別に見ます。Claudeに号を当てさせるときは、号の番号と一緒に、根拠にした仕事内容の記述を出させます。
登録スタッフごとの判定を、Claudeに任せる指示文を作る
指示文の骨格は「条文の順に当てはめ、不明は不明のまま返す」です。次の断片を、会話の最初に貼るか、継続して使う作業用の指示欄に入れます。
あなたは派遣元の登録スタッフ管理を補助する点検役です。労働者派遣法35条の4と
同法施行令4条に基づき、入力された行ごとに次の順で判定してください。
最終的な可否は人間が決めます。断定せず、根拠と不足情報を返してください。
1. 雇用期間が31日以上なら「日雇に該当しない」と返して終了する
2. 予定業務が施行令4条1項の何号に当たるかを、仕事内容の記述を引いて示す
当たらない、または判断できないときは「業務の例外なし」とする
3. 人の例外は次の4つを別々に判定する
60歳以上 / 昼間学生(定時制・卒業後も雇用が続く予定・休学中は除く) /
本人収入500万円以上 / 生計維持者との合算500万円以上
4. 入力が「不明」「未確認」の項目は、例外に当たる根拠にしない
5. 人の例外で外れる場合は、安全衛生など雇用管理上の措置の実施有無も
確認欄に出す
出力の列: 管理番号 / 判定(対象外・業務の例外・人の例外・要確認・禁止に該当のおそれ)
/ 根拠(条文と号) / 不足情報入力は、管理番号で並べた表にします。氏名や住所は渡しません。収入は金額そのものを渡さず、「500万円以上か」の二値と、確認に使った書類の種類だけを渡す形が、扱う個人情報を最小にできます。
管理番号,雇用期間,予定業務,60歳以上,在学区分,本人500万以上,合算500万以上,根拠書類
A-0123,日々更新,展示会の来場者受付,いいえ,昼間学生,いいえ,不明,学生証の写し
A-0124,日々更新,倉庫内の仕分け,いいえ,なし,いいえ,はい,住民票・源泉徴収票
A-0125,45日,事務補助,いいえ,なし,いいえ,いいえ,なし出力は、例えば次のような形になります。これは指示文から期待する形の例示で、Claudeの実出力の記録ではありません。
| 管理番号 | 判定 | 根拠 | 不足情報 |
|---|---|---|---|
| A-0123 | 判定業務の例外(12号の可能性) | 根拠来訪者の受付 | 不足情報受付のみか、他の作業を含むか |
| A-0124 | 判定要確認 | 根拠合算500万円以上の申告あり | 不足情報生計維持の関係の確認 |
| A-0125 | 判定日雇に該当しない | 根拠雇用期間が31日以上 | 不足情報なし |
A-0123のように、業務の例外と人の例外のどちらでも外れる可能性がある行もあります。両方を出させると、片方の前提が崩れたときに備えられます。A-0124は、世帯に収入があるだけでは足りず、生計を維持されている関係が要る行です。
Claude Codeで判定を固定したい場合
登録スタッフが多く、毎週同じ判定を回すなら、人の例外の部分だけは言語モデルの判断に任せず、コードにします。Claude Codeには、このスクリプトを書かせ、サンプル行で動かして、結果を目で確かめさせます。
# 人の例外のうち、機械的に判定できる部分だけ
def person_exception(row):
reasons = []
if row["60歳以上"] == "はい":
reasons.append("60歳以上")
if row["在学区分"] == "昼間学生":
reasons.append("昼間学生")
if row["本人500万以上"] == "はい":
reasons.append("本人収入500万円以上")
if row["合算500万以上"] == "はい":
reasons.append("合算500万円以上(生計維持の確認要)")
return reasons「不明」は何も追加しないので、根拠にならない扱いがコードに入ります。在学区分は「定時制」「卒業後も雇用が続く予定」「休学中」を別の値にしておけば、昼間学生にだけ一致します。業務の号の当てはめは文章の読解なので、Claudeに任せて人が見る分担にします。
例外に当たった後に、派遣元が揃える手配
禁止が外れても、日雇派遣の労働者向けの指針が定める措置は残ります。判定表の次の列として、運用チェックを持たせます。
| 場面 | 指針の内容 |
|---|---|
| 雇い入れ | 指針の内容業務が施行令4条1項に当たるか、または2項の場合に当たるかを確認する |
| 労働契約 | 指針の内容契約の期間を、できるだけ長期にする、または労働者派遣の期間に合わせる |
| 就業条件の明示 | 指針の内容期間、就業の場所、業務、労働時間、賃金、退職に関する事項を書面で明示する |
| 教育訓練 | 指針の内容職務遂行に必要な能力を付与する教育訓練は、派遣就業前に実施する |
| 社会保険 | 指針の内容届出が必要な場合は、届出を行ってから派遣する(開始後速やかに届け出る場合を除く) |
| 契約の解除 | 指針の内容派遣先の都合で期間満了前に解除する場合は、新たな就業機会の確保などを図る |
派遣先にも、就業条件の周知、就業場所の巡回、就業状況の報告を求めるといった措置が定められています。受け入れ側の台帳の点検は、派遣先管理台帳をClaudeで点検する手順にまとめています。
指針の第2の3は、派遣元に雇い入れの時点での確認を求めています。判定表は、派遣のたびに作り直す資料ではなく、雇い入れ時の確認記録としても読めるようにしておくと、後から根拠を示せます。
Claudeの判定を鵜呑みにしないための線引き
次の3点は、Claudeが「該当する」と返しても、人が原文で確かめる箇所です。
- 19業務の括弧書きの除外に触れていないか。号の見出しだけで当てはめると、除外に落ちる業務を通してしまいます
- 学生の除外区分に触れていないか。定時制や休学中、卒業後も雇用が続く予定は、例外から外れます
- 収入の根拠が書類で確認できているか。自己申告の「はい」は、そのまま例外の根拠にしない運用が前提になります
判断に迷うケースや、事業としての許可・指導監督に関わる点は、労働局や社会保険労務士に確認する範囲です。許可更新の書類や雇用安定措置の点検は、労働者派遣事業の許可更新に必要な書類をClaudeで点検する方法で扱っています。
厚生労働省の「労働者派遣法に関する」ページには、法令、施行規則、日雇派遣向けの指針が並んでいます。条文の改正で号や金額が変わりうるので、判定表の根拠欄には、条文の番号と確認日を残しておきます。
まとめ
日雇派遣の例外は、業務で外れる19号と、人で外れる4要件の2系統です。Claudeには、条文の順に当てはめさせ、不明を例外の根拠にしないという一点を指示文に入れます。結論を出す前に、学生の除外区分と500万円の算定方法、19業務の括弧書きを人が原文で確かめる。この分担が、登録スタッフが増えても判定の抜けを抑える形です。