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調達の月次レポートをClaude Artifactsでダッシュボード化する手順 — 検算つき

調達の月次レポートをClaude Artifactsでダッシュボード化する手順 — 検算つき

支出・コスト削減額・納期遵守率の発注CSVを渡し、部門長に回せる1画面にする流れです。KPIの定義の置き方、数値例での検算、共有時の注意をまとめます。

調達の月次報告は、発注データを集計して、部門長が数秒で読める形に直す作業です。支出・コスト削減額・納期遵守率の3つを1画面に並べるだけなら、Claude Artifactsで作れます。発注CSVを添付して画面を頼み、出てきた数字は手元の式で検算します。

Claude Artifactsとは、チャットの横に開く専用の作業画面に、ドキュメント・ウェブページ・ダッシュボード・小さなツールなどを作る機能です。この記事は、その画面を調達の月次報告に使う手順を書きます。数字の定義、指示文、検算、共有の順に進みます。

部門長に回す1画面に何を載せるか

月次の調達報告で見られるのは、たいてい次の3つです。

KPI

1画面に置く3つの指標

  • 支出(スペンド)

    その月に発注した金額の合計です。カテゴリ別・仕入先別の内訳を添えると、増減の出どころが見えます。

  • コスト削減額

    旧単価と実単価の差に数量を掛けた金額です。何を基準の単価にするかを先に決めないと、数字が人によって変わります。

  • 納期遵守率

    約定納期までに納品された件数を、納品された件数で割った率です。分母に何を入れるかで値が動きます。

画面の見た目より先に決めるのは、この3つの定義です。Claudeは定義が曖昧なまま頼まれても、それらしい式で計算して、それらしい画面を返します。画面が整っているぶん、定義のずれに気づきにくくなります。

渡すCSVの形と、KPIの定義を固定する

CSVはClaudeが読める文書形式の1つで、チャットに添付できます。添付できる数はチャットごとに20ファイルまで、1ファイルは500MBまでです。調達の月次データなら、1つのCSVに収まる量です。

列は発注1行につき1行になる形にそろえます。次のような構成です。

列中身
発注番号中身行を特定する番号
仕入先中身取引先名
カテゴリ中身原材料・部品・物流など
品目中身品名
数量中身発注数量
旧単価中身比較の基準にする単価
実単価中身今回の発注単価
約定納期中身取り決めた納期
納品日中身実際の納品日(未納品は空欄)

定義は、指示文の冒頭に固定の文として置きます。次の形です。

次の定義で集計してください。
- 支出 = 数量 × 実単価 の合計
- コスト削減額 = (旧単価 − 実単価) × 数量 の合計。実単価が高い行は負の値のまま足す
- コスト削減率 = コスト削減額 ÷ (数量 × 旧単価 の合計)
- 納期遵守率 = 納品日が約定納期以前の件数 ÷ 納品日が入っている件数
- 納品日が空の行は納期遵守率の分母から外し、件数だけ別に表示する

「実単価が高い行は負の値のまま足す」と書く理由は、値上がりの行を黙って0にすると、削減額が実態より大きく出るからです。この種の取り決めは、社内でも人によって違います。CSVより先に文章で決めておくと、翌月の画面と比べやすくなります。

画面を頼む指示文

定義の次に、画面の中身を指定します。部門長が見る画面は情報量を絞ります。

添付の発注CSVから、部門長向けの月次ダッシュボードを1画面で作ってください。
上段に支出合計・コスト削減額・コスト削減率・納期遵守率の4つの数字。
中段にカテゴリ別の支出(棒グラフ)と、仕入先別の支出上位5社。
下段に納期遅れの発注の一覧(発注番号・仕入先・遅れ日数)。
数字の根拠を確かめられるよう、集計に使った行数を画面の隅に出してください。

最後の1行が検算の入口になります。行数が手元のCSVの行数と合わなければ、そこで集計が壊れています。

作った画面に直したい点が出たら、同じチャットで頼みます。エラーが出たときは、エラー表示の近くに「Try fixing with Claude」のボタンが出ます。押すとエラーの内容が新しいメッセージに入るので、そのままClaudeに送って直させます。ただし、直るとは限りません。

数値例で検算する

画面の数字を信用する前に、小さなデータで手計算と突き合わせます。次の6行で試してください。

発注番号,仕入先,カテゴリ,品目,数量,旧単価,実単価,約定納期,納品日
P001,A商事,原材料,SUS304板,100,1200,1100,2026-10-05,2026-10-04
P002,A商事,原材料,SUS304板,200,1200,1150,2026-10-12,2026-10-15
P003,B工業,部品,ベアリング,500,300,300,2026-10-10,2026-10-10
P004,B工業,部品,ベアリング,300,300,280,2026-10-20,2026-10-19
P005,C物流,物流,スポット便,10,5000,5000,2026-10-08,2026-10-09
P006,D電機,部品,制御基板,50,2000,1900,2026-10-25,2026-10-25

先の定義で手計算すると、期待値は次のとおりです。

指標計算期待値
支出計算110,000 + 230,000 + 150,000 + 84,000 + 50,000 + 95,000期待値719,000円
コスト削減額計算10,000 + 10,000 + 0 + 6,000 + 0 + 5,000期待値31,000円
コスト削減率計算31,000 ÷ (719,000 + 31,000)期待値約4.1%
納期遵守率計算6件中4件(P002とP005が遅れ)期待値66.7%

カテゴリ別の支出は、原材料340,000円・部品329,000円・物流50,000円です。構成比は約47.3%・45.8%・7.0%で、端数処理により合計は100.1%になります。画面の構成比がこれと違えば、丸め方の指定を足します。

Excelでも同じ値が出るか確かめる

CSVをExcelで開いて、日付が文字列でなく日付として入っている状態で、次の式を使います。行が2〜7にある場合です。

支出        =SUMPRODUCT(E2:E7, G2:G7)
削減額      =SUMPRODUCT(E2:E7, F2:F7 - G2:G7)
遵守率      =SUMPRODUCT((I2:I7<>"")*(I2:I7<=H2:H7)) / COUNT(I2:I7)

納品日が空の行は、比較すると0として扱われ「約定納期以前」に数えられてしまいます。式の (I2:I7<>"") は、その行を分子から外すための条件です。画面の値とExcelの値が一致すれば、集計の定義は伝わっています。一致しないときは、画面を直す前にClaudeへ次の確認を頼みます。

画面の4つの数字について、発注番号ごとの金額・削減額・遅れの有無を表にして出してください。
合計がダッシュボードの数字と一致するか、そこで確かめてください。

行ごとの表が出れば、どの行の扱いが手計算とずれているかを特定できます。この表は、そのまま月次の検算記録として残せます。

数字が合わないときの典型

検算で食い違う原因は、データの癖より定義の解釈にあることが多いです。

落とし穴

遵守率の分母に未納品の行が入る

納品日が空の行を分母に含めると、遵守率は低く出ます。定義に「納品日が入っている件数」と書き、未納品の件数を別枠で出させます。

落とし穴

値上がりの行が削減額から落ちる

実単価が旧単価より高い行を0として扱うと、削減額が大きく見えます。マイナスのまま足す指定を残します。

もう1つは、旧単価が何を指すかです。前年同月の単価か、期首の標準単価か、前回発注の単価か。基準が変わると削減額の意味が変わるので、CSVの列名に基準を書いておきます。標準単価との差を品目別に分解する作業は、購買価格差異(PPV)をClaude for Excelで分解する手順に詳しく書いています。

部門長に回すときの共有設定

Artifactsは、作った本人だけが開ける状態から始まります。共有しない限り、他の人には見えません。

共有の選択肢は、プランで変わります。

プラン選べる範囲
Pro・Max選べる範囲本人のみ、またはリンクを知っている人。特定の人はメールで招待
Team・Enterprise選べる範囲招待した人のみ、組織内の全員、リンクを知っている人

Team・Enterpriseでは、組織の外に出せるかどうかをOwnerが決めます。「リンクを知っている人」を選べるのは、Ownerが外部共有を有効にしているか、そのArtifactを個別に許可している場合に限られます。設定の側はClaude Artifactsの管理者が組織外共有を制御する設定手順にまとめています。

調達データで気をつける点が4つあります。

  • 開く人にはClaudeのアカウントが要ります。リンクを送っても、アカウントのない人は開けません。例外は、チャットで作った旧形式のArtifactです。
  • アプリと接続したArtifactや、Claudeを呼び出すArtifactは、リンクを知っている人への共有に使えません。
  • Team・Enterpriseでチャット由来の旧形式のArtifactを共有すると、見る側はそのチャットの添付ファイルも見られます。発注CSVを添付したチャットなら、仕入先名と単価のCSVが一緒に渡ります。
  • アカウントのない役員や部門長には、書き出したファイルを添付して渡す方法があります。テンプレートから作ったDocは、Word・PDF・Markdown・Google Docsに書き出せます。旧形式のArtifactは、パネル上部の操作でコードの表示・コピー・ダウンロードができます。ただし、ダウンロードしたものは画面でなくコードです。経営層に見せる数字は、検算表を書き出して添付するほうが確実です。

添付ファイルの件が、調達では最も効きます。共有する前に、そのチャットに価格交渉の資料のような別の添付がないかを見ます。

保存領域にも注意があります。Artifactには、セッションをまたいでデータを残す機能があり、保存先には本人専用と全員共有の2種類があります。上限は1つのArtifactにつき20MBで、保存できるのはテキストだけです。共有の保存先は、開いた全員に同じデータが見えます。取引条件のような機微な数字を入れる前に、どちらの保存先を使う画面かを確認します。保存の仕組みは習慣トラッカーをArtifactsで作る手順で実例を扱っています。

役員や経理にだけ見せたいとき

部門長の全員に回すのではなく、特定の人にだけ見せたい場合は、メールで招待する方法があります。Pro・Max・Team・Enterpriseで使えるベータ機能で、招待された人は同じメールアドレスのClaudeアカウントでサインインして開きます。アカウントがなければ、そのアドレスで作ってもらう必要があります。

招待には決まりがいくつかあります。

  • 招待できるのは、1つのArtifactにつき組織外の50人までです。
  • 招待状は30日で期限が切れます。承諾済みの招待は切れません。
  • 招待メールは英語で届きます。
  • 組織外から招待された人は、他の人を招待したり共有設定を変えたりできません。

アクセスの段階は「閲覧」「コメント」「編集」の3つです。ダッシュボードを見せるだけなら「閲覧」で足ります。共有をやめるときは、Team・Enterpriseでは共有メニューで「招待した人のみ」に戻すか、招待した人の権限を外します。Pro・Maxでは「本人のみ」に戻しても、メールで招待した人のアクセスは残るので、招待した人の権限を個別に外します。外した時点で、その人のアクセスは消えます。

なお、スマートフォンのClaudeアプリでは、Artifactsを開いて編集することはできますが、共有設定の変更はできません。共有まで進めるときは、WebかClaude Desktopを使います。

翌月の更新をどう回すか

来月のCSVが届いたら、同じチャットに新しいCSVを添付して「定義は前月と同じ。このCSVで画面を更新して」と頼む方法があります。定義を毎月貼り直さずに済みます。ただし、チャットが長くなるほど、冒頭の定義が読み流されやすくなります。月が変わるごとに新しいチャットを立て、定義の文を貼って始めるほうが、前月との差が出にくくなります。

Artifactsの作り方にはテンプレートもあります。Dashboardsは、データ基盤や接続したアプリ(Salesforceなど)から作る形で、Claudeがクエリを書き、各グラフにクエリと最終更新の時刻が出ます。ベータ版の機能です。説明にCSVの記載はないので、CSVで作る今回の流れとは別の経路と考えておくと混乱しません。

自動で更新される画面が欲しい場合は、先のDashboardsが、クエリと最終更新時刻が画面に出る経路です。2026年8月19日より前にCoworkで作ったライブアーティファクトを持っている人は、それが動き続けます。ただし、その場での編集はできません。詳しくはCoworkライブアーティファクトの使い方にあります。

まとめ

調達の月次ダッシュボードで難しいのは、画面を作ることより、数字の定義を決めることです。定義を文で固定し、6行の小さなデータで手計算と一致するかを確かめてから本番のCSVに進めば、画面の数字を部門長に渡す前の確認が取れます。共有では、旧形式のArtifactに添付ファイルが付いてくる点だけは、送る前に見ておく価値があります。

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