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Claudeと8am MyCaseを連携する方法 — 接続手順・権限・請求の読み方

Claudeと8am MyCaseを連携する方法 — 接続手順・権限・請求の読み方

法律事務所向け案件管理MyCaseのコネクタをClaudeにつなぐ手順です。OAuthの権限範囲、読み取りと書き込みベータの違い、請求データの読み方をまとめます。

Claudeと8am MyCaseの連携でできること

8am MyCaseコネクタは、案件管理ソフトMyCaseの業務データをClaudeの会話から引けるようにする、8am社提供のコネクタです。ディレクトリ上では「Anthropic verified」と表示され、2026年8月に追加されました。ログインが必要で、カテゴリはLegalです。

案件(matter)の検索、時間記録と請求の確認、タスクと期限の確認、リードの確認、クライアントポータルのメッセージ閲覧ができます。呼び出しはすべてMyCaseに対して、接続したユーザー本人の権限で実行されます。

使う前に押さえたいことは3つです。

  • 認証は、各ユーザーが自分のMyCaseアカウントでOAuthサインインする方式
  • 読み取りツールはどの事務所でも使え、書き込みツールはベータで事務所単位の申し込みが要る
  • 削除ツールは公開されておらず、削除はMyCaseアプリで行う

つまり、つないだ直後のClaudeは「閲覧専用の秘書」として振る舞います。

接続前に確認する条件 — Claudeのプランが先に問われる

MyCase側の利用条件には、技術的な前提より先に、Claudeのプランに関する要件があります。接続する前に、事務所のClaude契約を確かめてください。

条件

接続前に確かめる3点

  • Claudeのプラン

    利用条件は、モデルの学習に事務所のデータを使わない既定のTeamまたはEnterpriseの契約を持ち続けることを求めています。個人向けプランでは入力が学習に使われる可能性があるためです。

  • MyCase側の権限

    Claudeが見られるのは、接続したユーザーがMyCaseで見られる範囲だけです。権限のない情報は、Claudeにも渡りません。

  • 事務所の運用ルール

    接続できる人と、いつ切断するかは事務所が決めます。切断すると以後のアクセスは止まりますが、すでにClaudeと共有した情報は消えません。

プランを引き下げたり個人アカウントで使ったりすると、秘匿特権が前提とする守秘を損なうおそれがあります。8amはユーザーのClaudeプランや設定を確認できず、変更も検知できません。つまりプランの管理責任は事務所側にあります。

秘匿特権と守秘をClaudeの構成でどう守るかは、Anthropicの見解を読む記事で整理しています。

接続手順 — カスタムコネクタとして追加する

提供元のドキュメントでは、MyCaseは「Claudeのコネクタディレクトリに載っていないため、カスタムコネクタとして追加する」扱いです。一方、Claude側のコネクタページにはMyCaseが「Anthropic verified」で載っています。2つのページで記述が食い違うため、画面にディレクトリの項目が出ていればそちらから、出ていなければカスタムコネクタで追加する、と読み分けると迷いません。

手順

カスタムコネクタでつなぐ流れ

  1. 1

    追加の経路を選ぶ

    組織のオーナーが全員向けに追加する経路と、個人のアカウントだけに追加する経路があります。コネクタを一括管理しているプランでは、オーナーが追加すると、各ユーザーの設定画面に項目が現れます。

  2. 2

    インストールリンクか、URLの手入力で開く

    提供元のページには、名前とURLがあらかじめ入った追加ダイアログを開くリンクが用意されています。外部リンクから値が渡されるため、Claudeは内容を確認させ、承認するまで何も追加しません。

  3. 3

    リンクが開かないときはURLを入力する

    コネクタのURLは https://mcp.mycase.com/mcp です。カスタムコネクタの追加画面に、これを手で入力します。

  4. 4

    自分のMyCaseアカウントでサインインする

    OAuthの画面でMyCaseにサインインします。以降のツール呼び出しは、そのユーザーの権限で動きます。

1つのコネクタが、Web版、Claude Desktop、Coworkのすべてで使えます。コネクタは端末ごとでなく、Claudeのアカウントに設定されるためです。

読み取りツールの範囲 — 28の領域が会話から引ける

ツールは領域ごとに28の見出しに分かれ、案件周辺に限らず、事務所の運営データまで届きます。

領域読める内容の例
案件・案件ステージ読める内容の例案件の詳細、フォルダ、ステージ
請求・請求書・時間記録・経費読める内容の例請求の概況、請求書の明細、時間記録、経費
信託口座(Trust)読める内容の例依頼者ごとの信託(IOLTA)残高と元帳
依頼者・会社・連絡先・リード読める内容の例連絡先の詳細、見込み客の情報
ドキュメント読める内容の例書類の取得と本文テキストの取り出し
予定・タスク・メモ読める内容の例カレンダーの予定、タスク、案件メモ
メッセージ・通話・SMS・社内チャット読める内容の例ポータルのやり取り、通話ログ、テキスト会話、スタッフ間チャット
全文検索読める内容の例案件・連絡先・書類・メモなどを横断して検索
スタッフ・事務所・カスタムフィールド読める内容の例担当者名簿、事務所情報、独自項目

MyCaseの利用条件は、ドキュメント・メモ・メッセージ・通話ログなどに、特権のある依頼者とのやり取りや弁護士の作業成果物が含まれることがあると警告しています。範囲が広いので、最初から全員に開くのでなく、閲覧権限が適切に絞られたユーザーで試すのが安全です。

ツール数の見かたは2つのページで違う

ツールカタログの数は「最大129ツール」で、ベータの書き込みツールを含みます。ベータ未参加の事務所には、それより少ない数が渡されます。一方、Claude側のコネクタページの一覧は「75ツール」と表示されます。どちらの数も、自分の事務所に実際に渡る数とは限りません。実数は、接続後にClaudeのツール一覧で確かめられます。

書き込みツールはベータ — 有効にするとできること

書き込みツールは限定ベータで、既定では無効です。接続しただけでは有効になりません。事務所が登録されるまで、書き込みツールはClaudeに渡るツール一覧に入らず、Claudeはその存在を示しません。登録はユーザー単位でなく事務所単位で、申し込みはMyCaseサポートのメールで受け付けています。

登録された事務所で行えることは次のとおりです。

  • タスク、メモ、時間記録、経費の作成と更新
  • 連絡先、リード、案件、書類の作成と編集
  • 予定、通話ログ、カスタムフィールドの設定
  • メッセージの作成と送信

なお、MyCaseの利用条件の冒頭には「ClaudeはMyCaseのデータを今は変更できない」という趣旨の記述が残っています。ドキュメントの別の節がベータの書き込みを説明しているので、2つの節は同じページの中で食い違っています。書き込みを使うかどうかは、事務所がベータに登録済みかどうかで決まります。

書き込みで起きやすい「静かな上書き」

書き込みは取り消しにくい操作が多く、特に次の3点で事故が起きます。

注意

書き込みで踏みやすい3つの落とし穴

  • 更新は上書きで、履歴が残らない

    update_ 系のツールは、送ったフィールドで上書きします。MyCaseは以前の状態を保持しないため、元に戻せません。

  • リストを渡すと全置換になる

    案件、依頼者、会社、書類、予定、タスクの更新では、人やレコードのリストを送るとリスト全体が置き換わります。含めなかった人は、エラーも警告もなく担当から外れます。可能なら、追加専用のツール(add_clients_to_case など)を使います。

  • メッセージの送信と変換は戻せない

    メッセージの作成と返信は、相手に届いたら取り消せません。リードの変換(convert_lead)も、元に戻す機能がありません。

Claudeは書き込みの前に承認を求めますが、その確認はMyCaseでなくClaude側の機能です。自動化、スケジュール実行、Claudeの「常に許可」設定は、この確認を飛ばせます。弁護士の判断が要る作業では「常に許可」を使わない運用が前提です。

請求データの読み方 — 出ない項目は「ゼロ」ではない

請求の問い合わせは、法律事務所で頼みたくなる用途の一つです。get_case_billing_summary には、数字を読み違えやすい点がいくつかあります。

  • 見る権限のない項目は、ゼロでなく応答から省かれる。権限の情報は常に含まれるので、「権限がない」と「請求がない」を区別できる
  • 未請求の定額報酬の残りは、請求済み残高とは別の欄に出る。合意した定額報酬の額とも別物
  • 依頼者が預けている信託・クレジットの残高は、請求側の合計と分けて報告する。相殺して示さない
  • クレジットは連絡先単位の、事務所全体のスナップショット。案件をまたいで足さない
  • 支払い計画、保存済みの支払い方法、失敗した決済、割引の詳細などは出ないので、MyCaseアプリで確認する

請求書の明細は get_case_invoice_line_items が返します。時間記録、経費、定額報酬、値引きに加え、前の請求から繰り越された残高も含みます。値引きと償却(write-off)は負の値、利息・税・加算は正の値で保存されているので、符号を反転させずにそのまま合計します。

この仕様を踏まえると、依頼の出し方も変わります。次のように、権限と除外項目を意識して頼むと、読み違いが減ります。

案件ID 1234の請求状況を、請求済み残高・未請求の仕掛け分・信託残高に分けて出して。
権限がなくて表示されなかった項目があれば、その項目名も挙げて。
支払い計画のように、このコネクタで取れない情報は推測で埋めないで。

信託口座の残高は、依頼者がどの口座にどれだけ預けているかを返します。案件に割り当てられていない「依頼者全体」の残高もあるため、案件の信託を知りたいときは、案件に割り当てた分と、依頼者の未割当分の両方を見る必要があります。案件IDで絞り込むだけでは、利用可能な信託を過小に見積もります。

全文検索と案件の絞り込み

full_text_search は、案件、連絡先、書類、メモ、タスク、予定、リード、メッセージ、経費、通話ログを横断して探します。検索語は3〜100文字、1ページは最大50件です。案件IDを渡すと、その案件に紐づく記録だけに絞れます。

絞り込みには注意点があります。

  • 案件IDで絞ると、案件に紐づかない事務所レベルの書類は結果から外れる
  • 連絡先とリードは案件で絞れないため、案件IDを指定した検索から落とされる
  • 存在しない案件、または見る権限のない案件のIDを渡しても、エラーでなく空の結果が返る

最後の点は、検索結果が空でも「その案件に記録がない」とは言い切れない、という意味です。頼むときに「権限の問題で空になっている可能性も切り分けて」と添えておくと、Claudeが誤って「該当なし」と結論するのを避けられます。

ページ送りは、各応答のトークンで続けます。結果が少ないページが返っても、次のトークンがあれば続きがあります。

うまく動かないときの切り分け

接続や応答で止まったときは、次の順に確かめます。

切り分け

MyCaseの情報が引けないときの切り分け

  1. QOAuthのサインインは完了していますか?
    答えがいいえのとき

    コネクタの設定画面から再度サインインします。

    答えがはい
  2. Q頼んだのは書き込みの操作ですか?
    答えがいいえのとき

    事務所がベータに登録されていないと、書き込みツールはClaudeに渡りません。Claudeが「事務所は登録されていません」と返すのは正常な動きで、故障ではありません。

    答えがはい
  3. QMyCase本体で、そのユーザーは該当の記録を見られますか?
    答えがいいえのとき

    権限が足りないと、Claudeにも結果が渡りません。請求書は、請求の閲覧権限がないと「存在しない」扱いで返ります。MyCase側のロールを見直します。

    答えがはい

それでも解決しないとき

提供元のドキュメントにはフィードバック用のツールがあり、バグ報告や要望をMyCaseチームに送れます。事務所のデータを読み書きするツールではありません。

まとめ

8am MyCaseコネクタは、MyCaseの権限をそのまま引き継ぐ閲覧中心のコネクタです。まず読み取りで、請求の概況や案件メモの確認から使い始め、書き込みは事務所のベータ登録と承認運用を決めてから足す順序が、データの扱いとして無理がありません。

導入の前に決めておきたいのは、Claudeのプランの契約形態と、接続を許可するユーザーの範囲です。法務向けの別コネクタとの比べ方は、Harveyの連携記事が参考になります。

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