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業務時間調査を業務量表に — 観察メモをClaudeで工数に集計する手順

業務時間調査を業務量表に — 観察メモをClaudeで工数に集計する手順

現場の観察メモを作業区分に振り分け、区分別の工数と月換算、削減余地の仮説までを1枚の業務量表にする手順を、区分表・依頼文・検算の順で説明します。

現場に半日張りついて取った観察メモは、そのままでは「忙しそう」という印象しか残りません。業務の改善案を通すには、どの作業に何時間かかっているかを区分別の数字で示す必要があります。

観察メモを作業区分に振り分けて足し上げるのは、Claude for Excelに向いた作業です。ただし、時間を計算するのは式、区分の定義を決めるのは人、Claudeは振り分けと下書きと、という役割の分け方をしないと、数字の根拠がたどれなくなります。この記事では、観察ログから業務量表を作るまでを、区分表・依頼文・検算の順で説明します。

観察メモから業務量表までの流れ

最終的に作るのは、作業区分ごとに「観察合計・構成比・月換算の時間・削減余地の仮説」が並ぶ表です。

手順

業務量表ができるまでの5段

  1. 1

    作業区分の表を先に決める

    区分名と定義、含めない例を人が書きます。

  2. 2

    観察メモを1行1作業のログにする

    開始・終了の時刻、担当の役割、メモ原文を列にそろえます。

  3. 3

    Claudeに区分を振らせる

    区分表のコードだけを使わせ、迷う行には印を付けさせます。

  4. 4

    所要時間を式で出して集計する

    時間は終了から開始を引く式で出し、区分別にSUMIFSで足します。

  5. 5

    月換算と削減余地を足す

    観察した人日から月間の時間に直し、削減率は人が入れます。

区分表を先に作る理由

Claudeにメモを渡して「作業を分類して」とだけ頼むと、行ごとに区分名が微妙に違う表ができます。「受注入力」「注文入力」「オーダー登録」が別の区分として並ぶと、集計の前に名寄せが必要になります。

先に区分表を作り、その中からしか選ばせない形にすれば、この手戻りは起きません。区分表は別シートに次の5列で置きます。

列内容書き方の例
コード内容短い識別子書き方の例A01
区分名内容業務量表に出る名前書き方の例受注入力
定義内容何をここに入れるか書き方の例メールやFAXの注文を基幹システムに打ち込む作業
含めない例内容隣の区分と混ざる作業書き方の例注文内容の電話確認はB02に入れる
性格内容削減の考え方が変わる分類書き方の例本来業務 / 付随 / 探す・待つ / 手戻り

区分は8〜12個に収めます。細かくしすぎると、1つの区分の合計が小さくなって比較に使えず、メモの1行がどちらに入るかの判断もぶれます。

「性格」の列は、削減余地を考える段階で効きます。探す・待つ・手戻りに分けた作業は、減らす方向が比較的はっきりしています。本来業務は、やり方を変えて短くできるかを別に議論することになります。

観察の途中で区分が足りないと気づくことは普通にあります。その場合は区分表に行を足し、振り分けをやり直します。式で集計しているので、やり直しの手間は依頼文を投げ直す程度で済みます。

観察メモを1行1作業のログにする

観察メモは、時刻と作業が行ごとに並ぶ形が理想です。現場で書いたメモは、次のように時刻が抜けたり、複数の作業が1行に入ったりしています。

9:10 田中さん 受注メール見て基幹に入力 (30分くらい)
9:45 電話 → 在庫の確認で倉庫へ
10:20 伝票どこかと探してた
10:40-11:00 出荷書類

ログのシートには、次の列を用意します。

列項目備考
A項目日付備考日付型で入力する
B項目開始備考時刻型
C項目終了備考時刻型
D項目担当(役割)備考氏名でなく「受注担当」などの役割名
E項目メモ原文備考手を入れずに残す
F項目区分コード備考Claudeが入れる
G項目所要(分)備考式で出す
H項目要確認備考時刻の推定や区分の迷いを記す

氏名は役割名に置き換えてから貼ります。観察された個人の動きは、業務の問題として扱う表に個人名を載せると、業務量表が人事評価の資料として読まれかねません。

時刻が書かれていない行の扱い

「30分くらい」のような書き方は、メモの書き手が見積もった時間です。観察者が計った時間とは性格が違うので、Claudeに推測で補わせず、H列に「見積」と書き、後で合計を分けて出します。

時刻の欠けた行は、前後の行から開始と終了を推定させることもできます。その場合は推定したことをH列に残させます。推定が混ざった数字は、集計のときに区別できる状態にしておきます。

手書きメモの写真やWordのメモ

手書きのメモは、JPEG・PNG・GIF・WebPの画像として、Claudeのチャットに添付できます。公式の案内では、1000×1000ピクセル以上の画像を使い、小さい画像や低解像度の画像は避けるとされています。

Wordや電子メールで残したメモは、DOCXやTXTで添付できます。ただし、DOCXなど画像以外の文書からは、Claudeは本文のテキストだけを取り出します。メモに埋め込んだ写真や手書きの図は読まれません。

チャットへのアップロードは、1ファイル500MB、1チャット20ファイルまでです。観察メモの量なら、制限を意識することはほとんどありません。

チャットで1行1作業のログに整えさせ、できた表をExcelに貼る流れが現実的です。XLSXをチャットに添付する場合は、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にしておく必要があります。

Claude for Excelに区分と所要時間を作らせる

ログと区分表を同じブックに置いたら、Claude for Excelに頼みます。アドインはMicrosoft AppSourceの「Claude for Microsoft 365」から入れ、サインインして使います。Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランが対象です。

対応するExcelは、Excel on the web、Microsoft 365のWindows版(ビルド16.0.13127.20296以降)、Mac版(バージョン16.46以降、ビルド21011600以降)です。Excel 2016・2019の永続版やボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。職場のPCがこれらなら、導入前に確かめておきます。

常設の指示に置く条件

サイドバーの設定にあるInstructionsは、Excelでの全会話に適用されます。この作業では、次のような決まりをここに置いておくと、依頼文が短くなります。

・区分は「区分表」シートのコードだけを使い、新しい区分を作らない
・時間は分の数値で扱い、時刻の差は式で出す
・推測した値には必ず「要確認」列に理由を書く
・元のシートは書き換えず、集計は新しいシートに作る

区分を振らせる依頼文

区分の振り分けは、次のような依頼文で頼めます。

「観察ログ」シートの各行について、メモ原文(E列)を読み、
「区分表」シートのコードをF列に入れてください。
 
ルール:
- コードは区分表にあるものだけを使う
- 区分表の定義と含めない例を読んでも決められない行は、
  F列を空にしてH列に「迷い: 候補A01かB02」のように書く
- 1行に複数の作業が入っている行は分割せず、H列に「複数作業」と書く
- 開始・終了が空の行は推定せず、H列に「時刻なし」と書く
 
所要時間(G列)には、(終了-開始)*1440 の式を入れてください。

「決められない行は空にして理由を書かせる」指定が要点です。無理に埋められた区分は、集計の結果に静かに混ざります。迷いが一覧になっていれば、人が定義を直すか、その行だけ手で決められます。

所要時間の式は、Claudeの推測でなくセルの引き算にします。こうすると、数字の間違いは時刻の入力ミスに絞られます。

G2: =IF(AND(B2<>"",C2<>""),(C2-B2)*1440,"")

Claude for Excelは、既存データを上書きする前に警告を出す仕組みを備えています。それでも、依頼の前にブックのコピーを取っておきます。公式のベストプラクティスも、広い範囲を編集させる前に信頼できるコピーで始めることを挙げています。

業務量表を区分別に集計する

ログの区分が埋まったら、新しいシート「業務量表」に集計します。上の2行に調査の前提を置き、4行目から表にします。

セル内容
B1内容観察した人日(例: 6)
B2内容月の稼働日数(例: 20)

人日は「観察した人数×日数」です。1人を3日観察して、別の1人を3日観察したなら6人日です。

列は次のようにします。

列項目式の考え方
A項目区分名式の考え方区分表から参照
B項目観察合計(分)式の考え方SUMIFSで区分別に足す
C項目構成比式の考え方区分の合計÷全体の合計
D項目月換算(時間)式の考え方観察合計÷観察人日×月の稼働日数÷60
E項目削減余地の仮説式の考え方人が書く(下書きはClaudeに頼める)

5行目の式は次のとおりです。ログの区分コードと業務量表を結ぶため、A列にはコードも持たせるか、区分名からコードを引く列を挟みます。

B5: =SUMIFS(観察ログ!$G:$G,観察ログ!$F:$F,コード)
C5: =B5/SUM($B$5:$B$14)
D5: =B5/$B$1*$B$2/60

数字の動きを、架空の例で示します。観察は6人日、月の稼働は20日とします。

区分観察合計(分)構成比月換算(時間)
受注入力観察合計(分)780構成比29.8%月換算(時間)43.3
電話・メール対応観察合計(分)520構成比19.8%月換算(時間)28.9
在庫確認観察合計(分)410構成比15.6%月換算(時間)22.8
出荷書類作成観察合計(分)360構成比13.7%月換算(時間)20.0
探し物・確認待ち観察合計(分)300構成比11.5%月換算(時間)16.7
打ち合わせ観察合計(分)250構成比9.5%月換算(時間)13.9
合計観察合計(分)2,620構成比100%月換算(時間)145.6

この例では、受注入力が全体の約3割を占め、探し物・確認待ちが約1割あります。この2つが削減の議論の入口になります。

削減余地は仮説として書く

削減余地の列は、Claudeに下書きを頼めます。区分の定義と観察メモの原文を読ませて、減らす方向の候補を挙げさせます。

業務量表の各区分について、E列に削減余地の仮説を1行で書いてください。
根拠にしたメモ原文の行番号も添えてください。
メモに根拠がない区分は「根拠なし」と書き、案を作らないでください。

行番号を添えさせるのは、仮説とメモを突き合わせられるようにするためです。たとえば「受注メールの転記が多い」という仮説なら、元の行を開いて、本当に転記と書かれているかを確かめられます。

削減率は、観察した現場の人と相談して、人が数字を入れます。Claudeが出した「30%削減できる」のような数字に、根拠は付いていません。

たとえば、受注入力を40%、探し物・確認待ちを50%減らせるという仮置きをすると、月換算で次のようになります。

  • 受注入力: 43.3時間×0.4で約17.3時間
  • 探し物・確認待ち: 16.7時間×0.5で約8.3時間

2つを合わせて約25.7時間です。この数字は仮置きの削減率から出たもので、実測の削減効果ではありません。業務量表には、削減率の列に「仮置き」と明記します。

検算で見る4点

集計した表は、そのまま報告に使わず、次の4点を見ます。

  1. 観察時間との差: ログの所要の総和を、観察した時間の総量と比べます。例の2,620分は、6人日×480分=2,880分に対して約9%少なく、残りの260分は休憩や空白と説明できるか確かめます。
  2. 区分の空欄: F列が空の行の件数と、その所要の合計を出します。全体に対して数%を超えるなら、区分表の定義を見直します。
  3. 見積の比率: H列に「見積」と書いた行の所要の合計が、全体のどれだけを占めるかを出します。この比率が高い区分は、実測とは別の扱いにして報告します。
  4. 上位区分の原文: 構成比の上位2区分は、振り分けた行を実際に10行ほど開いて、区分が合っているかを目で確かめます。

SUMIFSの式は元の行へ戻れます。表の数字が怪しいときは、その区分の行をフィルターで絞り、所要を足し直して一致するかを見ます。

公式は、Claude for Excelを最終的な納品物や監査に関わる計算に、人の確認なしで使うことを勧めていません。業務量表は経営への報告に使われることが多いので、この点は守る前提で運用します。

月換算の落とし穴

観察日数は、月の稼働日数に比べて短くなります。観察した日が月の中で忙しい日か、閑散な日かで、月換算の数字は大きく動きます。

月末月初に集中する業務は、観察した日が月の途中だと過小に出ます。月間の波がある区分には、「観察は月の中旬のため過小の可能性」のように、E列とは別の注記欄を設けます。

観察する側がいることで、現場の動きが普段と変わることもあります。観察結果と、本人が記録した作業日報の合計を、区分ごとに並べて比べると、差の大きい区分が見つかります。その区分は、観察の対象とした日の特殊事情を聞く価値があります。

外部から受け取ったファイルを使うとき

他の部署やコンサルタントから受け取った観察ログのブックを、そのままClaude for Excelで開くのは避けます。公式は、外部から来たファイルには隠れた指示が入っている可能性があり、信頼できるスプレッドシートだけで使うよう注意しています。

外部ファイルを使う場合は、必要な列だけを自分のブックにコピーしてから作業します。危険な操作の前には確認を求められますが、その確認は読み飛ばさず、内容を見てから進めます。

Claude for Excelは、データテーブル、マクロとVBAの操作に対応していません。マクロで集計している既存のブックは、式に置き換えてから使います。

社内の別の作業と組み合わせる

作業の時間を顧問先や案件ごとに集計して報酬の見直しに使うなら、士業事務所の工数集計の手順が近い使い方です。そちらは記録済みのタイムシートが前提で、この記事は観察メモという書き言葉から作業を拾う段階を扱っています。

観察の前に、業務の流れを聞き取りで把握しておくと、区分表が作りやすくなります。ヒアリングメモから流れの抜けを洗う方法は、Claudeで業務フロー図を作成する手順にあります。

観察の結果、特定の工程の作業時間を平準化したくなった場合は、ライン・バランシングとタクトタイムの考え方が参考になります。部門の人員の見直しにつなげるなら、要員計画と人件費のシミュレーションで、削減見込みの時間を人件費に置き換えられます。

業務量表をまとめるときの要点

業務時間調査で足りなくなりがちなのは、観察の量より、数字の根拠が説明できる状態です。区分表を人が作り、所要を式で出し、迷いと見積を別の列に残せば、Claudeが振り分けた行も後から検証できます。

削減余地の数字は、仮置きと明記して現場の合意を取ってから使います。業務量表は、改善の議論を始めるための材料であり、結論を決める表ではありません。

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