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Claudeで学校安全計画と避難訓練のシナリオを作る手順 — 手引と自校の地図をProjectに置く

Claudeで学校安全計画と避難訓練のシナリオを作る手順 — 手引と自校の地図をProjectに置く

学校保健安全法27条の学校安全計画と29条の危険等発生時対処要領を、文科省の手引と自校のハザードマップ・校舎図と一緒にClaudeのProjectへ置き、地震・火災・不審者・津波の訓練シナリオと評価の観点を作る手順です。

学校安全計画と避難訓練のシナリオは、条文と文科省の手引、自校の立地と校舎図をClaudeのProjectに置いておくと、前提を毎回貼り直さずに作れます。訓練の種類ごとに「想定」「教職員の動き」「児童生徒の動き」「評価の観点」を揃えた原案が出るので、安全担当者がやるのは現地に照らした直しです。

この記事では、Projectに何を置くか、指示文をどう書くか、年間計画と4種類のシナリオ(地震・火災・不審者・津波)をどう頼むかを順に示します。

学校安全計画と対処要領(危機管理マニュアル)は何が違うのか

学校保健安全法は、安全に関する書類を2つ求めています。年間の計画と、いざというときの動き方の手順書です。混ぜて頼むと原案がぼやけるので、先に違いを押さえます。

くらべる

27条の計画と29条の対処要領

平時の年間計画

学校安全計画(27条)

施設・設備の安全点検、通学を含む学校生活や日常生活での安全指導、職員の研修などを計画にして、策定し実施する書類です。「しなければならない」と書かれており、義務です。

発生時の手順書

対処要領(29条)

危険等が起きたとき、職員がとるべき措置の具体的内容と手順を定めた書類です。手引では「危機管理マニュアル」と呼ばれます。校長は職員への周知と訓練の実施などの措置を講じるものとされています。

避難訓練は、この2つをつなぐ位置にあります。訓練の実施は29条2項で校長の措置に挙がり、手引は避難訓練を含む安全教育の内容を学校安全計画に位置付けるよう求めています。年間計画に訓練を並べ、各訓練のシナリオを対処要領の手順から起こす、という流れです。

29条にはもう1つ、事故等で心身に影響を受けた児童生徒への支援(3項)があります。訓練後の振り返りに入れる観点として、後で触れます。

30条は、保護者や警察署、関係団体、地域住民との連携に努めるよう定めています。引渡し訓練や合同訓練のシナリオを作るときの根拠になります。

Projectに何を置くか

Projectは、独自の会話履歴と知識ベースを持つ作業スペースです。文書を上げて文脈を与え、その中で絞った会話ができます。サポート記事によると、無料アカウントを含む全ユーザーが使えます。無料で作れるのは最大5個までです。

学校安全の作業用に、次の4種類を置きます。

置くもの役割入手と注意
学校保健安全法26〜30条役割計画と対処要領の根拠入手と注意e-Govの原文を貼る
学校の危機管理マニュアル作成の手引役割訓練の留意点、不審者対応など入手と注意文科省のPDF(5.6MB・60ページ)
自校の現行の学校安全計画・マニュアル役割直す元の文書入手と注意個人名を除いた版
自校の前提メモ(立地・校舎・避難場所)役割地図や図面の文字起こし入手と注意自分で作る

手引のPDFは、文科省の案内ページから入手できます。そこには、危機管理マニュアルは法に基づき全ての学校に作成が義務付けられていること、各学校は手引を使って作成と見直しを行うことが書かれています。

落とし穴

条文の要約をClaudeに書かせて、そのまま根拠にする

条文は要約させず、e-Govの原文を貼ります。26〜30条の本文で足りる分量です。要約を経由すると、「しなければならない」と「努めるものとする」の差が消えます。27条の計画策定は義務、30条の連携は努力義務なので、この差は計画の書き方に効きます。

画像のハザードマップはそのままでは頼りにならない

自治体のハザードマップや校舎の平面図は、画像かPDFで手元にあることが多いはずです。ここに引っかかりどころがあります。

ファイルのアップロードに関するサポート記事は、Projectのファイルを「30MBまで、テキスト抽出のみ(マルチモーダルPDFを除く)」と説明しています。チャットへの添付は別扱いで、画像は8000×8000ピクセルまで、PDFは100ページ以下なら図表も解析されます。手引のPDFは60ページなので、後者に収まります。

Projectに置いた画像ファイルがどこまで読まれるかは、このページに記載がありません。確実なのは、図から読み取った内容を文章にして前提メモへ書くことです。「校舎は3階建て、北棟の屋上が津波の垂直避難先、校庭は西側の道路に面している」のように、一文ずつ事実を書きます。図そのものを見せたい作業は、ハザードマップを会話に直接貼って質問します。

自校の前提メモとProjectの指示文を作る

前提メモは、シナリオの質を決める土台です。手引は避難計画について、学校環境や周辺の地形・地質、自治体のハザードマップを基に、避難場所と避難経路を個別具体的に設定し、危機管理マニュアルに位置付けるよう求めています。メモには、その材料を並べます。

【自校の前提メモ(例の書式)】
学校種・規模: 小学校、全校児童○○名、教職員○○名
校舎: 3階建て、東棟・北棟、階段は各棟2か所、エレベーターなし
立地: 海岸から約○km、標高○m。ハザードマップの浸水想定は○m
避難場所: 一次=校庭、津波時=北棟屋上(垂直避難)、広域=○○公園
通学: 徒歩、集団登校あり、スクールバスなし
配慮が必要な児童生徒の移動: 車椅子利用者あり(1階教室を割り当て)
連携先: ○○警察署、○○消防署、PTA、地域の見守り団体
放送設備: 職員室のみ、停電時は使用不可

そのうえで、Projectの指示文(project instructions)に役割とルールを書きます。指示文は、Claudeの回答を役割や口調に合わせて整えるためのものです。

あなたは小学校の安全担当者を補助する下書き係です。
- 根拠は、Projectに置いた学校保健安全法26〜30条、危機管理マニュアル作成の手引、
  自校の前提メモだけにします。ここに無い事実は書かず、「要確認」と書きます。
- 学校安全計画(27条)と対処要領(29条)は別の書類として扱います。
- 出力は原案です。避難経路や所要時間は現地で歩いて検証する前提で、
  検証が必要な箇所を末尾に一覧にします。
- 児童生徒の氏名など個人が特定できる情報は求めず、受け取っても使いません。

この例の最終行は、運用上のルールです。教育委員会の情報管理方針に合わせて、入れてよい情報の範囲は先に決めておきます。学校でのClaude導入の考え方は、文科省の生成AIガイドラインver2.0を学校のClaude導入にどう活かすかにまとめています。

学校安全計画の年間表をたたき台にする

27条が挙げる3本柱は、施設・設備の安全点検、安全に関する指導、職員の研修です。年間表もこの柱で組むと、条文との対応が見えます。

手順

年間表をClaudeに作らせる流れ

  1. 1

    現行の計画を読ませる

    自校の学校安全計画を貼るか、Projectに置きます。まず「27条の3本柱に対して、今の計画に載っていない項目は何か」を聞きます。

  2. 2

    月ごとの表にさせる

    「4月から3月まで、点検・指導・研修・訓練の4列で表にしてください。訓練は想定する危険の種類を列挙してください」と頼みます。

  3. 3

    偏りを指摘させる

    手引は、訓練の内容が火災だけに偏らないようにと述べています。表の訓練欄を見せて、想定の種類に偏りがないかを聞きます。

  4. 4

    現場の行事と突き合わせる

    運動会、遠足、集団宿泊、保護者会など、自校の行事予定を貼って重なりを確認させます。

手引は、実施の時期や回数について、法の規定、児童生徒等の実態、地域の実情に基づき、年間を通して季節やほかの安全指導との関連を考慮して決めるとしています。法の規定という言葉が出てくるのは、立地によっては別の法令で避難訓練の実施や避難確保計画の策定が義務付けられる場合があるためです。浸水想定区域や土砂災害の警戒区域にある学校は、この点を教育委員会を通じて担当部局に確認します。Claudeに「自校に適用される法令は何か」を答えさせても、確かな根拠にはなりません。

地震・火災・不審者・津波の訓練シナリオを作る

シナリオは、1本ごとに同じ型で出させると、並べて比べやすくなります。型は次のとおりです。

項目書く内容
想定書く内容発生時刻、場所、きっかけ(例の書式)
児童生徒の状況書く内容授業中か休憩中か、校外か
使えない設備書く内容放送不可、特定の階段が使えない、など
職員の役割書く内容情報収集、避難誘導、救護、本部
避難行動書く内容待避、垂直移動、水平移動のどれか
評価の観点書く内容訓練後に見る点

手引は、避難行動を「その場に留まる」「垂直に移動する」「水平に移動する」の3つに分けて考えています。シナリオの「避難行動」欄は、この3分類で書かせます。

地震

頼み方の例です。

自校の前提メモに沿って、中休み(児童が校庭と教室に分散している時間帯)に
震度6弱の地震が起きたという想定の避難訓練シナリオを作ってください。
放送設備は使えない前提です。型は「想定/児童の状況/使えない設備/職員の役割/
避難行動/評価の観点」。車椅子利用の児童の避難経路も含めてください。

手引は、訓練を授業中だけに想定せず、休憩時間中など児童生徒が分散している場合や放送設備が使えない場合も想定し、発生時間や場所に変化をもたせるよう述べています。上の頼み方は、この留意点をそのまま条件にしたものです。

火災

火災はもっとも定番の訓練で、同じ形に固まりがちです。出火場所を理科室、調理室、体育館の更衣室などに変え、使えない階段を指定して、毎年違う想定を出させます。出力を前年のシナリオと並べ、変化が1つしかなければ作り直しを頼みます。

不審者

不審者対応は、手引に詳しい節(3-3)があります。そこには、退去に応じない場合は不審者とみなして110番通報すること、退去後も再び侵入しないか敷地外へ出るまで見届けること、門や入口が開いていれば閉めて施錠することなどが、対応の順に書かれています。

シナリオには、この順番を職員の役割に割り振ります。誰が声をかけ、誰が通報し、誰が児童のいる場所への侵入を止め、誰が児童を避難させるか、です。教職員の誰が欠けていても回るかを確かめるため、「担当の職員が出張で不在」という条件を足す手もあります。

警察署と連携した訓練にするなら、警察署に渡す版を別に作らせます。手引は、警察署や消防署と連携して訓練を充実させ、専門家の評価を訓練の検証やマニュアルの点検につなげることを勧めています。

津波

津波は、手引の中では概要の記載にとどまります。地震・津波については、別の「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」を現行のまま活用することになっており、手引は第3章3-7に概要を載せています。

津波の訓練を作るなら、この別の手引も入手してProjectに置きます。入手できないあいだは、シナリオの津波の項に「別の手引での確認が未了」と明記させておきます。津波では、避難先が高台か、屋上などへの垂直避難かが立地で変わります。ここは前提メモの記述がそのまま出力の質になるので、ハザードマップの浸水想定を一文ずつ書き起こしておく必要があります。

引渡し訓練

事故等の発生時に児童生徒だけでの下校が難しい場合に備え、手引は保護者への引渡しや保護者の引率による集団下校を挙げています。引渡し方法や引渡し場所を保護者に周知し、緊急連絡体制を整えたうえで訓練するのも有効とされています。保護者向けの案内文も、同じProjectで作れます。

訓練後の評価の観点を決めて、見直しにつなげる

手引は、危機管理マニュアルの作成後も、訓練、評価、改善を繰り返すものと位置付けています。評価では、成果や課題を明らかにし、全ての職員の意見や気付きを反映させます。児童生徒や保護者、地域住民からのフィードバックも重要とされています。

見直しのポイントとして、手引は次の5つを挙げています。

  • 人事異動等による分担や組織の変更はないか
  • 施設・設備や通学路、児童生徒等の状況に変化はないか
  • 地域や関係機関との連携に変更はないか
  • 図上訓練(卓上訓練)で問題点や課題の発見はなかったか
  • 他校の事例や社会情勢の変化等から、自校に不足している項目はないか

この5つを、シナリオの「評価の観点」欄にそのまま割り当てられます。訓練当日は職員が観察メモを取り、その箇条書きをClaudeに渡して、観点ごとに「良かった点」「課題」「次回の変更案」に振り分けさせます。

評価

評価メモを渡すときの3つの頼み方

  • 観点ごとに分類する

    上の5つの観点を列にして、メモの各行をどれに当たるか振り分けさせます。どの観点にも当たらない行は「その他」にまとめます。

  • 課題を担当の変更案にする

    人事異動で役割分担が変わった場合は、役割表の更新案を出させます。出力は原案なので、校内会議で確定します。

  • 心身への影響を見る観点を足す

    29条3項は、事故等で心身の健康に影響を受けた児童生徒への支援を求めています。訓練でも、怖がった児童への声かけや事後の様子の把握を観点に加えられます。

アンケートの自由記述を分類する作業は、学校評価アンケートの自由記述をClaude for Excelで分類する手順と同じ型で進められます。

使う前に押さえる制約

  • プランによる差: 知識が大きくなったときに自動で容量を広げるRAGは、有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)の機能です。無料プランでは、手引のような大きな文書を複数置くと容量が足りなくなる場合があります。置く文書を絞って対処します。
  • 共有: TeamおよびEnterpriseプランでは、Projectを組織内のメンバーと共有できます。権限は「閲覧のみ」と「編集可」の2段階で、閲覧だけのメンバーも会話はできます。安全担当者が編集可で管理し、他の教職員に閲覧を渡す運用が考えられます。
  • Projectsの版: サポート記事は、Projectsの新しい版(ベータ)を案内しています。まずClaude Codeを使うPro・Maxの一部ユーザーに展開されており、チャットとCoworkの既存Projectは当面現行版のままです。この記事の手順は現行版のProject(知識ベースと指示文)を前提にしています。

火災時の消防計画の原案づくりはClaudeで防火管理者の消防計画の原案を作る手順、浸水想定の読み方の入口はハザードマップ開示の画像をClaudeで点検する手順が扱っています。家庭向けの備えはClaudeで家庭の防災計画とチェックリストを作る方法にあります。

まとめ

Projectに置くのは、条文の原文、文科省の手引、自校の現行文書、文字に起こした前提メモです。この4つがあれば、年間表の抜けの指摘と4種類のシナリオの原案は、型を決めて繰り返し頼めます。

Claudeの出力で変わらないのは、避難経路の所要時間と使える設備は現地でしか確かめられない点です。原案を持って歩き、通れなかった場所を前提メモに書き戻すと、次の年のシナリオはその分だけ現実に近づきます。

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