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Claudeで事務引継書を作る — 人事異動で後任が迷わない構成と手順

Claudeで事務引継書を作る — 人事異動で後任が迷わない構成と手順

人事異動の事務引継書をClaudeのProjectsで下書きする手順です。年間カレンダー・未決案件・経緯を置き、定例・非定例・期限付きに分けます。

人事異動の事務引継書は、Claudeのプロジェクト(Projects)に資料を集めて下書きさせると、抜けの洗い出しまで進められます。ただし書けるのは資料に載っていることだけです。担当者の頭の中にある「あの課長は最初に電話を入れておくと話が早い」といった判断は、Claudeには書けません。

そこで本記事は、引継書を「資料から起こせる部分」と「担当者が口頭で補う部分」に分けて組みます。後任が最初の1か月で迷わない構成を、定例・非定例・期限付きの3区分で作る手順です。

Claudeに任せる範囲と、担当者が口頭で補う範囲

Claudeに向くのは、散らばった資料を並べ替えて文章にする作業です。担当者にしか書けないのは、資料の外にある経緯と相手の癖です。

引継書の項目Claudeに任せる担当者が補う
年間の事務カレンダーClaudeに任せる資料の日付を月順に並べる担当者が補う資料に無い暗黙の締切
未決案件Claudeに任せる起案文書から現状を要約する担当者が補う決裁が止まっている本当の理由
関係先との連絡経緯Claudeに任せるメモ・メールの時系列整理担当者が補う相手の人柄・注意点
過去の議会答弁Claudeに任せる質問と答弁の対応表にする担当者が補う答弁の背景にある調整

この分担を最初に決めておくと、Claudeが空欄を推測で埋める事態を避けられます。空欄は空欄のまま「要確認」と出させるのが、この記事の中心的な方針です。

Projectに置く資料を4種類に絞る

Projectsは、独自のチャット履歴と知識ベースを持つ作業スペースです。文書をアップロードして文脈を与え、その中でClaudeと対話します。無料アカウントを含む全ユーザーが使え、無料ユーザーが作れるのは5つまでです。

引継書づくりでは、次の4種類を置きます。

  • 年間の事務カレンダー(月ごとの定例業務の一覧)
  • 未決案件の一覧と、各案件の起案文書
  • 関係先ごとの連絡経緯メモ
  • 過去の議会答弁の記録

プロジェクトの知識ベースに入れた内容は、そのプロジェクト内のすべてのチャットで使われます。逆に、知識ベースに入れていない情報は、同じプロジェクトの別チャットにも引き継がれません。前のチャットで口頭で教えた内容は、次のチャットでは消えていると考えてください。

資料の量が増えて上限に近づくと、有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)ではRAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。RAGモードでは、Claudeがプロジェクト知識の検索ツールで必要な箇所だけを引いて答えます。年度をまたいだ答弁記録のような大きな資料を入れるときは、この仕組みが前提になります。

手順1: ファイル名を後任が検索する言葉に揃える

RAGが働くプロジェクトでは、わかりやすいファイル名が検索の精度に効きます。引継書づくりなら、次のような命名が使えます。

01_年間カレンダー_令和8年度.xlsx
02_未決案件一覧_2026-10.xlsx
03_起案_○○補助金_要綱改正.docx
04_連絡経緯_△△団体.txt
05_答弁記録_令和7年度12月議会.docx

先頭の番号で資料の種類が分かり、後任が自分で開くときにも探しやすくなります。質問するときは、ファイル名を指定して「04の連絡経緯だけを見て」と絞る方法もあります。

なお、プロジェクトの名前と説明文はClaudeには見えません。「○○課引継用」といった名前に重要な前提を書いても、読まれないということです。前提は指示文か資料の中に書きます。

手順2: プロジェクトの指示文に引継書のルールを書く

プロジェクトの指示(Set project instructions)は、そのプロジェクトのすべてのチャットに適用されます。引継書では、書式よりも「推測で書かない」ルールを先に置きます。

あなたは自治体の事務引継書の下書きを手伝います。
- 回答はプロジェクトの資料に書かれている内容だけに基づく
- 資料に無い項目は推測せず「要確認」と書く
- 日付・金額・件数は、資料のファイル名と該当箇所を添える
- 項目は「定例」「非定例」「期限付き」の3区分に分ける
- 人物の評価や性格には触れない
- 氏名・住所などの個人情報は、書式例のとおり記号に置き換える

最後の2行は、引継書が後任以外にも読まれる前提の保険です。関係先の担当者の評価は、書面に残さず口頭で伝える扱いにします。

手順3: 定例・非定例・期限付きの3区分で骨格を起こす

引継書が読みにくくなる原因は、日常業務と一度きりの案件が同じ列に並ぶことです。3区分に分けると、後任は「毎年やること」「今年だけのこと」「期限が迫っているもの」を別々に確認できます。

区分中身後任が見るタイミング
定例中身毎月・毎年の業務(月次報告、予算要求など)後任が見るタイミング着任直後に通読
非定例中身今年度だけの案件、個別の問い合わせ対応後任が見るタイミング案件ごとに必要になったとき
期限付き中身着任後1か月以内に動く案件後任が見るタイミング着任初日に最初に確認

骨格を起こすプロンプトは、次のようにします。

添付の年間カレンダーと未決案件一覧から、事務引継書の骨格を作ってください。
着任日は2026年4月1日です。
1. 定例業務を月ごとに表にする(業務名・根拠資料・締切)
2. 非定例を案件ごとに「現状・次の一手・関係先」で書く
3. 着任後1か月以内に期限が来るものを「期限付き」として先頭に置く
資料に無い項目は「要確認」と書き、推測で埋めないでください。

実行すると、出力は資料にある日付や案件名の配置になります。生成された表は下書きですので、日付と金額は元資料と突き合わせてから使います。

手順4: 空欄を「担当者への質問リスト」に変える

骨格ができたら、「要確認」と書かれた箇所を集めます。この作業が、口頭で補う内容を決める手がかりになります。

骨格の中で「要確認」になっている箇所を全部拾い、
担当者への質問に書き換えてください。
質問は、答えが「はい/いいえ」か短い数字で済む形にしてください。

質問リストを前任者が答えて、答えを資料として追加します。口頭で済ませると記録が残らず、次の異動でまた失われます。答えを知識ベースに入れ直すことで、引継書が資料の側で更新されていきます。

過去の議会答弁と例規の新旧対照は別資料にする

答弁記録は、質問と答弁の対応表にまとめておくと、後任が定例会の前に参照しやすくなります。答弁案の作り方はClaudeで議会答弁案と想定問答を作るに手順があります。例規改正が絡む案件では、例規の新旧対照表をClaudeで作る手順で作った表を未決案件の資料として添えると、改正の途中経過が後任に伝わります。

後任に渡す方法 — 共有できるのはTeam・Enterpriseだけ

プロジェクトを他の職員と共有できるのは、TeamまたはEnterpriseプランです。個人のFree・Pro・Maxでは、プロジェクトの共有はできません。

共有できる環境では、プロジェクトの「Share project」ボタンから、個人をメールアドレスで追加します。権限は2種類です。

  • Can view: 内容・知識・指示を見て、プロジェクト内でチャットできる。編集はできない
  • Can edit: 指示や知識を変更し、メンバー設定を更新するなど、積極的に関われる

後任には、まずCan viewで渡すのが引継ぎには合います。Claudeに質問しながら読めるうえ、前任者の資料を誤って書き換える事故を避けられます。着任後に後任自身が資料を足したくなったら、Can editに変更します。

管理者が共有を止めている組織では、共有ボタンから渡せません。Ownerが共有をオフにすると、既存の共有は残りますが、新しいユーザーへは共有できなくなります。その場合は、引継書本体(Word・Excel)を庁内の共有フォルダで渡し、Claudeのプロジェクトは参考として扱うのが現実的です。

後任側の画面では、プロジェクト一覧に「Your projects」「Organization」「Shared with you」の3つのタブがあります。共有されたプロジェクトは「Shared with you」にあります。見つからないときは3つのタブをすべて確認してください。

着任後の後任が、最初にClaudeへ聞くこと

引継書を読み終えた後任は、同じプロジェクトで質問を重ねられます。最初の1週間なら、次の3つが使いやすい質問です。

着任後1か月以内に期限が来る案件を、期限の近い順に並べてください。
定例業務のうち、来月に初めて自分が担当するものはどれですか。
「要確認」のまま残っている項目を、前任者に聞く順に並べてください。

3つ目の答えは、前任者が異動先にいるうちに確認する宿題の一覧になります。異動後は連絡が取りにくくなるため、着任の週のうちに聞き切るのが現実的です。聞いた答えは、手順4と同じく資料として知識ベースに戻します。

引継書にClaudeを使う前に確認する3つのこと

引継書には、個人情報や非公開の協議内容が混じりやすい資料です。次の3点は、プロジェクトに資料を入れる前に庁内ルールを確かめます。

  1. 入力してよい情報の範囲。機密性の分類ごとの線引きは自治体の生成AIガイドラインとClaudeにまとめています。
  2. 住民の個人情報の扱い。目的外利用・提供にあたるかの判断は個人情報の目的外利用・提供の可否をClaudeで判断表にするが参考になります。
  3. Claudeに入れた文書や会話ログが行政文書にあたるか。保存・廃棄の考え方はClaudeに入れた文書は行政文書かで扱っています。

自治体によっては、事務引継の様式や手続を文書事務の規程などで定めている場合があります。様式が決まっているなら、Claudeには「この様式の項目に沿って埋める」と指示し、書式を自分で作らせないようにします。

つまずきやすい点

落とし穴

前のチャットで教えたことが、次のチャットでは使われない

プロジェクト内でもチャットの文脈は共有されません。口頭で補った内容や質問の答えは、知識ベースに資料として追加して初めて、後任のチャットでも使われます。

次の点も、着任前後に起きやすい点です。

  • メモリーの扱い: プロジェクトごとに独自のメモリーがあり、他のプロジェクトのメモリーは使われません。前任者のアカウント全体のメモリーを混ぜたくないときは、プロジェクトのページで「Use account memory」をオフにします。
  • アーカイブ: プロジェクトをアーカイブしても、共有権限やメンバーは解除されません。前任者が離れる日に権限を外したいときは、共有設定からメンバーを削除します。
  • 新しい版のProjects: Claude Codeを使うPro・Maxの一部ユーザーには、プロジェクトが1つの会話になる新しい版がベータで提供されています。既存のプロジェクトは、指示・ファイル・チャット履歴ごと移行され、失われません。この版が使えるかはアカウントによって異なります。

まとめ

事務引継書は、Claudeに全部書かせるものではありません。資料から起こせる部分を3区分の骨格にし、起こせなかった部分を質問リストに変え、答えを資料として戻す。この往復を経て、引継書が後任のためのプロジェクトとして残ります。

着任後1か月で迷わせないために効くのは、期限付きの案件を先頭に置くことと、「要確認」を空欄のまま残さないことです。

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