Claudeでポッドキャスト台本を構成から作る手順 — Projectsで過去回のトーンを踏襲
Claudeのプロジェクトに過去回の台本を集め、トーンと構成を保ったままポッドキャストの新しい台本を作る具体的な手順をまとめます。
Claudeのプロジェクトでポッドキャスト台本を作るとは
プロジェクトは、独立したチャット履歴と知識ベースを持つ作業スペースです。過去のエピソードの台本をこの知識ベースに集めておけば、そのプロジェクト内でトーンを保ったまま新しい台本をClaudeに書かせられます。無料アカウントでも利用でき、作れるのは5個までです。
ここで扱うのは、claude.aiのチャット画面から使う現行のプロジェクト機能です。Claude Codeを使う一部のPro・Maxユーザー向けには、1つの会話がクラウド上で並列に進む新しいベータ版のプロジェクトが提供され始めています。仕組みが異なる別の機能です。台本作成に使うのは、知識ベースとプロジェクト指示を組み合わせる従来型のプロジェクトです。機能全体の使い方はClaude Projects完全ガイドにあります。
台本作成用プロジェクトを立ち上げる手順
プロジェクトを作って過去回を入れるまで
- 1
プロジェクトを作る
claude.ai/projectsを開き、右上の「+ New Project」をクリックして番組名を付けます。名前と説明はClaudeからは参照されません。
- 2
過去回の台本を知識ベースに入れる
プロジェクトページ右側の知識ベースで「+」を押し、台本や原稿をアップロードします。ファイル名に配信回数やシーズン名を入れておくと、「第12回のオープニングを参考にして」のように回を指定しやすくなります。
- 3
プロジェクト指示を登録する
「プロジェクト指示を設定」(英語表示は「Set project instructions」)で話し方と台本の型を書き、「指示を保存」(英語表示は「Save instructions」)で保存します。指示はそのプロジェクトのすべてのチャットに使われます。
知識ベースに入れられるファイルと上限
プロジェクトのファイルには、チャットへの添付とは別の上限があります。
プロジェクトのファイルまわりの数字
無料プランで作れる数
5個
無料プランは5個まで
1ファイルの上限
30MB
ファイル数は無制限。合計がコンテキストウィンドウに収まる範囲
PDFの視覚解析
100ページまで
101〜1000ページは文字だけが読まれる
PDFのアップロード上限
1000ページ
超えると「Uploaded file is too large」エラー
有料プランでは、知識がコンテキストの上限に近づくとRAGモードが自動で有効になり、扱える量が最大10倍まで広がります。それでも上限そのものは残るので、何シーズン分もまとめて入れるときは容量を意識しておく必要があります。有料プランごとの容量の目安はClaude料金プラン完全ガイドにあります。
特定の回だけで使う資料は、チャットに直接添付する方法もあります。知識ベースに入れたファイルは同じプロジェクトの全チャットで参照されますが、チャットへの添付はそのチャットの中だけの利用です。ゲストの下調べメモのように1回限りの素材は、添付にしておくと知識ベースに溜まりません。
音声と文書で入れ方が変わる
知識ベースに入れる前の仕分け
文書はそのまま追加
PDF・DOCX・CSV・TXT・HTML・ODT・RTF・EPUB・JSON・XLSXが対応形式です。XLSXだけは、アカウントでコード実行とファイル作成を有効にしていないとアップロードできません。
先に文字へ変換する
過去回の録音データは、対応形式の一覧に音声ファイルがありません。文字起こしでテキストにしてから追加します。PDF以外の文書は文字だけが抽出されるため、DOCXに貼った画像の中身も読まれません。
文字起こしの誤記を直さずに入れると、その誤記が過去回の実例として知識ベースに残ります。聞き取りにくかった箇所を直してから追加しておくと、台本に誤りを持ち込みにくくなります。話し言葉の台本は、告知から事後フォローまで一続きに作れます。その流れはClaudeでウェビナーの台本と事後フォローを作る手順にあります。
プロジェクト指示でトーンとフォーマットを固定する
台本のトーンや構成を毎回口頭で説明し直すのは手間です。番組の話し方と台本の型を、プロジェクト指示に一度だけ登録しておきます。
このプロジェクトはポッドキャスト番組の台本作成用です。
知識ベースの過去回を参照し、以下のトーンと構成を踏襲してください。
- 話し方: くだけた口語体、聞き手に語りかける一人称
- 構成: オープニング(30秒)→本編(3セグメント)→エンディング
- 各セグメントの見出しは疑問形にする
- 過去回で使っていない言い回しを無理に混ぜない
知識ベースに無い話題を、過去回にあったかのように書かないでください。指示文が持つのは書き方の型で、過去回の言い回しそのものではありません。言い回しを参照させるには、台本ファイルを知識ベースに置きます。出来に修正を入れたときは、その修正点を指示文に書き足しておくと、同じ指摘を繰り返さずに済みます。指示は画面からいつでも書き換えられます。指示文の設計を別の用途に置き換えた例はClaudeブログ記事の書き方にあります。
構成案から台本を書かせる進め方
最初に構成案だけを出させ、決まってからセグメントごとに本文を書かせます。全文を一度に書かせるより、直す対象が構成案か1セグメントに絞られます。
今回のテーマは「〇〇」です。
まず知識ベースの過去回を参考に、オープニング・本編3セグメント・
エンディングの構成案だけを箇条書きで出してください。台本本文は
まだ書かないでください。構成案に問題がなければ、「オープニングを台本形式で書いて」のようにセグメントごとに指示します。途中で構成を変えたくなっても、書き直すのは該当セグメントだけです。1セグメントずつ読めば、後半でトーンが変わっていないかも早い段階で分かります。
過去回のトーンを支える仕組みはどれか
トーンを揃える材料は4つあり、役割も使えるプランも違います。
トーン維持に関わる4つの仕組み
知識ベース
過去回の台本そのものを置く場所です。同じプロジェクトの全チャットで使われ、無料プランでも使えます。
プロジェクト指示
話し方と台本の型を書く場所です。全チャットに適用されます。
メモリー
会話からトピック単位で要点を保存します。プロジェクトごとに別の領域があります。Free・Pro・Maxは既定でオン、Team・Enterpriseはオーナーが有効にし、各メンバーがオンにして初めて動きます。
過去チャットの検索
Claudeに頼んだときだけ過去の会話を検索します。Pro・Max・Team・Enterpriseのみで、対象は同じプロジェクト内の会話に限られます。
メモリーが持つのは要点のトピックで、台本の全文ではありません。保存された内容は「Settings > Memory」のトピック一覧で読み、編集や削除ができます。チャットで「これを覚えて」と頼んで、番組のルールを直接保存させる使い方もあります。文体と構成を揃える土台は、知識ベースとプロジェクト指示の2つです。
プロジェクトの作成ガイドには、知識ベースに入れない限りチャット間でコンテキストは共有されないとあります。過去チャットの検索は、頼んだときに働く別の機能で、「Settings > Memory」の「Search and reference chats」からオフにできます。打ち合わせのチャットしか残っていない番組は、結論を台本ファイルにして知識ベースへ入れ直すと、無料プランでも次回から参照できます。
試し書きをメモリーに残したくないとき
没になる企画案やゲストの個人的な話題を、番組のメモリーに混ぜたくない場面があります。新しいチャットで「+」メニューの「Memory」をオフにしてから、最初のメッセージを送ります。プロジェクトの中でも同じ操作ができ、そのチャットはプロジェクトのメモリーを使わず、書き込みもしません。
最初のメッセージを送ったあとは変更できません。チャットは履歴に残り、ほかのチャットから検索で見つかる点が、シークレットチャットとの違いです。保存や検索の対象から完全に外したいなら、プロジェクト外の新規チャットで開くゴースト(幽霊)アイコンのシークレットチャットを使います。
削除したチャットから作られたメモリーは、チャットを消しても残ります。残したくない内容は、メモリーのトピックを個別に削除します。
医療や宗教、政治のような機微な話題は、既定ではメモリーに保存されません。「Include sensitive topics in memory」をオンにすると保存されるようになり、オンにする前の内容までさかのぼって保存されることはありません。ゲストの私的な話題を扱う番組は、この設定の状態を確かめておくと安心です。政府発行のID番号、犯罪歴、金融口座番号、在留資格に関わる情報は、頼んでもメモリーに保存されません。HIPAA、公的機関向け、またはカスタムのデータ保持契約を結んでいる組織では、メモリー自体が使えません。
間違えてプロジェクトに入れたチャットは、チャット名横のメニューの「Remove from project」で外せます。Team・Enterpriseでは、これでプロジェクトのメモリー要約から外れ、プロジェクト外のメモリーに回ります。
Team・Enterpriseプランでの共同運用
パーソナリティやディレクターが複数人いる番組では、プロジェクトを共有して同じ知識ベースと指示文を参照できます。「Share project」ボタンから、メンバーを名前かメールアドレスで個別に追加するか、メールアドレスのリストを貼り付けて一括で追加します。Team・Enterpriseでは、作成時に公開範囲を選びます。「Keep it private」なら自分と招待したメンバーだけ、「Share with your broader organization」なら組織全体です(管理者が許可している場合)。共有された側のプロジェクトは、Projectsページの「Organization」「Shared with you」のタブに出ます。見つからないときは「Your projects」を含めた3つのタブを順に見ます。
権限は「Can view」と「Can edit」の2段階です。閲覧のみのメンバーは会話はできても内容を変えられません。編集可のメンバーは知識ベースと指示文を更新できます。メンバーの追加・削除まで含むかは、プロジェクトの概要ページが含めて書き、作成・管理ガイドの手順は指示・知識・メンバー設定の更新と書いていて、記述が揃っていません。メンバー管理を任せる前に、編集可の権限で画面に何が出るかを見ておく選択肢があります。アクセスの取り消しは、作成者がメンバーの権限をクリックして「Remove access」を選ぶ手順です。
管理者がプロジェクトの共有をオフにすると、公開プロジェクトも同時にオフになり、新しいメンバーやグループには共有できなくなります。既存の共有関係はそのまま残ります。オーナーが公開プロジェクトをオフにした組織では、組織全体への共有も使えません。
共同運用で注意したいのがメモリーです。Team・Enterpriseのオーナーが組織のメモリーをオフにすると、全メンバーのメモリーが即座に削除され、元に戻せません。番組の知識は知識ベースと指示文に置いておくと、この操作の影響を受けません。
シーズンごとにプロジェクトを分ける
知識ベースは同じプロジェクトの全チャットで使われます。企画やトーンが変わったシーズンの台本が前シーズンの台本と同居していると、どちらの文体も参照の対象になります。指示はプロジェクト単位で全チャットに適用されるため、番組ごと、トーンが変わったシーズンごとに分けると、指示文をそのプロジェクト専用に書き切れます。
使い終えたシーズンはアーカイブで整理できます。アーカイブしたプロジェクトは一覧の末尾に移り、会話にもアクセスできます。共有設定、メンバー、知識ベースもそのまま保持され、アーカイブを解除すれば元の状態に戻ります。ただしアーカイブしたままでは削除できないため、削除するにはまず解除します。現行シーズンのプロジェクトは星マークで固定しておくと、サイドバーから探さずに開けます。
台本づくりの状況別の使い分け
| 状況 | プロジェクトの扱い |
|---|---|
| シリーズ化した番組でトーンを揃えたい | プロジェクトの扱い過去回を知識ベースに集め、指示文で型を固定する |
| 単発回や一度限りの台本 | プロジェクトの扱い通常のチャットで足り、プロジェクトの準備は要らない |
| 複数人が交代で台本を作る(Team・Enterprise) | プロジェクトの扱いプロジェクトを共有し、編集権限は型を管理する担当者に絞る |
| 毎回フォーマットが変わるゲスト企画 | プロジェクトの扱い固定する指示文の恩恵が小さく、指示の書き直しが増える |
まとめ
過去回の台本を知識ベースに置き、トーンと構成の型をプロジェクト指示に書く。この2つが台本のトーンを保つ土台で、メモリーや過去チャットの検索は補助にとどまります。音声は文字起こしを挟む工程まで運用に組み込んでおくと、始めてから慌てずに済みます。指示文とスタイル機能の役割の違いはClaudeパーソナライズ機能の使い分け方で整理されています。